戦国時代に転生したら春秋戦国時代だった件   作:d_chan

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第8話  勝ったなガハハ、風呂入って寝る

□月&日

今に至る情報を整理してみようか。

 

現在、不思議ちゃんと項羽の二大勢力が争っている。

この不思議ちゃん。もとは田舎のヤンキー(レディースか)だったみたい。

そのレディースがいつの間にか、とんとん拍子で、諸侯の代表になっているのだから、すごい。

魅力チートのおかげか、有能な配下がそろっているのが、最大の強みだろうね。

 

 

*月■日

あ、主だった面々の能力値を示しておこう。

 

韓信

政治3 知略9 統率11 武力8 魅力4 忠義5

 

こいつは、劉邦軍幹部の中で唯一の男であり、俺と気が合う。

軍事では天才である。演習では俺でも勝てなかった。

戦場では負けなしだが、ちょっぴり日常では優柔不断だろうか。

"魔術師韓信" と呼んでみたけど、まったく流行らなかった。残念。

 

蕭何(しょうか)

政治9 知略8 統率9 武力3 魅力6 忠義8

 

いつもニコニコしている妙齢の女性。もともとは不思議ちゃんの上司だったみたい。

そのころから不思議ちゃんのお世話をしていて、今に至る。まさに忠臣。

張良、韓信、蕭何の3人だけで天下とれるんじゃね?

 

樊噲(はんかい)

政治1 知略4 統率8 武力9 魅力3 忠義10

 

不思議ちゃん大好き人間その1。鉄壁のボディーガードである。元肉屋の女主人。

鴻門(こうもん)の会 と呼んでいる范増の暗殺作戦を、ことごとく打ち破ったモーレツウーマンである。

 

陳平

政治9 知略9 統率8 武力5 魅力6 忠義1

 

素行不良軍師。レディースっぽいケバイねーちゃんである。あと着物を着崩していてエロイ。

張良とは違う意味で頭が切れる。ダーティーな手段を平気で使う要注意人物。

 

他にも綺羅星のごとく有能な人物が集っている。魅力チートぱねえッス。

 

 

*月@日

項羽によって僻地()に飛ばされた俺たち劉邦軍だが、機は熟したといっていい。

張良(猫耳軍師)や俺の謀略もあるが、項羽の強引な統治に反発する勢力は予想以上に多かった。

今や項羽は、反乱鎮圧のために東奔西走。俺たちへの注意は薄れていた。今が好機!

 

 

#月■日

圧倒的ではないかわが軍は!

 

関中の 塞王・司馬欣

関中の 翟王・董翳

 

秦の二王を降したぞ。……二人とも無事でよかった。

 

もともと、関中一番乗りを果たした不思議ちゃんに与えられるはずだった土地だ。

しかも、秦の土地を(秦の英雄)が攻めたのである。司馬欣たちと内応していたこともあって、あっさり落ちた。

攻め手は、手柄が欲しい韓信に無理を言って、譲ってもらった。貸しイチだね。

 

 

&月*日

戦いは数だよ兄貴!

 

諸侯との連合軍56万人を率いて項羽の本拠地、 彭城(ほうじょう)を陥落させたぜ。

と思ってたら、入城した漢軍は勝利に浮かれ、財宝を荒らすわ。

日夜城内で宴会を開き、女を追いかけ回すわ。俺の目の届く範囲では乱暴狼藉を果たすものはいない。

だが、50万人以上を目配りできないし、トップの不思議ちゃんが容認している状態だ。

 

油断しすぎじゃね?と韓信と愚痴った。

 

 

@月%日

来た! 見た! 負けた!

 

彭城の戦いでコテンパンに負けた。相手は、たった3万人の項羽軍。 

俺と韓信が殿(しんがり)を務めなかったら全滅してたんじゃね?

56万人中、ざっと10万人は死んでる。被害多すぎだろ。

 

 

□月+日

滎陽(けいよう)にて篭城中なう。

 

 

 

 彭城での大敗北で、諸侯はこぞって項羽へと寝返り始めた。現在、劉邦軍は滎陽に篭城し、項羽軍の猛攻に耐えている。しかし、その士気は高かった。

 

 

「おお〜、皆精が出ますね〜」

 

「りゅ、劉邦様! 前線に出られてはだめです!」

 

「相変わらず張良ちゃんはお堅いですねえ。みんな〜、ふぁいとだよ!」

 

「いっぱ〜つ!」

 

 唖然とする張良の眼の前で、謎の挨拶が交わされる。”にっこにっこに〜“と機嫌良さそうに謎の言葉を発する劉邦を問い詰めた結果……。

 

「全部あんたのせいね!!」

 

「張良殿!? な、なんのことかわかりませんな」

 

 

 ”張良きっく“ をあえて食らった田忠はシラを切った。その態度に更に怒りのボルテージが上がった張良は、深呼吸するとまくし立てた。

 理路整然と問い詰めていく張良に対し、さすがの田忠も旗色が悪い。

 

「ふぁいと、という言葉は、仙人の世界の言葉で “頑張れ” を意味しています」

 

「へ〜」

 

「いっぱ〜つ、とはファイトという掛け声に答える仙人の用語です」

 

「ふ〜ん」

 

「にっこにっこに〜、ですか? あ、あれは、劉邦様の可愛らしさを表現できる仏教的な言葉です!」

 

「それは同意ね! ってちが〜う!! あんた仙人とか仏教とかつければなんでも許されるとでも思ってんの!?」

 

 

 苦し紛れの田忠は平身低頭するのだった。その光景をみた周りの将兵は苦笑を浮かべている。篭城中にもかかわらず、皆の表情が明るい理由は二つある。

 

 

 一つ目は、蕭何が後背地から援軍と物資を続々と寄こしているからだ。項羽軍も輸送隊を襲撃しようとしているものの、うまくいっていない。

 二つ目は、項羽軍に優秀な軍師がいないことだ。劉邦軍には張良を筆頭に、田忠や陳平が揃っている。項羽は戦場でこそ負けなしだが、軍師による戦略レベルでの戦いでは圧倒的に不利だった。現に、輸送隊を捕捉できずにいる。

 もし、范増さえいれば、状況は変わったかもしれない。

 

 

「クッソー! なぜあの程度の要塞が落ちねえんだ!!」

 

「鐘離昧、俺で無理だったんだ。お前でも無理だろうよ」

 

「それは、項羽の姉御で無理なら、そうだけれどよお。やっぱ、范増の爺いを首にしたのはまずか――」

 

その瞬間、項羽の覇気が(ほとばし)った。

 

「す、すいやせん」

 

「……ちげえよ。爺いはもういない。だから、俺様の采配が悪かったんだ。それだけの話さ」

 

 

 彭城の戦いから快進撃が続いていただけに、足踏みが続く項羽軍の雰囲気は暗い。劉邦軍とは対照的であった。

 

 

 やがて項羽軍は退いた。後世の歴史家は、項羽と劉邦の運命を占う戦いだったと評している。

 だが、項羽と劉邦の本当の戦いもまた、これから始まるのである。

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