TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
「っ、う……ん?」
それからどれくらい経ったのか、頬にあたる硬い感触に意識を浮上させた俺はゆっくりと瞼を開く。と、目に入ったのは見覚えのない薄汚れた天井だった。
(あれ?ここは……どこだ?確か、俺は兄貴と別れて薬屋に行ってそれから……)
まだ完全に覚醒していない頭で意識を失う前のことを思い出そうとしたとき不意に頭上から声が掛けられた。
「……あら、目が覚めたみたいね」
その声に反応して視線を上に向けて……そして俺は目を見開いた。なぜならそこにいたのは「最近親の目が厳しくなって惚れ薬を取りに行けなくなった」と言っていた筈の篠崎志乃がガタイの良い男たちを両脇に侍らせ佇んでいたからである。しかも、令嬢らしからぬ胸元が大きく開いた露出度の高い服装をしており、記憶の中のおっとり系令嬢の篠崎志乃とはあまりにもかけ離れた姿に呆気に取られている俺を見て、篠崎志乃は赤い口紅が塗られた唇を弧に歪めたかと思うとぷっと突然吹き出し大声で笑い出した。
「あははははっ!なにその顔!?もしかしてまだ気づいてない感じ?」
「気づいて……?な、なにを言っていますの……?」
「何をって決まっているじゃない?惚れ薬が買いに行けないなんて嘘。アンタに渡した薬もただの興奮剤で惚れ薬なんて嘘。だから宮野美也子の婚約者が惚れ薬を飲んで宮野美也子にゾッコンになったって話も嘘。全部アンタを上手く誘導してさらって五大華族の一つ西条院家から金を絞り取るための嘘だったのよ。まんまとあたしに騙されてくれちゃって……どうもありがとうね?あは、あははははっ!!」
「……な、なんてこと……」
(そ、そんな……今までの話が全部嘘だったなんて……じゃあ俺は一体何の為にここまで……というか黒須がキショかったのは惚れ薬のせいじゃなくて興奮剤のせいだったのか……)
あまりにも唐突にソレを信じ行動してきた前提を本人から嘲りとともに否定され、俺は愕然する。だが、そんな俺の愕然とした様子を鼻で笑った篠崎志乃は両脇にいる男たちに目配せをした。すると、男たちは篠崎志乃から離れてゆっくりと俺に近づいてくる。
「っな、何ですの!?何をするつもりですの!?」
「ふふ、何をって……アンタの親が絶対にお金を払いたくなるような保険を作っておこうと思ってね。それにアンタが眠っている間大変だったのよ?コイツらアンタと遊びたいって煩かったんだから」
「へへへ、もう待ちきれねえ」
「おっと大人しくしな。言う通りにすれば痛い思いをしなくて済むからよ。へへへ」
「っ!」