ハイスクールD×D 転生者たちの宴   作:七忍ルキ

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いつの間にやらUA10000、お気に入り100突破してました。

ありがとうございます


予想外は連続する

 牢村と戦闘したり、東恩納が苦労人だと分かったり、赤月の禁手(バランス・ブレイカー)を見ることになったりした月曜日の夜から一日開けて、火曜日。俺は、朝のHR前の教室で間抜けにも口を大きく開いて呆然としていた。といっても、俺だけではない。ソレを目撃したほかの奴らも、それぞれの方法で驚愕を表していた。手に持っていたカバンを取り落とすもの、驚いて尻餅をつくもの、これは夢だと断じて机に突っ伏して現実逃避を図るもの……。ほんとに様々である。

 

「……ま、まさかイッセーのやつが、あのリアス・グレモリー先輩と一緒に登校してくるだと!?」

 

「駒王学園の二大お姉さまの片割れ、リアス・グレモリー先輩が、何故イッセーなんかと!」

 

 今現在窓際に張り付いて大声で叫んでいる松田と元浜の二人が言う通り、俺たちがこんなことになった原因はイッセーにある。それもこれも、変態やら何やらで悪名高いイッセーが、元浜が言ったように駒王学園の二大お姉さまの片割れとして大人気のリアス・グレモリー先輩と二人で一緒に登校してくる現場を目撃してしまったからだ。

 

 普段のイッセーの言動を知っている人からすると、これは天変地異の前触れか何かにしか思えない。エッチでスケベで変態で、何かあったら二言目にはすぐ「おっぱい」。そんなイッセーが、駒王学園でも有名なリアス・グレモリー先輩と並んで登校してきたのだ。正直、何か弱みでも握って無理やりやらせてるんじゃないか、とか思ってしまうのは仕方がないことだと思う。俺だって、この衝撃的な現場を見ることで原作のストーリーを少し思い出さなかったらきっとイッセーに静かに警察を勧めていたところだ。

 

 ―――そう、これは原作でもあった場面。しかし松田と元浜は教室ではなく、昇降口で騒いでいたような気がするのだが。まあ誤差だろう、多分。思い出した記憶では、確かこの日の放課後に木場が迎えに来るはずだ。つまり、

 

「(今日、か。あぁ、どうしよう。俺どこまで見られたっけ? 確か複写眼(アルファ・スティグマ)は発動した状態の五芒星は見られたよな。あとはなんだっけ……。ああ、あれから起こったことは知られててもおかしくはないか。なにせ悪魔だし。俺の知らない魔法とかで監視されてたって可能性だってあるし。てことは昨日の戦闘も見られてた、か?)」

 

 今後のことを考えて少し落ち着いた俺は、硬直したままだった体を動かして自分の席に座った。そして机に突っ伏して、思考を再開させる。

 

 知られてるという前提で行こう。なら、俺が説明を要求されるかもしれないのは、一.複写眼。二.魔力関係。三.あいつらとの関係性。ってところか? 他にもいろいろあるかもだけど、一先ずはこんなとこだろう。なら、どこまで話すべきか……。全部、ってのはナシだな。俺への対策なんか、魔法やら魔力やら使わないで物理的に攻撃するだけでいいんだし。いくら身体能力上がるとは言え、技術を持ったやつが襲いかかってきたら敵わないからなぁ……。

 そういう意味では、木場が一番やりにくい、かな。神器(セイクリッド・ギア)は複写眼じゃ見れないっぽいし。現に牢村の雪片弐型は何も見えなかったしな……。いやまあ、アレは完全機械っぽかったけども。決め付けるのは良くないかもしれないが、前にイッセーを視たときは左腕に何も見えなかったからな。おそらく神器は視ることができないんだろう。視えないからこそ、神器かどうかの区別はつくだろうが、それ以上は詳しいことはわからないと考えるべきだ。

 

 脱線したが、全部を話すというのは論外だろう。だか、かと言って全く話さない、というのもまた論外だ。それだと自分は怪しいです、って言いふらすようなものだ、と思う。ならばどこまで話すか、だけど……。複写眼に関しては、魔力やら何やらが見えると言っておけばいいだろう。構成式が分かるとかは、前世の記憶がなければわからないだろうことだからわからないで通せばいい。あいつらとの関係も、知らないで押し通せばいい。実際そこまで知ってるわけじゃないし、何より襲ってきたのは向こうだ。だから問題ない。

 問題は魔力関係だが……、どうするべきか。魔力量が小さい、というのは、まあ複写眼の関係でどうにか誤魔化すとしても、収束技術に関してどう言い訳したものか……。

 

 ……。

 …………お、そうだ。普通の一般人なら、魔力的なものがこの世界にあるって知ったら、どうにかして扱おうとするはずだ。幸い、俺が魔力収束を練習し始めたのは中学生からだ。厨二病をこじらせて、ないならほかから持って来ればいいじゃない的な考えに至ったってことにしよう。

 

「うん、名案じゃないだろうか」

 

 思い至った考えに、思わず自画自賛する。現代日本においてかなりの説得力を誇り、なおかつかなりの無茶が聞く言い訳だろう。厨二病、今まで忌避してきたけど、いい言葉に思えてきた。隠してきた理由についても、厨二病を卒業しようとした、の一言で説明できてしまう。完璧じゃないだろうか。素晴らしいぞ厨二病。

 

「ほらみろ! 竜灯だって賛成してくれたぞ! さあ俺たちをリアス先輩に紹介しろ!」

 

「そうだそうだ!」

 

「へ?」

 

 俺の名前が出たことで、俺の意識は現実へと戻ってくる。というか美少女を紹介? イッセーが? なんでまたそんな話になっている!?

 

「そんな、ライ……じゃない、竜灯!? まさかお前がこいつらをリアス先輩に紹介するなんて松田と元浜の意見に賛成するなんて……!」

 

 イッセーが俺に向かって、心底びっくりした風に叫ぶ。それを聞いて、俺はようやく自分がどういう風に巻き込まれているのかを悟った。

 そっかーさっきの自画自賛、聞かれてたかー……。しかも別の意味として受け取られたかぁ……。

 

「……って、違う違う! 俺はそんなことに対して名案と言ったわけじゃないぞ! 恥ずかしい話だけど、自分で思いついた考えに対する自画自賛だ、アレは!」

 

 俺の名誉のためにも、あの二人に同意したなどという汚名は返上しておかねばならない。俺は慌てて否定した。

 

「えーなんだよ竜灯ー。お前もイッセーが美少女を独り占めしている現状に不満があるんじゃないのかよ」

 

「そうだぞイッセー! 独り占めはだめだ! というわけでここにいる俺たち三人をリアス先輩に紹介するんだ!」

 

 俺の弁明に、松田元浜のコンビがそう騒いでイッセーにリアス先輩に紹介しろと迫る。というか俺も巻き込まれてるのかよ……。

 ……いや待てよ? 確かリアス・グレモリー先輩は悪魔の眷属の隠れ蓑として、オカルト研究部の部長をしていたはず。加えて、どうせ一緒に使いをよこすと言われている以上対面するのは避けられない。ならこちらから出向いたほうが交渉で有利、か? 少なくとも、準備する暇を与えずにこいつらと一緒になし崩し的に会ってしまえば……。

 いや、だめか。確か原作では今日の放課後に使いが来るはずだ。ならそんな猶予はないと考えるべきだし、そもそもよく考えればイッセーがリアス・グレモリー先輩の連絡先をこの時点で知っているとは考えにくい。

 

 そうして俺が再び思考の海に沈んでいるうちにもイッセー達三人は元気に騒ぎ続け、結局HRの時間になってやってきた担任の先生に怒られるのであった。というかなんで俺の席の近くで騒いでいたんだお前ら……。

 

 

  *

 

 

 そんなこんなで放課後である。ちなみに休み時間になる毎にイッセーの席に駆け寄ってやれ紹介しろだのと騒いでいた松田元浜コンビだが、結局イッセーの一存では決められないと言われて一先ずは納得したようだ。まあ、用もないのに紹介だけされたって相手に迷惑だろうしな。

 そんな二人はイッセーを誘って帰ろうとしていたが、イッセーに少し用があるから、と断わられてリアス先輩がー、とか騒ぎながら帰っていった。妬ましいなら邪魔するんじゃないのかと思っていただけに、二人が友達思いなんだと改めて感心した。

 

 そんなことを思いながら自分の席でだらだらと時間を潰すこと数分。教室内から半数以上の人が消えた頃、急に教室の入り口付近が騒がしくなった。キャー、だなんて嬉しそうな悲鳴も聞こえてくる。来たか、なんて思いながら入り口の方を見ていると、予想通り駒王学園のイケメン王子こと、木場祐斗が姿を現した。木場は教室内を軽く見渡したあと、イッセーの方に歩いて行った。

 

「……あんだよ」

 

 イッセーが敵意丸出しで近くに来た木場に向かって聞く。それに気分を害した様子もなく、木場はにこやかな笑顔のまま告げた。

 

「兵藤一誠くんだね。リアス・グレモリー先輩の使いで来たんだ」

 

「え、じゃあお前が……」

 

 それを聞いたイッセーが驚いた顔で木場を見た。それに対して、木場は軽く頷く。

 

「うん、僕についてきてくれない?」

 

 そう言われたイッセーが頷いた瞬間、今まで静かに見守っていた二年生の女子達(クラスが違う子も普通にいる)が騒ぎ出した。

 

「そんな!? 木場くんとエロ兵藤が一緒に歩くだなんて!?」

 

「穢れてしまうわ木場くん!」

 

「木場くん×エロ兵藤のカップリングなんて!?」

 

 どう好意的に受け取ってもいい印象を持たれていないことが丸出しの言葉に、イッセーは顔をしかめる。そうだよな、流石にこんな言われて気分がいいやつなんていないよな。

 

「くっそ、訳分かんねぇこといいやがって」

 

 理解できなかっただけかよ! と思わず叫びそうになったが、無理やり言葉を口内で止める。流石にここで叫ぶのは印象悪いしな。

 文句を言いつつもカバンを手に立ち上がったイッセーは、木場と共にリアス・グレモリー先輩のところへ向かおうと体を教室の扉の方に向ける。しかし木場はまだクラスの中にいて、辺りを見渡している。まるで誰かを探しているかのように。

 

「んあ? まだ教室に用があんのか?」

 

 疑問に思ったのか、イッセーが木場に問いかける。

 

「うん、実はもう一人連れてきて欲しいって言われていてね」

 

「へぇ。誰だよ」

 

 木場の答えに興味を持ったのか、イッセーがそう聞いた。だが木場はそれには答えずにこっちに歩いてくる。そして俺の前で止まると、さっきのイッセーの時のように話しだした。

 

「竜灯来那くん、だね。リアス・グレモリー先輩の使いで来たんだ。僕に―――」

 

「ああ、わかってる。ついていけばいいんだろう」

 

 木場の言葉を遮って、俺は立ち上がる。そんな俺を、イッセーは何やら驚愕した顔でこちらを見ていた。

 

「そんな、竜灯くんまで!?」

 

「くっ、エロ兵藤さえいなければ……!」

 

「いえ、この組み合わせは竜灯くんがエロ兵藤のひどさを中和して案外いい感じになるかも!」

 

「ダメよ竜灯くん! あなたは私たちに初々しい恋バナを提供するという使命が残っているのよ!?」

 

 俺が木場の要請に答えた瞬間、周りの女子たちが一斉に騒ぎ出した。……あれ、なんかデジャブ。というか、なんだその使命は。俺はそんなの了承した覚えはないぞ。

 俺が思わず突っ込みそうになるのを抑えているうちに、木場は笑顔で手を振りながら教室を出てしまう。そのあとになんとも言えない顔をしたイッセーがついていったのを見て、俺も慌てて教室を出て後を追った。後にした教室からは何やらわいわいと女子達が大声で騒いでいるのが聞こえるが、努めて無視する。だって精神衛生的にきついし。




長くなりそうなので分割。(ただし後半はまだかけてない
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