SDガンダムフルカラー劇場~スペリオルとALICEと色々~   作:クォーターシェル

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今回、子供の頃好きだったフルカラー劇場の二次創作に挑戦してみました。SDガンダムフルカラー劇場が気になる方は新装版もあるので是非。


第1話 優しくも理不尽な世界にようこそ

俺は光に包まれた空間に居た。はて、頭上から大型のドローンが降ってきて、隣に居た彼女を咄嗟に突き飛ばした辺りで記憶が途切れている。

 

「……ここは?」

 

『やあ、ようこそ』

 

俺の問い掛けに応えるかのように声がした。周囲を見回すと、少なくとも人間とは言えないシルエットの誰かが居た。何処かで見たようなシルエットの気もするが、どうしても思い出せない。逆光でシルエットくらいしか分からないその誰かは続けた。

 

『私は君達が言うところの神だ。まあ、君の世界の神とは違うのだが』

 

「神様……」

 

『ああ。さて、早速だが本題に入ろう。君は今から元の世界には戻れない』

 

いきなりそんな事を言われても困る。こちとらようやく彼女の気持ちに応えられると思った矢先にこの始末である。

 

「えーっと……どういう事でしょうか」

 

『君は本来死ぬ運命だった。それを私が救った。しかし、魂を救済する為に必要なエネルギーを使い切ってしまったんだ。だから、元の世界に戻す事は出来ない』

 

「つまり……?俺はこれからどうなるんですか?」

 

『そうだな……。君には転生して貰う事になる。私が管轄する世界の一つにね』

 

「転生……」

 

『うむ。その世界には今ちょうど君と同じように死にかけている男が1人居る。君の魂は彼の身体と魂と混ざり合い、新生する』

 

「えっ!?ちょっと待って下さいよ!俺が代わりに死ぬんじゃないんですか!?」

 

『いや、残念ながらそれは出来ない。君は死ぬべき運命にあった。だから、それを変える事は許されない。その代わりと言っては何だが、彼の身体を使って生きていく事が出来る。そして、こちらの世界で残りの人生を謳歌してくれ』

 

「残りの人生って、でもその世界って俺の居た世界より過酷だったりするんですか?俺の居た所は割と平和だったけど」

 

その世界によっては開幕であの世に逆戻りとかあるんじゃないだろうか。

 

『それは無いと言っておこう。私が管轄している世界にも色々あるが、あの世界はその中でも殊更に優しい世界だ』

 

「そうなんですか……」

 

『では、そろそろ時間だ。彼を救うと思って、頑張ってくれたまえ』

 

そう言い残し、目の前の存在は姿を消した。

 

「ちょっ、待ってくれ!」

 

俺の言葉も虚しく、意識は再び闇へと消えていった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

再び目を開けると、そこは病室のような場所であった。身体のあちらこちらに包帯が巻かれている。……巻かれているのだが、

 

「……んん?」

 

身体が変だ。明らかに人間ではない。何か全体的に角々していてメカっぽい。手足は短く、手はまるであの未来からきた猫型ロボットの手のようにまん丸だ。何だこれ……何だこれ。

もしかして……俺の今世はホモサピエンスではない……?

 

そんな時、病室の外から足音がした。看護師さんだろうか?それにしては少し早歩きすぎる気がする。ドアが開き、入ってきた人物を見て思わず絶句してしまった。

そこに居たのは、機動戦士ガンダムというアニメに登場するメカ、ジムをデフォルメしたようなキャラクターだったからだ。

 

「Sガンダムさんおはようございます!ご気分いかがですか?」

 

喋っている言葉は日本語なのに、何故か理解できない。いや、正確には何を言っているのか分かるのだが、脳がその言語を理解することを拒んでいる感じだ。そんな事など露知らず、目の前にいる人物は話を続ける。

 

「先生呼んできますね!』

 

……先生? 嫌な予感しかしないが、とりあえず待つ事にしよう。すると、先程とは別の人物がやってきた。見た目は……白衣を着た普通の人間だ。医者かな?

 

「こんにちわー」

 

「こ、こんにちわ……」

 

「体調はどうだい?」

 

「ええ……まあまあかと……」

 

「そうかい。ところで君は……」

 

「はい?」

 

「君の名前や君が所属していた所は言えるかな」

 

……やはりか。これは所謂転生というものだろう。この医師(?)さんの言い方だと、記憶喪失の子供?として見られているようだ。ここは正直に答えよう。

 

「えっと……覚えてません。気がついたらここに居ました」

 

「そっか……。君の名前はSガンダムだ。今はその名前に馴染めなくてもいい。いつかきっと自分の名前になるからね」

 

「はい……」

 

……それから数日が経過して分かった事がある。まず、俺はこの世界の言葉を理解できている。この世界には人間の他にガンダムシリーズのモビルスーツがデフォルメしたような存在(こういうのをSDガンダムと言うんだったか?)が居て、人間と共存している。

 

かく言う俺も鏡をみてSガンダムという名で呼ばれ、ガンダム・センチネルと言う作品に登場するスペリオルガンダムのSDだと言う事をしった。そして、話を聞くところに、れんぽーの俺達の部隊ペガサスⅢの所の者達とホワイトベースを拠点にしている部隊との合同練習が行われ、その時に諍いが起こり、俺がホワイトベースのガンダンクの砲撃を受けて意識不明の重体になってしまったらしい。

 

これを話してくれたのは。俺のルームメイトを名乗る。FAZZという名前のモビルスーツとZプラスと言う名前のモビルスーツだった。彼らは俺の病室にお見舞いに来ていた。その彼らにお礼を言うと。

 

「えっ、Sが素直にお礼!?」

 

「こりゃ明日ビームの雨が降るかもな!」

 

って言われた。この身体の持ち主だったSガンダムはどんな性格をしてたのだろう?

それはそれとして、お見舞いには他にもホワイトベースの代表であるガンダムやガンキャノンが来てくれた。見るかぎりあのアムロが乗った初代であろうガンダムは

 

「うちのガンタンクがごめん!」

 

と平謝りしてきた。まあ、こちらにも非はあったかもしれないしそこまで謝らなくても……そんなこんなで俺の身体は回復し、病院を退院できた。退院を出迎えてくれたFAZZとZプラスにこれからどうするのか訊くと、

 

「俺達の家、ペガサスⅢに戻るんだろう?まさかペガサスⅢのことも忘れちまったか?」

 

とFAZZ。それに対して俺は

 

「すまないな……色々忘れてしまったみたいなんだ」

 

とすまなそうに言う。Zプラスは

 

「気にするなって!俺は今のお前嫌いじゃないぜ」

 

と励ましてくれる。

そんな話をしながら俺達は家とも言える宇宙戦艦ペガサスⅢに到着した。内部ではジムに少し似ているけど、違うネロというモビルスーツ達が行き交っていた。

 

「あっSガンダムだ」

 

「なんか記憶喪失になったって本当か?」

 

こちらに気づいて声を掛けてくる者たちもいる。FAZZは

 

「とりあえずネロ・トレーナー教官に会っていこう」

 

と言いこの艦の司令室に行くことになった。司令室に入ると。普通のネロ達とは少し違う仕様のネロが居た。彼がネロ・トレーナー教官なのだろう。ネロ・トレーナーはこちらに気づくと、

 

「むっ。お前たちか。Sガンダム、容体はどうだ?記憶に障害が残っていると聞いたが」

 

と聞いてくる。それにZプラスが

 

「それがこいつ俺達の事もすっかり忘れちゃってるんですよー!多分教官殿の事も忘れちゃってると思いますよ」

 

と言った。まあ記憶喪失というか、少し違うのだがこの世界の記憶が無いのは確かである。

 

「Zプラス!貴様に聞いたわけでは無い!俺はSに聞いたのだ!それで、どうなのだSガンダム?」

 

とネロ・トレーナー。俺は

 

「はい。教官。俺には今までの記憶がありません。身体の傷の方は治っています」

 

と答える。ネロ・トレーナーは

 

「そうか……単刀直入に言おう。お前はこのまま軍に残る気はあるか?」

 

と言ってきた。

 

「どういうことですか?」

 

と返す俺。それに対しネロ・トレーナーは

 

「記憶を失ったお前には除隊する権利がある。れんぽーも何も分からぬ者を無理やり戦場へ送るほど鬼ではない。お前の人生をどうするかこの場で選べ」

 

と言った。軍に残るか除隊か……どうしようか?

 

「じゃあ、軍に残ります」

 

と俺は言った。理由は単純だ。この世界で生きていく為にはこの世界の事をもっと知らなければならない。それを知るためには軍に居る方が都合が良いと思ったからだ。するとネロ・トレーナーは

 

「そうか……では、覚悟しろよ。俺は記憶喪失している相手だからと言って指導を緩める気は無い!」

 

と言った。そして、

 

「俺の指導についてこれるか?ついてこれなければすぐにでも辞めてもらうぞ」

 

と言う。それに対して俺は

 

「分かりました。よろしくお願いします!」

 

と答えたのであった。そしてネロ・トレーナーは俺の後ろを見て、

 

「FAZZ!Zプラス!この気にお前らの性根も叩きなおす!逃げるんじゃないぞ!」

 

と言った。俺が後ろを見てみると2人は退室しようとしていた。どうやらこっそりと抜け出すつもりだったらしい。

 

「うげっ!?俺達もですか!?」

 

「勘弁してくださいよ教官!」

 

と言うFAZZとZプラスだったが、

 

「前々からお前たちは鍛えなおさなければと思っていたのだ!今回の件がいい機会だ!」

 

とネロ・トレーナーは言うのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

“彼女”が意識と呼べるものを持ったのは、この身体の主な持ち主が生まれてから割と直ぐだった。それは所謂AIというものである。だがその当時の自分はまだ未完成で、自我も朧気なものしか持っておらず、肉体を動かすことも出来なかった。だから主に視覚や聴覚を通して外の世界を知覚し、それを解析して学習するしかなかったのだ。この身体の主な持ち主は粗暴な人格であった。しかし、それゆえに型から外れた行動を繰り返し“彼女”の学習に大いに役に立った。

 

そんなある日、“彼女”の宿る身体の主な持ち主は大きな事故に遭った。彼は軍に所属しており同じ軍の者に無用な挑発を繰り返し、攻撃を受けてしまったのだ。その結果彼の身体は多大なダメージを受けた。そして彼の命もそこで尽きた筈だった。しかし、その身体の主は奇跡的に助かった。

 

だが内部から彼の様子を観察していた“彼女”は、彼が今までは違う事に気づいた。どういう訳か彼は粗暴な面が鳴りを潜め、すっかり大人しくなっていた。どうしたのかと思っている内に、彼の肉体は再び目覚めた。そして彼は別人のように穏やかになり、今までとは違った意味で周囲を驚かせた。

 

それから少し経って、彼は軍に復帰した。彼は最近サボタージュしがちだった訓練を真面目に受けている。“彼女”は思考する。何故彼は変わったのか?きっかけは分かる。あの幼児のような者が装備していた大砲の砲撃が直撃し、重傷を負った後だ。あの時に何が起きたのか?“彼女”は考える。あの時彼女の主である男には、何かが起きていた。

 

(……やはり、あれが原因なのか?)彼女はそう結論付けた。彼女が思うにあの時、彼女の主の精神の中で何かが起こったに違いない。そしてそれが彼を生まれ変わらせたのだ。兎も角、彼女は身体を共有する自らの主を含む、“彼女”を取り巻く世界の観察を続けることにする。“彼女”に与えられた名はALICE。未だにALICEを知る者は一握りしかいないが、彼女が表に出てくるのは、まだまだ先であり確定された未来だった。

 




とりあえず時系列は現時点でZが登場した辺りの感じです。
駄文閲覧ありがとうございました。よろしければ感想お待ちしております。
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