戦国時代に転生したら春秋戦国時代だった件   作:d_chan

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第4話 祖国は貴様を裏切った!

@月?日

勢いに乗る周文をあっさりと降した。

章邯の統率は、初陣とは思えぬほど冴えわたっていた。兵たちも命が助かり、国を救うとあって、士気も高い。

俺も先陣を切って、周文と一騎打ちを挑み、見事打ち取った。武力7と武力10の差はでかい。

うん、パーフェクト。

 

 

★月&日

来た、見た、勝った!

 

 

%月◎日

連戦連勝の日々が続いている。まだまだ、敵は多いとあって、気のゆるみも見られない。いい傾向だ。

無論、ただの囚人軍なら、ここまでの成果は上げられない。理由は、組織のトップとミドルが優秀だからだ。

トップである章邯と俺の能力値は、ほぼ最高レベルといっていい。

 

次に、ミドルレベルの能力値が高いのはなぜか。それは、俺のチートスキル "鑑定" のお陰である。

 

鑑定眼で、元囚人たちの能力を参照し、適材適所に割り当てたのだ。

まずは、忠義の高いものを選び、その中から選抜した。

統率の高いものを隊長に、武力の高いものを精鋭部隊として集中運用できるようにした。

知力の高いものを幕僚に、政治の高いものを交渉役にした。

忠義が低いが能力の高いものは、傍において目が届く範囲で運用する。

 

章邯もこの割り振り作業を手伝ったのだが、彼女の洞察力もなかなかのものだった。

たとえ俺がいなくとも抜擢人事で、精強な軍にしていただろうな。

 

いずれにせよ、ただの囚人軍は秦の正規軍に産まれ変わったのだ!

 

 

△月$日

勝ち戦だからと調子に乗ったのか、咸陽から援軍がよこされた。

司馬欣(しばきん)董翳(とうえい)の二人だった。

能力値を鑑定した結果がこちら。

 

司馬欣

政治7 知略6 統率6 武力4 魅力5 忠義5 

 

董翳

政治3 知略4 統率6 武力6 魅力6 忠義4 

 

俺や章邯に比べれば随分見劣りするが、十分に使えるといってよい。使い方を間違わなければ、いい戦力になるだろう。

 

 

&月☆日

ついに反乱軍の根拠地である陳を攻め落としたぞ!

陳勝と呉広は死んだ。反乱が収まるといいのだが……。

 

 

%月@日

いまだ反乱は収まる気配がない。特に、楚が危険だ。

楚王を擁立した項梁というやつが曲者だった。

 

そこで一計を案じ、大いに打ち破った。

連戦連勝だった項梁軍にわざと負けたふりをして、油断しところを夜襲で一掃した。

今のところ順調なのだが、嫌な予感がするんだよね。

 

 

●月#日

鉅鹿(きょろく)という大城塞を攻め落とした。かなりの難敵だった。良く落とせたものだ。

だが、破竹の勢いで楚の軍勢が迫っていると聞いて、籠城の準備をしていた。

将の名は、項羽というらしい。秦の都市を攻め落としては、略奪の限りを尽くしている。苛烈な性格のようだ。

 

 

#月%日

周囲の反秦連合も勢いに乗って駆逐した。

この一帯の安全を確保できたので、援軍を要請することにしたのである。

そこへ咸陽に報告と援軍の要請をしに行っていた司馬欣が血相を変えて戻ってきた。

彼の親族は拘束されており、助命の条件として、一つの命令書を持ってきた。

内容は、俺と章邯の軍司令解任と咸陽への招集だった。

 

殺す気まんまんじゃねえか。

 

今後20万の軍勢は司馬欣と董翳が率いることになる。

勝ちすぎたか……。皆が伏し目がちにしながら、淡々と引継ぎを済ませる。

王離の馬鹿なんかは、喜んでいたけどな。

こいつは、勇猛だが、父と同じく血統主義で俺を見下している。

 

ああ、俺らは都からも味方からも見はなされたんだな。

……すまん、お姫様。俺、もうこの国を救えそうにないわ。

 

せめて章邯だけでも守らないと。

 

 

 

「もうどうしようもありません。貴女は功績を挙げても殺され、失敗しても殺されます」

 

 

 顔を真っ青にしながら、震える声で報告をする司馬欣の声が、どこか遠い。

 家族を人質に取られた気持ちは痛いほどわかる。

 章邯もきっと同じような顔をしているだろう。

 

 

 勝っても負けても殺される。国を憂い、救国のために立ちあがった章邯にとって、何よりも辛い現実が突き付けられていた。

 呆然とする章邯に近づく影があった。田忠である。

 

 

「あいつらわざと逃げ道を残してくれた。逃げるぞ」

 

「……それでも、私は祖国に殉じたい!」

 

 

 死を覚悟して愛国心から立ち上がった章邯である。たとえ死ぬとわかっていても逃げるという選択肢はなかった。

 そんな彼女を田忠の視線が鋭く射貫く。そして問うた。

 

 

「貴女が仕えるのは、国か民か」

 

「……!? わ、わたしは……!」

 

「秦という国はもはや助からないだろう。だが、秦の民を救う方法はある。お前が救いたいのはどっちだ?」

 

 ボロボロと涙を流しながら、章邯は田忠と逃げることに同意した。

 

 

「俺たちもご一緒させて下せえ」

 

「正規軍ではなくなるぞ? 反乱軍扱いだ。それでもいいのか?」

 

「あのときの章邯様と田忠様の演説に俺たちは胸を打たれたんでさあ。地獄の果てまでお供しやす」

 

「……ありがとう」

 

 

 闇夜に紛れて逃げようとする章邯と田忠に、元囚人の兵士たちが加わった。

 

 

 ここに史実にない軍団が誕生したのである。

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