TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
「え、ええ……へ、平気……平気だから……」
「そうは仰られても……顔色が本当に良くありませんよ?もし体調が悪いのでしたら医者を呼びますが……」
「だ、大丈夫……本当に大丈夫だから……ただちょっと色々と思い出してただけで……」
「! ……それは……」
そう俺が答えると黒須は言葉を詰まらせる。……多分、いや絶対に勘違いしている気がするが前世を思い出してからの数々のやらかしに死にそうになっている俺は訂正する気も起きなく「だからちょっと一人にして下さい」と言うと黒須は「しかし…」と渋る素振りを見せるが、数秒後。深いため息を吐いてこくりと頷いた。
「はあ……分かりました。旦那様から『絶対に彩華お嬢様から目を離すな』と厳命されておりますが……あれからまだ一週間しか経っていませんからおひとりになりたい時もあるでしょう。しかし、何かあればすぐに私を呼んで下さい。……きっと、彩華お嬢様は私の事を口うるさい教育係としか思っていないでしょうが、私は彩華お嬢様のことを何よりも……、……。いえ、心配していますから」
「う、うん?わかりましたわ……?」
黒須にしては歯切れの悪い物言いに俺は引っ掛かりを覚えるが、深く考える前に黒須は「では何かあったら呼んでくださいね」と再度念押しして俺の食べかけの病院食を持ち、立ち上がった。その時だ。
コンコン
まるで狙ったかのように鳴ったノックの音に黒須と俺は顔を見合わせる。
「あれ、黒須今日お父様が来るって言っていましたっけ?」
「いえ、ご当主様は今回の件でまだ彩華お嬢様の事をお許しになっていないから見舞いには来ないかと……」
「じゃあ、学園の友人達が見舞いに……?」
「いえ、まだ部外者は面会謝絶中ですからそれもないかと……」
「じゃあ誰が」
コンコン
「……。……私が見てきましょう」
再度鳴ったノックの音に黒須はそう言うと持っていた病院食を置く。そして、少し緊張面持ちで病室の扉に歩み寄った黒須が「はい、どなたでしょうか?」と声を掛けると扉越しにくぐもった声が聞こえてきた。
『……ああ、その声は黒須かい?ちょうど良かった。僕だ、隼人だよ。ちょっと両手が塞がっていてね、申し訳ないけど扉を開けてくれるかな?』
「隼人、様……?」
「!?」(え!?兄貴!?)
さっき黒須から暫く来ないと聞いたばかりの兄貴が病室の前に来ていることに驚き、俺は咄嗟に黒須を見るが、黒須も知らなかったようで兄貴が来ていることに俺と同様に驚いた顔をしている。