転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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獣王戦、決着!!魔法剣炸裂です!!

「や、やった!!クロコダインを倒した!!」

 

「いや……まだよ。――見て!!」

 

 砕け散った岩場からクロコダインが傷を押さえて立ち上がり、こちらに向かってきた。

 至近距離からストラッシュぶっぱしたというのになんというタフさだ。

 そりゃあバランのギガブレイクを二発も耐えられるわけだ。

 しかも見た目ほど致命傷というわけでもないらしく、立ち上がってからは多少よろめきながらも軽々と移動してきた。

 

「フッ……なんという威力……!!サナよ。お前の剣が軽いと言ったことを訂正しよう。これほどの強打を味わったのは生まれて初めてだ。認めよう。お前こそ我が生涯最強の敵であると!!」

 

 深々と開かれた傷口から出る血を止め、彼は果敢に立ち向かっていった。

 

 すると彼は目を閉じて膝を落とし始めた。

 

(ハドラー殿……本来ならばこの場で撤退をすべきところを、どうかお許しくだされ。オレは獣王の誇りにかけて目の前の勇者と全身全霊で戦いたい。だがその見返りにオレはこの子の首を必ずや魔王軍に持ち帰ろう)

 

 そしてクロコダインは決意と覚悟に満ちた表情で私の方に向かってきた。

 それはなんというか――魔王軍としてではなく、純粋な武人としての「クロコダイン」そのものとしての姿があった。

 

「行くぞサナ!!オレの全力を受けてみよ!!」

 

 これはかなり骨が折れそうだ……!!

 闘気全開のクロコダインの攻撃は先ほど大怪我を負ったものとは思えないほど激しく、鬼気迫るものだった。

 この巨大な斧の一振り一振りにとてつもなく重い何かが乗せられている……!!

 ちょっとでも当たれば首が吹き飛んでしまいそうだ。

 

 こちらも竜闘気で万全の体勢のはずが、追い詰められているのは私の方だった。

 

 そういえば以前先生が言ってたっけな。

 

 ――闘気とは万物が持つ心の強さの象徴。

 精神と深い密接があるのが闘気。

 それは人を強くしたり、反対に弱くしたりする。

 どんなに力の差がある勝負だったとしても心の持ち様一つでひっくり返ることはままあると。

 いわゆる火事場の馬鹿力のようなものも、無意識的に潜在能力と闘気が最大限発揮された形なのだと。

 生命力を極限まで高められ、そしてその生命力さえ自身の力に還元できるという。

 

 今のクロコダインはまさにその闘気を爆発させて襲ってきているのだろう。

 なるほど、そりゃあ私の剣が軽いわけだ。

 まさに年季が違う。これがクロコダインの獣王として築き上げてきた戦闘の厚みか。

 

 ストラッシュを溜めて放とうにも、かなり近くまで接近されており、更に手を緩めたと思った合間に真空の斧でバギマを放ってくる。

 近距離、遠距離共に全く隙がない。

 ゾーン状態とでもいうべきか、精神がこの戦いだけに極限集中している。

 動きにまるで無駄もスキもない。

 

「サナ!!」

 

 私のピンチを見かねてダイくんが飛び出しそうになったが、すぐにそれを止めた。

 クロコダインの放つ並々ならぬ闘気が、本能的に危険を察知させたのかもしれない。

 

「このままじゃどうしようもないな……よし!」

 

 私は両手に闘気と竜闘気を全開にしてクロコダインの猛斧を受け止めた。

 

「グハハハ……先ほどと同じ手は食わんぞ」

 

 彼はすぐさま斧から手を離し、今度は自慢の怪力を拳に乗せて殴りつけてきた。

 アバン先生に教えてもらった体術――受け流しの構え!!

 

「な、なに!!」

 

 クロコダインの剛腕を両手で風の様に流すと、彼の拳を地面に叩きつけた。

 

 よし今ならいける――

 

「喰らえ焼けつく息(ヒートブレス)!!」

 

「あっ……!!」

 

 至近距離になっていたところにクロコダインの焼けつく息が飛び出した。

 竜闘気を全開にしていたにも関わらず、息を吸い込んでしまったせいで内側からビリビリと痺れるような感覚に襲われた。

 

 ま、まずい。早くキアリクを唱えないと……!!

 しかし掲げた指はピクピクと動くばかりで呪文を唱えるには至らなかった。

 

「グハハハ……これがオレの奥の手よ。サナ、お前は実によくやった」

 

 するとクロコダインは動けなくなった私に向かって渦巻く闘気を向けてきた。

 獣王痛恨撃――彼を獣王たらしめる絶技だ。

 なにこの今際の際ザボエラごっこ。彼ってこんな気持ちだったんだ。

 

「このオレにヒートブレスと獣王痛恨撃、二つの奥義を出させるとはな……本当に惜しいが、その首貰い受ける――!!獣王痛恨撃!!」

 

 なんとか竜闘気を開放させて防御に徹しようと思ったが、身体が思う様に動かず紋章の力すらまともに操ることができない。

 

「くっ……!!」

 

 すると突然遠くから魔法の弾丸が飛び出し、私に激突した。

 

「こ、これは――」

 

 全身から痺れが取れていくのを感じる。

 間違いないキアリクの魔法だ。

 そしてこんなことができる人は1人しかいない――

 

「だ、誰だ!!」

 

「マァムさん!!それにポップくんも!!」

 

「間一髪だったわね……サナちゃん!」

 

 そう、魔弾銃を持つマァムだけだ。

 クロコダインにとっては予期せぬ敵だったため、彼は溜め切った闘気を私ではなく彼女たちに向けていった。

 

「ぐぬぬ……そのまま逃げておればよかったものを……まずは貴様らから冥土に送ってくれよう!!」

 

「危ない!!」

 

 私がクロコダインを止めようとしたその時、彼はひらりと身をかわし集めていたはずの闘気を瞬時に収めてみせた。

 

「な……!!」

 

「グハハハ……読めておったわ。オレの狙いは始めからお前だけよサナ!!今度こそ喰らえ獣王痛恨撃!!」

 

 くっ……そ。やられた。

 自身の闘気さえ囮にしたか。

 最早アバンストラッシュや海破斬を放つ時間さえ惜しい。

 

「受けて立つ!!」

 

 両腕に竜闘気を集め、私は彼の竜巻のような一撃を浴びた。

 彼の闘気を集中させた痛恨撃は文字通り痛恨の一撃というべき必殺の破壊撃であり、受け止めたはずの両腕が灼け上がってしまった。

 

「サナ!!」

 

「な、なんというヤツだ……オレの渾身の一撃を受けてまだ立っているなど……!!」

 

 これにはクロコダインも驚きを隠せなかったのか、しばらくマァムたちを襲うこともなくとどまってくれていた。

 

 これは使えるかもしれない。

 私はわざとらしく揺らめいてみせて、クロコダインにのそのそと近づいてみせた。

 紋章と闘気を引っ込め、もはや打つ手は何も無し――という風を装ってみせた。

 

「ハ、ハハハ……だが既に事切れたか。しかし互いに奥義を出し合い、死力を尽くした勝負――悔いはない!!」

 

 珍しく大振りになり、勝ちを焦ったクロコダインに対して、その隙に私は紋章の光を最大限に輝かせ、彼の目を眩ませた。

 

「ぐっがああっ!!」

 

「今――ベホマ!!」

 

 両目を抑えて後退した彼に向かい、両腕を回復させた私はアバンストラッシュの構えを――

 

 

 取る前に天空から落雷を呼び寄せた。

 

「な、なんだあれは……!!」

 

 ダイくんが空を見上げて叫んだ。

 ラナ系呪文無しじゃまだうまく操れないけど、

 

「ギガデイン!!」

 

 デイン系最大の呪文が降り注いだ。

 しかしそれはクロコダインにではなく、私の鋼の剣に対してだった。

 そこから闘気を開放し、クロコダインに向かって一気に飛び込んでいった。

 

「ギガデイン・ストラッシュ!!」

 

「ぐわああああああっ!!」

 

 凄まじい雷を帯びた斬撃がクロコダインに直撃した。

 さながらギガブレイクそのものの威力を受け、クロコダインは遥か遠くに飛んでいった。

 結局すごい「ぐわあ」させてしまった。

 ごめんクロコダイン。多分死なないとは思うけど、これで撤退してくれ。

 

「やった……今度こそやったぞ!!」

 

 ダイくんは飛び上がって喜び、私の元に走ってきた。

 

「すごいなサナ!!あんなすごい魔法まで使って……しかも剣に乗せて打ってたよな!!くぅ〜!!カッコいい!!」

 

 ダイくんの目はキラキラと輝いていた。

 まるでヒーローアニメでも見た子供の様に。

 私は紋章の力を使いすぎた反動でか、そんなダイくんに思わず寄りかかってしまうほどふらついてしまった。

 

「だ、大丈夫かサナ!」

 

「う、うん。ちょっと疲れただけ……」

 

(……そうだ。サナだって簡単にクロコダインを倒したわけじゃないんだ。俺がもっとしっかりしないと、サナにどんどん無理させちまう)

 

 肩を抱えたダイくんがその場を離れようとした時――

 

「待てサナ!!」

 

 と背後から声がした。

 その声の主を見てダイくんは青ざめていった。

 

「そ、そんな――クロコダイン!!」

 

 しかし私はなんとなく予想していたので「やっぱりな」と思いダイくんの肩から外れて再び彼に向かっていった。

 

「う、嘘だ……!!あんなにスゴイ必殺技を受けて……!!」

 

「フッ……じ、自分でも驚いておるよ……。しょ、正直まだ首から下が繋がっておることに違和感しかない……。の、残る生命力を全開にさせて立ち上がっておるのがやっとだよ」

 

 クロコダインの発言に嘘偽りなどはなく、本当に彼は肩で息をしているようだった。

 血を大量に出し過ぎた反動でか、先ほどより顔色がやや悪くなっていた。

 

「だが……!!このまま死ぬには死ねんぞ。次は決戦で相見えようぞ、人間の勇者サナよ!!」

 

 そうして彼は笛を吹き、怪鳥ガルーダを呼び寄せるとそのまま遥か空の彼方に消えて行った。

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