SDガンダムフルカラー劇場~スペリオルとALICEと色々~ 作:クォーターシェル
「このやろーっ!!」
「くたばれーっ!!」
MO-Vから帰還して1週間ほどのことである。俺、Zプラス、FAZZの3人で殴り合う人々を止めていた。こういった乱闘騒ぎがこの近所だけでも今週に入って5件目で、何かが異常だと判断したれんぽー上層部が各所に調査を命令した矢先のことだった。近所の商店街で乱闘が起こっている通報を受けたのだ。
駆けつけた俺、Zプラス、FAZZの3人は乱闘を収めるべく説得を始めるが、彼らは聞く耳を持たず、ただ
「死ね!」
だの
「お前らは敵か!?」
だのと叫んで殴りかかって来るのだった。最初はただ乱闘しているだけだった彼らだったが次第にその行動もエスカレートし始め、遂にはお互いに武器まで持ち出して暴れ始めたのだ。乱闘を鎮めるべく俺は対暴徒用のトリモチランチャーを発射した。粘つく弾が人々に命中し、彼らを身動き出来なくした。
「はあ……はあ……ようやく片付いたか……」
あれから何分が経過しただろうか?俺たちは乱闘騒ぎを起こしていた人々を全員捕らえることに成功した。彼らはいずれも虚ろな目をしていて会話も成立しない状態だった。俺達は取りあえず救急に連絡して、人々を搬送してもらうことにした。先に起こった事例に習えば、乱闘していた者達は決まって乱闘していた間の記憶が無いらしいのだが……。
「にしても何でこんなことになったんだろう?」
と俺が言うとZプラスが
「さあな、単に口論でも起こったんじゃね?」
と言ってくる。FAZZも
「まあ、とりあえず奴らの搬送を待とうぜ」
と言う。俺達は近くに居た人に聞き込みをした。その中の1人がパン屋を営むガンダムファンに歴代でも最強格と噂されるターンAガンダムだった。ターンAは、
「はい。僕が見た時は談笑しているように見えたんですけど、ちょっと目を離したら殴り合い掴み合いになっていたんです。怖かったですよお……」
と証言した。俺にとっては君が月光蝶を発動する方がよっぽど怖いのだが……。とにかく、このまま調査を続ける俺達。すると……ペガサスⅢからの連絡が来た。他からの聞き込みによると、乱闘騒ぎが起こる直前に何度かモノアイのガンダムタイプのモビルスーツが目撃されているようなのだ。モノアイのガンダム……、はて何か引っかかるような……。
1時間後、乱闘騒ぎを起こした人々を搬送するべく救急車が到着した。救急隊員と共にトリモチランチャーで捕らえた人々の搬送を手伝う俺たちだが、彼らの虚ろな目を見て嫌な気分になるのだった……。
後日彼らについて詳しく調査した所、やはりというべきか彼らには暴行を行った記憶が一つも残っていなかったそうだ……。彼らはまるで誰かに操られていたかのようだった……。ペガサスⅢに帰った俺はふと、
「そういえばトルネードは今日は非番だっけ?」
と独り言を言う。それを聞いたZプラスが
「トルネードちゃん、こういう時お前が帰ってきたら犬みたいにじゃれつくもんな」
いや、そこまでではない気がするが……。FAZZが
「たしかアレックスやメタス達と女子会?に行ってるんだったか?正直言って俺には縁のない世界だぜ」
と肩をすくめる。FAZZじゃなくても女子会なんて男子には縁がないだろう。
「まあ、いいや。じゃあ俺は寝てくる……」
と俺が言うと2人共
「ああ、お休み」
と言うのだった……。
◇ ◇ ◇
私の名前はトルネードガンダム。この名前は記憶も何もかも失っていた私が唯一持っていた名前だ。どの辺が竜巻なのかよく分からないが、私にこの名前を付けた人はセンスがあると思う。
いきなりだが、私は現同僚であり、記憶喪失だった私が初めて目にしたモビルスーツ、スペリオルガンダム君に恋愛感情を抱いている。一目惚れなのか、はたまた記憶喪失の私に世話を焼いてくれた彼に惹かれたのか、それはなんとも判断ができないが、兎に角彼が好きなのは確かだ。
そして私は今、「女子会」なるものに参加している。私と同じ女性型モビルスーツであるアレックスさん、メタスさん、サイコガンダム姉妹といった面子と一緒にだ。
正直言って最初は戸惑ったが、今はもうすっかり馴染みになっている。今の会話の中心は恋話になっていた……。
「私ですか?恋愛ってほどかどうかは分かんないですけど、ザクⅡ改さんとの文通は続いてますね」
とアレックスさん。彼女はホワイトベースに住んでいるガンダムさんの妹だ。
「文通って……随分と古風な……」
とメタスさんが言うとアレックスさんは
「良いんですよ!それよりメタスさんはどうなんです?」
と聞く。するとメタスさんは
「そうね、Zはいつも通りだからまあいつも通りね……」
とため息をついた。彼女の意中の相手であるZガンダムさんはかなりの天然なんだそうだ。まったく脈がないわけではないらしいが、故にタチが悪いと言うか……。
「じゃあ、サイコガンダムさんはどうなんです?」
とアレックスさんが聞くと私達よりかなり体が大きいサイコガンダムさん(姉)は、
「そうね……この間もマークⅡとデートしちゃったわ……!」
と頬を赤らめて言う。どうやらこの面子の中で一番進展しているようだ。その横で妹であるニサイコさんが
「私はそういうのまだ興味ないかなー」
と言いながらクッキーを摘まむ。するとメタスさんが
「じゃあ、トルネードちゃんはどうなのかしら?好きな人とかは?」
と聞いてきた。私は突然の質問に対し驚いてしまう……。
「そっそれはその……」
と口ごもるとサイコガンダムさんが、
「さあさあ、言っちゃいなさい!」
と煽って来る。するとアレックスさんも
「私達仲間じゃないですか!言ってくださいよ!」
と目を輝かせている。うう……こうなったら自棄だ!みんなを巻き添えにしてやれ!!私は思い切って言うことにした。
「わ、私っ!は、す、スペリオル君が好きです!」
「やっぱりねー」
と皆は言った。え?
「え……あ、あの……」
私は戸惑いを隠せなかった。
「いや、見てればわかりますよ」
とアレックスさん。そ、そんな分かりやすかったのかな?するとメタスさんが、
「でもSガンダム君ってZ程ではないけど中々朴念仁って感じよ。トルネードちゃん苦労するわよ?」
と言う。そう言われると不安になってきた……。
「ま、まあ、スペリオルさんって昔と比べると紳士的になった感じがしますし頑張ってくださいね!」
と応援してくれるサイコガンダムさん。私は昔のスペリオル君を知らない。昔のスペリオル君はもっと粗暴な性格だと聞いたが、私が初めて会った時には今の性格だった。でも、私は今のスペリオル君の方が好きだ。
「頑張ります!」
と私が言うとニサイコさんが、
「よーし!じゃあ今日の女子会の〆は特製スイーツにしますか!!」
と言った。こうして女子会は更けていく……。いつか私もスペリオル君のハートを掴むことができるのかな?そう思うトルネードガンダムだった……。
◇ ◇ ◇
翌日、俺はZプラスに叩き起こされた。
「なんだよ……。まだ起床時間は先だろ……眠いんだよ」
と言う俺にZプラスは
「俺、今回の事件の犯人が分かっちゃったかもしれないんだ!」
と慌てた様子で言う。FAZZはと言うと、
「俺もZプラスの奴に起こされたんだが、本当なのか?」
寝ぼけまなこでそう言う。Zプラスは
「ああ、間違いないぜ」
と不敵に微笑む。そして、
「犯人は多分シスクードの奴だ!」
と言った。シスクードって確か……。
「えぅーごに居た奴だよな?」
「そうだ、モノアイのガンダムタイプなんて特徴をしてるのはあいつの他に思い浮かばねー!絶対あいつが犯人だって!」
自信満々に言うZプラスだが俺は
「確かに俺達が知ってる中でモノアイのガンダムなんて特徴を持つのはあいつだけだが、証拠はあるのか?」
と尋ねる。いくら何でも憶測で捕まえるのには証拠が揃ってないだろう。FAZZも
「そうだ、証拠も無いのに犯人と決めつけるのは良くないぞ」
と言う。Zプラスは
「そんな……、俺嘘付いてねーよ!」
と言うが俺にはどうしてもあいつが犯人とは思えないのだ。何か……もっと別の要因がある様な気がするのだ。しかし今そんなことを言ってもしょうがないので、俺達は取りあえずシスクードのことを調べることにした。
俺はシスクードの同僚達が居るえぅーごの艦、アーガマに行った。そこでシスクードのことを色々聞くことにした。表で掃き掃除をやっていたマークⅡは
「ああ、シスクードか。俺と同時期にてぃたーんずを抜けたんだ。まあてぃたーんずなんて抜けて正解だと思うぜ」
と証言する。てぃたーんずか。原作機動戦士Ζガンダムのティターンズもろくでもない組織だったが、この世界のてぃたーんずも世界征服を考えている等やはりろくな組織ではないらしい。マークⅡは
「そう言えばシスクードの奴、兄弟や妹が居たはずだぜ。確か名前はデスパーダにテラ・スオーノだったか……。えぅーごには来てないから多分まだてぃたーんずに居るんだと思うが……」
と更に証言する。兄弟に妹か……。しかしてぃたーんずに居るとすると、そのシスクードの兄妹に話を聞くのは難しそうだな。更に俺達はシスクードが最近どうしているか聞く。
「ああ、あいつ最近アーガマにあんま顔を出さないんだ。もっとも最近のえぅーごはてぃたーんずが最近大人しくなってるんで活動も控えめなんだがな」
「そうなのか」
と俺が言うと、FAZZが
「なあ、マークII。シスクードの奴と通話する機会はあるか?」
と言う。マークIIは
「ああ、あるぜ。今呼出を……」
と言い掛けたその時だった!警報が鳴り出した!アーガマの内部に入ると、えぅーごのモビルスーツ、ネモ達が取っ組み合いの喧嘩をしていた。これは……!
「一連の乱闘事件と同じか!」
「ああ、間違いない!」
俺達はそう言うと喧嘩をしているネモ達にトリモチランチャーを発射し、気絶させた。そして尋問するべく艦の医務室に連れて行ったのだった……。
医務室で事情聴取をする俺たち。しかしやはりというか尋問は難航していた。彼らの証言が断片的すぎてよく分からなかったのだ。俺はふと
「なあ、マークII……」
とマークIIに話しかけた。
「俺達は一連の事件の犯人がシスクードなんじゃないかって疑っているんだ。目撃証言に複数の『モノアイのガンダム』の話があってな」
「そんな……、あいつは悪い奴じゃねえ!確かに口調はぶっきらぼうだがあいつには善良な心がある!」
とマークIIは言う。悪い奴じゃない……か。確かにそうかもしれない。でも最近姿を現さないなど、何かがありそうなのだ……。その何かとは……?そんな時にペガサスⅢに居たトルネードから連絡が入る。
「どうしたトルネード?」
『大変ですっ!てぃたーんずからTR兄弟なるモビルスーツ達が出頭してきました!なんでも今回の事件の事を話すから保護して欲しいと!』
「TR兄弟!?」
『はい、TR兄弟は6機のモビルスーツで、それぞれガンダムTR-1、バイザックTR-2、プロトタイプアッシマーTR-3、ロゼットTR-4、ギャプランTR-5、ガンダムTR-6と言うそうです。彼らは今までの事件について知ってる限りの事を話すそうです!』
「分かった!俺達も直ぐに基地に戻る!」
そして俺達はマークⅡに別れを告げて急いでペガサスⅢに戻るのだった。
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