なんか曇らせが沢山増えていて嬉しい。
もっと増えろ、増えろ。
只今初めて、ではないか。久しぶりの外出を満喫しております。
清水先生からたまには外へ行って見ないかと言われた時は出れるのか心配だったけどまさか出られるとは。意外と監視は緩い感じなのだろうか。
「すみません。この・・・トリプルアイスを全部バニラでお願いします。」
「畏まりました。少々お待ちください。」
食べ歩きってめっちゃ楽しいな。あ、ちなみにお金は清水先生から「本来君が受け取るべきモノだから遠慮なく使って来なさい。」とのお言葉と共に頂いているので問題無いと思いたい。・・・これ、綺麗なお金でいいんだよな。
「お待たせ致しました。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
このアイス美味い。ずっと研究所の中に居たから外の解放感が凄いんだよなぁ。
ん?あの人どうしたんだ?絡まれてる?
「ですから、結構です。」
「いや〜ちょっとだけでいいから付き合ってよ。お茶だけでもいいから、ね?」
わあ。あんなベタなのまだいたんか。女の人は待ち合わせでもしてるのかな。スーツ着てるから仕事中?ま、いいか。
「すいません。」
ザ・チャラ男って感じの人の肩を叩いて振り向かせる。
「ん?なに君?俺になんか用?」
「いえ、その人は僕の待ち合わせ相手なので離れてもらっていいですか?」
「まじ?相手いんのかよ。」
ぶつくさ言いながらあっさりと離れ人混みに消えて行くチャラ男に驚きつつも女性に声を掛ける。
「大丈夫でしたか?」
「いえ、ありがとうございます。しつこくて困っていた所だったので。」
なんだろうな、この人。目をあんまり合わせたくない。美人だからかなぁ。というかなんで俺の顔をずっと見るんです?
「・・・どうしました?」
「あ、すみません。少し、驚いてしまって。」
「?そうですか。」
あれか、俺が子供だからかな。
「あの、もしよかったらお礼を、」
「え、そこまでしていただく程では無いので大丈夫ですよ。」
「いえ、お願いします。」
ええ、なんでそんなに食い下がるのよ。
仕方ない。一旦食べ歩きは中断するか。
「ではあそこのカフェ行きませんか?」
「良いですね行きましょう。」
食欲には勝てないよね。
「さっきはありがとうございます。私は
「どうも。僕は・・・」
やべぇ、名前って言っていいのかな。
いやでもここで名前言わないのは変だよなぁ・・・どうにかなるか。
「僕は九十九一です。」
「!・・・珍しい、苗字ですね。」
「そうですね。僕も同じ苗字の人は見た事ないです。」
そこからは特に何もなく時間が来た。
「時間なので僕はここで帰りますね。」
「そう、ですか。私もそろそ同僚が来る筈なので一緒に出ましょう。」
やっぱ仕事の休憩時間とかだったんかな。なんか申し訳ないな。
「ありがとうございました。とても楽しかったです。」
「いえ、こちらこそ。」
多分会えないと思うけど、また会えたらいいな。
私の名前は
今日は如月さんに話しがあるので染谷さんと一緒に来て欲しいと言われ、時間より早くに来て染谷さんを待っていたんですが。
「ですから、結構です。」
「いや〜ちょっとだけでいいから付き合ってよ。お茶だけでもいいから、ね?」
いまでもこういう人は居るんですね。
対応に悩んでいた時に彼は来た。
160㎝程の黒髪の少年。やけに落ち着いて私に絡んできていた男性と話している彼に目を奪われた。
(
つい癖で使ってしまった読心だった。この最近忙しかったから気が緩んでいた。
本来見える筈の心、何を考え、何を思っているのかが見えなかった。
最初は何かの間違いかと思って彼の目をもう一度見た。目を合わせればより深く相手の心が見えるからだ。しかし、
(いくらやっても見えない。どうして?)
そこからはどうにか彼にお礼をしたいと言いカフェに入り、会話や食事で少しでも何か見えないかと考えていた私は、
(嘘だ。本当に、この子が?)
予想外の事実に困惑するしかなかった。彼・・・一君には何度か会った事がある。でも彼は報告書では研究所にいると書かれていたはず。なぜここに?そもそもどうして心が読めないのか。
考えたくない可能性が頭に浮かび上がる。今まで心が読めなかったのはなにかしらの対策を取っていた者と、一部の怪異だけだった。しかし、彼がなんらかの術式を使っているようには見えない。
(違う、それだけはありえない。)
彼に行われた実験を考えれば怪異になっていないとは言い切れない。無理矢理人体に概念付与をして、ただ怪異を殺すことに特化した人形を作る。そんな事をされた彼は本当に人のままなのだろうか?
そこからの会話はよく覚えていない。考えがまとまらず上手く受け答えができたかも分からない。
ここで彼を帰らせてもいいのだろうか。私が迷っている間に彼はいつのまにか人混みに消えていた。
「あれ、どうしたの瞳さん。」
「染谷さん。さっき・・・」
どうにか染谷さんにさっきの事を伝えると怪訝な顔をしていた。
「妙だな。読心はそう簡単に対策できるものじゃない・・・とりあえず、課長にもこの事は話して調べてもらってそれから考えよう。」
「はい。」
「あんまり気負い過ぎなくていいと思うよ。俺は。」
「分かってはいるんですけど。」
結局私はその日一日をもやもやとした状態で過ごす事になった。