(完結)しょうもなおじさん、ダンジョンに行く   作:埴輪庭

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半年後②:◆富士樹海の場合◆

 ◆

 

 地上から天に向かって極大の光条が伸びていくのを認め、岩戸重工特殊部隊総部隊長、土門兼次(魔域参照)は「あんなものを森で使うんじゃない」と思った。

 

 その光は文字通り星の光──"SKBL-002 starlight" 通称、『星影』(秋葉原電気街口エムタワーダンジョン⑱参照)のプラズマ刃である。

 

 lightなのに影とはなんぞやという話ではあるが、極大化したプラズマブレードに叩き切られた存在は焼き尽くされ、影の様に地面に残ってしまうという由来がある。

 

 光条は総重量25tの超大容量バッテリーとケーブルを繋げなければいけないという致命的な欠陥はあるものの、その最大出力は0.18メガワットにも及び、最大射程85m、20階建てのビルディングを一刀両断する破壊力を有する頭の悪い近接兵装が使用された証だ。

 

 ダンジョン内で使用される兵器としては最大規模の戦術兵器──これを桜花征機が擁する特殊部隊、桜花機動殲隊は持ち込んでいた。

 

 土門は地面に唾棄し、「が、無理もないか。しかしアレを使ってもどうじゃろうな」とボヤく様に言う。

 

 周囲を見渡せば虚ろな目をした特殊部隊の面々が幽鬼の様に立ち、土門を取り囲んでいる。

 

「たわけどもめ、まんま取り込まれるとはな」

 

 ──何百何千にも及ぶ儂らの精神防御機構を抜くとは。しかし

 

 土門が両の拳を握りこみ、腰を落とす。

 

「貴様らを一端の戦士に鍛えてやったのはこの儂ぞ。恩を仇で返すとは、の!」

 

 土門が自分の体内に埋め込まれたプラズマ防御機構を起動させた。

 

 体内に内蔵されたコンデンサーがエネルギーを放出し、土門の体全体を薄いプラズマの膜が包み込む。

 

 この膜はそれなりにエネルギーを使うが、対多数では非常に有効だ。

 

 物理的な攻撃の衝撃を吸収し、さらに接した相手を焼き尽くす防御力を兼ね備えている。

 

 プラズマの高温に耐え抜く生物は滅多にいない。

 

 特殊部隊の元隊員たちが虚ろな目をしたまま次々と土門に向かって襲いかかってくるが、プラズマ膜に触れた瞬間、焼き尽くされていった。

 

 皮膚や装備は瞬く間に蒸発し、骨さえも高熱に耐えきれず灰となって崩れ落ちる。

 

「ここで終わりなら楽なんじゃがのー」

 

 土門は臨戦態勢を崩さない。

 

 森の奥から何かがやってくる。

 

「まだ追ってくるかよ」

 

 ──いや、それとも追ってきているのではなく偏在するのか? 

 

 土門は考えを巡らせようとするが、しかし考えは中断される。

 

 ──『唵 斡嚩囉 塔囉痲 紇哩』

 

 ──『唵 斡嚩囉 塔囉痲 紇哩』

 

 森の奥から声がする。

 

 声は広がり、森中へと広がっていく。

 

「一切衆生の救済、だったか。ふん、何が救いか。儂らの殆どはお前に殺されてしまったというのに」

 

 土門の目に一瞬諦念の色が滲むが、すぐに闘志によって上塗りされる。

 

 ──今は退く。ともかく、ばらけた連中が生き残っていないとも限らん

 

「糞め、戦力が足りんわ。望月の坊主は何をしているのだか……」

 

 土門はボヤき、気配とは逆の方向へ走り去って行く。

 

 




最強中年デブハゲ魔術師はTS勇者を飼い慣らす~僕は男なのに!神の奇跡で女へ変わる事が出来るせいで、悪そうな魔術師に目をつけられました。雌堕ちしたくなくてももう遅い~

をエッチなほうで書いてます。
でもストーリー重視なので、あんまりエッチじゃないかもです。
TSものですが、しっかり手順を踏んでるので大丈夫です!
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