転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
「おかえりサナ。今日はやけに遅かったね」
島に辿り着いて出迎えてくれたのはダイくん(12歳)(天使)だった。
嗚呼……可愛い。癒される。
俺の心の中の濁りを取り除いてくれる太陽のようだよ。
ちなみに彼やじいちゃんたちには遠出したことは話していない。
ちょっと島の探検に行ってくるーなどといってお忍びで飛び出しているのだが、いい加減そろそろバレそうだ。
「ただいまーっ。ねぇねぇ。ダイに渡したいものがあるんだけど……ちょっとの間目瞑っててもらっていい?」
「えっ??何さ何さ勿体ぶっちゃって〜またなんか変なイタズラじゃないだろうなー」
と言いつつも素直に目を瞑ってくれるダイくん(以下略)。マジ天使すぎる。
こんなん魂の力純真一択じゃんね。
となると私なんの力になるんだろ。不純とか??
て誰が不純じゃい。
さてこのままお目目つむったままのきゃわわなダイくんにアストロンでもかけて永遠にお持ち帰りしたいところだが、そんな下衆な考えには蓋をして私は隠し持っていた勇者の兜をダイくんの頭にかけた。
サイズなんとなく覚えてたけどよかった〜。
このかぶとは ダイにはそうびできません!なんて言われた日には卒倒すんで。
そうして目を開けたダイくんが物珍しそうに頭の兜をいじりまくる。
「ふふっ、誕生日おめでとう〜!!! それ私が作った『勇者のかぶと』なの。ダイ、ずっと勇者になりたがってたでしょ?」
「うわぁ〜!!すっげぇ!!ははっすげぇすげぇ!!ありがとうサナ!!」
思いがけないプレゼントを貰ってダイくんが大はしゃぎして走り回った。
あやべ今きゅん死しかけたぞ。
待って今ダイくん私の名前呼ばなかった???
やばいんだけど、死ぬんだけどこれ。
尊死するんだけど光のザラキーマ不可避なんだけど。
あ、光だからニフラムか。暖かい光に包まれてなんだか心がポワポワ〜てし始めた。
「なんじゃ騒々しい……一体何事じゃ」
「じいちゃんじいちゃん!!見てくれよこの兜!!サナが俺の誕生日に作ってくれたんだよ!!これで俺も立派な勇者だーーい!!」
「な、なに勇者じゃと!!いかんいかん!お前は立派な『魔法使い』になるんじゃ!!」
「や〜だよ!!魔法使いなんて脇役だもん!!俺は勇者になるんだ!!」
恒例のやり取りを拝めた後、ブラスじいちゃん主催で私たちの誕生日パーティーも始まった。
そもそも魔物が人間の文化であるところの誕生日を祝うという行事を知っていたことにも驚きだが、ブラスじいちゃんが律儀にも私たちの生まれた日をしっかり記録していたことも驚きだ。
誕生日パーティーは毎年行われ、ケーキなんて贅沢なものはないけど島のみんなで一晩中踊ったり歌ったり騒いだりで。
とても楽しくて有意義なものだった。
そして私たち双子は同じ日に生まれたことになっているので、いつも二人同時に祝福の宴が催された。
まあ一日にまとめた方がラクでいいもんね。
夜空に月が輝く時、私の隣にダイくんがやってきた。
私があげた兜を肌身離さずずっとつけていた。可愛い。
「どうしたの?ダイ」
「へへへっ。今日は本当にありがとうな。今までで一番の誕生日だったよ!!」
その純真極まりない直球感謝を告げられると、私は弱いのです。
あぁ〜……たまらないんじゃあ〜
「それで……俺も何かサナにあげられるものないかって……ほら、俺たち同じ日に生まれたらしいからさ」
「え?いやいやいいよ〜。その気持ちだけで嬉しいからさ〜」
などととりあえずの社交辞令を言ってみたが、ダイくんが「いいからいいから」と私の首にネックレスをかけてくれた。
「これは……?」
「へへっ。俺とゴメちゃんが集めたんだ。キレーな花だったからプレゼントにはぴったりかなって……」
それは青や赤に黄色や白などとてもカラフルな美しい色とりどりの花で作られたネックレスだった。
ダイくんとゴメちゃんが満面の笑顔でこっちを見てきた。
た、たまらねええええええ〜っ!!!
まさかのお返しキタ!お返しキタコレ!!!
これで勝つる!!もうどんな攻撃にも耐えられるわこれ!!
喜びのあまり踊り出したくなっちゃう気持ちをグッと堪えて私は笑顔で言った。
「ありがとねダイ、ゴメちゃん!」
「ピィー!!」
誕生日を祝福するようにゴメちゃんが二人の周りをキラキラと飛び回った。
なにこれ最高かよ。一生デルムリン島で骨を埋めたいわ。
あァ〜…………ニセ勇者とかハドラーとか来るんじゃねええぇ
でもアバン先生とポップは良し。あとレオナ姫も。
なーんて平和な気持ちで迎えていたところ、1週間もしないで間もなくこの島にも船が接近してきた。
時系列的に言って例のアレだ。
ダイくんより先に望遠鏡で確認すると例の四人組が肩組んで微笑んでいた。
そう。でろりん、ずるぼん、まぞっほ、へろへろのニセ勇者一行だ。
原作では序盤に登場する最初の人間かつ最初の悪党だ。
島に上陸した彼らはめちゃくちゃやった後ゴメちゃんを攫ってしまうのだが、その後プラスじいちゃんから魔法の筒を受け取ったダイくんが島の魔物たちをデルパしてイルイルするんだけど、それでどうにか事件は治るって感じ。だったと思う。
しかしこの私がいるからにはそんな輩の好き勝手はさせん。
絶対にさせんぞ。
と、そんなことも露知らず、ダイくんは手にした望遠鏡を眺めて興奮していた。
「ゆ、勇者さまだ!!なんでこんな島に勇者さまが?!」
あぁ可愛い……
人を疑うことを知らない危うさが込められておりますぞぉ
すうぅ……いい香りじゃああ……
なーんてバカやってないでそろそろ使命を果たしにいくか。
たしかこの辺りでダイくんがマーマンを呼んで船に接近するんだったな。
けど人のいいダイくんはあんないかにも怪しい連中も島に引き入れちゃうからな。よーしちょっと待っててね……
「ダイくんはブラスじいちゃんにこの事伝えてきて。私がその間に勇者さまを呼んでおくから」
「えーっ!俺だって勇者さまを迎えに行きたいよ!」
ダイくんの透き通った澄んだ瞳にはもう勇者のことしか映っていなかった。
ダイくんにとって邪悪な魔王を倒して友達のモンスターを助けた勇者はどんなものにも勝る憧れの人だったのだ、無理はない。
しかし万に一つも危険があってはいけない。
私はどうにかダイくんをなだめすかして飛び立つことにした。
ごめんよダイくん。あいつらは君の考えてる勇者さまじゃないのよ。
「ルーラ!!」
とりあえず私はニセ勇者一行の船に向かって移動した。