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快楽毒手の使い手は毒蛇に見立てた自身の腕に、致死の電流がまるで蛇の様に伝ってくるのを見た。勿論それは実際に見たものではなく、どちらかといえば幻視の類だ。
電流の伝わる速さは光速と同じであり、
限られた条件下にもいくつかあるが、例えば死に瀕している人生最期の三十秒間などが有名だ。ある者はまるで時が停まったかのように錯覚し、またある者はこれまでの人生を振り返る。全ては脳の異常活動なのだが、そこにある種の神秘性を見出す者もいる。
そして今まさに死に瀕している
白熱した杭だ。
骨を砕き、肉を焼き、皮膚を破り、耐えがたい苦痛を与えてくる悪魔の杭だ。
電流は彼の血管を通って全身に広がり、彼の臓器を焼いていた。心臓は異常な鼓動を打ち、肺は焼けつくような空気を吸い込んでいた。
眼球が破裂したのか、左目の辺りが生暖かい。
それでもなお
だが、せいぜいが二秒。
これはこの恐るべき中華ヤクザが、想像を絶する苦痛の渦中から自身を再構築するまでの時間である。
たったの二秒で
明鏡止水の心地だった。
心頭を滅却すれば高圧電流もまた涼しと嘯けなければ黒組織の頭なんぞは張れないという事である。
──腕を切断し、一度撤退する
氷よりも冷たい思考で身の振りを定めていく。
だが、その様子をつぶさに観察していた『鉄衛』は悪辣なる一手を打った。
『助けてくれ!』
フロアに
──
声すら上げる事も出来ずに男たちは二人、三人と感電し、結句、死体が二、三体増える事になった。
獣肉を網に乗せ、火にかけてその上から髪の毛を振りかけてみれば何となくその場の匂いが想像できるかもしれない。
この時、『鉄衛』に表情というものがあったなら、恐らくは底意地の悪い笑みを浮かべていただろう。そして、次の瞬間には顎を落として愕然とした表情を浮かべたはずだ。
なぜなら……
「て、てっぺぇぇぇぇ!!!」
THE・カラテが、いや、歳三が鬼気迫った様子で駆けてきて、馬鹿みたいなドロップキックを
本当に馬鹿みたいなジェット破城槌の様な凄まじいドロップキックは、
ボッ、というなんだか間抜けな音を立てて胸部が突き破られ、血肉と骨らしき白いものがベチャベチャポロポロと床に落ちる。
◆
「すまねぇ、てっぺーが感電してるのかと思って……」
歳三はタオルで『鉄衛』のボディを拭きながら謝罪した。その黒々としたメカメカボディには
歳三は
床には割れた天狗の仮面(鼻部分がディルドとなっており、この部分で陰部や肛門部を刺激する)が転がっている。THE・カラテの余りに激しい戦闘のせいで、男たちの弾け飛んだ骨がぶつかって割れてしまったのだ。
「感電した人を見つけたら触ったりせずに、ドロップキックして感電元から離してやれってネットのまとめサイトで見ましたよ」
これで居てまとめサイト住人でもあるハマオが言う。
「あ、ああッ……。俺もそれを見て……そうっ、手でふれたら、ビリビリと……危ないらしい……」
歳三が頷きながらいう。どこか嬉しそうだ。これでいて根が帰属意識が高すぎる孤独中年男性である所の歳三なので、いかにも陽キャであるハマオが自分と同じ様にネットの住民である事がちょっと嬉しかったりする。