転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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最悪の目覚め、からのロモス到着で戦力を整えます!

「それでねーヒドイのよー!王様ったら3日も汚い独房にアタシたちをぶち込んだのよ!オフロにも入れなかったし、もう嫌!!」

 

「そりゃあ酷い!!お風呂は女の子の嗜みなのにね〜」

 

「わしらもあれを機に色々と反省しての。今ではあちこちで奉仕活動してるんじゃよ」

 

「そそ、さっきの宝を取って行ったやつも、魔王軍に金品が奪われないように俺たちが大事に大事に保管してたんだぜ?決して後で換金してやろーとか掻っ払ってやろうとかって気持ちは本当に、ホント。これっぽっちも思ってないんだぜ??」

 

「へー、ニセモノのくせにいい心がけじゃんかー。ヒック!これからも頑張んなよ!」

 

 私はなんだかんだニセ勇者たちと仲良くなってしまった。

 既にワインと思わしきものも一升瓶で飲み干し、気分はすっかり有頂天。

 飲んで騒いでの宴会会場となっていた。

 

「そうだまぞっほ!あんたアレやりなよ。ほらなんだっけ……アレよ!変な踊りよ!!変な踊り!!」

 

「わははは。よかろう、しかと目に焼きつけるが良い!!まぞっほ直伝の〜摩訶不思議な踊り〜!!」

 

「ギャハハハ!!サイコー!!」

 

「なんのーワハハ!!俺のグレイテストハンドヌークを見ろぉ!!」

 

「あんたそれただの空砲じゃんか!!」

 

「こうやんのか?」

 

「違う違う。こうやって力を込めてアバンスト()ーシュってね!!ヒック!」

 

「よーしでろりんストロッシュ!!どうだぁ?」

 

「きゃははは!合格よ合格!サナのしるしをあげるわー!」

 

「…………なんかサナのやつ随分馴染んでるな」

 

 ポップくんたちは部屋の隅で大人しく過ごしていた。

 人生で一番楽しいんじゃないかってくらい馬鹿騒ぎしてた私とは対照的にその目は冷め切ったものだった。

 

「あれじゃアバン先生も悲しむぜ」

 

 ダイまでいつにも増して切れ味抜群のやれやれセリフをかましていた。

 構うもんか。今日はとことん楽しもう。

 

「なによみんな。しょぼくれた顔しちゃってさー!!見てな私の得意技火吹き芸!」

 

 口元にメラ系の魔法を集めて酒に引火させて噴き出すというとっても危険な技だ。今思いついた。

 

「わーっすごいすごい!!」

 

「そろそろ部屋に戻ろうぜダイ」

 

 呆れた一同はしばらくすると部屋から出てしまった。

 私を最後に見たマァムの瞳が何やら憐れみめいた哀しみのものだったことだけは覚えている。

 

「ちょっとアンタの仲間行っちゃったわよ」

 

「なーに気にしない気にしない!明日は王様に会うのよ!今のうちにぱーっとやっときましょう!!」

 

「おーっ!!」

 

「いやー、サナさん。あんた若いのに大した飲みっぷりじゃよ!へろへろなんて見てみぃほれもうノビてしもうとるわい!」

 

 振り返ってみると既にへろへろが床に突っ伏していた。

 羽付きの兜も脱ぎ散らかしており、つるつるの禿頭が転がっていた。

 

「おやー?『返事がしない。ただのしかばねのようだ』」

 

「ギャハハ!!やだー!やめてよサナー!!流石に死んでないわよまだ!!」

 

「酒の中毒で死ぬなんて笑うに笑えねーぜ。勇者サナ様をみろ!!まだあと5杯はいけますよね?!」

 

「5の5乗で15000杯だっていけるわよ!!うえええ!!」

 

 こうして私はニセ勇者様御一行と呑んで歌ってのどんちゃん騒ぎだった。

 

 

 まさかそれが悪夢の始まりとなろうとはこの時は考えもしなかった。

 

 

 ちゅんちゅんと小鳥が鳴き喚くのがうるさくなってカーテンを閉めようと起き上がったその時、私は大きなベッドに入っていた。

 酔いもすっかり覚め切ってしまい、後には謎の吐き気と胸のムカムカが残っていた。

 あの楽しい気分が嘘みたいだ。

 鳥がやたらとやかましく聞こえる。

 

 ふと起き上がってみると私は完全に下着姿になっていることに気づいた。

 あれ、私服着て寝てたよね……??

 見ると私の服はその辺に乱雑に転がされてあった。

 おっかしいな、大暴れして脱いだのかな?

 それを取ろうとしたその時、となりでなにやら男のいびきがするのを感じて恐る恐る布団の中身を開けてみた。

 

「でっ……!!」

 

 そこにはでろりんが裸で眠りこけていた。

 何かの間違いだと思って私は布団を閉じ、目を閉じ、そしてもう一度布団と目を開けた。

 やはりそこにはでろりんの間抜けツラがあった。

 くっそー。パルプンテみたいにあと何度かしたらポップくんかダイに変わってるとかないかな〜。

 

 なんてバカなことやってると、とうとうでろりんも寝ぼけまなこを擦って目を覚まし始めた。

 

「あ」

 

「あ」

 

 側から見たら完全に修羅場だこれ。

 とりあえず私は足元に転がっていた瓶をでろりんに投げつけた。

 

「ま、待て!!ぐふ!違う俺は何もしていない!!」

 

「きゃー!!」

 

「ちょっとなんだい朝っぱらからそんな…………」

 

 そして最悪のタイミングで扉が開かれた。

 外か別室で寝ていたのだろうか、ずるぼんが私たちを見て愕然としていた。

 

「で、でろりん――あんたそんなシュミがあったの!?」

 

「違う誤解だ!!みんなが酔っ払ってぶっ倒れちまったあと、俺はこいつを布団に運んでだな……」

 

「サイテー!!フケツ!!」

 

 どうやら彼はロリコン認定をされてしまったようだ。

 なんかその気はなかったらしいのにいたたまれない。

 でもその割になぜ全裸だったのか。

 

「その全裸というのも甚だ心外な誤解だ、見ろ!!ちゃんとステテコパンツを履いておるだろうが!!」

 

「いやーん!なんてモン見せてんのよ!!」

 

 私たち女2人にひっぱたかれたでろりんが宙を舞った。

 初っ端から目覚めは最悪だった。

 

「えーと……サナ、ゆうべはお楽しみでしたね……?」

 

「違う!!いや違わないけど違う!!」

 

 酔ってからの事は全く覚えてないのだが、どうやら私は火を吹いたり窓ガラスを割ったり、深夜に大声で鳴いてみたり色々やらかしていたようだ。

 もちろんガラスは弁償したし主人にも謝った。

 とんでもないお酒だまったく。

 

「い、いやぁあの大変言いづらいことなんじゃが……」

 

 まぞっほが申し訳なさそうに小声で言った。

 

「これ、チェリージュースじゃよ」

 

「ずこーー」

 

 どうやらあの瓶の中にあったのは酒ではなくさくらんぼのジュースだったようだ。

 じゃ私はすっかり酔っ払った気になっていただけ!?!

 余計に恥ずかしい!!

 

「いやーサナって結構ハメ外すタイプなんだなー」

 

「…………面目ない」

 

 家族のダイに言われて私はどんどん小さくなっていった。

 コップより小さくなったと思う。

 穴があったら入りたい……!!

 

 とまぁそんな最悪な目覚めを終え、私たちはようやくロモスの王様のところに向かった。

 

「おおそなたはいつぞやの勇者サナではないか!いやーよくぞ城へ参ってくれた!」

 

「王様。私たちは魔王軍を倒し、人々の平和を守るためにここへやってきました。どうぞ、なんなりとお使いください」

 

「いやいや流石じゃ。既に魔王軍の噂を聞きつけておったか。いかにも。我がロモス王国は度々魔王軍の侵攻に苦しんでおった。……じゃがここ最近になってからじゃろうか、連中が王国から引いて行ったのを確認したのだよ」

 

「それは一体……?」

 

「理由は分からんが、わしらを襲っていた魔獣の群れが飛び立っていってしまってな。その先にはレオナ姫が座すパプニカの王国があったはずじゃ。そこでわしらはパプニカ王国に援軍を遣わそうと思っておった次第じゃよ」

 

(魔獣の群れ……百獣魔団か。ロモス侵攻を途中で断念したということは、上から何らかの指示があったということか……?まさか先にパプニカを墜とすつもりか!?)

 

「王様。よろしければ私どももその戦線に加えていただけないでしょうか?」

 

「うむ。断る理由がどこにあろうか!むしろこちらからお願いするところじゃったよ」

 

 しかしそれを聞いたニセ勇者一行は露骨に怯えた表情をしていた。

 

「お、王様。私たちはおいとましても……」

 

「金品もこうして献上いたしますから……」

 

「何言ってんのよ。アンタたちも勇者でしょ?勇者は1人でも多い方がいいわ。一緒に行くわよ」

 

「げーっ!!」

 

 こうして私たちとでろりんの一行はパプニカ王国を目指すことになった。

 長く険しい旅になることが予想されるのでと王様が新しい装備品を門出として贈呈してくださった。

 これでみんなデルムリン編からパプニカ王国編の服となった。

 マァムもあの見慣れた桃色の服装になり、いつになく心躍っているようだった。

 

「サナ様にもぴったりのものがございますよ」

 

「えーっ、私まで良いのに」

 

「そう仰らず。まさに勇者に相応しい鎧でございますから」

 

 私が見せられたのは純金で出来た黄金の鎧だった。

 ピッカピカに磨き上げられたそれは眩い光を放っていた。

 

「こ、これは――」

 

「はい。我がロモス王国に代々伝わる鎧――ロモスの鎧でございます」

 

「多少大きいですが、着ているうちに慣れてきますよ。さっ、どうぞ」

 

 とりあえず着てはみたが、やはり子供の私には少しばかり不恰好でやや重く、すばやさは落ちたと思う。

 兵士たちはお似合いですよと手を叩いたものの私は複雑な表情にならざるを得なかった。

 

「そういえばこの国には覇者の兜に準ずる剣のようなものがありませんでしたっけ?」

 

「は、はい。確かに我が国には覇者の剣がありますが……」

 

「それちょっと貸してくださらないかしら。ここんところ激しい大戦続きで鋼の剣もこの通りボロボロなのよ」

 

 私は腰に携えた剣を見せてみた。

 ハドラー、クロコダインと名だたる強敵との連戦で鋼の剣はすっかりくたびれてしまっていた。

 あと何かしらの衝撃が加わってしまえばパキッと容易に砕け散るだろう。

 防具に関しては最悪回復呪文で補えばいいから今の私が欲しいのは武器だ。

 

「しかしあれは国宝でございます故、王様の許可を取らねばなりません」

 

「ちょっと私からお願いしてみるわ」

 

 きっと快く承諾してくれるだろう。

 いつまでも城の隅で埃を被っているより戦士に使ってもらった方が武器にとっても良いはず。

 その旨を説明すると王様は予想通り渡してくれた。

 これで覇者の冠と覇者の剣、二つのオリハルコン武具が揃ったことになる。

 なに。これからの戦いを思えばむしろ今から手に入れていても早すぎないくらいだ。

 

「これが覇者の剣……!」

 

 国宝とされるだけあってデザイン、切れ味共に素晴らしい一品だった。

 原作では武術大会の景品にされ、そこからザムザの手持ちになって巡り巡ってそれがハドラーの武器となるのだが、今回は勇者側の手持ちだ。

 そうだ。ダイにも覇者の冠を渡しておこう。

 

「ルーラ!」

 

 旅立ち前仲間に事情を説明して私はデルムリン島へルーラした。

 やはり1人だとルーラのコントロールもうまくいくようで、あっという間もなく私はデルムリン島に着いた。

 そんなに時間は経ってないが懐かしの故郷だ。

 

「じいちゃーん!じいちゃーん!覇者の冠持ってくよー?いい?」

 

 しかしじいちゃんからの返事はなかった。

 それどころか家にもいなかった。

 

「留守かな……?」

 

 モンスターたちは出迎えてくれたので、じいちゃんだけが居なかったようだ。

 そのうち帰ってくるだろうと思い、私はそこまで気に留めなかった。

 

 この時私があのことに気づいていれば、後の事件が起こらなかったのだが、そんなこと知る由もなかった……。

 

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