病院のベッドから起きていろんな人に根掘り葉掘り聞かれてはや数日。ようやく自由に動ける。まあ定期検査やら色々あるし、基本的に対策課に入る事が確定してしまったので本当に自由か聞かれたら困るがそこは気分の問題だと思う。
「九十九君?起きてる?」
そう言って入って来たのは頻繁にお見舞いに来てくれる望月さんだ。
「この前の書類は私達の方で片付けられるみたいだからこっちでやっておくね。」
「何から何までありがとうございます。」
望月さんは俺に関わる事をサポートしてくれている。望月さんも自分の仕事があるのに、申し訳ない。
「すみません。本当は僕がやらないといけないのに。」
最初は自分でやるつもりの筈が気づけば対策課の方々がやってくれるという話になっていて正直仕事を増やしてしまって申し訳ない気持ちがある。
「今日は、緋薙さんが来る日ですよね?」
「その筈なんだけど・・・遅れてるのかな。」
聞いていた時間から少し経ってその人は来た。
「すみません。まだ時間は大丈夫でしょうか?」
「あ、大丈夫ですよ。緋薙さん。」
白い、綺麗な長髪のその人は俺を見ると少し微笑んだ。
「良かった。体調は問題無いようですね。」
「やっと安定してきたんですよ。」
「あはは、ご迷惑をお掛けしました。」
まあ、俺の体が面倒な所為で検査とかの時間がかなり長かったから本当に迷惑を掛けてしまった。給料が入ったらなんかお礼しないとなぁ。
「そういえば、一君は私の事を覚えていますか?」
緋薙さんがそう聞いてきたので少し考える。・・・駄目だ。思い出せない。
「すみません。覚えてないです。」
「そう、ですか。・・・では!改めて自己紹介をしましょう!私は
「なら僕も、九十九一です。こちらこそよろしくお願いします。」
「緋薙さんはとても強い人なんですよ。」
そうなのだろうか。第一印象は綺麗な人といった感じで荒事とは結び付きづらい。
「研究所の時も私達とは別行動だったけど緋薙さんのお陰でスムーズに制圧出来たんだよ。」
「そうなんですか。」
驚いて緋薙さんの方を見ると少し困った顔をして答えてくれた。
「私は少し腕が立つだけですから、そんなに凄い事でもないですよ。」
「緋薙さんはいつもそう言って、もう少し自信を持って下さい。」
どれくらい強いのだろうか。望月さんは話を盛る人ではないから少し気になる。
「今日は一君に伝えたい事があって来たんです。」
少し経ってから緋薙さんは真剣な雰囲気で切り出した。
「これを、受け取って下さい。」
緋薙さんから渡されたのは刀と拳銃だった。
「これは貴方のご両親の物です。本来ならもっと早く渡ししたかったのですが、遅れてしまって申し訳ありません。」
「これは、」
触れて、分かる。
両親の、二人の最期の気持ちが流れて来る。
「・・・よかった。父さんと母さんは、安心して、いったんだね。」
気づけば涙が頬を伝って落ちていて、声は震えていた。
自分の認識では両親との死別は二度目だからもう、大丈夫だと思っていたけれど。
「緋薙さん。ありがとう、ございます。」
体に引っ張られているのだろうか。
声の震えは止まらなくて、涙も止まらない。