清姫って実はヤンデレじゃないんじゃないか、とマスターは思った   作:眠りたい時だけ手が進む人

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取ってある部屋を訪れる幕間はマルチエンディングシステム的なあれです



次の日

清姫と寝てから(どっちの意味かは言わない)数日後。

改めて彼女達との絆を再認識した貴女は、ここまでくればもう他のマスターLOVE最古参勢……主に溶岩水泳部の面々に現在の心境を聞いてみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マスターのことは、勿論好きですが……以前のような過度なスキンシップは控えることにしました。貴女と共に居られるだけでも幸せなのだと、最近は思うので。」

 

 

「ふふ、もしや私が金時や綱に取られると不安になっているのですか?安心してください、母はいつでも子を想うものです……えぇ、ですからマスターも忘れてはいけませんよ?母は私です。いいですか?母は────」

 

 

 

途中で半笑いながらもその視線だけは、まるで鷹の目のように鋭く光らせてココに居ない何か────主に海より来たるあのお母さんだと思う。藤丸立香は分からない。というか分かりたくない。なんでお母さんが増えるの?……何ジャックちゃん?え?私がお母さん?いや、ちょっと何言ってるか分からない─────を見つめており、その状態でやたらと母は自分だけだと強調された。

 

 

 

 

まぁともかく、かつての溶岩水泳部の面々は総じてグイグイ積極的に来ることは無くなったものの、あくまで接し方が変わっただけで基本的に私のことを以前のように好いてくれているらしい。

絆が深まれば深まるほど、逆に貴女に距離を取って遠くから眺めてくるその姿はストーカーのそれである。良かった、何も変わっていなかった。

因みに昨日はあれだけ恥ずかしがってた清姫は今日もベッドの下に潜んでいた。誘われると恥ずかしがるのに自分から来ると遠慮が無くなるのはもはや猫のそれである。ツンデレであったか。

 

 

「……あ、マスターちゃんじゃないの。聞いたわ、最近やたらと色んな相手に粉吹っ掛けてるらしいじゃない?」

 

と、考えがツンデレに行きかけたところで話し掛けてきたのは水着のジャンヌ・ダルク・オルタ。

貴女の中ではジャルタ、邪ンヌ、ダルタなど様々な呼び方候補があるが、ジャンヌ・ダルク研究学会の名誉教授によると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「墜ちた魔女であろうと聖処女であろうと幼女だろうと同人誌だろうと聖女ジャンヌ・ダルクは聖女なのです。つまり彼女らの呼称は……彼女らの喜ぶ呼び方でいいでしょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、在り来りな回答が返ってきた───尚、ぶっちゃけ貴女ならどれでも喜ばれる実質ジャンヌシリーズ呼称永久フリーパス所持状態らしい───ので、今は気分で邪ンヌと呼んでいる。

 

あと粉は吹っかけていない。

 

「嘘つくんじゃないわよ……というか事実でしょ?あんだけ唐変木なアンタが自分から部屋に誘ったんでしょ?性的なそれはしてないでしょうけど、褒めないと退去するあの呼延灼ってやつ以外を特になんのイベントもない日に自分から部屋に誘っただなんて、カルデアに来てから初めてじゃない?」

 

いつの間にか変に噂が広まってるらしい。

そして彼女の言葉を聞いてそういえば、バレンタインの日でも無いのにマスターLOVE勢を自分の部屋に誘ったのはメンテナンスが必要な呼延灼以外だと今になって気が付いた。

 

誘わずとも勝手に部屋に入ってくるサーヴァントが大勢なので、自分から誘ったところで変わらないだろうと心の中で思っていたのかもしれない。

 

後で自分は誘われなかったのにと情緒が壊れて清姫を刺し殺してしまいそうな面々は誘っておこう、と貴女は思った。

なぁに、どうせ一人の女の子がオトナの階段を登るだけだ。

 

「……そ、じゃあ入れてくれるわよね?マスターちゃん?」

 

え、と先程までの考えをうっかり口に出していた貴女を黙って見つめていたらしい邪ンヌに視線を向ける。

その表情は、いつもの『興味無いけど?別に?まぁアンタがそう言うなら?』というような恥ずかしさを誤魔化すそれではなく、それ以外の感情が抜け落ちたような……寧ろ若干怒気が入った真顔で。

 

 

 

 

 

 

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私は、空虚な存在である。

怒りなき者に怒りあれ、恨みなき者に恨みあれと願われ、無理矢理生み出された過去なき存在である。

 

……私を創った男は……結局、私を見ておらず。

実在し、存在する、本物の『私』の方しか見ていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人を怨んだ。仮初めの、存在しない怨みで。

本物にはないはずの怨みを、私は持っていた。

偽者のはずなのに、本物にはないものを持っていた。

それで、少しばかり気が安らかになった。

 

 

 

 

でも、それだけだった。

結局は、消えゆくしかない存在だったから。後には何も残らないから。

泡沫の夢の如く、私の怨みは、感情は、想いは、消えるだけのはずだったのに─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスターちゃん。忘れてた?」

「私だって、いや寧ろ、私が一番ってぐらい、アンタのこと好きなのよ?」

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