TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
「いえ、結構ですわ。ワタクシ急いでおりますの」
「いいえ!篠崎様のご友人をもてなさないわけにはいきませんから!それに今から調合しますのでお時間も掛かりますし……」
「え、そうなの?……ではなくて、ごほんっ。そういうことでしたらお茶を頂きましょう」
「ありがとうございます!では、今お茶をご用意してまいりますね!」
そう言って店主は恭しく一礼をして部屋を出ていく。一人部屋に残された俺は渋々と手前のソファに腰を下ろし、店主がお茶を持ってくるの応接室にある振り子時計を眺めながら大人しく待つことにした。そして2分が過ぎ……
「うん。さすがに2分は早すぎだよな。」
5分が過ぎ……
「まあ、カップラーメンだってお湯沸かすのも含めれば3分以上は掛かるし……」
10分が過ぎ……
「なんか遅く……いや、待て待て。たぶんお茶菓子とか色々準備してくれているんだろうから……」
15分が過ぎ……
「これはあれだ。きっとなんかガスコンロの火が弱くてなかなかお湯が沸かないかもしれん。まさか忘れられているなんてことは……はははっ!ないな!」
さらに30分が過ぎ……
「いやまじで遅すぎだろう!?いくらなんでもお茶を淹れるのに30分もかかっているのはおかしくないか!?え、まさかこれ本気で俺忘れらているかんじ?いやいやそれはないだろう。いくら前世ではバイト先の閉店作業中にすっかり俺の存在を忘れていた店長に店の鍵を閉められて店に一晩閉じ込められたことがあるとはいえ……いや、ありえるな……と、とりあえず様子を見に行こう」
30分も待たされていい加減我慢の限界をむかえた俺はソファから立ち上がり、応接間のドアに手をかけてそのままドアノブを引いた……瞬間。
「うわあ!?」
至近距離に男のドアップの顔が映り、びっくりして思わず叫び声を上げる。が、よくよく見ればその男の手には急須と湯飲みが乗せられた盆が握られており、ワンテンポ遅れて目の前の男の顔がこの店の店主だったと思い出す。
「な、なんだ……いらっしゃったのね」
「え、ええ……いまきたところで……申し訳ありません。どうやらだいぶお待たせしてしまったようですね」
「ふん、全くですわ。すぐにお茶を用意するって言って30分も待たせるんですもの」
「ははは……それは本当に申し訳ありません。実はガスコンロの調子が良くなくてですね……いや、そんなことは置いておいてこんなところで立ち話もあれですから部屋に戻りませんか?」
「まあ、それもそうですわね」
確かにそれもそうだと思った俺は店主の言う通り、先程まで座っていたソファに戻ろうとくるりと踵を返した。その時だった。
バチッ
という何かが爆ぜる音が唐突に部屋に響き「なんだろう」と思った次の瞬間。背中にまるで熱く熱した焼鏝を押し付けられた様な鋭い痛みが走り、そして俺の身体は突然の衝撃に耐えられず、そのまま床に崩れ落ちる。
「ッ…!」
(いっ、いてえええっ!?な、なに!?何が起こったんだ!?)
身体がまともに動かせない程の激痛に呻きながら突然自分の身に降り掛かった出来事に俺は激しく動揺する。そして、そんな俺を嘲笑うかの様に頭上から声が聞こえてきた。
「……おや、まだ意識があるようですね。はは、可哀想に。一回で意識を失っていればもう一度スタンガンを当てられずに済んだものを……でも、仕方ありませんね。意識があるのは色々と不都合ですから」
(え、この声ってこの店の店主の……?ああ、なるほど。スタンガンを当てられたからこんな痛いのか……じゃなくて!まさかもう一回スタンガンを当てるつもりか!?おい冗談だろう!?スタンガンって絶対一日に何度もやって大丈夫なやつじゃないだろう!?あ、ちょっ、おい、だから止めろって!バカアホ近づくな!俺のか弱い美少女ボディに何をするんだ!アッーー……!!)
そんな俺の心の声など店主の男に届くはずもなく、無慈悲にも再び部屋に響いたバチッという音と共に俺の意識は暗転した。