転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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覇者の冠、授けられて……

 今日はみなさん。私サナ。

 デルムリン島に氷河期がやってきました。

 

 いやおかしいでしょ。おかしいでしょこれ。

 

 ちょっと本気だしたらコレだよ??

 ちょっとデカめの氷の塊出てくるかな〜て思って軽々しく放ったら止まらなくなってニセ勇者一行はおろか船ごと凍りついちゃったよ。

 

 何『今のはマヒャデドスでは無い……ヒャドだ』なの??

 何一人で先んじてバーン様ごっこやってんの??

 バカなの??

 

 カッチンカッチンの氷塊になった船を少しづつ壊さないように炙っていき、今度は地道に溶かす作業をやっていた。

 ニセ勇者一行はアホ面で固まったままだ。

 そういやレオナ姫もフレイザードに凍り漬けにされてたっけ。

 にしても紋章の力パねぇ〜〜

 この威力を見るに2倍とかそんな生優しいバフじゃないね。10倍とかいってんじゃないの?

 

 一通り炙り尽くしてようやく溶け始めた後、私は天候呪文ラナリオンを使って真夏の太陽を呼び起こした。

 原作だと雨雲を呼ぶのに使ってたけど、どうやらこのラナ系呪文には天候そのものを操る力があるみたいだ。

 常夏でも極寒でも思うがまま。

 

 ふと私の頭にオーザムでこれやったら溶けて落ちちゃうんじゃないかなという邪悪すぎる考えがよぎったのでこれを諫めた。

 

 やがて島と彼らの解凍作業も終わり、私は彼らを縛って島に連行した。

 

「なぁんだ。本物の勇者さまじゃなかったのかぁ〜」

 

 ダイくんが大層残念そうにため息をついた。

 

 ああごめんよ夢を壊すつもりはなかったんだけど……

 今現在勇者って呼べる人あの人以外いないから……

 それにこの世界ではキミこそ勇者だ。

 

「ヤレヤレ、一体全体どこからそんな噂話が現れおったんじゃろう……」

 

「ピィー……」

 

 ブラスじいちゃんとゴメちゃんも悲しげだ。

 神の涙の伝承が歪んだ形で伝わった結果だろう。

 ニセ勇者一行は申し訳なさそうに微笑んだ。

 

「い、いやぁ〜それにしても素晴らしい呪文の数々でしたなぁ〜まだこんなに小さいながらも……」

 

「そ、そうですわ!!私なんかもう足元にも及ばないほど……」

 

「いよっ、天下一!!」

 

「世紀の天才魔法使いだああっ!!」

 

 縛られたまま彼らは器用にも足で拍手してこちらに微笑みかけてきた。

 

 なるほど。今度はヨイショして下手に出ようという算段か。

 ほんっとにも〜この人たちは……

 

「スゴイんだな〜サナの魔法。俺もちょっとだけ魔法使えるようになりたくなってきたよ」

 

 そしてこんなところに思わぬ余波が。

 それに関してはレオナ姫がやってきてからの事だったが、一足先になってしまった。

 

 まぁダイくんが真に目覚める力は魔法ではなく剣技だし、あとはライデインとアバンストラッシュさえ覚えられれば大丈夫だろう。

 

「い、いやそんなこともないよ……それじゃ勇者一行さん。もし本当に反省してるんだったら私たちをロモスの王国に連れてってくれる?それと王様の前でこれまでの罪を告白して」

 

「げ〜っ!!!」

 

 でろりんたちは明らかにイヤそうな顔を浮かべた。

 今回の件に関しては幸いまだゴメちゃんにも魔物にも手を付けてなかったとしても、これまでのことはそうもいかないだろう。

 

 何せこいつら放置してたらまた悪さしだすかもしれない。

 そういう意味も込めてしばらくロモス領内では大人しく真面目に慈善活動していてもらおう。

 

「くっ、だ誰がそんな……」

 

 中でも最後までリーダーのでろりんは否定気味だったが、私が片手にヒャド系呪文のオーラを込めると「わかりました……」と言って小さくなっていった。わかりやすいやつめ。

 

 かくして襲われそうになった島民代表としてブラスじいちゃんとゴメちゃん、そしてダイくんと私が船に乗り込みロモス王国に向かって行った。

 

 じいちゃんからはまずあの島では魔王の意志から解き放たれた魔物たちが平和に暮らしているから、特別な用事や王様の許可がない限りそっとしておいてほしいという旨を伝えてもらった。

 

 ロモス国王シナナは小太りの丸顔を優しく微笑ませて言った。

 

「あいわかった。あの島に近付こうとする不届者にはわしが厳しく罰を与えよう。……それにしても勇者――いや偽りの勇者でろりんよ。わしは本当に情けない。信じて送り出したそなたらがこんなにも悪事を重ねていただなんて……」

 

「え、えへへ……い、いや〜面目ない……」

 

 奪った金品を軒並み没収されてしまい、でろりんたちは素っ裸同然の素寒貧状態となってしまっていた。

 まさか防具や武器まで盗品だったなんて……こいつら本当に勇者か?

 

 あ、いや勇者だわ。ゲームプレイヤーだけど。

 

 各地で勇者を自称して行ってきた悪行の数々が叩けば出てくる埃のように次々と白日の元に晒され、彼らはしばらく牢屋に投獄の後王国領での奉仕活動を義務付けられた。

 

「いやー。それと引き換えサナよ。そなたは幼い身でありながら実に多彩な魔法を使いこなし、自分たちの仲間を守らんとよくぞ立ち上がった!そなたこそまことの勇者である!!」

 

 そうしてロモス王は兵士を呼び寄せ、私の前に王国に代々伝わる秘宝『覇者の冠』を手渡してくれた。

 

 あれ…………これなんか私が勇者になる流れになってない??

 

 まずいまずい。

 

「い、いえそんな私なんかがこんな貴重なお宝を……」

 

「何を言うか。そなたは島のみんなを救うために勇気を出して戦った紛れもない勇者じゃ。これはわしの国で後生大事に抱えておるより勇者たるそなたが持つべき代物じゃよ」

 

 王様がそう言うと私の頭にはオリハルコン製の美しい兜――覇者の冠が授けられた。

 城の一同が拍手し、でろりんとダイくんが物欲しそうな目でこちらを見てきた。

 何この天国と地獄。右手に天使左手に悪魔じゃん。

 

「いいなぁ〜勇者だなんて。やっぱりサナはすげぇや……」

 

「おぉ……サナよなんと立派になって……じゃ、じゃがお前たち二人は勇者様をお助けする魔法使いになるんじゃぞ。よいな?」

 

 するとダイくんがとてもイヤそうな顔を浮かべた。

 

「げーっ。じいちゃんこんな時までまだ言ってら」

 

「バカモン!!わしの気持ちが分からんかぁ!」

 

 ブラスじいちゃんが怒ってダイくんの頭をかち割ると、タンコブを浮かべたダイくんにみんなが笑って終わりといういかにもベタな展開でこの騒動は幕を閉じた。

 

 なにこの昭和オチ。えこんなんで良いのかダイ大。

 なんかこの先色々やばそうな気がしたけど……

 

「ま、いっか」

 

 私も深く考えることは辞めにした。

 

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