異世界ラジオのつくりかた ~千客万来放送局~【改稿版】   作:南澤まひろ

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佐助やルティたちが秋葉原へ行く、前の日のお話。


第51.5話 異世界少女(?)と姉妹たち

「んしょっ、んしょっ」

 

 水色のドレスの袖口から、にゅっと手が伸びてきた。

 

「ぷはっ」

 

 続いて、白いフリルがついた襟からにょきっと顔が出てくる。

 そこにいたのは、青い髪と赤い眼を持ったちょっと不思議な女の子。

 

「かな、どーですかね?」

「うんっ、よーく似合ってるよ!」

「わわっ、だめですっ、だめですよー!?」

 

 かがんだあたしとちょうど合う目線で女の子――ピピナちゃんが首をかしげたのを見て、あたしは大きくうなずいてからぎゅーっと抱きしめてあげた。

 

「……姉さん、また変な病気が出てる」

「いつものことだからしかたないよ」

「しーっ。おねーちゃんたち、きこえちゃうよー」

「そこ、わざと聞こえるようにつぶやかない」

 

 後ろから聞こえてきたのは、それぞれ真奈と紗奈と菜奈の声。

 あたしの、かわいいかわいい妹たちだ。

 

「ピピナさん、大丈夫ですか? 苦しくないですか?」

「だいじょーぶですよ。ありがとーです、まな」

 

 あたしを強引にひっぺがして、心配そうにピピナちゃんの顔をのぞき込んだのが中学1年生の真奈。心配性で、世話焼きな子だ。

 

「うんっ、やっぱりぴったり! おかーさん特製のワンピースもよく似合ってるね」

「わたしにはきつくなっちゃったけど、ピピナちゃんにぴったりだねー」

 

 満足そうに、腰に手をあてて胸を張るのが小学5年生の紗奈で、のほほんと笑っているのが小学3年生の菜奈。ふたりは今あたしがいる部屋の主で、そして菜奈はピピナちゃんが着ているワンピースの持ち主だった。

 

「あのっ、ありがとーございます。ななのふく、かしてもらっちゃったです」

「いいんだよー。おねーちゃんのおともだちは、菜奈のともだちだもん」

 

 お礼を言うピピナちゃんと、言われた菜奈がふたりしてえへへーと笑い合う。えっと、デジカメ、デジカメっと……

 

「やめなさい、バカ姉」

「あうっ」

 

 頭に衝撃を受けて振り返ると、真奈がチョップしたのか左手を振りかざしてあたしをにらんでいた。

 

「ハァハァすなっ」

「は、ハァハァしてないよっ!?」

「鼻息が荒かったわよ。やるなら、とことんスマートにやりなさい」

 

 呆れたように言いながら、あたしの紫色のデジカメを右手で手渡してくる真奈。見てみると、点いていた液晶にはさっきのピピナちゃんと菜奈の光景が映し出されていた。

 

「真奈、ありがとー……って、なんで逃げるかなっ!?」

「当たり前でしょっ! 姉さんの馬鹿力でハグされたら背骨が折れるの!」

「折れないって! もうっ、真奈のいじわるっ」

 

 壁際まで後ずさっているあたり、あたしにハグされるつもりはまったくないらしい。もうっ、恥ずかしがり屋さんなんだから。

 

「かなって、いえでもこんなかんじなんですねー」

「いつもこんな感じだよ。なにかうれしいことがあったら、ぎゅーって抱きついてくるの」

「あと、ほっぺたすりすりしてくるの」

「シスコンにも程があるわよね」

「そのひとことは余計じゃないかな」

 

 紗奈と菜奈は当たり前のことみたいに受け入れてくれてるけど、真奈はこんな感じでいつも逃げようとする。前は『おねえちゃーんっ!』ってついてきてくれたのに、これが反抗期ってことなのかな。

 

「しかしまあ、聞いてはいたけどまた外国人の子と友達になってたなんて。誘拐してきたわけじゃないでしょうね?」

「そんなことするわけないでしょ。ルティちゃんのお友達で、瑠依子せんぱいのおうちで泊まってるだけだよ」

「ほら、やっぱり人様の家からさらってきたんじゃない」

「話はちゃんと聞こうよ!?」

 

 真奈の頭の中で、いったいあたしはどんな扱いになっているんだろう。

 

「……まあ、かわいいのは確かだけど」

「ほんと、かわいいよね」

「ピピナちゃん、ようせいさんみたいだよねー」

「えへへっ、ありがとーですよっ!」

 

 それでも、三人揃ってピピナちゃんに素直にかわいいって言えるあたりはあたしの妹たちなんだと思う。そして、何気なく菜奈がビンゴしてるし。

 

 明日は、みんなで秋葉原へおでかけする日。あたしはラジオの生放送が始まる前に、小学生ぐらいの大きさになったピピナちゃんの服を選ぶために家へと招待していた。

 本当ならお店へ買いに行くのが一番なんだけど、今日はラジオの生放送の日。時間がないからルティちゃんの時みたいに家で探すことにしたら、ピピナちゃんがあたしの家へいっしょについてきてくれたってわけ。

 

「まな、ごちそーさまでした。ぎゅーどんおいしかったですよ!」

「簡単な料理だったけど、そう言ってもらえてよかったです。また来てくださいね。今度は、ぜひルティさんもいっしょに」

「はいですっ!」

 

 そして、お昼ごはんも食べ終わったところでもう少ししたらラジオの打ち合わせの時間に。あたしとピピナちゃんが玄関で靴を履いていると、みんなして見送りに玄関へ出てきてくれた。

 

「ピピナちゃん、また遊びにきてねっ」

「こんどは、ふたりでおとまりしにきてもいーんだよ。ねっ、おねーちゃん」

「うんっ。ルティちゃんにも、みんながそう言ってたって伝えておくよ」

「お願いね、姉さん」

「ピピナからも、ルティさまにつたえておくですよっ」

 

 紗奈も菜奈もおねだりして、そして昨日話したときには気が乗らなかった真奈もピピナちゃんに優しい笑顔を見せていた。このあいだルティちゃんがお泊まりに来たときとまったくいっしょなんだから、本当にツンデレさんだ。

 

「じゃあ、行ってくるね」

「またくるですよー!」

「いってらっしゃーい!」

「またきてねー!」

 

 靴をはきおわってドアを開けると、紗奈と菜奈がぶんぶんと手を振って送り出してくれた。何も言わずにいる真奈も、ほんのり笑顔を浮かべて小さく手を振ってくれている。

 

「かなのいえ、とってもにぎやかですよねー」

「みんな元気がいちばんってね」

 

 ドアを閉めて、門から道路へ。あたしよりもふたまわりぐらい背が低いピピナちゃんは、

いつもの手のひらサイズじゃなくて140センチよりもちょっと低いくらいのかわいらしい姿をしていた。

 手には、菜奈がサイズアウトしたドレスの入った紙袋。いつもの緑色のドレス姿に着替えているけど、今は羽を出していなくて耳も丸いから、普通の外国人の女の子にしか見えなかった。

 

「昔は体が弱くていろいろ迷惑をかけちゃったから、あたしが率先して元気でいないと」

「そういえば、むかしはからだがよわかったっていってたですよね」

「うん。よく風邪をひいたり、ちょっとしたことで熱が出てたりしたときに、真奈たちが心配そうに部屋へ来てくれたりしてね。元気になってそういう顔をさせないようにしなくちゃ! って思ってたんだけど……何故か、真奈だけは心配し続けてるんだよねー」

「まなのばあいは、かなのふざけすぎがしんぱいなんだとおもいますよ?」

「知ってるけど、真奈ってばふざけなければふざけないで心配するんだもん。『どうかしたの? 熱でもあるの?』って」

「……それは、かなのじごーじとくじゃないですかねー」

「だよねー」

 

 熱が出てても心配させないようにってふざけてみたりおどけてみたりしたら、真奈が喜んだり「まったくもう」って感じで構ってくれたからずっと続けてたんだけど……うーん、さすがにやりすぎたのかな?

 

「こんどきたときには、まなともあそんでみるですよ」

「ぜひぜひ。あの子って遠くから見て愛でないと興奮するタイプだから、ピピナちゃんが直接タッチでもしたら鼻血でも噴き出しちゃうんじゃないかなー」

「やっ、やーですよ!? シャルさまみたいにはなぢまみれにされそーになるのは、もうごめんです!」

「『シャル様』?」

「ルティさまのいちばんうえのおねーさまです。『なんだこのかわいいいきもの』っていわれたからてのうえでごあいさつをしたら、ぶーってはなぢをだして、ピピナがあびそーになって」

「あー……それは確かにトラウマになるよね」

「やです、あれだけはもーやです!」

 

 その時のことを思い出したのか、ピピナちゃんがぶんぶんと首を横に振る。妖精さんサイズで上から鼻血の滝とか、確かに想像しただけでとんでもないビジュアルだわ。

 

「……まなのことは、じょーだんですよね?」

「冗談冗談。ごめんね、ちょっとびっくりさせようとしたらトラウマを掘り起こしちゃったみたいで」

「べつにいーですよ。かなのしらないことだったんですから」

 

 ちょこっとぷんすかしていたピピナちゃんだけど、あたしが謝ったらまったくもうって感じで笑ってくれた。妖精さんって思わぬところにトラウマがありそうだから、ちょいちょい言動に気をつけたほうがいいのかもしれない。

 

「えっと……その『シャル様』のことって、聞いても大丈夫かな」

「シャルさまじしんなら、べつにだいじょーぶです。とってもきびしーおかたで、よくけんきゅーじょからでてきたときにはくいのおにーさんたちをきびしくしかってたですよ」

「研究者なの?」

「はいです。〈のうち〉とか〈ひりょー〉のけんきゅーをしてて、おーひさまのおてつだいもよくしてるですね」

 

 それでいて、かわいいものが大好きすぎて耐性がないと……うん、見た目と中身は裏腹っていうのはよくあることだよね。一度、会って話がしてみたいお姉さんだ。

 

「そのシャルさまについてるピピナのねーさまが、いちばんうえのユユナねーさまです。ものしずかで、いつもシャルさまについてじょげんとかしてて」

「ユユナさんかぁ。ピピナちゃんも、ルティちゃんと同じ7人兄姉なんだっけ」

「はいですっ。でも、にーさまもねーさまも、レンディアールのおーじさまやおーじょさまについていっしょにいるですから、ながいあいだあってないですよ」

「そうなんだ。じゃあ、リリナちゃんといっしょにいるのは珍しいほうなの?」

「ちゅーおーとしにいるときはいっしょでしたから。そのときは、ずーっとけんかしてばっかりでしたけど」

 

 その時のことを思い出したのか、ピピナちゃんの顔がちょっと曇る。そっか、つい最近まで仲違いに近かったんだもんね……

 

「でもでも、かなたちのおかげでねーさまとなかなおりができたです。ほんと、みんなとあえてよかったですよ!」

「えーっと……がんばってたのは松浜せんぱいと瑠依子せんぱいで、あたしはどっちかっていうと引っかき回したほうなんじゃないかなー?」

 

 リリナちゃんの目の前でフィルミアさんへ忠誠を誓うようなマネごとをしてみせたり、大混乱してパニックになっていたリリナちゃんを落ち着かせようと、おどけながらリリナちゃんの足首を思いっきりつかんだら気絶させちゃったし……うん、結構やっちゃってる。あたし、結構ヒドいことしてる。

 

「そんなことはないですよー。ねーさまも、かなはばをなごませてくれるたつじんだっていってました」

「そう言ってくれるのは……まあ、うれしいかも」

「ピピナも、かなのえんぎとかものまねとかでとってもたのしませてもらってるですよ。だから、じしんをもってほしーです!」

 

 ピピナちゃんはそう言って、あたしを見上げたままむんっと両手をにぎってみせた。そこまで言われたら、応えないわけにはいかないよね。

 

「じゃあ、もっともっとひっかきまわしていくことにするよ!」

「あのー……ほどほどにですよ?」

「ですよねー」

 

 うん、知ってた。

 

「ねーさまをきぜつさせたあと、さすけにおせっきょーされてたじゃないですか。あそこまでいくとやりすぎだとおもうです」

「どうしても、その場のノリでねー……って真奈と同じ感じで説教されてるし!」

「まなもくろーしてるんでしょーねー」

「真面目にしたらしたで本気で心配されるあたしは、もしかしたら詰んでるんでしょーか」

「ほどほどをまなびましょー」

「うーん、同じ妹ポジションなピピナちゃんに言われたら、そーするしかないかぁ」

「いもうと? ピピナがですか?」

「そうでしょ。リーナ一家の末妹なんだし」

「んー」

 

 って、あれ? なんで腕を組んで考えちゃうのかな?

 

「たぶん、ピピナのほーがおねーさんですけどね」

「またまたぁ、ご冗談をー」

「だって、たぶんかなのじゅーばいいじょーはいきてるですから」

「……え?」

 

 み、見た目小学校低学年ぐらいなのに……あたしの、十倍以上だって……?

 

「ピピナたちよーせーは、うんめーのひととであうよりずーっとまえにうまれるです。レンディアールのおーしつのこととか、せかいのことをとーさまとかーさまからまなんで、おーじさまやおーじょさまとのであいをまつですよ」

「ということは、ルティちゃんが生まれた時からずーっといたっていうのは……」

「もちろん、いつもみたいなおーきさぐらいになってからです。リリナねーさまも、うまれてくるミアさまをまもるためにけんとかちからのしゅぎょーをしてたですから」

「じゃあ、ピピナちゃんって……あたしよりもお姉さん、ってこと?」

「そーゆーことになりますねー」

 

 どう見てもちびっ子なピピナちゃんに何でもないように言われて、一瞬目の前が真っ暗になる。

 でも、イヤだとかそういう感情じゃなくて……ただただ、驚いているだけ。

 そのことを自覚してから改めてピピナちゃんを見てみると、また別の気持ちがわき上がってきた。

 

 ピピナ・リーナちゃん。

 推定年齢があたしの十倍以上ってことは、最低でも150歳以上。

 それでいて、人間サイズの見た目はどう見つくろっても小学生ぐらい。

 

「あたし……ロリババアもいけるのかな……」

「なんかいったですか?」

「いやいやいやいや、なんでもないっ! ちょっとしたひとりごと!」

「???」

 

 あわてて弁解したあたしに、ピピナちゃんが見上げながらこてんと首をかしげてみせる。

 そのかわいらしさは、どう見てもピピナちゃんオリジナル。性格も見た目も、子供すぎでも歳をとりすぎでもない。うん、よーくわかった。ピピナちゃんは、ピピナちゃんっていうオンリーワンでしかない! そう思うことにしよう!

 あとで、事務所の先輩からロリババア本のオススメは聞くけどね!

 

「でも、さ」

「なんです?」

「だったら、どうしてピピナちゃんはルティちゃんへ妹みたいに接してるの? お姉さんみたいに接する道だってあったと思うんだけど」

「ああ。それは、にーさまやねーさまがもうやってたですから」

 

 簡単なことだとばかりに、ピピナちゃんがにぱっと笑う。

 

「みんながやったこととおなじことをやっても、たのしくないっておもったです。だから、ピピナがきめたことは『ルティさまをまもる』ことだけ。あとは、ルティさまとおなじめせんで、いっしょにじゆーきままにたのしんでみよーっておもったんですよ」

 

 自信満々に言い切るピピナちゃんの姿は、大きさこそ違うけどいつもの妖精なピピナちゃんとほとんどいっしょの姿だった。

 

「それが、ピピナちゃんの自由の原点なんだね」

「そーゆーことですっ」

 

 いつものように、『えっへん』と胸を張ってちょっぴり大きめな胸を揺らす。

 大きくなっても、ピピナちゃんはピピナちゃん。

 いつもそばでルティちゃんを守っていて、あたしたちを異世界に連れて行ってくれて、いっしょに同じ時間を楽しんで。

 やっぱり、ピピナちゃんは素敵な妖精さんだ。

 

「でも、ちょっとおもしろそーですね」

「何が?」

「かなに、いもうとじゃなくおねーさんにふるまってみるのがですよ」

「えっ」

 

 そう言って、ピピナちゃんはぷくーっとほっぺたをふくらませてみせると、

 

「こらっ! いつもはぁはぁしてたら、まなにしんぱいされたりさすけにおこられるからめーですよっ!」

 

 ぷんぷんと、あたしを見上げて怒ってみせた。

 ちょっとつり目で逆ハの字になった眉も、怒った感じの紅い瞳も、腕を組む仕草も、みんな、みーんなかわいい。

 

「ああっ……」

 

 うん、ダメ。

 これ、完全にあたしがダメになっちゃう。

 

「……かわいい」

「えっ」

「かわいい! やっぱりピピナちゃんはかわいいよー!」

「わわっ、だめですっ! やめるですよっ! ピピナはおねーさんなんですよー!」

 

 たまらなくなってぎゅーっと抱きしめると、ピピナちゃんがあたしの腕の中でじたばたともがきだした。そうそう、いつものこの感触もたまらないんだぁっ!

 

「姉さん」

「えっ」

 

 と、後ろから聞こえてきたのは聴き慣れた声。

 10年以上聞いてきたその声のほうを振り向いてみると、カメラのシャッター音がして、

 

「忘れ物の台本を届けに来てみたら……歩道のど真ん中で、何をしてるの?」

 

 うわあ、って感じの顔をした真奈が、自転車から降りてスマホのカメラをあたしに向けていた。

 

「あー、これは、なんというか、そのー」

「きーてください、まなっ! ピピナ、ちょっぴりかなをおこったらこんなかんじでだきついてきたですよー!」

「……姉さん、そのうち警察を呼ばれるんじゃない?」

「あう……」

「まったく、かなってばいつもこーやってだきついてくるんですから」

「ちょっと待ってくたさい。『いつも』ですか?」

 

 あっ。

 

「そーですよ! さすけのおかーさんがやってるきっさてんでも、るいこおねーさんのいえでおとまりしたときも、いーっつもべたべたしてくるです!」

「…………」

「あは、あはははは……」

 

 じとーっと見てくる真奈に、あたしはただ笑ってごまかすしかなくて。

 

「……事案ね、事案」

「ちょっと、どうしてスマホを取り出すかなっ? しかもなんで『1』からタップしようとするのかなっ!?」

「姉だった人が暴走するのが居たたまれないの」

「ねえ、今『だった』って言った? 言ったよね!」

「私に『姉』なんていないわ」

「いるよっ!? っていうか、そのセリフってあたしの部屋にあったゲームのなんだけど!」

「ふーんだっ、みちばたでやったばつですよ。ちょっとはおきゅーをすえられればいーんです!」

「ピピナさん、実にいい言葉です。というわけで、家に帰ったらお説教だから」

「ですです。まな、じーっくりおせっきょーしてあげてください」

「そんなっ、ちょっとした出来心だったのに!」

「いつものそれがいけないのっ!」

「だめだめですっ!」

 

 妹からも、そして妹みたいな妖精のお姉さんからもしかられて。

 ちょっぴりとほほって思ったけど……こうして、しかってくれる人がいるのは幸せなことで。

 

「……えへへ」

「……さっきの写真、事務所のメアドに『こんなことしてますよ』って送ろうっと」

「ぜんぜんこりてないです」

「やっ、それだけはやめて! 事務所に送るのはやめてっ! メーラーは! メーラーだけは!」

「「だったら、ちょっとは反省(はんせー)しなさいっ!」」

 

 ふたりとじゃれ合いながら、そんな幸せを噛みしめていた。

 

 でもさ、真奈。

 本当に、ウチの事務所のメアドに送らなくたっていいじゃん……

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