「弱者救済に『
「ああ、そんな話をたっちさんとしたっけなぁ……そう言えば、みんなはナインズ・オウン・ゴールに関してはどれくらい知っているんだ?」
「アインズ・ウール・ゴウン以前ニ別ノ名デ組織サレテイタトシカ……」
コキュートスの言にあたしもそれぐらいや、聞いた事がないでありんす等と返事が来る。
「ナインズ・オウン・ゴールは、たっち・みーをリーダーとして設立された集団なのです。当時の『ユグドラシル』では少数派の異形種を、集団で囲み袋叩きにするのが横行していまして。結果として異形種で始めたプレイヤーは自分のホームに籠り、自由度の高いゲーム設計をポジティブできていなかったのです。それに業を煮やしたたっち・みーは、知った事かと言わんばかりに
「たっちさんは俺みたいにまだ始めたての右も左も分からないプレイヤーや、当時から既にかなり強かった弐式炎雷やたっちさんの強さに惚れ込んだ武人建御雷さんなども加えた9人でクランを作って、異形種狩りに対抗しながら色んな冒険をしたんだ」
「そうやって冒険をする内にとても強い集団がいると噂になりまして……いつの間にやら27人にまで膨れ上がり、クランがレンタル出来る拠点の人数上限である30人が目前だったため、オーナーを長としてクランからギルド『アインズ・ウール・ゴウン』へと名を変え……このナザリック地下大墳墓を初見クリアし大規模拠点を手に入れたAOGは10大ギルドの一角として名を馳せていったのです」
それは僕たちが産まれる前のお話。いまもサトルの心に残っているとても楽しい思い出の一つ。当初はたっち・みーの困った人がいたら助けるを理念とし、賛同したメンバー達でPKに勤しむ人間種のプレイヤーを片っ端からボコボコにしていったのだ
ただそれも人数が増える内に悪ノリしたギルドメンバー達が、DQNギルドに相応しい悪行を重ねまくった事で設立理由である弱者救済の理念は薄れ立ち消えていったのだが。AOGの全盛期にはたっち・みーですら、『ユグドラシル』最強職業であるワールド・チャンピオンでしか習得できない
「時間が経つにつれ異形種狩りも殆ど無くなり、弱者救済もいつの間にか形骸化していった。それを俺は復活させようと思ってな」
天井を仰ぎ見ながら、自分も散々PKKであらゆるプレイヤー相手にやりたい放題したものだとサトルは懐かしむ。いつの間にか弱者救済よりも、敵対プレイヤーが持つレアアイテム奪取に全力で取り組んでいた事ももはや遠い過去のようだ。
「この世界に来てからな、俺は…………一つの夢を持ったんだ。昔俺がたっちさんの背中に憧れたように……誰かが俺を見てあんな風になりたいって心から思えるような、そんな英雄みたいなあり方を体現したいって……そう思えたんだ。それをアイリスに相談して……リアルで行われていた本当の事を教えてもらって……夢の在り方に具体的な方向性が定まった」
「───それが弱者救済なのです。リアルのオーナーのように、あるいはウルベルトのように強者の手で人生ですら捻じ曲げられ、自分の手ではどうしようもなくなったネガティブな人たち。いえ、人だけではありません。他者から一方的な搾取を迫られ、そんなものなのだと諦めなければならず苦しむ者がいるならば───」
「───助けたい。リアルの頃では俺に他者を助ける力なんてなかった。でも今は違う。この体や魔法があるならきっと力になれる。この星にはまだ知性を持つ生命体がいるかどうかも分からない。いたとしても俺の助けなんて必要としないぐらい強いかも知れない。それでも……この星に誰かが住んでいて……企業連合のような傲慢な腐った連中の手で理不尽に喘いでいるなら……彼らの希望となれるよう助ける。俺がウルベルトさんや、アイリスのおかげで明日に光を持てたように。彼らにも未来を見て欲しいんだ」
それがサトルが見た夢の形。自分のように両親をくだらない連中のせいで失う子がいて欲しくない。もはや泣くことすら出来ず、夢や希望もなく死を待つだけの誰かに施しを。企業連合が果たそうともしなかった、力持つ者の義務を胸に。大いなる力を以って、大いなる責務を果たす。
それが……生涯で初めてサトルが得た答えだ。ただ漫然と生きて来た。思想教育によりそんな考えを持てないようにされていた。そんなサトルが、本当の意味でやりたい事を見つけられたのだ。
その姿をこっそりと。眩しい物でも見つめるかのように。ただアイリスは目を細めて横目で眺める。
───良い……お姿です。初めて会った頃のオーナーは……お疲れでした。傍目にも疲れ果てていると分かるほどに。過去に囚われ、生涯で初めて得た友人達との思い出の鎖に繋がれて。どうしようもない程に、かつての栄光に……心を捕らわれていました。でも今のオーナーからは……そんな物は感じられません。思い出は思い出として……確かな未来を見据えています。この世界にはギルドメンバーは誰一人としていません。私がサーバーのログイン履歴を全て監視していた以上、絶対にいないと断言できます。それはオーナーも御知りで……でもオーナーはそこまで落胆されませんでした。ウルベルトの事もあり、初日には彼に会えない事に寂しそうな空気を漂わせていましたが……何としても地球に帰還するではなく今を受け入れて……そしてこの世界の誰かのために未来を見据えている。そんな風に前を向き、生きられるようになる助力の一端に私がなれていたなら。これ以上に嬉しいことはありません。あの日前任が自らを溶かし私を作り出した事は間違いではなかったのだと、そう信じられるからです。私の所有者があなたで良かった。あなたが善き未来を創るために動ける人で良かった。私はそんなあなただから……この創り上げた剣を……黄昏の終焉を預けられるのですから。
「けど俺はどうすれば助けになれるのかが良く分からない。だから……叶うなら俺の夢に知恵と力を貸してほしい!みんなの言う至高の御方とかは関係なく、俺の思想に心から賛同してくれるなら……この考えをナザリックの理念にしたいんだ!」
だから頼む!と。立ち上がったサトルは頭を下げる。一緒に未来を見て欲しいと、心のそこからの願いを込めて。
それを受けたしもべたちは一瞬考え込む。今までであれば、サトルに頭を下げるなどお辞めくださいと言い即答で賛同しただろう。それがナザリックのしもべにとって当たり前の行為だからだ。
至高の御方の御考えに異議などなく、かの神々のために血も肉も捧げ一心に精進する。そんな当然の行為を、誰もしない。
なぜならここに集められた者は全員……サトルが本当に欲しい物がなんなのかを確かに今日理解したからだ。
リアルでは生まれから孤独を強いられ、やっとできた仲間も最後にはそれぞれの理由から彼と離れてしまった。それでもなおもう一度最初からと決めた彼が欲しいのは、設定で縛られた恭順な
自分の考えを以って共に歩み夢を見れる……言うならば同志であり仲間。今後組織として動く以上上下関係はどうしても発生はするだろう。それでも……盲目的な奴隷の如き存在がサトルは欲しいわけではないのだ。絶対的な忠誠心も。変わらぬ永劫の服従も。決して必要としていない。
かつての黄金に輝く日々は過去に。自らの心と記憶に刻まれた色褪せぬ思い出写真は心の宝箱の中に。その代わりに新たな未来を……白銀に光る栄えある明日を必ずこの手に。まだ形を成しえていなくとも、欠片を繋ぎ合わせていけば、いつか必ず理想のパズルが完成する。
だが一人で完成させられるとはサトルは思ってもいない。彼は一人で全てを成せるなどと感じられるほど、精神的な強者ではない。だから頭を下げるのだ。しもべたちが座っていた場所にいたかつての仲間達に、彼がそうした事は殆どない。このナザリックを初見攻略したいと言った時ぐらいで、あとは数えるほどもあるかどうか。それ以外では基本的には彼は緩衝役だった。
そんなサトルが今一度頭を下げる。手伝って欲しいのだと。一緒に夢を見て欲しいと。命令ではなく懇請する。だからしもべたちも───
「私も旦那様が描く未来像を一緒にみたいでありんしょ!その将来ではぺロロンチーノ様が好まれていしょう小さな女の子も笑うでありんす!こなたはそのために旦那様の御力となりいきて、守護者最強たる力がありんすから」
第一~第三階層守護者シャルティア・ブラッドフォールンが、切り込み隊長としていの一番に発言する。真紅のボレロカーティガンを羽織り、長い銀の髪を片方に纏めたぺロロンチーノが創りしエロゲヒロインの如き美少女にして吸血鬼。彼女はフィンガーレスグローブから白磁の指を覗かせた手をその思想に賛成だと高く掲げる。
サトルが至高の御方だからと無条件で肯定するのではなく、自らがこうだから賛成するのだと強い意思を発露させる。
それに他のしもべたちも続いていく。
「あたしもサトル様と一緒に未来を創り上げたい!ぶくぶく茶釜様もここに居られたなら、絶対にサトル様をお手伝いするんだから!だから……名代としても、あたし自身としても!共に歩んで行きたい!」
「ぼ、僕も……サトルさんと共に平和な明日を創ります!!」
第六階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラとマーレ・ベロ・フィオーレも賛同だと手を挙げる。ぶくぶく茶釜の趣味嗜好がふんだんに盛り込まれた男の娘と男装女子の二人。10歳程度の見た目を持つ
「私もシャルティアやアウラ、マーレと同じ気持ちです。サトル様の御両親のような、我が子のために命を落とさなければならない誰かを救える世界のために……私も邁進します」
統括守護者であるアルベドもまた賛成なのだと意思を表明する。一対の角を持ち、黄金の瞳と流れるような長い濡羽色の黒髪を持つ女神の如き美貌を持つ純白の悪魔。椅子に座っているため分かりにくいが、良く見れば腰から生えた漆黒の翼がピコピコ動いており、彼女は落ち着いたように答えて見せているが内心サトルの考えにどれだけの賛意を示しているのか、非常に分かりやすく教えてくれる。
「私ハコノ身ヲ弱者ヲ守ル剣トシテ表シタイト存ジマス。ソレガ御屋形様ニトッテモヨリ良イ道ヲ指シ示スノダト、ソウ信ジテノ事デス」
2m半ばの巨大な2足歩行の昆虫。ライトブルーの鎧にも見える外骨格を持つ第五階層守護者コキュートスも、巨大な大あごをガチガチと合わせ、冷気を吐き出しながらサトルの弱者救済のための力となると誓う。元々自らの信念を持ち合わせる者に対し礼儀を払う彼にとって、サトルの打ち出した理念はとても相性がいい。かつて創造主である武人建御雷から武人として創られた事もあり、その力を弱き者を守護する刀として振るう事になんの躊躇いもいらないからだ。
「我が父上は夢を持たれた。子は親元から離れ歩くことも出来るでしょう。ですが……親の後を継ぎ、共に同じ明日をみるのもまた親子に許された特権!ええ、このパンドラズ・アクターめに異議などございませんとも。父上が明日を創るなら私は今日を支えます。それが息子の役目……でしょう?」
埴輪顔の卵頭。ネオナチ軍服を纏いし
「弱者のために輝く未来をお与えになる。なんと偉大な方針なのか。……ええ、私に異論など御座いませんとも。ウルベルト様がお残しになられ、またモモンガ様へと託された意思と共に、弱者救済の為にこの身を捧げる。これほど素晴らしい事が他にありますか?ありませんね!ある訳がありませんね!!……私をお創りになられたウルベルト様に真の意味で忠誠を尽くすことも出来ず、私は一時期は己の存在意義を見失いかけた事もありました。もはや最後までお残りになられたモモンガ様の手となり足となり、このナザリックを支える事だけが私に唯一残された意味だと卑屈になった時期もありました…………ですが違ったのです。私が産まれて来たのは、この瞬間のためにあったのだと。ウルベルト様がお救いになられた……そう、言うならばウルベルト様の義理の娘にあたるのでしょうか。私にとっては義妹になるアイリスと共に、リアルでのウルベルト様のようなお労しい立場に立たざるを得なくなってしまう者たちを救い出す。すなわち……私はウルベルト様を助けるのと同義の活動に鋭意精励するためにこの世に誕生したのです!!!その為に智者としての頭脳がフレーバーテキストから具現化し、矮小な我が体に宿ったのですから!───手始めにそうですね……まずは人里……人里で無くとも、異形種、あるいは亜人種でも構いません。この世界に知性生命体がいれば、彼らと交流を図ります。彼らの文明レベルが低ければ手厚く支援し、生誕した事は幸福なのだと思い知らせましょう。……いえ、支援だけでは足りませんね。それではモモンガ様が御持ちに成られた、偉大な野望にあまりにも不釣り合い。いっその事……モモンガ様を頂点とし遍く勇名を以って庇護を約束する国を興しましょう!!アインズ・ウール・ゴウンの指導者モモンガ様!この名が弱者にとっての希望足り得る異名と成り、万年の平和と安寧を約束する地上の楽園を創り上げるのです!!!他者を害し己の欲望を満たそうとする企業連合のような蒙昧な輩には強大な力を鞭とし応え、我々を頼り身を寄せようとする者には飴を与え幸せの味を覚えさせます!……また縋る物があれば、より幸運だと感じるように知性とは出来ている。そう……理想の始まりはウルベルト様とモモンガ様とアイリスになります。この三名を三位一体の御神体とする宗教を国教としましょう。偉大な悪魔と死を司る神……そして両柱の神託を告げる希望の白き巫女。ああ、なんと素晴らしい光景か───」
「ちょっと待ったちょっと待ったちょっと待った!長い長い長い!!デミウルゴスが明らかに一人だけ熱意が違いすぎる!少し怖いんだが!?」
「あいつ…………」
「やめなよシャルティア。デミウルゴスなりに意思表明をしてるだけなんだから、そんな風に指を指したら可哀そうでしょ?」
「で、でもちょっとあれは流石に……なんだかこう……違うような……」
「ふふ、アイリスはデミウルゴスにとって義妹なら今後は義兄さんと呼ぶのですよ?」
「!!───」
「デミウルゴスの顔が恐ろしいほどに破顔してるわ!!」
「デミウルゴスハアンナ顔ヲスルノダナ……」
「あまり長々と語られても困るのですがね。この熱狂のあとに何を言ったところで私の言葉が薄くなりそうですが……」
「私……喜劇の役者としての立場がひょっとしてデミウルゴス殿に奪われていたりします?……もう少し私も捻ったものをお出しした方が良かったか?」
第七階層守護者デミウルゴスのサトルが打ち出した方針への熱意は人一倍だ。ただでさえウルベルトの『真心』を運んできたアイリスと共に、サトルの御力となるのだと内心には意気込んでいた。そこに弱者救済と言う今までの彼にとっては唾棄すべき、けれどもリアルの事を知った今となってはあまりにも感嘆すべきとしか言えない理念を持ち出されては、こうなってしまうのも無理はない。やり手のビジネスマンのような赤くストライプの入った三つ揃えを着込み、丸眼鏡の奥で宝石の瞳をきらりと輝かせ、これでもかと満面の笑顔を見せる彼からは心底からのやる気しか感じ取れない。
「デミウルゴス様の後にトリを飾るにはいささか無骨かも知れませんが……私もサトル様の弱者救済に賛成で御座います。『誰かが困っていたら 助けるのは当たり前!』。その理想を持ちながらも、現実には叶わず治安維持組織……リアルでは警察でしたかな。人助けの正義を体現は出来ず、ただ企業連合が定める治安のためにしか動けなかった我が主に代わり、この世界に助力を求める者がいるならば……私の手はその者の手を取るためにあり、また巨悪があるならばうち砕く鉄拳として振るうためにあるのです」
ナザリック執事長にして第9階層と第10階層の守護者と呼んでも差し支えの無いセバス・チャン。たっち・みーが殆ど設定らしい設定をしておらず、主の性格を大部分引き付いでいる竜人である彼にとって、弱者救済とは呼吸を行うに等しい行為だ。組織としてのナザリックがアインズ・ウール・ゴウンが誰かのために動くのであれば、そこに異論など一切ない。主から格闘戦最強として設定されたその力を使い、思う存分に役目を果たすのだと意気込みをみせる。
サトルが最後まで残られた御方だからではなく、共にその未来を見てみたいと次々に───途中一名の熱意に引いたところはあるが───手を挙げ歩きましょうと各々が否定ではなく正しく肯定する姿に……サトルはもはや存在しない涙腺が緩むかのような錯覚を起こす。
サトル一人ではこんな光景など決してみれなかったのだと、彼は心の底から痛感する。確かにサトルが秘めた思いを伝えたから、しもべたちは賛同してくれたのだろう。だが……一人では決して踏み出せなかった一歩を踏み出せたのはきっと───
サトルは横を見る。横にいた彼女───アイリスもまたサトルの方を見ていた。彼女の口がゆっくりと動く。音は出さず唇の動きだけで伝えてくる。
───良かったですねオーナー。あなたは勇気の一歩を踏み出せたんです。私が助けたからじゃありません。あなたがあなたの在り方を確かに示したからこそ、この素晴らしい……未来への輝きがあるのですよ
献身の大輪はサトルが凄いのだと肯定する。あくまでも私は場を用意するよう進言しただけだと。彼らを真に動かしたのは、あなたの言葉だと……断言しきる。そんな風に尽くすアイリスがいたからこそ……サトルはかつての自分のような何も出来ず、消えていくしかない誰かを助けたいと思えるようになったのだと。彼は自らの理想に間違いはないのだと再認識出来るのだ。
(俺は……あの日君に出会えてよかった。ウルベルトさんの贈り物だからとかじゃない。君が……アイリスがアイリスだから……。───ああ、そうか……俺は……まだこの気持ちをどう表現したらいいのかは分からないけれど……それでも、一つだけ確かな事がある。俺が進む道には……一緒にアイリスにいて欲しいんだ。そうか……人助けがしたいのもそうだけど……それ以上に善であろうとするこの子と同じ視線に立ちたいから、俺は弱者救済を掲げられたんだ。……ありがとうアイリス……平凡な俺を凄いと言ってくれて。おれは……君がくれる期待に応えられるようになりたい。だから───)
<伝言>を無詠唱化し、サトルはアイリスに繋げる。
『アイリス……一つ頼みがあるんだ』
『はい』
『これは俺の我儘なんだがな……何があっても俺を一人にしないで欲しい。一緒にずっといて欲しい。そうしてくれるなら……俺はずっと俺でいられると思う。アイリスが凄いと思ってくれる俺でいられるんだ』
『そんなお願いなんてなくてもアイリスはオーナーの物ですよ。オーナーがお捨てになっても、お傍にいるのですよ』
『違うんだ。オーナーとかそんなのは関係ない。俺が……鈴木悟がアイリスって女の子と、生涯を共に歩みたいって……そんな我儘な話なんだ』
アイリスにしては珍しく数舜考えたのち。ボンとでも音がしそうな程にアイリスは顔を真っ赤にさせる。
「うわ!急にアイリスが真っ赤っかになった!」
「どうしたのアイリス!何か悪い病気にでもかかってるの!」
「ち、違うです!ポジティブすぎる事がありまして!…………いや、タイミング自体はネガティブかも……と、とにかく予想外な事があっただけなので、アイリスは大丈夫ですとも!!ええ、ポジティブに大丈夫ですとも!!!!」
オーナー?とでも聞こえてきそうな、アイリスにしては珍しい鋭い視線をサトルに向ける。それを見て自分も気が急きすぎていたなとサトルも反省する。
コホンコホンと咳を何度もし、コキュートスにお願いして冷気系スキルで瞬間的に冷やして貰ったアイリスは、先ほどまでの赤くなっていた姿もすっかり消えいつもの真っ白な肌へと戻る。
すぅ~と一呼吸し、会議の纏めへとアイリスは移る。
「ここにいる全員がオーナーの思想に賛成とみなし、全会一致で今後のアインズ・ウール・ゴウンの活動方針を弱者救済とします。この場にいない僕にも改めて説明の場を設けますが……彼らもまたここに集まりし守護者達と同様に、この方向性に賛同してくれると私は信じています。……アインズ・ウール・ゴウンとナザリックの未来は……とてもポジティブです。そうでしょう?」
アイリスがそう問いかける。ポジティブと。サトルも含めて全員がそう返答する。
今日を以って正式に、かつてのDQNギルド『アインズ・ウール・ゴウン』は弱き者の味方となるべく、この未知なる世界で新たなるスタートをきるのであった。
アインズ・ウール・ゴウン:正式に弱者救済を理念として再出発
鈴木悟:無詠唱伝言でとんでもない事をした男。彼が復活不可の形で殺害されたりすると終焉の化身がこの世に降臨する
アイリス:これは愛の告白と同義なのです!オーナーには乙女心を理解して欲しいのです!でも嬉しいです!!!最高です!!!!!
デミウルゴス:千文字喋った悪魔。義兄さんの称号をゲットした
セバス:この世界のAOGの理念で一番得するであろう執事。組織的に弱気を助け強気を挫くのが肯定されたので非常に気楽になった
チューブの中身:ディストピア世界だし多少はね?