TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」   作:赤々

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第12話

 

 

 

 

 

「いや、困ったわって……」

 

 

 いやいやいや俺の方が困るんだが!?だって後一週間もしない内にヒロインが来るって言うのに唯一の頼みの綱である惚れ薬が無いなんて……冗談抜きでこのままだと娼婦フラグまっしぐらだぞ!?い、いやだああああ!自分の親と同じくらいの男に股を広げるなんて無理だ!生理的に無理!ど、どうにか!どうにかしねえと…!!

 

 

「あら、どうしたの西条院さん?顔色が悪いわよ……?」

 

「……篠崎さん」

 

「ん?なにかしら?」

 

「ワタ……ワタクシが代わりに薬を取りに行ってきますわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (――……とは言ったもののどうやって桜花街に行ったものか……)

 

 

 帰宅後。俺は篠崎志乃からもらった惚れ薬が売っている場所が書かれたメモ片手に屋敷に中を歩きながら悩んでいた。そう、あんな勇ましく薬を取りに行くとは言ったものの、よくよく考えれば今の俺は五大華族の西条院家の令嬢。前世のように『買いたいものがあるからちょっと出かけてくるわ!』なんて気軽に出かけようとすれば門番たちに止められる立場だし、なにより素直に『桜花街』に行きたいと言おうものなら『華族の令嬢が庶民が集まる歓楽街に出かけるなんて何を考えているんですか!?貴方は嫁入り前の大事な時期なんですよ!もし野蛮な輩に襲われでもしたら……だめです!絶対にだめです!』と言って止められるに違いない。特に黒須あたりに。

 

 

「……かと言ってこのまま手をこまねいて娼婦になるのもぜったいに嫌だ!と、とりあえず……まずは屋敷の門のあたりに行って門番たちに見つからないで外に出る方法がないか探してみるか……ん?なんだ?」

 

 

 そう呟きながらちょうど厨房の前を通りかかった時。ふと厨房の中が騒がしいことに気が付いた。

 

 

(なんだ……?野良猫でも厨房の中に入ってきたのか?)

 

 

 俺は不思議に思い、そっと厨房の中を覗き込んだ。すると、中には数人の料理人らしき男達と何故か黒須がおり、料理人たちはグズグズと嗚咽をみっともなく溢しながら厳しい顔をしている黒須に向けて何度も何度も頭を下げていた。

 

 

「あ、ありがとうございます黒須様!俺たちお陰で路頭に迷わずすみそうです!」

 

「路頭に迷うなんて大袈裟な……」

 

「いえ大袈裟なんかじゃありません!知らなかったとはいえ旦那様の好物である桜花街の『柚子堂』の羊羹を食べてしまったなんて……時代が時代なら両手を切り落とされたうえでお屋敷を追い出されても仕方がないほどのことをやらかしてしまったのですから!」

 

「それなのにやらかしてしまった俺たちに変わって桜花街まで行って羊羹を買ってきて下さるなんて……」

 

「本当にありがとうございます黒須様!!あなたは命の恩人です!」

 

「はあ、全く大袈裟な……別に貴方たちの為ではなくて旦那様の為に買いに行くんですが……」

 

(ほう……?)

 

 

 どうやら話を聞く限り、あの料理人たちは誤って親父の羊羹を食べてしまったらしい。そして、その食べてしまった羊羹を黒須が買いに行くことになった……と。ははあ、なるほどな。そりゃああんな必死こいて頭を下げるわけだ。

 

 

 

 

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