TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」   作:赤々

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第14話

 

 

 

 そして続いてエンジンが止まり、バタバタと忙しなく運転席から誰かが降りていく音が聞こえる。その音に俺は漸く桜花街に着いたのだと思い、体に掛かった茣蓙を少しずらし荷台から外の様子を伺い――……

 

 

「っ!」

 

 

 思わず息を呑んだ。俺の視界に広がるのは見渡す限りの人、人、人--……。道路を埋め尽くさんばかりの人がせわしなく行き交っていた。その規模は前世の都心部と良い勝負……いや、たぶんそれ以上の規模だろう。そして町の中央には桜花街の名前の由来となった巨大な桜の木がそびえたち、そこから四方に何本もの道路が伸びて、道路沿いには多くの店が軒を連ねていた。

 

 

「まさに桜で出来た街だな…」

 

 

 感心しながら俺はそんなことを呟き、前世でも見た事がない圧倒的な街並みを暫く眺めていたがやがてハッと我に返って頭をブンブン横に振った。

 

 

(ハッ!い、いかん!つい見惚れてしまった!しっかりしろ俺!観光に来たわけじゃないんだぞ!)

 

 

 パン!と頬を叩き、桜花街の景観にすっかり目を奪われていた自分を戒めて、俺は気を引き締め直すと運転席に誰もいない事を確認してからゆっくりと荷台から降りた。そして突然軽トラの荷台から降りてきた俺にびっくりする人を無視してキョロキョロと周りを見回しながら、街の中を歩き始める。

 

 

「ほー、色々売ってるなあ」

 

 

 そう言いながら歩く俺の視線の先には煌びやかなドレスがショーウィンドウに飾られた洋服屋や、道ゆく人に桜餅を勧める屋台、美味しそうな料理のサンプルが幾つもショーケースに並べられた喫茶店、狭い店内に所狭しに漫画が積み上げられた古本屋など新旧問わず様々な店が建ち並んでおり、ついつい店の中に入って買い物したくなる欲に駆られる。しかし、今日は買い物に来たわけじゃないんだと自分に言い聞かせて暫く歩いていると、ふと一つの店が目に入り足を止めた。その店の看板を見上げれば、看板には『駄菓子屋』と書かれており、どうやら駄菓子を売っている店らしいのが分かる。……のだが、なぜか駄菓子屋の前に若い女性たちの人だかりがあり、どうみても駄菓子なんかよりスイーツが好きそうな女性の集団が気になった俺は女性達に声をかけた。

 

 

「あの、もしもし?これは何の集まりですの?」

 

「ん?何の集まりかって……見れば分かるじゃない!今ね、俳優さんがこのお店に来ているのよ!」

 

「俳優?」

 

「ええそうよ!雑誌では見た事ないけど……あのイケメンっぷりは俳優さんに間違いないわ!」

 

 

 俺が声を掛けると、ちょうど近くにいたポニーテールの女性が興奮した様子で俺にそう教えてくれた。

 

 

(駄菓子屋に俳優……?へー、何かの取材でもしているのか?)

 

 

 女性の言った台詞に首を傾げながらも、俳優という言葉に興味が沸いた俺は人だかりの隙間から店の中を覗いて見る。すると、そこには確かに女性の言った通り、ツバの付いたキャップを目深に被り、真剣な表情で駄菓子を品定めしている俳優みたいな整った顔立ちをした金髪の青年ーー…………兄貴がいた。

 

 

 

 

 

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