TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
「ああ、無事だ」
「良かった……!閣下が『先に行っている』と言って単身建物に突入した時は心臓が止まるかと……!」
「それはすまなかったな、心配をかけた」
「! い、いえ!閣下が無事ならそれでいいんです!……ところで閣下、その少女は被害者の一人でしょうか?でしたらこの佐田が責任を持って救護班の元に連れて行くのでどうぞ閣下は指揮の方を……」
「いや後の指揮はお前に任せよう。……ちょっと失礼するよ、彩華」
「え?ちょっ……!?」
佐田と名乗る部下の申し出を断った兄貴はそう断りを入れると俺を横抱きに抱えて……俗に言うお姫様抱っこをして、そしてそのまま唖然とする部下に背を向けて歩き始める。
「ちょ、ちょっと!?お兄様下ろしてください!」
「大丈夫、こう見えて結構鍛えているから君を落としたりしないよ」
「いやそういうことじゃなくてですね!?周りの視線が痛いと言うかワタクシが恥ずかしいというか何と言うか……それにワタクシ一人で歩けますから!」
「なにを言っているんだい彩華。こんな怪我をして歩けるわけないだろう?」
「いや本当に一人で歩けますから!だから下ろして……いッ!?」
「ふふっ、無理そうだね」
「お、お兄様……っ!」
わざと痛む足を触った兄貴を俺は睨みつけるが、俺の睨みを意に返さず平然と歩く兄貴の姿にそのうちばかばかしくなってため息交じりの息を吐き、大人しく兄貴に運ばれることにしたのだった。
……
………
…………
その後。救護隊の元に運ばれてからはそれはもう怒涛の展開だった。なぜか救護隊の元で待ち構えていた黒須には烈火のごとく怒られて、さらに救護隊の緊急車両に乗せられ病院についた瞬間、待ち構えていた親父にもそれはもう今までにないくらいめちゃくちゃに怒られ、怒りのあまり俺を叩こうとした親父から俺を庇おうとあんなに怒っていたはずの黒須が俺の代わりに叩かれて兄貴が慌てて親父を止める一場面もあった。そうして色んな人に怒られた俺は最終的に『しっかり怪我が治るまで病院にいた方がいい』という兄貴の判断と『自分が一体どんな愚かなことをしたのか、怪我が治るまでここでしっかり頭を冷やして反省しなさい』という親父の言葉により、怪我が治るまで三週間帝都の病院に留め置かれることになったのだった。そうして現在……
「痛っ!……ちょっと黒須!もうちょっと優しく食べさせてくれませんこと!?」
「何を言っているんですか彩華お嬢様。怪我をしているんですから滲みるのは当然でしょう。ほら、怪我を早く治すためにも食べてください」
「ちょ、まだ口の中に残ってるからそんな一気には食べられ……むぐっ!?」
俺は病室のベッドの上で教育係である黒須に匙一杯に乗ったお粥を口の中に詰め込まれていた。