TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」   作:赤々

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第13話

 

 

 

 ……いや?待てよ?

 

 

(桜花街に行く……?しかも車で……え、だったらその車に隠れて乗っていけば門番たちに見つかることなく桜花街に行けるんじゃねえか!?)

 

 

 名案だ。自分の素晴らしいひらめきに俺は心の中でガッツポーズした。そう、何度もいう通り令嬢の身である俺が誰にも見つからず屋敷を出て桜花街に行くなんてめちゃくちゃハードな事なんだ。しかし、その桜花街に黒須が今から行くと言うのだ。しかも車で!これは願ってもない好機。この機会を逃す馬鹿はいないだろう。

 

 

(そうと決まれば……よし、)

 

 

 俺はさっそく行動に移すことにした。まず、黒須たちに感づかれないようにそっと厨房から離れて裏門へと向かう。そして、誰にも見つからないように慎重に屋敷の中を歩き、裏門まで辿り着くと思った通り、裏門の納屋には年季の入った一台の軽トラ車が停めてあった。

 

 

「よし、これだな……」

 

 

 たまに使用人たちが使っているのを見た事がある軽トラ車を見つめて頷く。そして躊躇なく荷台に手を掛け足を掛けて荷台の中へと転がり込んだ俺は中にあった薄汚れた茣蓙を体に掛けて身を隠し『今の俺の姿を黒須が見たら卒倒しそうだ…』と思いながら黒須がやってくるのを待つことにした。そうして十分くらい経った頃だろうか。不意に数人の足音と話し声が聞こえてきた。

 

 

「申し訳ありません、黒須様……生憎いま使える車があれしか無くて……」

 

「……軽トラックですか」

 

「っ!で、でもご安心下さい!見かけは確かに大分年季が入っていますがちゃんと動きますし、週一で車内の清掃もしてますから!!」

 

「いや、私が言いたいのはそんなことじゃなくて軽トラックで帝都の中心街に……いや、なんでもありません。そんなことより早く鍵を寄越しなさい。早く行かないと柚子堂の羊羹が売り切れてしまいますから」

 

「は、はい!すぐに!」

 

 

 そこで会話が途切れ、黒須と使用人の声がしなくなった直後。ガチャリと運転席に誰かが乗り込む音と同時に軽トラのエンジンがかかる音が俺の耳に響き、そして、そのままゆっくりと軽トラは動き出し、裏門を抜けると軽トラはスピードを上げて快調に走り出した。

 

 

(う、嘘だろう!?こ、こんなあっさり屋敷から出ちゃっていいのか……!?)

 

 

 驚くほどあっさり屋敷から出られて、荷台の中で俺は拍子抜けする。しかし、せっかく黒須にバレずに屋敷を抜けられたのにここで気を抜いてバレてしまったら元も子もない。なので、俺は気を引き締め直して黒須に俺の存在がばれないように再度薄汚れた呉座を被り直し、小さく身を屈めて桜花街に着くまで息を潜めることにした。そうして思った以上に乗り心地が悪い荷台に辟易しながら車に揺られること約三十分ーー……

 

 

 

キキッ!

 

 

「っ!」

 

 

 突然、ブレーキが強く踏まれて軽トラが止まった。

 

 

 

 

 

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