TS転生お嬢様「家から追い出されたくないのでお兄様と子作りするぜ!」   作:赤々

31 / 31
第31話

 

 

 

 

 突然の兄貴からのキスに俺はパニックになるが兄貴はそんな事お構い無しにパニくる俺の後頭部を片手で抑え込んでさらに口付けを深くしてくる。無論、男とキスをする趣味はない俺は兄貴から離れようと必死の抵抗を試みるが、怪我をしている少女の腕力では成人男性である兄貴の力に勝てるはずもなく、そのまま為す術なく兄貴にいい様に唇を貪られて、どのくらい時間が経ったのか。ようやく満足してやっと唇を離した兄貴に俺は息も絶え絶えになりながら怒りの声を上げた。

 

 

「はあっ…!はぁ…!お、お兄様ッ!!!い、一体どういうつもりなんですの!!?いきなりき、ききキスだなんて……っ!」

 

「……彩華、分かった?」

 

「は、は……?わ、分かったってなにが……」

 

「……ふふ、彩華って意外と鈍感なんだね。結構ハッキリ答えたつもりなんだけど……」

 

「は?答えたってどういう……」

 

 

 そう言い掛けて俺ははっとした。キスの衝撃ですっかり頭から吹っ飛んでいたが、俺は確かに兄貴に「好きな人はだれなのか」と聞いた。そしてその直後に兄貴にキスをされたってことは……そこで頭の中でぴったりとパズルのピースがハマる様に俺は気づいてしまった。ま、まさか……兄貴が好きな相手って……

 

 

「わ、ワタクシぃいいいいい!?」

 

「ふふふ。うん、そうだよ」

 

「いやいやいや!!うんそうだよじゃありませんわよお兄様!?一体いつから!?だってお兄様つい最近ワタクシがスケベ下着で迫った時『兄弟だから異性として見れない』って言ってませんでした!?」

 

「うん確かにそんな事を言ったね。でもあの時はまだ本当の自分の気持ちに気付いていなかったから……いや、本当は気づかないふりをしていたのかもね。だって、僕はずっと彩華を……ううん。君だ。十年前、君が消えていなくなったあの時からずっと()だけを愛していたのだから……」

 

「っ!」

 

 

 そう言ってうっとりとした顔で俺の頬に手を当てる兄貴の姿にぞくりと悪寒が走る。い、一体何を兄貴は言っているんだ……?十年前にいなくなった?いやいなくなった覚えはないし、消えた覚えもないし、しっかり十年前の記憶だってあるぞ……?奇妙なことを言う兄貴に言いしれぬ恐怖を感じた俺が思わずゴクリと生唾を飲み込んだ瞬間。不意に兄貴は俺の頬から手を離して立ち上がった。

 

 

「……フフフ、変な事を言ったね。気にしなくていいよ」

 

「え……?」

 

「おっとそれよりもうこんな時間か。そろそろ帰らないといけないね。ああ、そうだ。これ彩華の学友から預かった見舞いの品だよ。」

 

「え、え?」

 

「じゃあまた時間が出来たらお見舞いに来るね。」

 

「ちょ、待っ!お兄様今のどう言う意味ってーー……」

 

 

 そう言って足早に病室を出て行こうとする兄貴に俺はそう疑問を投げ掛けるが、兄貴は何も答えずただ曖昧な微笑みを俺に返して病室を出て行った。そうして一人病室に残された俺は行き場のない伸ばした手を下ろして呆然と呟いた。

 

 

「な、なんだよ一体……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……」

 

 

 逃げるように病室から出てきた隼人は壁に寄り掛かり深いため息をつく。本当はあんなことをするつもりもあんなこと言うつもりもなかった。ただ純粋に怪我をした彩華を心配して様子を見に来ただけだった。しかし、あまりにも彩華が……いや『あやか』が十年前と何も変わっていなかったから魔が差した。

 

 

「……いいや、これは言い訳だね……」

 

 

 ふっと自嘲気味に笑う隼人が思い出すのは十二年前のあの日。初めて『あやか』と出会ったあの日のことだったーー……

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。