ハイスクールD×D 転生者たちの宴   作:七忍ルキ

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厄介事は向こうからやってくる

 先日の新城との小競り合いから数日が経った。俺としては、割と本気で原作ヒロインのリアス・グレモリーやソーナ・シトリーにバレたんじゃないかとビクビクしていた。何せあいつら悪魔だし。

 

 しかし、予想外に自宅には二人が来るような気配もなく、軽く魔力を探ってみたが周囲数十メートルには魔力を持った存在を感知できなかった。

 これは、新城がうまくごまかしてくれた、と考えるべきか、それとも俺の感知範囲外から監視されていると考えるべきか悩みどころである。もし新城がうまくやってくれたなら万々歳だが、俺の感知範囲外から監視されているならば致命的だ。普段行っている収束訓練ができない。おまけにいつ狙撃されてもおかしくないという恐怖が、俺が家の中に引きこもらせていた。

 

「ぅぁー……、失敗したなぁ。新城と対峙した時に魔力収束したのはまあ、良くないけど、良しとして。問題は、新城に情報与えすぎたことだよなぁ……。魔力持ち、というのはまあ、普段の俺は魔力なんざほぼないから知られてもいい、てか是非告げ口していて欲しいけど。問題は、俺が『スタンドを見える』事を教えちゃったことだよなぁ……」

 

 そう、もしも新城があのあと来た(であろう)悪魔に対してスタンドを発現させていたら。普通は見えないものを、俺が見える、という重大な事実を知られてしまうのだ。

 これはマズイ。非常にマズイ。

 

 なぜなら、これは俺の特典が眼に関するもの、もしくは何らかの観測手段を備えたもの、もしくは本来見えない等は些細な問題であると言い切れる超強力な能力等であると推測されてもおかしくはないからだ。七夜の『浄眼』や『直死の魔眼』といった、本来視えないものを見る眼、というのはそこそこの数存在する。観測手段を備えたものだって、サーモグラフィーやソナー等で観測出来るかもしれない。能力云々と思われたら最悪だ。過剰なまでの警戒で、確実に俺を殺しに来るだろう。『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』や『死を操る程度の能力』といった、相手を観測できて尚且つ防御不可能な能力と誤解されてしまえば俺が感知出来る範囲外からの長距離狙撃で暗殺、というのはごく普通に取るであろう手段だ。

 

 つまり、俺は特典をある程度知られたかもしれないし、部屋の中に閉じこもっている今この瞬間にも命を狙われているかも知れないのだ!

 ……、笑えねぇ。

 

 ―――ピーンポーン、と。俺が頭を抱えて部屋の隅でガタガタ震えているのを嘲笑うかのように、家のチャイムが鳴る。

 

「ぅひゃいッ!?」

 

 思わずその場で飛び上がる。今現在、この家には俺しかいない。叔父さんは仕事で海外を飛び回っているので、家に帰ってくることはあまりないのだ。そして、俺も何かを注文したりした覚えもない。つまり、

 

「この家に訪ねてくる人なんていないはずなんだが……」

 

 まさか悪魔じゃないだろうな、と小声でつぶやきながら、俺は二度目のチャイムが鳴らされた玄関へ急ぐ。

 

「はいはーい、今開けまーす!」

 

 そう叫んで俺はチェーンをかけたまま扉を開く。

 

「はーい、どちらさまですか……」

 

 そして開いた扉の先に居た人物が予想外すぎて、俺は思わず思考停止してしまう。

 

「よぉ、モブ……、いや、竜灯、だったかぁ」

 

 名前を呼ばれて再起動を果たした俺は、目を丸くしながら叫んだ。

 

「黒咲!? え、おま、なんで俺の家知ってんの!?」

 

「あぁ、そんなことはどうでもいいんだ。それよりお前、これから時間あるか?」

 

 俺の質問はどうでもいい、とバッサリと切り捨てた黒咲が真剣な表情で聞いてくる。普段の他者を見下すような雰囲気は感じない。

 

「……お前がそんな真剣な顔で言うってことは、そんなに重要なことなのか。うし、わかった。ちょっと準備してくるから待ってろ」

 

 黒咲の真面目な表情に感化されたのか、俺は気付けばそんなことを言って外出の準備をしていた。とは言っても、特に荷物などない。せいぜい動きやすい服装に着替えて財布と携帯を持っただけだ。

 そうやって身だしなみを整えた俺は、急ぎ足で玄関に戻る。今度はチェーンも外して扉を開けた。

 

「悪いな、待たせた」

 

「いや、いい。それより行くぞ、ついてこい」

 

 俺の謝罪に黒咲はひらひらと顔の前で手を振ると、俺に背中を向けて歩き出した。その歩みはかなり早足だ。俺も慌ててついていく。

 俺は若干息を乱しながらも、黒咲に質問する。

 

「それで? どこに向かってるんだ?」

 

「あぁ、そういやお前は何も聞いてないんだったか……。ったく、新城のやつ。バラすなら全部話しとけよ」

 

 そう言って黒咲は舌打ちしたあとにこちらを一瞥すると、少し歩くペースを落としながら喋りだした。

 ……他人を、それも男を気遣うなんて、普段のこいつからしたら考えられない、な。

 

「まず、この世界に転生した奴らはお前も含め全部で七人だ。そのうち、今のところ特定できているのが俺、新城、それから新城が見つけたお前の三人だけだ」

 

 ここまではいいな、と黒咲が言う。俺が頷いたのを見て、黒咲は続ける。

 

「俺と新城はお互いに協定を結んでいたんだ。お互いに潰し合わない代わりに、お互いが狙っているキャラを取らないようにする、んでもってヤバイ時は助け合うって言う、な」

 

 そう言った黒咲に、俺は密かに驚愕する。普段のこいつの態度からすれば、女子キャラクターは全員俺の嫁! とか言いそうだったのに。

 そんなことを考えているのがバレたのか、黒咲は少し呆れた表情で俺に言った。

 

「何を考えてんのかは大体わかるが、俺はニコポもナデポもねぇんだぞ。正攻法で行くしかないんだから、全員が最初から俺に惚れるなんてことがないことくらい分かってんだよ」

 

 いやまあ、言われてみれば全くもってその通りですはい。

 

「ったく、どいつもこいつも似たようなことばっか言いやがって……。まぁいい、話の続きだ。ここでぶっちゃけておくと、俺の狙いは聖剣使いの二人だけだ。他は知らん」

 

 そう言い切った黒咲に、俺は今日だけで何度目かわからないが驚愕する。まさかこいつがこんなことを言うなんて……!

 

「で、だ。ついでに言っておくと、新城のやつは女にゃ興味ねぇんだとよ。ただ全力で戦いたいとか言ってやがった。どこの戦闘狂(バトルマニア)だよって話だ」

 

 もう驚愕しすぎて疲れてきたが、なんと。新城はそんなことを……!

 

「もっといえば、ヴァーリと戦いたいんだとよ。アホらし」

 

 すっごい同意だ。なんて命知らずなんだろうか、新城は。

 

「話がズレたな。今回俺がお前を呼び出したのは、まああれだ。新しく転生者がわかったからだ。それも一人二人じゃない、残り全部の転生者どもだ。しかもそいつらはチームを組んでいて、残りの転生者を殺す事を目的に活動している。接触した新城がそう聞いたらしい。しかも、一人一人が特典を使いこなしていて、とてもじゃないが俺や新城だけでは太刀打ちできない。」

 

「なんだとッ!?」

 

 もしそれが本当なら、俺あのまま家にいたらやばかったんじゃ……。

 

「新城がお前と結んだ不干渉協定だが、今は非常事態だと思って勘弁してくれ。なにせ奴らのうちの一人が『殺人貴』だ」

 

「なッ」

 

 それってもしかして……!

 

「直死の魔眼……!」

 

「そう、その通りだ。そして俺たちの特典ってやつは全部『神器(セイクリッド・ギア)』として与えられているみたいだからな。やつの眼にかかれば、それを視られる。だから、隠れていてもおそらく殺されるだろう」

 

 俺が思わず呟いた言葉に、黒咲が肯定してさらに情報を落としていく。

 

「神器、だと? じゃあ新城のスタンドも……」

 

「ああ、神器、『星の白金(スタープラチナ)』って名前だ。全くもってそのままだがな。あぁ、ちなみに俺の神器は『斬月(ざんげつ)』、まあ予想は出来ていただろうがな」

 

 そう言って黒咲はこちらを向く。

 

「もうすぐ目的地に着くが、その前に聞いておきたい。お前の特典は何だ?」

 

 俺たちの特典を教えたんだから、教えてくれてもいいだろう、と黒咲が言う。いやまあその通りだとは思うが、一応これ俺の生命線なんですけど……。

 ……、まぁ、大丈夫だろう。というか今教えないことで俺だけハブられたら死ねる。

 

「あー、うん。『複写眼(アルファ・スティグマ)』だ」

 

 そう言った途端、黒咲はガバッと勢いよくこちらを振り返った。その顔にはありありと驚愕が浮かんでいる。……え?

 驚いて硬直している俺の肩を掴んで黒咲は言った。

 

「お前なんで暴走してねぇの!?」

 

「ひでぇ!?」

 

 お前、俺に死ねというのか!?

 咄嗟に言い返したおかげかはっとした表情で黒咲が離れてまた歩き出す。俺も慌ててついていく。

 

「っと、わりぃな。複写眼なんて、暴走でみんな死んでるのが伝勇伝だから、なんでお前が五体満足でここに居られるのかが不思議でつい」

 

「あー……」

 

 うん、すっごいわかるよその気持ち。俺も六歳の頃に味わったよ。でもね、

 

「俺さ、原作の兵藤一誠並に魔力少ないんだ」

 

「ハァ!?」

 

 再び黒咲が叫んで足を止めた。俺も苦笑しながら並んで止まる。

 

「ほんっと、信じられないよなー。せっかく複写眼なんてもんもらったのに魔力ないんじゃ意味ねーし」

 

「全くだ。ったく、なんだって新城はこんな役立たずを……」

 

 ぶつぶつと文句を言いながらも黒咲は再び歩き出す。俺は後に続きながらも言い返した。

 

「役立たずとはひどいな。これでも俺は素手でコンクリくらいなら破壊出来るんだぞ」

 

 魔力収束さえすれば、とは心の中で付け足した。だって恥ずかしいし。

 そう言うと黒崎はへぇ、と何やら感心したような目でこちらを見る。

 

「なんだ、意外とやるんじゃねぇか。……っと、ここだ。ついたぞ」

 

 そう言って黒咲が止まった場所は、公園だった。って、

 

「ここって、アニメで兵藤が殺された……?」

 

「そぉだ。そんで、お前を呼び出したのは新城だ。あとはあいつから聞け」

 

 そう言って黒咲はベンチに座って目を閉じた。これ以上話すことはない、ってことだろう。そして、ベンチに座った黒咲と入れ替わるように立ち上がったのが、この前不干渉を約束したはずの、新城。しかしその右腕は包帯で吊るされていた。顔にもいくつか絆創膏が貼られていて、痛々しい。

 

「新城!? おま、どうしたんだそれ! まさか例の殺人貴に……!」

 

 慌てる俺を見て新城は笑う。

 

「ああ、奴らにやられた傷だよ。だがまあ、代わりに奴らのうちの一人に手傷を負わせた。おかげでこうして話す時間ができている」

 

 そう言った新城は真剣な顔つきになる。

 

「さて、あまり時間はないんだ。この間不干渉を結んだばかりで悪いとは思うが、オレたちと共に戦ってはくれないだろうか。奴らは原作傍観派、つまり原作をそのまま自分の目で見たいと願う奴らだ。そのために邪魔な他の転生者を見つけ次第殺そうとしている。オレと黒咲は原作介入派だ。奴らにとっては最優先で殺したいと思うだろう。そして、先日オレと小競り合いを起こした竜灯。お前もその時に転生者だとバレたらしくてな、介入非介入どっちかわからないからとりあえず殺す、と言っていた」

 

「はぁあああああああ!?」

 

 そこまで聞いて俺は思いっきり悲鳴をあげる。え、嘘だろ今まであんなに周囲に溶け込む努力してきたのに無駄だったのかよ……! しかもとりあえずで殺すって!?

 俺が内心で頭を抱えていると新城が申し訳なさそうな顔をしながら続けた。

 

「だから、その、まあ、なんだ。お互い殺されないように改めて協定を結んではくれないだろうか」

 

 そう言って左手を差し出して来る新城を見て、俺は思わず天を仰いだ。




転生者No3
黒咲苺―くろさきいちご

茶髪に濃い茶色の瞳 イケメン
     ブリーチの黒崎一護にとっても似ている
     意外と踏み台キャラじゃなかった New!
備考:特典は「斬月―ざんげつ」 ←確定 New!
   霊力?が膨大。シネバイイノニ
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