転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
「な、なんだと!!貴様!この俺にそんな卑怯な手を使えというのか!!オレを誰だと思っているのだ!大魔王六軍団の軍団長獣王クロコダインだぞ!!」
蘇生液から無事蘇った後、クロコダインはザボエラと会話していた。
彼はザボエラの発言に対して怒りに震え、剛腕を叩きつけんばかりの勢いだった。
「今はガキに手傷を負わされたモンスターに過ぎんわ……」
「ふざけるな!!貴様如き卑怯者の手を借りずとも、オレは正々堂々と再戦して勝ってみせるわ!!」
「どうかな……あの小娘中々に侮れんぞ……?それに万に一つ、次に奴を仕留め損なったら魔王軍に居場所がなくなるぞい……」
クロコダインは俯いて胸の傷を押さえた。
ほとんど完治したとはいえ、未だあの時の攻撃を彼は覚えていた。
「サナの実力を知るハドラー様はともかく、他の四団長が何と言うか……」
言い返すこともできず、クロコダインはザボエラの接近を許してしまった。
「悪いことは言わんよ……これを使え。お主とて今の地位、失いたくはあるまい……?」
クロコダインが手に取ったのは金色の小さな箱の様なものだった。
それが一体何であるかはこの場において彼とザボエラしか知る余地はなかった。
「ワシはお前さんの味方じゃ……へっへっへ……」
クロコダインは迷っていた。
自分としてはあの敗北に納得していた。
正々堂々、互いの全てを出し切り技をぶつけたあの勝負に悔いはなかった。
しかしそれとは別に魔王軍で自身の立場が無いのもまた知っていた。
私的な感情を優先して任務に支障が出てしまったら――
彼の中で様々な二律背反する感情が生まれていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
太陽がすっかり顔を出し始めた昼下がりの頃、
ダイたちは魔法の修行に励んでいた。
「メラ!!」
しかしダイの炎は出すところまでは上手くいっても、肝心のコントロールの方はまだまだ難航していた。
「また失敗だ……」
しかしダイは諦めず「まだまだぁ!」となんと浮かんだメラの火の玉を投げつけてしまった。
藁で編まれた人形が燃え盛り、ダイが飛び上がって喜んだ。
「やったやった!ついに自分の力で呪文を成功させた!!」
「どういうことじゃ?」
「いやこいつさ額に紋章が浮き出ると、すんごい呪文ができるんだぜ。でも自分じゃ覚えてないんだって」
それを聞いて村長の顔色が変わった。
(そういえば……額に紋章を抱くものはあらゆる武術と呪文を使いこなす最強の騎士一族だと言う。まさかな……)
「しっかしなんつー力技の呪文だ。あれじゃ成功したうちに入んねーよ」
「ははは、何要は敵に当たりゃ良いんじゃ。自分の弱点を工夫で補う大した子じゃないか」
良いこと言いますね〜村長さん!
サナも内心感心していた。
ダイは魔法の契約ができていることもあって魔法を出すまではよかったが、その後がネックだった。
威力コントロールに関しては割と早い段階で物にし、あとは発動後の操作だけだった。
その操作を力技で補い、命中させることができるのは中々にダイならではといった才能だった。
日が暮れるほど練習に明け暮れ、次第にダイが魔法のコントロールをモノにしていった後一行はマァムの家で休むことにした。
「えっ?明日村を出る?」
「うん。あんまり長居もできないんだ」
「ロモスに行くって言ってたけど、何をしに行くの?」
「王様を助けに行くんだよ。モンスターに苦しめられてるっていうからね。マァムも一緒に来る?」
「ええっ?!」
サナの提案にマァムが驚きの声を上げた。
「そうよ。マァムも私たちと同じアバンの使徒じゃない。一緒に戦ってくれるなら心強いわ」
「で、でもサナ。マァムにはこの村を守るって大事な仕事があるし……」
「それもそうね。私のマホカトールだっていつまで持つか……あ、そうだ!!」
サナは部屋を飛び出して外の岩を運んできた。
「どうしたんだよこんな夜中にそんな大きな岩っころ転がしてきて……」
「まぁ見ててよポップくん……はぁあ!!」
サナが巨岩に向かって魔力を込めると、岩がみるみるうちに動き出し、形を変えていった。
「な、な、なんじゃこりゃ!!化け物じゃねえか!!」
「失礼ね!!これは村を危険から守ってくれる守り神――ストーンゴーレムよ!!」
サナは自信満々に言ったが、ポップにはどう見ても大魔人か動く石像にしか見えなかった。
「このたくましいヒゲがチャームポイントね」
「って!そんなことよりなんだよその魔法は!!」
「無機物をゴーレムとか動くものに変える魔法よ。
「シャレで済むかよこんな物騒なモン……」
サナによればこの石人形にもマホカトールに準ずる聖なる破邪呪法が込められているようで、邪悪なる魔物とはその辺の由来が異なっていた。
「なんかサナって勇者じゃなくて魔王みてーだな……小難しい呪文とかポンポンポンポン使っちまうしよ」
「アラ。ポップくんはマァムと旅できて嬉しくないの?」
「だっ、誰が!!あーんなランボー女なんて!!」
「ふーーんっ。その割にはお胸にご執心だったみたいだけど??」
サナに痛いところを串刺しにされ、ポップは激しく動揺した。
「な、な、なななな、なんつーことをおめおめおめ」
「目がオッパイになってるわよこの変態兄弟子。そーゆーの女の子は敏感なんだからね」
「う、うるせーうるせー!!まだ出るとこ出てねえ寸胴鍋のクセしやがって!!偉そーなこと言ってんじゃねえ!!」
「ず、寸胴……!!」
サナは地味にショックを受けていた。
前世もそんなに豊満な方ではなく、むしろ断崖絶壁だのステータスだの軽口を叩かれるほどだったのだ。
こ、この世界では育つはず!!
……栄養足りないのに??き、気合いよ!!あと魔法!!
自分にそう言い聞かせてサナはついでにもう1体の石人形を作り、合計2体の石人形を村に配置した。
しかし子供が泣き出すので仕方なくサナは石像の顔をゴメちゃんにしてみた。
「わーっ!!ゴメちゃんだー!!」
「な、なんだよアレ……さらに不気味な化け物になったんじゃねぇか……?」
「私に言わないでよ……自信作だったのに……」
髭面のオジサマ然とした動く石像調から顔だけスライム系で首から下はムキムキのマッチョメンというこれまた違う悍ましさを放つ石像が誕生していた。
そうしてサナはマァムと、ダイはポップと就寝を共にした。
「いいか?おっぱいって言うのはな、大人だって好きなんだぞ?」
一つ木の壁を隔てた向こう側の男子陣では早くもおっぱい談義が始まっていた。
それもこれもダイの「なーんだおまえオッパイが好きなのか、結構ガキだな」という爆弾発言が火種となっていたのだが。
「ぱふぱふって知ってるか??」
ポップがいやらしい顔で両手で空を鷲掴みにした。
「え?なになに?〝パフパフ〟って??」
「ぐふ、ぐふふふ、教えてやんないっ!」
「ねー教えてよパフパフってなんなんだよ!教えてくれよ!!パフパフって!!」
それを聞いたサナは心中穏やかなものではなかった。
いつもなら「なーにバカなこと言ってんだこいつら……」と呆れ顔を浮かべるところだったが、今は事が事だった。
ちょっとあのスケベ兄弟子!!
何純粋なダイくんにイヤラシイこと教えてんのよ!!
「サ、サナちゃん目が怖いわよ……」
「えっ、あっ。ううん何でもないの。エヘ。それよりどう?マァム。私たちと旅してくれないかしら?」
「そうね……でもちょっとだけ考えさせて」
サナはマァムの答えを待つ事にした。
そうだ。忘れがちだけど先生が生きてるから無理にマァムが旅に出る必要もないんだ。
世界に危機が迫ってるのは事実だけど、それでもマァムにとってネイル村はかけがえのない故郷で、そんな思い出の地を後にして私たちの旅に同行する義務はない。
それでも私たちはアバンの使徒だから、
いつか必ず、来るべき時には互いに背中を預け合って戦う日が来る。
そう信じて彼女はようやく眠りにつき、そうして夜が明けていった……。
サナの石人形A・B
HP550
MP0
攻撃力184
守備力360
素早さ20
賢さ50
・サナが岩から作ったゴーレムの一種。禁呪法生命体と似たようなものだが人格などはない。邪悪な気配に反応して動き出し村人を守る石像の番人。
力は強いが、いかんせん鈍足なのとバギ系呪文に弱いところが玉に瑕。