転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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先生と繋がるものたち

「なんとか勝ったわね……」

 

 周囲にはとうとう朝日がやって来た。

 陽の光を浴びて私たちは魔の森の中を歩いて村に帰っていた。

 

「そうか。キミもアバン先生の弟子だったのか」

 

「ええ」

 

「ははっどうりで強いわけだ。いてて……!」

 

 一番にクロコダインと戦っていたダイくんの腕が痛み出しているようだった。

 すぐさま回復呪文をかけようとしたところ、マァムさんがベホイミの呪文を唱えた。

 すっかり調子が良くなったダイを見て、その後私にもベホイミをかけてくれた。

 

 あー癒される〜

 回復呪文って自分にも使えるけど、魔力を失うから傷は治ってもその分どっと疲れるんだよねー。

 

 さっきのキアリクといい、マァムさんにはお世話になりっぱなしだ。

 

「あ、あの俺にもひとつベホイミを……あで!」

 

「はい、薬草!!」

 

「て、てめぇなんだよこの待遇の差は!!」

 

「フン!!当然でしょ?勇者と臆病者の差よ!」

 

 全くだ。逃げ出すこと自体は悪いことではないが、仲間として見るならあまり良い行為ではない。

 とはいえ彼が逃げてくれたお陰でマァムさんが私の元に来てくれたので、その分においてはある意味助かった。

 それに戦力差を弁えずに場に固執していつまでも残り続けて戦況がドンドン悪化していくよりはまだ良い。

 

 マァムの案内で再び森を抜け、私たちは村に戻ってきた。

 私の張ったマホカトールの魔法陣も消えていないし、村の人たちも傷一つ負った様子はない。

 村のみんなが笑顔で出迎えてくれた。

 

「母さん……!サナ、ダイ。紹介するわ。母のレイラよ」

 

「お、お母様!?ひょっえー……マァムそっくりの美人ね!!」

 

 思わずそんなことを口走ってしまった。

 

「あらまぁいやですわサナさん」

 

 そんな無礼な私にもレイラさんは優しく微笑みかけてくれた。

 これで未亡人だって!?おいおい村の男どもがほっとかんでしょう……!

 ゼンゼンありだな。うむ。

 

 と、興奮気味な舌を押さえて私は自己紹介をした。

 

「こんにちはサナです。こっちはダイ、それからポップくんです」

 

「ねぇ母さん。この子たちもアバン先生の弟子なんですって」

 

「まぁアバンさまの……」

 

「おばさん、アバン先生を知ってるの!?」

 

「知ってるも何も母さんと死んだ父さんはアバン先生と一緒に魔王と戦ったんだから」

 

「ええっ!?」

 

「あれは15年くらい前のことでしょうか。主人は戦士として、私は僧侶としてアバン様にお力添えをしましたわ。魔王を倒し、世界が平和になった後も一度この村に訪ねて来られてその時にマァムを教えていただいたんです。もう4、5年前になりますかしら……」

 

「そっか、もうそんなになるのね……」

 

「ところでアバンさまはお元気ですか?」

 

「ああ元気だよ。……けど、蘇った魔王と戦った後、修行に行っちゃったんだ。必ず帰ってくるらしいんだけど……」

 

 原作だと重い感じだったけど、今回は先生が生きてるのでありのままをダイくんもお伝えすることができた。

 

「まぁそうだったの……でもとにかく無事で何よりですわ」

 

「そうだ!しばらくこの村に泊まっていきなさいよ。久しぶりに先生の話を聞きたいわ。ねぇいいでしょサナ?」

 

「そうね。クロコダインとあんな戦いをした後だし……少し休んでいかない?」

 

「あ、あぁそうだな」

 

 それを聞いたポップくんの顔色はあまりよくなかった。

 なにせ自分だけ逃げ出してピンピンしてることに罪悪感を覚えているからだろう。

 

「わーいそれじゃまたしばらくゴメちゃんと遊べるー!」

 

 ミーナも嬉しそうにゴメちゃんとはしゃぎ回っていた。

 ダイくんに似て純粋そのものな子供である彼女がなんだかんだゴメちゃんとは仲がよかった。

 

 こうして私たちはマァムの村でしばらく休んでいくことにした。

 レイラさんのご飯はとっても美味しく、疲れ切った身体に栄養が染み渡っていくようだった。

 

「お、オレこんなに美味い料理食べたの初めてだよ!」

 

 ポップくんも珍しくご飯にがっついていた。

 

 やれやれよかったね〝王宮のもてなし〟じゃなくて。

 まーったく調子良いんだから……

 

「アバン先生からは回復系の呪文や、防御系の呪文――それに武道を少し習ったわ」

 

 私はそんな彼女にシンパシーを感じていた。

 今現在唯一の女の子弟子で、しかも同い年くらいかそれより小さい時に先生から色々教わっていたなんて。

 しかもマァムの子供の頃はまだ平和そのものの世の中だったはずだ。

 でもこの文武両道っぷりな強さを見ると、マァムの真面目な気質とたゆまぬ努力の程が窺い知れた。

 まさに姉弟子――マァムの姉御だ。

 

「でもアタシ攻撃呪文を教えてもらってないの。父さんの血が流れてるアタシには攻撃呪文は多分一生できないの」

 

「それであの鉄砲を貰ったんだね」

 

「ええ。卒業式の日にね。あの日のことは忘れられないわ……」

 

 マァムは私たちよりも早く、それも若い段階で卒業の証を受け取っていたのだ。

 そこで同時に彼女は先生自作の魔弾銃も受け取ったのだ。

 噂と書籍だけで銃を作り上げてしまう先生も先生だが、年端もいなかった女の子にこれを渡すのも色々アレだ。

 毎度のことながら先見の目がありすぎる。

 

「ちょっとトボケてるけど……強くて優しくて本当に素敵な先生だったわ」

 

 マァムと先生との思い出話に花を咲かせた後、私とダイくんは村一番の魔法の使い手である村長さんのところに向かっていた。

 

 ポップくんはマァムの魔弾銃の補充に、ダイくんは村長さんから魔法を習いに。

 そして私はその修行のコーチ的なものを。

 

「魔王軍の連中と戦うには、俺も呪文が苦手だなんて言ってられないんです。だから、お願いします!」

 

「しかし……わしに何か教えられることがあるかのう……」

 

 ここも原作だと先生の仇を討つために修行に励むのだが、今回はまた様子が違う。

 しかしダイくんの決意は同じだった。

 

(少しでも俺が強くなって魔法の一つや二つ使える様になれば……サナに苦労かけなくて済むんだ……。それに俺たち兄妹なのに、いつも俺ばっか足引っ張ってたんじゃダメだ。ポップもマァムもみんなそれぞれ強さを持ってるんだ。俺も負けてられないぞ!!)

 

 それまで男の子だったダイくんが、〝男〟になった気がした。

 ずっと隣で見て来たはずのダイくんの姿が、どこか大きくなったような……

 

 はっ。いかんいかん。

 ダイくんが強くなるのは良いが、地上を捨てさせるくらい成長させてはいかん。

 彼にはいつまでも純真な子供でいてもらわねば……!!

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