TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」   作:赤々

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第26話

 

 

 

 

 何故、教育係である黒須が俺の食事の介助をしているのかと言うと理由を話せば長くなるのだが、簡単に言えば適任者が黒須しかいなかったからだ。いや、最初は黒須ではなく信頼の置けるメイドの何人かに親父に代わって家政長が声を掛けたらしいが、みんな家庭を持っているせいか病院に泊まり込んで俺の看病をするのを嫌がり、かと言って病院にいるどこの骨の馬か分からない庶民の看護師に俺の面倒を見させるのを親父が難色を示し、そんなこんなで色々あって『独身で元華族で男だけど絶対に手は出さないと信頼出来る』という事で黒須に白羽の矢が立ったらしい。

 

 勿論、黒須も最初は「男である自分がお嬢様の看病をするなんて恐れ多い」と断ろうとしたらしいが「そもそも教育係である君がお嬢様から目を離さなければこんな状況になっていなかった」と黒須にして見れば大分理不尽な事を家政長に言われて泣く泣く俺の看病をする羽目になったというわけだ。……しかし、それにしても……

 

 

「もぐもぐ、ごくんっ。……ねえ、黒須。お兄様って今日も来ないんですの?」

 

「隼人様、ですか?ええ、なんでもお仕事が忙しいらしく暫くお見舞いには来れないと仰っていましたが……」

 

「……そうですのね」

 

 

 黒須の返答に俺は渋い顔をする。そう。なぜか病院に担ぎ込まれたあの日以来、兄貴は顔を見せないのだ。いつもだったら「やあ、彩華お見舞いに来たよ。え?仕事?あはは、彩華の顔が見たくて抜け出してきちゃった」とか言いそうな兄貴があの日以来全く顔を見せに来ないのだ。まあ、黒須の言う通り警視総監(仮)の仕事が忙しくて来れないのだろうとは思うが、一つだけ気がかりがあった。だって黒須も親父もあの時俺に対して怒っていたが、兄貴だけは唯一怒っていなかった。それどころか、不気味なくらい優しかった。駄菓子屋で会ったときは怒っていた兄貴が、だ。……経験したことはないが、前世で聞いたことがある。もうこいつに何を言っても無駄だと見放した相手には一切怒らなくなり優しくなることがあるらしい、という話を。

 

 いや、うん……見放されても仕方ないよな……だって、俺は破滅するのが嫌だから兄貴の意思なんか無視して既成事実を作って自分の地位を確保しようとしたろくでなしのクズだもんな……いやそもそも冷静に考えて血の繋がった兄弟と子作りしようとするなんて頭おかしいんじゃねえのか……しかもあんなスケスケパンツで兄貴に迫ったりして普通の人間だったらトラウマもんだろうに……う、うわあああっ!な、なんか思い出せば思い出すほど死にたくなってきたああああああ!?

 

 

「彩華お嬢様……?大丈夫ですか?お顔の色がすぐれませんが……」

 

 

 

 

 

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