TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」 作:赤々
そう心の中で叫び黙り込む俺に兄貴は何かを察したのだろう。不意に「ああ」と声を漏らした兄貴はまるで我儘を言う幼子を見つめる様な優しい微笑みを俺に向けて言った
「……彩華、もしかして拗ねてる?」
「は……?」
「うん、そうだよね。いくら事件の事後処理で忙しくて中々抜け出せなかったとは言え、彩華を黒須に任せっきりにして一週間も彩華の様子を見にこなかったんだ。彩華が拗ねる気持ちも分かるよ」
「いや、そうじゃ……」
「? ああ、もしかして僕が警備隊のトップだってことを黙っていたことの方?うん、確かに兄弟に隠し事をされていい気分はしないだろうけど……でも、彩華に伝えたら『ワタクシのお兄様は帝都警備隊の最高司令官なんですのよ~!おーほほほ!』ってことあるごとに誰彼構わず自慢しそうな気がしたから……」
「ぐぅ!そ、それは否定は出来ませんが……全然違いますわ!ワタクシ拗ねているわけじゃなくてお兄様と既成事実を作る為にお兄様に夜這いを仕掛けた事とかスケスケのすけべ下着でお兄様を誘惑した事とかを悔いていただけで……あっ」
流れる様に口から滑り落ちた失言に気付いた俺は慌てて口を塞ぎ、恐る恐る兄貴を見ると兄貴は目を丸くして俺を見つめている。そしてだらだらと冷や汗を流す俺とは対照的にすうと目を細めた兄貴はたっぷりと間をおいて口を開いた。
「……彩華、なんで僕と既成事実を作ろうとしたんだい?」
「……そ、それは……そのぉ……」
「……もしかして今回の事件と関係があるんじゃないのかい?」
「ほほ、おほほ…」
「彩華」
「……〜〜っ!わ、分かりました!分かりましたわ!言いますからそんな怖い顔しないで下さい!……そ、その……ワタクシが……お兄様と既成事実を作ろうとしたのは……ず、ずばり!お兄様が庶民の女と結婚するからですわ!!」
「! 彩華、きみ……」
「知っていたのか」という兄貴の呟きに「ああ、やっぱりか…」と思うが、同時にここまで喋ってしまったのだからもう包み隠さず全部ぶち撒けてしまおうと開き直った俺はフンと居丈高に鼻を鳴らして言葉を続けた。
「ええ、知っていましたとも。だからワタクシ、庶民の女を虐めてお兄様にお屋敷から追い出されない様に庶民の女が嫁いでくる前にお兄様と子作りして既成事実を作って結婚を阻止しようとしたんですわ」
「彩華……」
「ま、まあ今は反省してもう庶民の女を虐めるつもりもお兄様と既成事実を作るつもりもありませんし……むしろお兄様と庶民の女の結婚を心の底から祝福しておりますのよ?おほほほっ」
「……彩華、それは違うよ」
「うん?え?違う?」