TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
「……分かったよ、彩華。確かに彩華の言う通り僕が彩華のことをとやかく言う資格はないね」
「! じゃあ……!」
「でも、ダメだ。何度も言うけど彩華は嫁入り前の大事な時期。だから一人で自由に買い物をしてもいいよなんて無責任なことは言えない。……だけどね、僕は彩華の意思も尊重したいし、大事な妹の悲しい顔は見たくない。だから教えてくれないかな?彩華、君は一人でどこに行こうとしていたんだい?」
「ッ!そ、それは……」
兄貴の追及するような物言いの俺は言葉を詰まらせる。だって、しょうがねえだろう!?素直に『お兄様に盛る惚れ薬を買いに来たんです』なんて言えねえじゃん!かと言ってこのまま黙っていたら確実に家に連れて帰られそうだし……!つか、兄貴も俺が答えられないのわかって言ってない!?
「彩華、どうしたんだい?答えられないのかい」
「ぐっ……」
「彩華」
「……ぐうっ、うぅ……あぁ……ラ、……メが……たいから……」
「え?今なんて?」
「だっ、だから……カップが……たいから……カップラーメンが食べたいからお屋敷から抜け出してきたんです!!」
「え?」
「え、ええ!そうです!そうですわ!あの時、お兄様に頂いたカップラーメンの味が忘れられなくて……もう一度食べたくてお屋敷から抜け出してきたんです!!」
「え、ラーメン……?」
半ばヤケクソ気味に叫んだ俺の言い訳に兄貴は呆気に取られる。そして、震える手を口に寄せたかと思った次の瞬間、
「あははははっははは!!カップラーメン!?彩華、君、カップラーメンが食べたいから一人でお屋敷から抜け出してきたの!?冗談だろう!?あはははっ!!」
と、口を押さえて大声で笑い出した。その大声で笑う兄貴の姿に嘘とは言え無性に俺は恥ずかしくなるが、これはチャンスだと自分に言い聞かせ、この下手な言い訳を貫くことにした。
「わ、笑わないで下さいお兄様!ワタクシ本気でカップラーメンが食べたくてお屋敷から抜け出してきたんですから!」
「あははっ!ごめんごめん……だっててっきり悪い友人に唆されてこんなところに来たかと思ってたから……それがまさか僕と食べたカップラーメンの味が忘れられないからだなんて……あははっ!彩華ったら可愛いなあ!」
「だから笑わないでくださいってば!ああ、もうだから言いたくありませんでしたのに……!」
「ふふふっ!でも……大丈夫。これで彩華が桜花街に来た理由は分かったからさ。それじゃあ僕も責任を取らないといけないね」
「え?」
唐突な兄貴の言葉に疑問符を浮かべるそんな俺を見て、兄貴は優しく微笑むと
「ねえ、彩華。僕とデートしよっか」
と悪戯っぽく笑った。