ハイスクールD×D 転生者たちの宴   作:七忍ルキ

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過去は投げ捨てるものっ

 なんやかんやあって駒王学園に入学することになってしまった俺だが、中学時代から続く印象に残らない友人関係構築能力は健在である。この一年間、俺は原作主人公である兵藤と、主要人物である木場祐斗(きばゆうと)の二人に加え、転生者と思われる新城条規と黒咲苺の二人を合わせた四人の記憶に残らないよう、全力を尽くしてきた。とは言っても、兵藤と木場、それに黒咲はクラスが違ったから特に何もしてはいないが。

 その結果、俺は見事に中学の頃とおなじく、どこの仲良しグループにも属していないが特にこれといって邪魔というわけでもない空気的な存在という立ち位置を獲得したのだ。クラスが同じなせいで何回か新城と会話することになってしまったが、特に怪しまれることはなかった、はずだ。

 はずだ、と自身がなさげなのは、新城はなぜか知らないがカンが鋭い。隠し事をしようものならどんなにポーカーフェイスでも見抜かれる。クラス男子全員参加で開かれたポーカー大会では新城が優勝したほどだ。おかげでこの一年、俺は生きた心地がしなかった。いつ俺が転生者だとばれるか不安で仕方なかったのだ。

 だがしかし!

 そんな恐怖ももうおしまいである。なぜなら!

 

「……ぃよっしゃぁあああああ! 春休みだぁあああああああああああ!!!」

 

「うおぉおおおおおおおおおおお!!」

 

「やっほぉおおおおおお!自由だああああ!」

 

「終わったぁあああああ!遊ぶぞぉおおお!」

 

 放課後、校門前。誰かが叫んだのをきっかけに、周囲にいたノリのいい生徒たちが次々に叫び声をあげる。

 そう、今日は終業式。そしてそのめんどくさい行事も、ついさっき終わり、こうして生徒たちがのびのびと羽を伸ばしているところなのだ!

 

「よーし、今日くらいは俺もハメを外すか! おっしゃあああああああああ!!」

 

 例にならい、俺も一緒に雄叫びをあげておく。そのほうが周囲に溶け込みやすいしな!

 

「おい、ちょっといいか?」

 

「あああああああ!! ……あ、ごめん。なに?」

 

 そう思って雄叫びをあげていた俺に対して声をかけてきた奴がいた。全く、なんだろう。そう思いながら振り返ると、そこにはこの一年間ずっと俺が避けてきた新城条規がいた。

 

 ……は? え、なに? なんで俺よりによってこいつに声かけられてるの?

 混乱している俺をよそに、新城は親指で校舎裏を指さしながらこう言った。

 

「ちょいと話がある。ついてこい」

 

 ……俺、死ぬのかなぁ。

 そんなことを思いながら、俺を無視して踵を返した新城に慌ててついていった。気のせいか、周りのやつらの目が同情で満ちていた気がした。

 

 

   *

 

 

「単刀直入に聞く。お前、転生者だな?」

 

 俺が校舎裏につくなり、新城がそう言った。って

 

「はぁ!? え、なんだってそんなこと……」

 

「少し考えれば分かること、きっかけはお前がオレを避けていたことだ」

 

 驚く俺を無視して、新城は喋りだす。

 

「それはまあ、オレは自分で言うのもなんだが、札付きの不良だ。ここら一帯で殴ったことのない不良グループはないと言っても過言ではないし、病院送りにしたやつだって数知れない。そんな俺を敬遠するのも、普通なら当たり前だ。オレだってそんなやつ普段は気にも止めない」

 

 それはそうだろう。だからこそ、俺が避けていても不自然はないと踏んだんだ。なのに何故こんな状況に……。

 疑問符を頭に浮かべる俺をよそに、新城が続ける。

 

「しかし、だ。オレを避けているにも関わらず、オレが話しかけると普通に喋るんだ、お前は。いいか? ほかの奴は怯えながらだったり、媚びながら喋る奴らばかりなのに対して、お前だけが普通に、言い換えれば『普通すぎて印象に残らないように』喋るんだ」

 

「な、ん……だと……!!」

 

 なんということだ、俺が必死になって周りに埋没しようとしてきたことそれそのものが、新城に疑念を抱かせた原因になるとは……!

 愕然とする俺を見て、新城が頷いた。

 

「その反応からするに、オレの予想は当たっていたようだな」

 

 そう言った新城は、腕を組んで余裕そうな表情でこちらを見ている。

 

「それで、何が目的だ……!」

 

 俺はそう言って静かに魔力を収束させ始める。それと同時に、奴が不自然な動きをしたら即飛びかかれるように立ち方と重心の位置を調整した。

 構える俺を見て、新城が笑う。

 

「くは、ああ、そう構えるな。オレとしてはこんなところで同胞と戦いたくはない」

 

 そう言った新城は相変わらず腕を組んだままだ。だがその程度では安心できない。なぜならこいつは『ジョジョ』だ。波紋か、スタンドか。もしくは両方か。それらが使えるかもしれない以上、この数歩の距離は十分に射程範囲内なのだから。

 俺は戦闘態勢を解かないまま、新城に向けて言葉を発する。

 

「……なら、なんで俺をこんなところに呼び出した。お前が『ジョジョ』である以上、この距離はちっとも安心できないんだが」

 

「そう、それだ!」

 

 俺の言葉に、新城が俺を指さしながらそう言った。

 

「はぁ? どれだよ」

 

「オレが、『ジョジョ』だということだ」

 

 新城が自分を指さしながら続ける。

 

「オレは、『ジョジョ』なんだ。もっというなら、オレの特典は『スタンド』、『スタープラチナ』だ」

 

 そう言った新城に、俺は驚愕する。スタープラチナだと? ふざけんななんだそのチートは!

 俺との違いに内心本気で愚痴を漏らしながら、新城に問いかける。

 

「いいのかよ、そんなこと俺に言っても」

 

「いいんだよ。スタンドのことが知られてもオレは負けないからな」

 

 俺の問いにそう答えて、新城が佇む。と同時に複写眼(アルファ・スティグマ)が勝手に発動し、新城の後ろに存在する『スタープラチナ』を目視する。

 ……。間近で見られると魔法陣が目に刻まれてるのが見えるからって、カラコンつけててよかったぁああああ!! これつけてると空間の魔力が見にくいっていう弱点もあったけど、つけててよかった! カラコン万歳!!

 

「スタンドはスタンド使いにしか見えない。これは圧倒的アドバンテージだ」

 

 俺が複写眼を発動させているのも知らず、新城はそのまま話を続ける。なるほど、本来なら見えないのか……。だけど見えてるんだけど。んー、あれか? スタンドは生命のヴィジョンとかいうし、エネルギー体なのか? 複写眼は魔力を見る、とは言っても明らか魔力じゃないのも見れたことあるし、だからスタンドも見える、のか? なんというご都合主義……。

 

「だから、ここで戦うつもりがないとはいえ、お前に俺のスタンドを告げても何ら問題はないということだ」

 

 そう言い切った新城は、どこか誇らしげだ。よほどスタープラチナに自信を持っているのだろう。が、しかしだ。ひっじょーに言いにくいけれど、言わないわけにはいかないだろう。そう思った俺は、心を鬼にして重い口を開いた。

 

「……えっと、非常に、ひっじょーに言いにくいんだけどな? ……俺、スタンド見えるぞ?」

 

「―――ッ!?」

 

 俺がそう告げた途端、新城は余裕そうな表情を一転させて全力でバックステップをする。

 

「貴様ッ、スタンド使いかッ!!」

 

 そう言った新城はそのままスタープラチナを俺に向かって走らせる。……って!

 

「違う違う! 俺はスタンドなんか使えないってーの!! つーか戦わないんじゃなかったのかよッ!?」

 

 叫びながら俺はスタープラチナが放つ攻撃を避けて全力でバックステップする。魔力収束で身体能力が上がっているから数メートルほど離れたところに着地する。その人外地味た跳躍を見た新城は、顔を引きつらせながらもこちらに問いかける。

 

「……スタンド使いじゃ、ないのか?」

 

「ちげーよッ!!!」

 

 俺が全力で否定すると、新城はようやく安心したのか、話の続きをし始めた。

 

「ごほん。あー、ちょっとハプニングがあったが、つまりだ。オレは原作に介入したい。だがオレが持つ『ジョジョ』という肩書きは有名だ。だから、あらかじめ他の転生者のやつと話をつけておきたくてな」

 

 ふむふむ、まあわからないことではない。俺だって魔力が普通なら介入しようとするかもしれないし、そうなったら他の転生者が邪魔であることは明白だしな。

 ……あれ? でもそうすると結局は戦う事になるんじゃないの?

 

「まあお前に声をかけたのは、あれだ。お前、これまでの行動を見る限り原作に介入したくないんだろう? 駒王だけじゃなく別の高校も受験していたらしいしな」

 

 そんなことを考えていると、新城がそう言ってきた。なるほど、俺が原作介入をしない、ひいては敵にならないだろうから声をかけてきたのか。

 

「よく調べたなそんなこと。去年のことだろうに」

 

 俺がそう言うと、新城は笑いながら言った。

 

「全教科ゼロ点なんて伝説を作ったお前のことを調べるのは簡単だったぞ」

 

 ……。うわあああああ!? そうだった俺そんなことやらかしてた! は、恥ずかしっ。何が「よく調べたな」だよ何様だてめえうわあああああ穴に埋まりたいッ!

 俺が内心で転げまわっていると、新城が「まあそれはそれとして」と話を続けた。

 

「そんなお前だからこそ、オレはお前と協定を結びたいんだ」

 

「協定だと?」

 

「そうだ。オレはお前が原作に巻き込まれないように配慮するから、お前はオレの他に原作介入しようとしている転生者を見かけたら報告するか、排除してほしいんだ」

 

 なるほど、俺は原作から遠ざかれて新城は敵情報を探るチャンスを得る。ウィンウィンの協定を結ぼう、ということか。ふむ、なるほど。

 

「なるほど、なかなかいい提案だ。俺は安全確保ができてお前は敵情報をいち早く手に入れるチャスを得るわけだな」

 

「ああそうだ。それで、どうだろう?」

 

 そう言って新城が問いかけてくる。その目はどうせ俺は断らないだろうという確信で満ちているように見える。

 ……ふむ、よし。

 

「だが断る!」

 

「なッ!? なぜだ!」

 

 なぜ? なぜってそりゃあ……。

 

「この竜灯来那が最も好きなことのひとつは、自分に「Yes」と言ってもらえると盲信しているやつに「No」と言ってやることだ……! っていうのはまあ流石に冗談で、ホントのこと言うとだな」

 

 そう言って俺は一度言葉を切る。くぅ、一度でいいから言ってみたかったセリフを言えて俺的にはかなり満足だ!

 

「ほ、ホントの事を言うと?」

 

 一連のセリフを聞いてショックを受けていた新城が急かしてくる。まあ俺も逆の立場なら急かすからいいけど、こうやって会話の主導権を握るのはいいな。話しやすい。

 

「ぶっちゃけこの駒王来た時点で、もっと言うとさっきのお前との小競り合いで俺魔力使っちゃったしな。特定はされなくても、魔力使える存在が居ることは知られちゃってるだろうし、もう遅いんだよ」

 

「なッ」

 

 そう、実はもう既に何者かが魔力を使った、ということはバレているのだ。そりゃ学校の敷地内で魔力使えばバレるよね。驚いた声を上げている新城だったが、すぐにそのことに思い至ったのか、納得の声をあげる。

 

「そ、それもそうか……。ここは悪魔が運営する学校だったな」

 

「全くもってそのとーり。だから言ったじゃん俺。『なんで俺をこんなところに呼び出した』んだって」

 

「ぐ……。す、すまん」

 

「いいって。今更謝られたところで時間が戻るわけでもないんだし」

 

 意外とすぐに謝ってくる新城に答えつつ、周囲を警戒する。もうそろそろ使い魔や悪魔たちが来てもおかしくはないほど時間が過ぎているからだ。

 

「とりあえず、原作が本格的に始まるまではお互い不干渉で行こうぜ。というか俺としてはそろそろ悪魔どもに見つかりそうだから今すぐにでもここから立ち去りたいんだが」

 

 俺がそう言うと、新城がハッとしたような顔をした。……え、お前まさかそのことについて考えてなかったとか? ははは、ないよな? 流石にそんなことはないよな!?

 

「ああ、わかった。それでいこう。悪いな、時間とらせて。オレはここで原作の登場人物を待つから、お前は先帰れ。呼びつけたのはオレだし、ごまかしておく」

 

 そう言って新城は俺に向けてひらひらと手を振る。

 

「ありがとよ!」

 

 そう言って俺はまだ収束させていた魔力を散らし、全力で校門へ走りだした。

 

「はぁ、全く。幸先不安だ……」

 

 思わずそうつぶやいてしまうほど、原作開始直前の春休みは気分最悪でスタートした。




転生者No2
新城条規―しんじょうじょうき

茶髪黒目 超イケメン
     DIOを日本人風にして茶髪黒目にしたあと日本人のイケメンと足して2で割った感じ
     うっかり属性持ち疑惑発生 New!
備考:『スタンド』、『スタープラチナ』 ←確定 New!
   氣?が膨大。主人公とは大違いだね!
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