ガンダムSEED 崩壊していた世界   作:くまたいよう

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改編の賜物だがな回。


巨人達の虚構

ヤキン・ドゥーエの総司令室。

 

パトリック・ザラは再度の地球軍の侵攻が始まるのを敢えて待った。仕掛けてから分散されては不利だ。ここは月からの援軍を確認してジェネシスを再度使うのが良いだろう。

 

(・・・・シーゲル、お前は本当に何を考えていたのだ?)

 

仮にも今のプラント・・・・只、自分達が治めるにしてはアスランのような者には受け入れられない形で形にするまでの苦楽を共にした者とのやり取りをアイシングで目を冷やして落ち着きながら思い返していた。

 

 

 

・・・・・・・・そう、あれは。

 

 

 

「早くも道の行き詰まった我々のどこが新しい種なのだ!婚姻統制を敷いても出生率は下がる一方なのだぞ!」

 

「それは我等の叡知が必ず解決します」

 

「パトリック!命は生まれでるものだ!」

 

「・・・・シーゲル、ならばどうするっ?」

 

「・・・・っ」

 

雰囲気も口調も変わったパトリックに息を呑んだ。

 

「お前が言うように、ナチュラルと交わりながらの路線を取れと?・・・・私が言えた事ではないが、お前が『コペルニクスとエイプリル・フール』でした事のせいで、ナチュラル側がどれだけ我等を憎んでいるか考えに入れているか?敢えて言うが、アレではユニウス7に核を撃ち込んだような者達やそれに賛同した者達が高笑いしているであろうな」

 

「そ、それはだな・・・・」

 

パトリックとしては、そこでユニウス7に関して『ある部分』を出さない事があこぎであるが、私心を隠せなくなるからこその言い方だ。

 

「そもそも、何故我等が宇宙にいるか?考えてくれ・・・・」

 

そう、ジョージ・グレンの残したデータで初期に産み出されたコーディネーター達が何をもたらしたのか?格差社会等では済まされない事態だった。その果てにプラントに移ったが・・・・そこからが苦難の始まりである・・・・尤も、ジョージ・グレンの言葉に『従わなかった側』の報いでもある。

 

「次に?何故、我々はナチュラルと共存するのだ?例えば初期のように、ナチュラルの学校のクラスにコーディネーターが数人混じり、その中で賞等を独占させて優位性を示す事をまたやりたいのか?」

 

「そ、それは・・・・」

 

「違うのなら、他の例でナチュラルが楽をする為に度々手を貸しながら暮らせと?それで上手くやっていた者は先程言ったエイプリルフールやオーブの件で私達に憎悪を向けているだろうな」

 

シーゲルは、後に思ってしまった。

 

この時に、マルキオ導師が送って来たキラ・ヤマトがいなかったじきだったのが幸いだったと・・・・それ無しにしても黄道同盟の一角を担った巨人同士だからこそ、特に自分達の虚構に関しては勝てない類いの戦いでは一層に成す術は無い。

 

「それをどうするかが問題だが、考案があるなら聞かせてくれないか?・・・・ふん、考えてないという顔だな、終戦後に有耶無耶にしながら上から目線で押さえ付けるのが精々かな?それには尚更勝たねばならん・・・・そうだ。戦争は勝って終わらねば意味がなかろう・・・・違うか?」

 

先程までに奪取したXナンバーの戦闘を写していた映像を変える。ヘリオポリスのものだ・・・・崩壊した大地を見せて、プラントがこうなっても否定するかと無言で訴えていた。

 

「そもそも貴様の言うのは直ぐに出来ても共存というより支配や管理ですらない流れになるではないか?出生率問題が解決するまでの凌ぎの材料が精々であろう、貴様はそう考えてるような側の把握はしているか?」

 

反論が出来ない、パトリックの言う事は事実でしかない・・・・差別した側がされた側に対する誠意等を早急に期待が出来るか? 

 

「そして、命は生まれでるものだと言ったが、我等は自然に生まれでた種ではないのだぞ、何故かジョージ・グレンが混乱を招くような形で残した技術を使って生み出された・・・・悪く言えば改造人間だ。しかも話題に出た問題を抱えた欠陥品だ!だからこそ、ブルーコスモスが台頭できたのであろう、ナチュラルに回帰するべきと言うのが貴様の言い分だが?問題はそうする過程で何かの不備はあるのか?それらをブルーコスモスの最右翼に悟られたらどうなるか?」

 

「む、ぐっ・・・・」

 

ジョージ・グレンと面識がある自分達では暗黙内に禁忌事項とすべき内容にまで踏み込む盟友にシーゲルは成す術が無い・・・・ジョージ・グレンの『下準備』のせいだとは知るよしもないのだが。

 

「それに、例えば予め従来の病に掛からぬように調整された身体に自信を持つのは危険だぞ、プラント内で我等ですら掛かるような病が発生し、伝染したらバイオハザードどころではない、そんな危険が否定出来ない中にナチュラルを招き入れろと?その前に『プラントの中』をナチュラルに知られてみろ、搾取に苦しんで反旗を翻したのが真っ赤な嘘とされるだろう」

 

「・・・・」

 

「良いか、改めて言うが我等は生まれでたものではなく、不自然に生まれだされた者達だ。悪い意味でだが間違いなく『新たな種』だ。それが生き長らえる為には事実を無視してはならん!何より貴様の言う理想論にはな?貴様や私は特に邪魔だ!それを考えに入れてくれ」

 

シーゲルは退室した。言い過ぎたかと思ったがまだ全然言い足りない・・・・この先、自分は例えば話に聞くエザリアの息子のような激情的な者に聞かせたら激昂して銃で撃たれかねないような事を徐々に明かさなければならないのだと暗鬱としていた・・・・尤も?

 

『一番理知的に数えられると信じていた者を見落としていたのだが』

 

 

・・・・・・・・。

 

 

アイシングを終えて、呼吸を整えた。

 

流石に思い出すだけで疲弊するような事ばかりだが、今は当面の戦いと直後の事だ。

 

(さて、この戦いの後をどうするか・・・・『タッド・エルスマン』なら、息子のザフト入りを反対していた男だから、プラントの風潮を考慮した場合は、過去より未来を考える段階で私の後を任せるには良いかもしれんが・・・・先ずは無事に目の前の危機を乗り越える事からだな、そもそも迂闊に『過去』と言い出させてはならん、場合によっては最悪な禁句になる)

 

パトリックの願いは虚しいものだった。タッドの息子であるディアッカはMIAとなっているがアスラン同様にラクスの陣営に参加していた事を知らないのだから、そして『過去』という単語を迂闊に使わせてはならない危惧からの考案も既に崩れた域にあるのだ。




パトリックの言い分が抜け所だらけなのは後への布石。
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