戦国時代に転生したら春秋戦国時代だった件   作:d_chan

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第6話 田忠、魔法使い辞めたってよ

&月★日

項羽  

政治3 知略8 統率10 武力11 魅力8 忠義4

 

ぱねえ。

 

 

&月#日

いやー、マジで死ぬかと思った。

項羽があんな強いとは……武力特化とはいえ滅茶苦茶だ。

 

インドっぽい地域で修行して得た "気の増幅法" がなければ死んでたな。

一時的に武力を11に引き上げる俺の秘儀である。

名付けて "界王拳" 。制限時間があるところとか似てるからね。あとなんか赤い。

 

そのうち飛んだり、気弾放ったりできたりして……。いや、まさかね。

 

 

&月$日

あ、そうそう范増はこんな感じ。

 

范増  

政治8 知略9 統率8 武力4 魅力7 忠義6

 

すごく……強いです。こいつが項羽の元を去ったのはでかいな。

不思議ちゃんを殺そうとしたり、人質をとったりとダーティーな手段を厭わない危険人物だからね。

咸陽での一件は項羽の逆鱗に触れたらしく、あやうく処刑されかけたようだ。

もう項羽の下につくことはないだろう。

 

どうも項羽はワンマンなところがある。確かに、戦術レベルなら無敵だが、こりゃだめだな。

放っておいてもいずれ自滅するとみた。

 

ただ、追撃がなかったのが気になる。項羽なりの義理なのだろうか?

助かったのは事実だが……。

 

だが、こいつはなんとしても俺が討取る!!

 

 

&月@日

咸陽が燃えている。咸陽から北西へとだいぶ離れているこちからでも、煙が見える。空が真っ黒くろすけだ。

 

予想通りというべきか。項羽は咸陽に火を放った。

ともに咸陽から逃げ出せたのはおよそ30万人あまり。残りは咸陽に残った。

どうも劉邦が穏当な統治をしていたから、大丈夫だと思ったらしい。

今頃略奪祭り、虐殺祭りだろう。南無阿弥陀仏。

 

 

$月#日

秦北西の前線にあった陵西群の更に先へといき、シルクロードの玄関口、敦煌(とんこう)へと流れた。

ここまでくれば、さすがの項羽も追ってはこれまい。

この地を選んだのは、もちろん交易で大儲けするためである。

歴史の教科書にのるくらいシルクロードは儲かるのだ。

 

この新天地にて、俺たちが率いる30余万が暮らすことになる。

この地域は未開地だから、開拓のし甲斐がありそうだな。

 

ついでに大変涼しい気候だし、この土地は「涼」と名付けることにした。

安直いうなし。

 

もう一度、内政チートが火を噴くぜえええ!

 

……と、いいたいところだけれど、まだ戦争は終わっていない。

内政はしばらくお預けですな。

 

まずは――――劉邦の元へ行こうと思う。

 

 

$月★日

明日、俺が率いる1万の精鋭のみで劉邦の元へと向かう。

準備はもうできた。

涼の地は、章邯に任せることになる。

危険だとかお伴させてほしいとか、珍しく章邯が駄々をこねたがなんとか説得した。

 

もうすぐここへ章邯が来る約束をしている。もう夜中だが、とても大事な話らしい。なんだろうね?

 

 

$月%日

昨夜はお楽しみでしたね。

 

 

 

 

「章邯様、今日は一段とお綺麗ですね」

 

「ふふふ、そうですか? ありがとうございます。うふふ」

 

 

 章邯は幸せの絶頂にいた。今日、田忠は、兵とともに涼の地を旅立った。

 正直心配で胸が張り裂けそうだ。

 

 

 話が出た当初、当然のようについてこうとした章邯を田忠は押しとどめた。

 

 

「秦の将軍として章邯の名は売れすぎている。秦は敵なんだ。だからまずい」

 

「しかし、それは田忠様も同じでは?」

 

「俺は地方と中央の間を取り持っていたからな。地方には色々と貸しがあるし、秦を追放されたに等しい俺には、同情的だろう。だから俺が行く」

 

「く、しかし、それでも私は――」

 

「章邯。貴女には涼の地を任せたい。これは貴女以外にはできない大事だ」

 

「……」

 

「貴女だからこそ任せるんだ。頼む」

 

「……御意」

 

 

 はじめは、秦の英雄、田忠への尊敬だった。

 それがいつのまにか、女として思慕を寄せるようになった。

 実は、これまでも色々と愛情表現をしてきたのだが、全くこちらの恋慕に気づいていないらしく、周囲に同情されていたのを章邯は知っている。

 

 

 そこに来ての、遠征の話だ。もう会えないかもしれない。

 そう思うと居ても立っても居られなくなって、深夜に田忠の部屋を訪ねたのだった。そこで――――

 

 

「いかん、また昨日のことを思い出してしてしまった……でゅふふ」

 

「章邯様?」

 

 

 道を歩く使用人たちが怪訝な顔をしているのにも気づかず、一人悦に入っている。

 昨晩のことを思い出すと、どうにもにやけてしまう。

 

 

「……そういえば、魔法使いとは何だったのだろうな」

 

 

 田忠は、事後、急に叫んだのだ。

 

 

『俺は魔法使いをやめたぞジョジョーーーー!!』

 

 

 どんな意味だろうか。尋ねても教えてくれなかった。

 もしや肌を重ねる行為は、仙人の禁忌だったのではと顔を青くしたが、違うらしくほっと胸をなでおろしたのを覚えている。

 

 

 田忠の帰還後、正式に挙式を上げることを彼は約束してくれた。

 もちろん、章邯だって涼の地を守り、発展させていくことも忘れてはいない。

 ただ今だけは幸せに浸っていたかった。この胸の内の不安が打ち消されることを願って。

 

 

「義心様、どうかご無事で」

 

 

 この澄み切った空のどこかで戦う英雄を想った。

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