ハイスクールD×D 転生者たちの宴   作:七忍ルキ

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原作前
始まる前のプロローグ


 気がついたら“ソコ”にいた。

 

「……へ?」

 

 ソコは見渡す限り真っ白で、空と地面の区別がつかない程広かった。建物や地面の凹凸すら無く、まるで空間に自分という存在が浮いているような錯覚を覚える。上を向いても下を向いても見える景色に変わりがないため、果たして真っ直ぐ立っているのか寝転んでいるのかすら曖昧になってきた。

 

「どこだ、ここ……」

 

 そう思わず呟いた瞬間、一つの光景を思い出した。

 

「ぁ、ぁああああああああああ!?」

 

 頭を抱えて叫ぶ。そうだ、なんでこんな大事なことを忘れていた。俺はそれが原因で死んだというのに(・・・・・・・・)

 あの日、あの時、俺は空間が砕ける様を見た。

 いつもどおりの学校からの帰り道。なんの変哲もない道の真ん中で突然空間が罅割れ、光を通さない闇の中に引きずり込まれたんだ。俺の他にも数人一緒に引きずり込まれていたが、おそらく皆死んでいるだろう。何せ、その闇の中に入った途端全身が凍って息もできなくなったのだから。

 そして俺は、そのまま死んだはずだった。

 

「い、生きてる? 生きてるのか?」

 

 そう言って俺はいつの間にか裸になっていた自分の体を抱きしめる。しかしそこに熱を感じることはできなかった。

 

「どうなって……」

 

 この現状に対する疑問を口にしようとしたその時、ただ真っ白だったこの場所に変化が生まれた。なんの前触れも無く新たに七つの黒い人型が現れたのだ。俺の前に一つ、俺の周辺に六つという立ち位置で。

 

「っ!?」

 

 驚いて硬直している俺を尻目に、前に現れた黒い人影は両手を広げて喋りだした。

 

「やあやあ諸君。私が神だ」

 

 その声はとても中性的で、男か女かの区別がつかなかった。

 そして言われた内容に対して、ふざけてんのか、と思わず叫ぼうとした。しかし俺の意に反して声は出せず、パクパクと口を開閉させているだけだった。

 

「ああ、今ごちゃごちゃ喋られたら面倒だからね。君たちには悪いけど、声が出せないようにさせてもらっているよ」

 

 そんな俺の様子を見たのか、目の前の自称神はそう言った。そして俺やほかの人型の顔を見渡すような仕草の後、頷いてからまた喋りだした。

 

「さて、君たちは死んだ。これは間違いない。間違いないが、実を言うと君たちがあの時死んでしまうのはこちらとしては実に都合が悪くてね。だから君たちの魂を回収させてもらった」

 

 理解が追いつかない。俺たちは死んだ。これはいい。いや良くないが、まあまだ理解できる。だが、都合が悪い、だと? 魂を回収?

 

「理解できない、といった顔だね。うん、こちらとしても理解できるように説明したいのだが、生憎と時間がないのだよ。そこで、だ」

 

 そこで自称神は一旦言葉を切り、こちらを見つめるような仕草をする。

 

「君たちはほかの人が黒い人影に見えているだろう。なのであえて私が言うが、君たちは皆都合の良いことに17歳。さらに、君たちくらいの年齢だと二次小説、といったジャンルはよく知っているはずだ」

 

 嫌な予感がする。二次小説だと? ああよく知ってるよ。というか言われてから考えてみれば、この状況はその二次小説では在り来りなプロローグだなぁ、おい。

 自称神は俺たちを見渡し、そして頷く。

 

「うん、皆知っているみたいだね。なら話がはやい。君たちはこれから転生してもらう。拒否権はないよ。転生先は教えられないが、皆同じところだ。もちろん、二次小説でお馴染みの漫画やアニメといったサブカルチャーを元にした世界に行ってもらうので安心するように」

 

 安心できるか! と叫びたかった。死ぬ瞬間を記憶しているが故に、これが夢なんかじゃないことを理解してしまっている。そのため、迂闊に戦いのある世界に転生させられてしまったらすぐに死ぬ自信があった。

 

「ああ、そうだ。向こうに行ってもすぐ死なれては私が困るのでね。ひとつだけ、所謂『特典』というやつをあげようじゃないか。とは言っても先程も言ったが時間がない。内容はこちらで勝手に決めさせてもらうので、生まれ変わってから確認してくれたまえ。無論、知らないものを押し付けるつもりはない。君たちの知識の中から選ぶことを約束しよう」

 

 不安しかなかった。自分で決めたものじゃなく、他人に決められた特典でがんばれというのか、この自称神は。

 

「それではお別れの時だ。せいぜい長生きしてくれたまえ」

 

 そう言って目の前の自称神は片手を振った。するとこれまで真っ白だった足元に黒い穴が出来、俺はそこに落ちていった。

 

「な、あああああああああああああああああああああああ!?」

 

 いつの間にか声が出せるようになっていた。しかしそれだけでは抵抗などできるはずもなく、ただ無為に叫ぶだけだった。そして全身を締め付けられるような痛みが俺を襲い、意識を失った。

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