TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
「うわああああ!!このままじゃ家から追い出されるーー!!」
この世に生を受けて十六年。ワタクシは……否、俺は思い出してしまった。この世界が前世で中高生層を中心に流行っていた大人気ベストセラー恋愛小説『ただの庶民の私が華族の奥様に!?』の世界で、そして俺はその小説に出てくる五大華族の一つ、西条院家に嫁いできたヒロインを執拗に虐め続けて最終的には堪忍袋の緒が切れた兄『西条院隼人』に西条院家から追放されて最終的には娼婦に身を堕として破滅する悪役『西条院彩華』だったと言う事に。
いや、だったらヒロインを虐めなきゃ家から追い出されないし破滅しないんじゃない?って思っただろう?俺も一瞬そう思った。だけど……俺には分かる。十六年培ってきたお嬢様としての常識が非常識な事をばっかりするヒロインを前にしてイラつかないわけがないと。
「くっ!どうする!?このままじゃ後一ヶ月で破滅まっしぐらだぜ!」
今日からちょうど一ヶ月後に『西条院家』に嫁いでくるヒロインに対してキツい態度or厳しい言動を取らない自分のビジョンが全く見えて来ず頭を抱えて天を仰いだ俺だった。が、何気なく顔を上げた先に飾られていた祖父『西条院総一郎』の肖像画を見て……前世の自分なら考えも付かなかった恐ろしい考えを閃いてしまった。
「そ、そうだ!ヒロインが来る前に兄貴と子作りすればいいんだ!!」
名案だと思った。多分、前世の世界の人間が今の俺の台詞を聞いたら正気を疑うだろう。だって前世では近親者同士でそういう事をするのは倫理的に禁忌とされていたし、さらにどんなに当人達が愛し合っていたとしても兄妹というだけで結婚する事を法律で禁じられていた。だが、この世界は違う。この世界では近親者同士がそう言う事をするのは倫理的に禁忌とされていないし、例え血が繋がっていたとしても兄妹同士で結婚出来る。むしろ血を重要視する華族では近親婚は推奨されている節がある。つまり、ただの庶民ではなく実は『亡き帝』の血を継いでいるヒロインが嫁いでくる前に『西条院隼人』と子作りして既成事実を作って結婚さえしてしまえば、ヒロインがこの『西条院家』に嫁いでくることはないし、そもそもヒロインを虐めて『西条院家』から追い出されるという事態が起こらない。
「ふふふ……我ながら恐ろしく良い考えだぜ……よし、そうと決まれば……あのうるさい教育係がいない今夜が絶好のチャンスだな!!」
善は急げ。俺は椅子に掛かっていた羽織を鷲掴むとそのまま勢い良く兄である『西条院隼人』と子作りする為に部屋から飛び出したのだった。