転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
甲板の上では緑服の魔法使いまぞっほが品のない笑い方をしていた。
「あの島がモンスターの生き残りがうじゃうじゃといるデルムリン島じゃ」
それを聞いた隣のピンク色の戦士然とした男、へろへろが肩を鳴らしていた。
「まぁたひと暴れしてやるか」
「ちょっと待ちなよ」
そこに割り込んだのが勇者パーティーの中で紅一点の僧侶、ずるぼんだった。
「今回の旅はモンスター退治が目当てじゃないんだ。
そして堂々と腕組みなんかしてモロ勇者の格好をしちゃってるのがリーダーのでろりんだ。
「世界に1匹しかいない幻の珍獣……!」
「ゴールデンメタルスライムか……!」
「1匹で百万の富に匹敵するという……!」
まぞっほとへろへろも涎を垂らしながら品のないニヤつきかたをしていた。
こいつらもなぁ……
まぁあとで良いやつになるんだけどね。
けど今はまだ小悪党のままらしいので、早々にご退場願おうか。
船のマストの上からそれを眺めていた私が勢いよく彼らの背後に降り立った。
「だっ、誰だ!!」
その音に驚き戸惑っていたが、リーダーのでろりんだけが振り返って剣を取った。
「やっほ〜みなさん。私サナ。あの島の住人なんだけど、もしかして何かお探しものでも??」
突然の出来事に一行は驚き戸惑うばかりだった。
口から飛び出しそうになった魂を押し込めてへろへろが言った。
「こ、こいつどうやって船の上に……!」
「い、いやそんなことより……」
焦りと驚きで乱れてしまった髪を整えながらずるぼんがゆっくりと迫ってきた。
「お嬢ちゃん、あの島の子なのね。あの島はモンスターの島でしょ? あたしたちモンスターがいじめられないように見回っているの。ねぇ、お友達を紹介してくれる?」
彼女はいかにも優しいお姉さん風を装って話しかけてきた。
ちゃっかり子供に身長を合わせてしゃがみ込んでくるあたり芸が細かい。
こんな悪事に手を染める前は中々に良い女だったのかもしれない思わざるを得ない。
あと近くで見ると地味に美人だなおい。
整った顔立ちに化粧が乗っていて見る人が振り返る良い美人だ。
これであの中身なんだから世の中ってのはなぁ……
「良いですけど……その前にお姉さんたちにひとつ質問をしてもいいですか?」
「ええもちろん」
「お姉さんたちは本当に勇者さまとその仲間たちなんですよね?」
勇者という言葉に反応したのかでろりんが真っ先に乗り出してきた。
「当然だろ。俺こそが真の勇者でろりん様だ。よぉく覚えとけガキ……いやお嬢ちゃん」
いや、アウトすぎんだろ。
もーーちょっといい誤魔化し方習わなかったんか??
薄ら笑いを浮かべて硬直する一行だったが、私がじっと曇りなきまなこで見つめていると段々と冷や汗をかいていった。
「な、なんだよ……」
「じゃあ勇者さまたちは幻の珍獣ゴールデンメタルスライムなんかを見つけて売り飛ばしたり、罪なきモンスターたちを邪魔だからと倒したりして王様に報告したりしませんね??」
私があまりにも火の玉ストレートなど直球質問をぶち投げたことで全員が驚愕の表情を浮かべて固まった。
「こ、こいつなんで俺たちの作戦をばっ――」
「お、おほほほや、や、や、やぁねぇそんなことするわけないでしょ〜??私たち勇者なのよ〜!!そういうワル〜い人たちから島を守るのが勇者の役目なのよ〜おほ、おほほほ……」
うっかり口を滑らせそうになるへろへろの口を塞いでずるぼんが服より青ざめながら言った。
それに釣られて全員がいびつなスマイルを浮かべていった。
「へー」
彼らはだらだらと大粒の汗を垂れ流しながら心臓の音をバクバクいわせていた。
嘘がバレやしないかとヒヤヒヤなのだろう。
……っとにこいつらは……
「じゃあ分かりました。島に案内してあげます」
それを聞いて彼らはほっと安堵し、私が背を向けた直後に息が荒くなった。
やはり何か企んでいるな。まそうそう大人しくしてくれるわけもないか。
「
後ろからずるぼんの甲高い声が響いてきた。
しかしその呪文が私に届くことはなく、光の盾に反射された催眠呪文はそのまんまずるぼんにかかってしまった。
「はが……ぐーぐー」
「ず、ずるぼんっ!! お、おのれ……!!」
グースカと眠りに落ちた姫を抱えてでろりんが睨んできた。
「ま、まさかあれは……魔法反射呪文マホカンタ……!? ば、バカな!!あんな小娘にそんな高度な魔法が使えるわけが……!!」
その中でただひとり、魔法に精通するまぞっほのみが現状を把握して恐れ慄いていた。
なにせ生粋の魔法使いである彼からすれば魔法反射の呪文なんて天敵みたいなものなのだから。
「くっ……だったらこの剣で切り刻んでくれる! へろへろ!!」
「おうっ合点だ!!」
こうして勇者と戦士の二人が私を挟み撃ちする形となり、攻撃が始まっていった。
「くたばれ魔物め!!」
「でやーっ!!」
彼らは子供である私にも容赦なく剣を振るっていった。
おっとどうやら私は魔物であると思われてるらしい。
心外だな。こんな可愛らしい魔物がいるわけないだろうに。
勢いよく振りかざした剣は私の体に触れた瞬間には弾き返され、甲板に転がっていった。
「な、なんだと!?」
「まるで岩でも切ってるみたいだぜ……!!」
竜闘気で瞬間的に皮膚の表面を覆い尽くした私に彼ら程度の打撃など蚊に刺された程度にもならなかった。
まだ転んだ方が痛いど。
「ええいこしゃくな――バイキルト!!」
こちらへの呪文も攻撃も通じないとみたまぞっほが即座に味方二人に攻撃力増加呪文を唱えた。
即座に対応を切り替えるところなんかみるとやっぱり腐ってもマトリフさんの修行仲間だっただけはあるなと思ってしまう。
そういえばニセ勇者一行の中でこの人だけなんだよな
後にポップくんを奮い立たせるの。
「ククク……これで貴様はバラバラだ……今度こそ覚悟しろモンスター!!」
バイキルトをもらって得意満面になっているでろりんと、ただでさえ太い腕筋を更に膨張させたへろへろのダブルアタックが始まった。
いかにこいつらが弱いとはいえ、流石にバイキルト2連打撃はきついか。
よーしちょっとだけ本気出しちゃって……と
「な、なんだあの光は!!」
私はほんの少しだけ竜闘気を開放し、額から紋章を輝かせてみせた。
なお怯まず果敢に向かってくるでろりんだったが、彼の剣は私の小さい手のひらで止められてしまい、そこから動けなくなってしまっていた。
「あ、あれ??お、おかしいな……お、おいまぞっほ!!本当にバイキルトかかってんだろうな?!」
「あ……ああ、そうじゃそうじゃとも……」
「だ、だったらなんでこんなチビに押し返されてるんだ!!」
右手で剣を受け止め、もう片方の手でへろへろの方を受け止めた。
その余りの異質な光景に彼らも次第に戦力差を理解し、怯えていった。
「よいしょ」
両手に力を込めて握ると剣が砕け散り、頼みの綱の彼らの武器が消失した。
「ひ、ひぃええええええっ!!!」
起きてる男性陣たちは悲鳴を上げた。
完全に打つ手なしと見たのだろう。
そんな彼らに私は更なる力の差を見せつけることにした。
「そういやまだ試し切れてなかったんだよな〜紋章状態からの呪文。さっそく実験台になってよ!!」
「じ、実験……??!」
スライム並みに青ざめて色白くなっていく彼らに最早かつての威厳や凄みはどこにもない。
少々やり過ぎになり可哀想だが仕方ない。
世界のバランスを崩すものが現れた時、それを征伐するのが竜の騎士の仕事なのだ。
「