(完結)しょうもなおじさん、ダンジョンに行く   作:埴輪庭

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秋葉原電気街口エムタワーダンジョン③

 ■

 

「先客がいますね」

 

 DETV社の男性ダイバー、"ハマ王" が呟いた。

 横浜出身の元不良だ。

 短髪編み込み、色黒、巨漢。握力は95キロを誇る。

 ダイバーネームの由来は横浜の王という意味だが、神奈川県横浜市には、既に探索者協会の甲級探索者が君臨している。王というならばどちらかといえばそちらの方が王かもしれない。

 

 ちなみにハマ王の発言は編集で削除されるため、動画にアップされる事はない。

 

『ごらんくださーい!』

 

 ティアラが前方を指し示す。

 そこにはゴムっぽい何かや、白い何かがべちゃあとしていた。

 汚い絵面だ。

 

『ここは1Fなんですが、戦闘痕っぽいですよね!という事は誰かが既にダンジョンに入ってるってことです!皆さんもご存じの通り、ダンジョンっていうのは余り人と遭いません!これはダンジョン入場者の数だけ並行世界が作られるとか色々説がありますが…それでも出遭ってしまう事があります!』

 

 ニコニコスマイルで説明するティアラだが、その目は笑っていない。

 

『他の人たちとの入場の間隔が短い場合、もしくは、特定の目的を抱きながら入場した場合ですね!前者の場合は私たちがそれに当たるかなと思います!後者の場合は救出依頼などを受ける場合ですね!"●●ちゃんとあえますよーに!"って願って入場すると、同じ次元というのか、同じダンジョン領域に入場できるんです!これ、基本ですからねー!』

 

 元気一杯でワァーッと説明すると、よく見ないと分からないほどにわずかに首肯する。

 

 ハマ王がカメラを切るのを確認すると、ティアラは胸元からタバコを取り出して一本咥えた。ビッとでこぴんで弾き飛ばし、火を点けた。摩擦熱で発火させたのだ。

 常人がこんなデコピンを受ければ、一撃で頭蓋を陥没させるだろう。

 

「おい、ハマオ。周り注意しときなよ。クソ雑魚チンポだの、ラブドールならいいけどさ…前に入った奴はよそ者よ。タチの悪い野郎だったらコトだからね」

 

「でも姐さん、タチ悪いって言ったって大した事はないんじゃねっすか?こんな低難度ダンジョン…」

 

 ティアラの言にハマオが異をとなえると、ティアラは公道でいきなり脱糞する馬鹿を見る時のような目をした。

 

「大した事ないっつってもね、先手で撃たれたら死ぬでしょうがよ。あたしだって正面から撃たれちゃどうにかなるかもしれないけどね、狙撃なんてされたらフツーに死ぬわ。てかね、協会探索者同士なら端末で把握されてるし、ウチらはダイバー同士がブッキングしないようにスケジュールを管理してるのは知ってるよね。それでも協会の連中と遭うってんならそれはそれでいいわよ、連中はお行儀良いのが多いから。でもタチの悪い組織だってあるわけじゃん。特に今のアキバは中華資本がどっさり入ってきてて、チャイニーズマフィアの出来損ないみたいなのがワンサカいるんだからさ」

 

 

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