戦国時代に転生したら春秋戦国時代だった件   作:d_chan

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第24話 六式修行編(指銃と嵐脚)

+月◇日

「指銃」修行、今日も指先から衝撃が返ってきてのたうち回る。

いや、突いてるのは俺のはずなんだが、何故か毎回カウンター食らってる感じなんだよな。これ、指銃じゃなくて指痛(しつう)じゃない?

漫画で見た時はあんなに簡単そうだったのに……現実はこれだよ。おかしいな、俺、転生チート持ちなんだよな?

 

 

+月◎日

気の流れを一点に集める。それが「指銃」のコツらしいんだけどさ、理屈でわかっても身体が追いつかない。

岩に向かって一日中指突きしてたら、地味に指が腫れてきた。まさか……仙人の俺でも腱鞘炎になるのか?

指先の「一点突破」って、メンタル的にも負担でかいわ。今のところ、突いた後に「ぬあああああっ」って毎回叫んでる。マジで痛い。

 

 

*月□日

進展はあった。ほんの少し、木板が焦げた。これで一歩前進って言えるのか……?

でも、完全に手応えがないわけじゃない。

ひたすら続けてれば、いつか貫ける気がする。

それでも、今日は指を氷水につけながら「なんで俺、武僧やってんだっけ」って本気で考えてしまった。

 

 

@月○日

「雨だれ、石を穿つ」——。

そう教えてくれたのは虞美人だった。見た目ゴリマッチョなのに繊細なアドバイスしてくるあたり、さすが仙人級の姐さんだわ。

気を一点に滴らせるように流し込むイメージ……その言葉で、ようやく指銃のコツが見えた気がする。

やったよ。木板、貫いた。小さい穴だけど、ちゃんと「刺さった」んだ。

俺、田忠。来世チートの仙人見習い。指から衝撃波出せるようになりました(小声)。

 

 

@月◎日

さて次は「嵐脚」だ。

要するに脚から衝撃波を飛ばす技。かっこいい。夢だった。

ただの蹴りとどう違うのかと試してみたけど、初日は見事に空振り。風すら起きない。俺の蹴りは空気よりも軽かった。

ということで脚力強化からやり直し。毎日山道を全力ダッシュ、足に重り装備、階段昇降……って、これもう武道館目指してるアイドルのトレーニングじゃね?

 

 

P月□日

草原に戻って、再挑戦。

水面に蹴りを入れて、波紋を切るような感覚で「ビシッ」と脚を振ると……風が鳴った。

草が、一本だけ倒れた。やった。

でも木は倒せない。まだだ。もっと速く、もっと鋭く。

次こそ、木をなぎ倒すまでやる。それが俺の、嵐脚。

 

 

P月☆日

成功した。

木を……切った。一本だけど、間違いなく俺の脚が放った風圧で。

叫んだね。「嵐脚・破ッ!!」って。しかも技名つけたの俺だから。

よし、これで指銃と嵐脚、どちらも完成。

六式制覇に、また一歩近づいた!

 

 

 

 涼州の深き谷間、霧に覆われた山のふもと。

 そこに佇むのは、銀髪オッドアイの少年。名を田忠。前世の記憶と転生チートを武器に、乱世を駆ける元高校生である。

 彼が目指すのは、超人の武術「六式」。その中でも「指銃」と「嵐脚」は、体術としての完成度が極めて高く、修行には並ならぬ時間と集中を要する。

 「指銃」の修行は、洞窟内の木板を相手に始まった。

 初めはただの突きだった。何度突いても、痛みだけが返ってきた。だが彼は、自らの「気」を指先へと絞ることを覚え、少しずつ手応えを掴む。

 

 転機をくれたのは、虞美人であった。

 「雨だれが石を穿つ」——その言葉が、田忠に繊細な集中の概念をもたらす。

 やがて、木板にはぽっかりと小さな穴が空いた。それが「指銃」の第一歩だった。

 続いて取り組んだのが「嵐脚」だ。

 脚の動きだけで風を裂く。蹴りの速度、角度、気の通り道。すべてが一体となった時、彼の脚から放たれた一撃は風を操る刃と化し、草原の木々をなぎ倒した。

 その瞬間、田忠は確かに六式の「ひとつ」を、完全に我が物としたのだった。

 少年は夜の草原を見渡し、静かに誓う。

 

 「指から衝撃を、脚から風を。ならば次は——瞬間移動だ」

 ——風を読み、空を歩き、音を超える。

 六式の完成は、仙人への道程の途中にすぎない。

 田忠は今日もまた、一人立つ。

 己の限界を超えるために。

 

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