競走妖精雪風   作:HAL-000

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7/5一部加筆


Operation3

「さて!この話はここまでとして!」

「二人共ッ!行く当てはあるか?」

「...ないな」

「であればッ!深井中尉はこの学園の職員として、雪風は生徒としてここに滞在することを許可しようッ!」

「部外者をそう簡単に滞在させていいのか?何処かの差し金かもしれないぞ」

「何か問題があればその責任は取るのは私だッ」

「それに傍から見れば異常者ともとれる一連の行為を行う必要もないだろうッ」

「果たしてそうだろうか」

「確証はないが君たちが悪いような奴だとは思えんッ」

「お人好しだな」

「でなければこの学園の理事長には就けてはいないッ」

「全てはウマ娘を愛している為にだッ!」

「そうか。わかった。そちらの申し入れを受けることにする」

「どうする雪風。申し入れを受けるか?」

<WISH TO BELONG TEMPORARILY>

「であればッ、これからよろしく頼むッ深井中尉ッ!そして歓迎するぞッ雪風ッ」

「さてッ深井君のやってもらう仕事だがッ」

理事長がそこまで言いかけた時端末から警告音が鳴り始めた。

「どうしたッ雪風ッ!何か気に障ることをしたかッ?」

理事長が慌て始める。

「いや、違う。」

「これは燃料の残量が底をつき始めたことを警告しているだけだ」

「要するに腹が減っただけだ」

端末には<LOW FUEL>と表示されている

それに遅れる形で雪風の腹が鳴った。

「たずなッ、私はこれから仕事があるから深井君と雪風を食堂へ案内してくれッ」

「深井君という呼び方は慣れないな」

「学園の人間になったのにいつまでも中尉と呼ぶのもアレだと思ってなッ」

「食堂へ案内しますので付いてきてください!」

おれと雪風は促されるまま食堂へと案内された

 

食堂は学園とあるだけあってかなり広かった。

丸テーブルと椅子のセットが不規則に並べられ、朝の時間帯も相まって人でごった返していた。

たずなは「朝食を食べたあとは校内を自由に散策してもらっていいですよ」というともと来た方へ去っていった。

食堂の案内がたずなから一通りされたのでキッチンカウンターへ朝食を頼みに行った。

雪風に何を食べたいか聞いてみようとしたが雪風は食物や料理について全く無知であることに今更ながら気づいたのでおれと同じ定食を食べさせることにした。

列に並んでる間の視線が凄い。

まあ、見たことのない格好をした人間がいるのだから仕方がないだろうと深井中尉は思っていた。

 

「あれ?なんだかカウンターの方の人が凄いですねスズカさん!」

「そうね。何かあるのかしら?」

「おう!スペ!スズカ!おはようさん!」

「おはよう。スペシャルウィーク。サイレンススズカ。」

「あ、タマモクロスさん!オグリキャップさん!おはようございます!」

「なんかカウンターの人が凄いがなんかあったんか?」

「何があったか分からないので今見に行くところです!一緒に行きますか?」

スペ、スズカ、タマモクロス、オグリの四人は深井中尉のいる方向へ様子を見に行くと同時に朝食を取りに行った。

四人は列に並ぶと何に注目が集まっているか知ることになった。

「あの男の人、見たことないですね。」

「新しいトレーナーさんかしら?」

「っちゅうか、後ろ並んどるウマ娘も見たことがおまへんなあ?」

「美浦寮のウマ娘だろうか。」

「綺麗ですねあのウマ娘...」

「せやなあ...」

見慣れない男とウマ娘はカウンターから朝食を取るとテーブルの広い席へ座った。

「あの人とウマ娘の一緒の席に行ってみませんか?」

「気になるんですかスズカさん?」

「ちょっとね」

「お二人さん、話はそこまでにして順番が回ってくるから準備しぃ」

そうタマモクロスに言われると自分達の朝食を受け取るため列に向き直った。

 

深井中尉は定食を食べ、雪風は食べているかと様子を見た。

一切手を付けていなかった。

深井中尉は雪風に聞いた。

<燃料の補給を行っていないが何か問題が発生しているのか>

<PROBE NOT CONNECTED>

しまった、食器の使い方が分からなかったか、と中尉は思った。

「仕方ない、雪風口を開けてくれ」

そう言うと中尉は箸でご飯を摘み、雪風の口元まで持っていって食べさせた。

 

「おいおいあのウマ娘食べさせてもうてるぞ」

「もしかして何処かのお嬢様だったりするのかしら?」

「スズカさ~ん、タマモクロスさ~ん、ちょっと手伝って~」

スペとオグリはスパゲッティやらにんじんハンバーグを盛り上げた皿を持ちながら雪風と深井中尉のいる席までやってきた。

「隣失礼するで」

「ああ、好きにするといい」

「よいしょー!ふう、やっとここまできたよ~」

スペとオグリが皿を置く。

「...その量を食べるのか?」

「そうだが」

「胃が破裂するぞ」

「いつもこの量食べてるから大丈夫ですよ!」

「冗談はよせ...」

中尉はそう言い切ろうとしたがあれだけ盛り上げられていたスパゲッティがもう1/4程消えている。

次の瞬間には更に2/4が白い毛のウマ娘の口内に消えていく。

それでありながら腹は一切ふくれていない。

思わず雪風へ箸を運ぶ手が止まる。

「驚いてるみたいやな」

「でもこの位食べるのは沢山おるから驚いてちゃいけへんで」

「ま、オグリはそれ以上なんだけどな!」

「ここの食品の在庫はどうなってるんだ、この勢いじゃどこかで枯渇するだろう」

「またえらい冗談を。この位で枯渇したら飲食店なんて存在せぇへんわ」

と、不思議な髪飾りを付けたウマ娘がまくし立ててくる

「う~ん!にんじんハンバーグおいし~!」

なんだそのハンバーグは。どうして人参が丸々一本中心に突き刺さってるんだ。

「その、それはおいしいのか?」

「おいしいですよ~そっちのウマ娘さんも食べます?」

そう言うとハンバーグを一つ差し出してくる。

「人参は...それでいいのか?」

「にんじんはウマ娘の好物ですしもんふぁいないですよ」

目の前のウマ娘は人参にかぶりつきながら答える。

「もう、お行儀が悪いですよスペちゃん」

人参色の髪をしたウマ娘が苦笑交じりに話す。

取り敢えず一緒の席に座ってきたのはオグリという大食漢とにんじんハンバーグにかぶりついているスペというのは分かった。

「その...何処かのお嬢様なんですか?そのウマ娘さんは。」

と人参ウマ娘が質問してくる。

恐らく食べさせている行為からそういう知識があって質問してるのだろう。

「いや違う、雪風が食器の使い方を知らないだけだ」

「雪風っちゅうのか、その娘。よろしくなあ雪風!」

「雪風、か、いい名前だな。」

オグリがご飯の山盛りを崩しながら喋る。

「しかし、食器の使い方を知らんってどういうことなんや?」

「いままでそういうのを使う必要が無かっただ」

「...悪いことを聞ぃたな....すまん」

恐らく雪風が重い病気をしたか何かと勘違いしたのだろう。

「まあ、せやけどいつまでも付きっきりじゃあいかんやろうしこれから覚えていこうなあ雪風」

すると端末に

<WHAT IS NEED KNOW HOW TO USE TABLEWARE ?>

と表示された。

「雪風は食器の使い方をなぜ知り、覚えなければいけないのか?と質問している」

「...もしかして喋れないのですか?でも手話している訳ではないし...」

「いや、この端末で会話ができる、音声も問題なく聞ける」

「失聴もしとったのか...雪風」

「どうりで、だから耳の動きが無かったのか」

どうも誤解されてるが今はこの方が都合がいいだろう

「あ、で、さっきの質問に戻るんやが、自分でやれることはやれた方がいいで、そいつがおらへん時どないするんや?」

「タキオンのように床に殺人事件を描くわけにもいかんやろう」

「せやさかい、やれることはどんどんやっていこうな、同じ寮なら手伝えることもあるだろうし」

「寮なのかここは」

「そうやで!...その様子だと寮にはおらんようやな」

「いや、まだどこになるか決まってないだけだ」

「もし栗東になるんやったらよろしゅうなあ、この席の皆、栗東やから」

「ふぺしゃるふいーくでふ」

「サイレンススズカといいます」

「うちはタマモクロスでこっちがオグリキャップや!」

「よろしく。」

「ほな、うちらは授業があるからこれで」

そういうと四人は空の食器をカウンターへと持っていった。

<DO YOUR BEST LEARN AND SELF-CONTAINED ACTIONS SO THAT THEY BECOME VIABLE Lt.>

雪風はそう言う。

恐らくAICS工作のことを思い出したのだろうか。

正確にはあれは体内の問題で人でいう反射反応の不調に近いが、雪風は自己でどうにかできる範囲だったと認識しているようだ。

<問題ない。これから焦らず覚えていけばいい。すぐにいなくなったりしないさ、雪風>

おれはそう返した。

ふと思って雪風に話す。

<お前はコンソール表示以外の会話は可能か?>

仮にあの四人組の寮に入るとして、そこでコミュニケーションをする手段がこの端末以外に存在しないし、扱いにくいだろう、と考えたからだ。

それに雪風はこう返した。

<ABLE TO COMMUNICATE IN ENGLISH>

<SELF-AUDITORY SYSTEM IS BUILT INTO OF SPATIAL PASSIVE RADAR>

<SELF-AUDITORY : DEACTIVE>

筆談可能。聴覚もこの端末以外にその耳でも聴けるようだ。

<聴覚システムを起動しろ>

<ROGER Lt.>

この状態であればコミュニケーションに関しては問題はないだろう。

そう安堵して雪風へ定食を食べさせる。

 

....いやすごい食べるな雪風。

オグリキャップに勝るとも劣らない。

食堂のカウンター奥からは

「あらーもうちょっと作る量増やさないといけないわねー」

という内容の会話が聞こえる。

やってしまったようだ。

<TUNE REFUELING>

<LINK ON DATA TO MILKY 1>

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