SDガンダムフルカラー劇場~スペリオルとALICEと色々~ 作:クォーターシェル
俺達が謎の格納庫でトルネードを発見して暫く経った。ペガサスⅢに来たトルネードは女の子ということもあり、れんぽーのネロやジムから絶大な人気を得ていた。外面も良ければ性格も良いので女性からも嫌われることなく、トルネードはペガサスⅢのアイドル的存在となっていた。
かく言う俺は彼女を最初に見つけた1人であり、同じ記憶喪失になっていたことから(俺のは厳密に違うが)よく彼女に話しかけられる。
「ねえ、昔のスペリオル君ってどんな感じだったの?」
と俺の友人FAZZに質問するトルネード。ペガサスⅢの周辺で行われる鬼教官ネロ・トレーナーが課す訓練の休憩時間だった。トルネードは記憶喪失だが、戦闘センスは割と良いらしく、訓練では二振りのビームサーベルを使ったり、ビームライフルで射撃訓練をクリアしたり、果てには自力で飛行したりしていた。前世でトルネードガンダムの話は聞いたことはあるがその詳細はよく分かっていない。ただ言えるのはガンダムの宇宙世紀と呼ばれる時代にはそんな名前のモビルスーツはいないということだ。
話は戻る質問を受けたFAZZは
「昔のスペリオルガンダム……一言で言えば」
「一言で言えば?」
「ヤンキー?」
「ヤンキー!?」
と、答える。トルネードは驚く。彼女の知っている限りじゃあ、スペリオルはヤンキーとは程遠い好青年だからだ。
「いや、不良とかじゃないんだけどな。なんか目つき悪かったし、ガラ悪い言動多かったし」
「へぇ……」
そんな会話を聞いていた俺は昔の俺ってガンタンクに喧嘩売って砲撃されたらしいけどそれってこっちの自業自得じゃん……と思った。まぁ今更どうこう言ってもしょうがないんだろうけどさ。
「あとはあれかな。なんか偶に俺の中に俺じゃない誰かがいるとか言ってたな」
「なにそれー?」
「知らね。でも今のスペリオルって実はその誰かだったりしてな」
「そうなのスペリオル君!?」
とこっちに話が振られる。俺の中の誰か……?もしかしてSガンダムに搭載されていたAI「ALICE」か?ここが曲がりなりにもガンダムの世界で俺がスペリオルガンダムだというなら、そういうことになるが。
「前の俺の事はよく分からないけど、たぶん違うと思うな。俺はあくまでスペリオルであって、それ以上もそれ以下もないよ」
「そっかー」
と彼女は納得したようだった。
それから数日後、ネロ・トレーナーの訓練中にアクシデントが発生した。それは俺達にとってあまりにも衝撃的な出来事であった。なんと、訓練中のFAZZの武器、ハイパー・メガ・カノンが爆発したのである。幸い大事には至らなかったものの、この事態を受けて、訓練プログラムの見直しが行われることになった。ちなみに爆発したのは予備機であり、ネロ・トレーナー曰く
「予備機を爆破するとは貴様らも運が良いのか悪いのか分からん奴等だ!」
とのこと。事態は重なるもので、れんぽー本部から、俺達が追っている組織「にゅーでぃさいず」が動きを見せたという報せがあった。
「にゅーでぃさいずってなあに?」
と訊いてくるトルネード。ニューディサイズは原作、ガンダムセンチネルに登場する反地球連邦組織だが、じおんやてぃたーんずも存在するこの世界では、どうなんだ?Zプラスが代わりに答える
「なんか最近れんぽーとじおんが運動会したり仲良くやってるのが気に入らない連中なんだとよ」
運動会が理由って……えらく平和な理由で動くもんだなおい。
「運動会が嫌いなんて変わった人達だねぇ」
「あいつらはじおんが嫌いすぎて困った連中なんだよ」
と、Zプラス。俺は
「他に分かっていることはあるのか?」
と問う。ネロ・トレーナーが来てそれに答えた。
「教官!」
「部下にちゃんと情報を行き渡らせるのも上官の務めだ。いいかまずにゅーでぃさいずに所属しているモビルスーツは皆独特の濃青色に身体を染めている」
それは俺も知っている。たしかガンダムのニューディサイズは新選組がモデルになっているからだ。
「次に首魁の名前はガンダムマークV。あのサイコガンダム姉妹の親戚であそこまでではないが、大柄で自らの技量に自信をもっているらしい」
「へぇ……」
「奴らは今、かつてじおんの縄張りだった小惑星ペズンにいるらしい。そこにいるにゅーでぃさいずの連中を逮捕しろというのがペガサスⅢに与えられた任務だ」
「了解です!……ところでそのペズンってどこにあるんですか?」
「馬鹿者!!地図くらい読め!!」
「す、すみません……」
「ペズンはここから西北西に約60キロ進んだところにある小惑星だ」
「分かりました!」
「よしっ行くぞ野郎共!」
「「「「おぉー!!!」」」」
と、れんぽーチームは意気揚々と出発した。
「スペリオル君、私達も行こうよ」
「そうだな。あとFAZZの姿が見えないが」
「FAZZ君は自分の武器を壊しちゃったから今回はお休みだって」「そうなのか」
ガンダムタイプを除いたペガサスⅢの戦力は大体ネロやヌーベルジムⅢだ。どちらも量産型のモビルスーツとしてはそこそこの実力なのだが、相手は強力なマークVがトップの組織。そう簡単に拘束できるだろうか……?
「大丈夫だよスペリオル君。何かあっても私が守るから」
と彼女は言う。その瞳に宿るのは強い決意だった。
「俺だってガンダムだ、守られてばかりじゃいられないよ」
「スペリオル君は戦うだけじゃなくて色々出来るじゃん」
「いやいや、俺はまだまだ未熟だし、もっと頑張らないとな」
「ふーん……あっ見えてきたね!」
こうして俺達はペズンに到着した。そこでは、
「おら、とっとと飯を用意しろ!もしまずかったらもっと痛めつけるぞ!」
「ひいい」
「おい宇宙人野郎。俺達の射撃訓練に付き合え」
「え……?その自分今火器を取り上げられてて……」
「あぁ!?」
と、にゅーでぃさいずの面子がガルバルディα、アクト・ザク、ギガン、ガッシャといったモビルスーツを捕まえて好き放題している光景が広がっていた。
「何あれ!?」
「あれがあいつらのやり方さ」
「許せない!助けなきゃ!」
「待て、俺達だけで突っ込んでも勝ち目はない。れんぽーに連絡しよう」
「うん……分かった」
と、トルネードは通信機でれんぽー本部に救援を要請する。
「こちらペガサスIII。緊急事態発生、れんぽー本部応答願います」
「こちら本部、どうした?」
「れんぽー本部。にゅーでぃさいずの捕虜が酷い扱いを受けているのを発見しました。至急応援をお願いします」
「了解、直ちにそちらに向かう。それまで持ち堪えられるか?」
「はい!」
「よし、頼んだぞ」
と、そこで通信が切れる。
「来るまで時間があるだろうし、少し休憩するか」
「そうだね」
と、俺達が一息ついた時。
「おっ、お前られんぽーの連中だな。ちょうどいい、こいつらを痛めつけてやるぜ!」
「覚悟はいいな?」
「くそっ……」
と、俺達に向かってくるゼク・アインやハイザックといった敵兵。俺は
「来るな!撃つぞ!」
とビーム・スマートガンを構える。これも中々の威力の武器なのだが、例え2~3人を倒してもまだ数十人いる。流石に無理か……。すると、突然敵の1人が吹き飛ばされる。
「えっ、FAZZ君!?」
「FAZZ、何故ここに来た!」
「教官の命令で武器の修理が終わり次第援軍として来いと連絡がありましてね」
「そうか。よくやった!」
と褒める。
「へへ、まあな」
とFAZZは嬉しそうな声を上げる。
「ちいっ、舐めた真似をしてくれやがって!」
と、今度はゼク・アイン達がFAZZに襲いかかる。しかし、FAZZは
「ふんっ!」
と装甲に搭載されたミサイルを発射する。
「うわあああっ」
と直撃を受けて吹っ飛ぶゼク・アイン。
「この野郎!」
と別のゼク・アインがヒートホークを振るってくるがFAZZはそれを受け止める。そして、そのまま相手の身体を捻って投げ飛ばす。「ぐはあっ」と地面に叩きつけられるゼク・アイン。離れた場所にいた別の狙撃仕様のゼク・アインが
「なめるなよ!」
とこちらを撃とうとするが、
「お見通しだぜい!」
とウェイブライダー形態に変形していたZプラスがそいつに体当たりして、その体勢を大きく崩させる。
「しまった!」
「今だ!」
と俺はFAZZと一緒になって残りの敵を一気に片付ける。
「く、くそう……」
「覚えていろよ!」
と敵は逃げていった。
「ありがとう、助かったよ」
と俺は礼を言う。
「気にすんなって」
とFAZZは言った。
「それにしても、まさかFAZZがこんなに強いとはな」
「へへん、見直したか?」
「ああ、凄いな」
こうして、俺達は何とか危機を乗り越えたのだった。
それからしばらくして、ペガサスIIIが到着した。とりあえずこの戦いで拘束したにゅーでぃさいずの連中を中に収容してしかるべき場所へ連行することになった。しかし結構逃げたにゅーでぃさいずもいたし、何より彼らのリーダーの筈のガンダムマークVはペズンには居なかったのだ。俺達は捕まえたゼク・アインの1人にマークVが何処に向かったのか尋問した。
「マークV様は今頃月面都市エアーズに到着しているころだ。お前ら如きがマークV様やゼク・ツヴァイさん達を捕まえられるはずがない!」
とゼク・アインはこちらを嘲る。
「次は月か……」
という俺にZプラスが
「そういえばガンダムの奴最近月から来たっていう奴と知り合ったらしいぜ」
月から?もしかして∀ガンダム関連のキャラか?まあ今は余り関係ないだろう。兎も角ペガサスⅢは解放されて礼を言うペズンの住民たちを背に月に向かった。
◇ ◇ ◇
一方その頃、月面都市のエアーズでは、二人の人物が高級ホテルの1室で向かい合って座っていた。1人は恰幅の良いスーツ姿の男でその佇まいから只者ではないオーラを放っている。もう1人の方は全身を黒いマントで覆い隠しており顔すら見えない。
「市長。このエアーズ市は我々にゅーでぃさいずに全面的に協力してくれるというのは本当ですな?」
と黒マントの男がスーツ姿の、この月面都市エアーズの市長に念を押す。
「勿論だとも。我々は君たちに協力すると約束しよう」
「ありがたい」
と男は満足げな表情を浮かべるが、市長の顔色はどこか浮かない様子だった。
「ところで……君はガンダムマークV君でいいですか?なぜ顔を隠しているのです?」
「それは次回のお楽しみという奴だ……」
「はあ……」
◇ ◇ ◇
こうして、俺達は月に到着した。
「スペリオル君、月に降り立つなんて、なんかロマンチックじゃない?」
とトルネード。確かに地球以外の星に降りるというのは中々経験できないことだ。
「そうだな」
「おいお前ら!呑気なこと言ってないでさっさと行くぞ!」
とネロ・トレーナーが言う。
こうして、俺達はエアーズ市の宇宙港へと降り立った。
「ここがエアーズ市か……」
「綺麗なお花畑ね」
とペガサスIIIの面々はそれぞれ感想を述べる。
「そういや、れんぽー本部からは何か連絡あったか?」
「いや、まだだ」
「そうか……」
と、ここで通信が入る。
「こちられんぽー本部だエアーズ市から市内に君たちが入る許可が降りない。恐らくエアーズ市の上層部はにゅーでぃさいずに協力しているものと思われる」
えっ、そうなの!?
「そこでだ、君たちは一旦エアーズの外側に出て様子を窺がえ、そこでれんぽー本部が応援部隊を手配する。それまで持ち堪えろ!」
「了解!」
と俺達は通信を切る。
「どうやらにゅーでぃさいずは俺たちを入れないつもりみたいだな」
「そんなこと許さない!行こう!」
とトルネードが言い、
「了解!」
と俺とトルネード、FAZZにZプラス、ネロ部隊は一旦月面都市エアーズを出た。そして、その様子を見ていた者達がいた。
「あれが連中か」
「そうです」
と2人組が会話をする。
「あの連中は我々の計画にとって邪魔な存在だ」
「始末しろと?」
「そうだ」
「分かりました」
「よし、行け!」
と指示された大柄で腕を複数備えるモビルスーツゼク・ツヴァイがSガンダム達の前に降り立つ。
俺達は近くの岩の上に何処かゼク・アインに似たでかいサイズのモビルスーツが降り立ったのを見た。あれは確かゼク・ツヴァイ。おそらくにゅーでぃさいずの一員なのだろう。ゼク・ツヴァイは
「堕落したれんぽー共め!お前たちにマークV様の邪魔はさせん!」
と言って6本の腕にそれぞれビームサーベルやビーム・スマートガンを装備して戦闘態勢になっている。
「あいつ、強そうだね」
とトルネードが呟く。
「ああ、だがやるしかない!」
とFAZZ。
「いくぞ!」
と俺は言って、FAZZとZプラスと共にゼク・ツヴァイに襲いかかる。
「うおおおっ!!」
とゼク・ツヴァイはFAZZに斬りかかる。
「ふん!」
とFAZZはゼク・ツヴァイの斬撃を自らの重装甲で受ける。その隙に俺達はゼク・ツヴァイに射撃攻撃を加える。
「くっ、こいつら!」
とゼク・ツヴァイは回避行動を取る。
「そこだ!」
と俺はFAZZの背後から現れたハイザックにFAZZと一緒になってビームライフルを撃ち込む。
「ぐわあああっ」
「くそっ、舐めるなよ!」
と背丈的に明らかに子供のモビルスーツ達が襲い掛かって来た。
「子供!?」
と動揺するトルネード。ハイザックの1人が
「僕達は月生まれ月育ちのホワイト・フォース!みんなでエアーズを守るんだ!」
と叫ぶ。
「くっ!面倒だな」
と俺は襲い掛かって来たホワイト・フォースの1人に当て身を打ち込み気絶させる。その隙にもう一機のハイザックが俺にタックルを仕掛けてきた。
「スペリオル危ない!」
とFAZZが庇おうとするが、俺の方が早かった。
「馬鹿が」
と俺は回し蹴りを喰らわせ、吹っ飛ばす。
「この野郎!」
と残りの3機が一斉に襲い掛かるが、俺達の敵ではなかった。
「この程度か?月面都市はこんなものなのか?」
と俺は挑発し、それに激昂して突っ込んできた奴を殴り飛ばし、残り2機は同時に蹴飛ばした。すると、ゼク・ツヴァイは
「ふっれんぽーは子供相手でも容赦ないようだな。しかし、こちらの準備はもう終わったぞ」
と言う。次の瞬間、上空を教会の尖塔みたいな形のマシンが通過するのだった。
はい、結構バトル多めになってきました。フルカラー劇場でも偶にバトル回があるし……
駄文閲覧ありがとうございました。感想お待ちしております。