「くそっ!くそぉぉっ!!」
プレアは涙を流しながらXアストレイを全力で宙域から離脱させていた。
カナード・パルスが出生からの憎しみに囚われていたして止めようとしたのは決して間違ってはいない。しかし、カナードを止めてどうするのだ?
『カナードが追っている者達を逃がすのか?』
確実にそうなる。
『ジョージから聞いた事』のように、肝心な事を把握していない戦いがもたらす結果としては有りがちな事だ。
思考を遮るように追撃と待ち受けの機体が接近して来た。
ジン、ダガーの初期型を多少弄ったものばかりだ・・・・恐らく、鹵獲機を寄せ集めた混成部隊だが、それくらいは敵では無い・・・・それはそうだろう、自分はそういう力を持つ者を元にしているし、乗っているのは核動力炉を使っている新型・・・・そもそもにして、これをどうしようとしていたのか。
ドラグーンで次々と撃破するけど、これを使ってどうするのだ?そもそも、これは本来は?
(わ、わかるけど・・・・けど・・・・仕方ないじゃないか!)
・・・・・・・・。
「ひどい動きね・・・・キャプテン?逆効果だったんじゃない?ロウでさえ不安になってるわ」
「いきなり突き付けられたよりはマシだ」
プロフェッサーは私をジト目で睨みつつも理解はしているな、そう・・・・これが答えだ。先程問い掛けた事・・・・乱暴になっているからこそ、より正解に近い・・・・ユニウス7に核が撃ち込まれた時、戦力図を考えると、メビウス一機が抜け出すのも不可能だった・・・・防衛を敷いている戦いをやるだけでそれが頭に過るのだろうな。
カナード君の件で敵に語りかけるような事をやっていたから、想像も出来るのだろうかな?今頃はキラ君やアスラン君もザフト兵士の誰かから聞かされたかもしれんな。
ユニウス7が撃たれたのは・・・・撃たれたのが核だった事を除けば?
当時のプラント側の・・・・。
『陰謀と自作自演の末の結果だと』
・・・・・・・・。
『君は失敗作ではない』
「・・・・」
本来なら戦場にいるハズなのに母艦に待機しているカナード・パルスは自分の『今』を決定付けた一件を思い返していた。
元々スーパー・コーディネーターを造る計画において基準を満たせなかったからと捨てられた自分が失敗作と罵られながらの日々を送った果てに完成されたキラ・ヤマトを倒す事に執着したのだが?
『完成手前の試作品だ』
そう、だからこそ『ユーレン・ヒビキ』は自分の妻の中に宿った胎児の息子の方をカプセルの中で育てて完成品とした。
『確信を持てたから』
事実はどうかは知らない、だが・・・・仮に?仮にだが、ユーレンの意図が?
『自分の息子を唯一のスーパー・コーディネーターとする事なら』?
更に言えば・・・・ユーレン・ヒビキが『生きている』としたら?
誘導されたような流れにせよ、カナードはある意味で自分の執着を捨てられた。
(滑稽だよ、今頃何も知らねばだがキラ・ヤマトは?父が、こんな時の為に自分に力を与えてくれたと思っていそうだ・・・・いや、それは本人には間違いでは無いのかもな、そう思いでもしないとやってられん・・・・それから、あのプレアだったか?奴にしても考えているのか、俺達を生み出した奴等が『今何をしているのか考えたりはしないのか?』・・・・なのに、戦うだけでどうするんだ?いや、待て?俺がユーラシアにいた関連すら考えていないのではないか?まあ、良いかな・・・・キラ・ヤマトが例えば生きていても戦えなくなるだけでも有益だ)
・・・・・・・・。
一旦引いた連合とザフトが再び開戦するのが間も無くの時、アスランは必死に状況を整理しつつ打開策を練る為に思考していた途中で父と対面した時を思い返していた。父と対面した時を思い返していた。あの時に、自分が父を力づくで止めようとしたのは間違いだったのかもしれない疑念が再発していたのだ。
・・・・そう、一人で父に会いに行った時。
・・・・・・・・。
「なる程、戦火が広まるのを憂いたお前は?フリーダムとジャスティスの話題を二の次にしてまで、私にこの戦いの帰路をどう考えているのかを問いに来た・・・・そう言うワケだな?」
「は、はいっ!」
「・・・・どこまで情けない男だお前は!?」
「っ!?」
「そのようなものは、有利な条件で次の戦いが起きないように停戦か終戦をする!それ以外に何がある!?」
「し、しかし・・・・」
「しかし?何だと言うのだ?」
「・・・・」
「沈黙すると言う事は、戦争の惨状を見てきて戦いたくはなくなった。とにかく停戦をして欲しい!そういうレベルか?・・・・ならば、相手はどこにいる?」
「は?」
「相手だ。戦争を止めるなら停戦なり終戦なり条約を結ぶ相手が必要だろ、でなければ?戦場で撃ち合ってる最中か手前の状況で、いきなり武器を捨てた側が一方的に撃たれるだけだ。まあ、例えばジャスティスに乗ったお前がいきなり戦場で機体の武装を捨て、そういう事になっても?逃げ延びるだけなら機体性能のお陰で可能だろうがな?いや、それはイージスに乗っていた時にも同じだったか?そんな感覚で言っているのではあるまいな?」
息子が痛すぎる点を次々と突かれて気圧されたのを見て取ったパトリックの追撃は止まらなかった。虚量と見られようと押し通す為の先手を取る事においては経験値が違いすぎるのだ。
「そう言えば?お前は私にフリーダムとジャスティスの事を聞かされた時には、こうも言ってたな?『何故、そのようなものを!?』と、相手に勝つだけではなく、優位に立つ為にも必要なのだよ・・・・力はな、だが我等で言えばMSを始めとした兵器を造った時点で越えてはならん一線を越えたのだ」
「な、何を言っているのです?」
アスランは聞いてはならない事を父から聞かされてしまった。それは・・・・。
キャスティング完了にはもう少し掛かる。