クレマンティーヌを殺害した翌日。朝日が昇る前にサトルは目を覚ました。
部屋に明かりはないが、闇の中でもサトルは昼間と同じように見ることが出来る。目だけを動かし壁に掛けられた時計を見れば、まだ4時だ。
「寝つきが浅いな……」
骨から人への外装変更以来、睡眠を取れるようになったサトルは必ず8時間は寝るようにしている。22時には寝て、朝の6時に起きる生活だ。
だと言うのになぜか今日はいつもより2時間も早く目が覚めてしまった。その原因はサトル自身にも良く分かっている。
「人を……殺したんだよな。俺自身の手で、殺してしまったんだよな」
生まれてきて、初めて。自らの意思で人を、かつての同族を殺害した。その事実が……どうしても頭に残っていた。
殺した直後には、ちょっとだけの罪悪感しかなかった。だが時間が経つに連れその罪悪感は心の中で大きくなって。彼の心に影を落としていた。
自分の手をサトルは見る。しっかりと肉のついた手を。この手を差し向けて、動けなくなった女に低位階の蘇生を拒む即死をかけたのだ。他でもない自分の意思で。
別に死体を見るのは初めてではない。地球にいた頃に親に捨てられたか、親を亡くしたストリートチルドレンが道端で野垂れ死にしていたのを何度か見たことがある。
だから死なんて物は身近にあるものだった。誰にだって平等に訪れる。そう思っていたのに……いざ自分が殺したとなれば、心にヘドロのようにこびりついてしまった。
(体がアンデッドじゃなかったら……多分耐えられなかった。殺人への罪悪感で当分の間は何もできなかっただろうな)
サトルが帰宅した時に、彼の顔が曇っていたことに気がついた一同は何があったのかを聞き出し───
「お食事が出来ておりますわん。……今はゆっくりと召し上がってください……あ、わん」
「ベッドメイキングは済んでおります。掃除の方も完璧に仕上がっています。今日はゆっくりとお休みください」
自分では気にしてないつもりだったが、ペストーニャやエクレアから見ると相当酷かったのか、あまり干渉をしようとはせず夕食を用意してからはアイリスと二人きりにしてくれた。
普段食べているシホウツの料理ではなく、ペストーニャが作ったシチューを口にした後、何かをする元気もなかったサトルはそのまま寝室に向かいベッドに倒れこんだ。
防音の魔化を施した寝室には外からの音が入ってこない。サトルの耳に聞こえるのは、疲れてローブを脱ぐ元気も無くなった自分とは違い、外行きのドレスから寝間着に着替えるアイリスの衣擦れの音。
その音も止まり、アイリスが同じベッドに座り込む。
彼女は何も言わない。サトルも何も言わない。アイリスが相手でも、何かを話したい気分でもなかった。ただベッドに沈み、天井を見つめるだけ。
時間はまだ19時を回った頃であり、いつもならアイリスに地球時代には学ぶ機会のなかった中等教育や高等教育を教わっている時間だが、やる気どころかベッドから起き上がる気力も湧いてこない。
瞬きすらせず天井を見ていたサトルに、アイリスがベッドの端から近づいてくる。彼女も横になり、サトルの頭を抱きかかえる。
トクン。トクン。
アイリスの規則正しい心臓の音。部屋が静かなだけに、よく聞こえる。いつもならその内に情欲が湧いてきて、アイリスを抱いていたのだろうが今日はその気にすらならない。アイリスがくれる一定の鼓動音に自分を委ねる。
心と体のズレにモヤモヤしている内に、いつも就寝している時間に自然と眠り、起きたら殺したことに今更思考を巡らせてしまう。
(喜ぶがいいとか……慈悲とか言って誤魔化すために、魔王ロールをゴミ箱から引っ張りだしたけど。ああしなければ、俺は即死魔法を使えなかった)
クレマンティーヌは100人以上を殺した快楽殺人鬼。彼女は父親の前で妊婦を殺害し、お腹から赤ん坊を引きずり出すところを見せつけた上で、父親も殺害したことがある。それらの情報を知っていても、いざ自分の手で一人の命を取るとなると、どこかで躊躇しようとし。だからサトルは魔王ロールで心を誤魔化して、<真なる死>を使った。
サトルが完全にアンデッドであれば、人を殺したところで心は何一つ動かなかった。フレーバーテキストとして生あるものを恨み、機会があれば害するのがアンデッド。元の精神が鈴木悟だとしても、肉体にその在り方は引っ張られる。共に実体化したナザリックのしもべが崇拝する偉大なるアンデッドとしてあり続け、精神が抑制され、人間だった頃の欲求を満たすことも出来なければ、よりその在り方はオーバーロードのモモンガに近づいていた。けれども───そうはなっていない。
なっていないからこそ───心のどこかでクレマンティーヌの殺害を引きずってしまう。もっと別の道があったのではないかと。
(あいつに贖罪の道を歩ませることも出来たんじゃないか?……無理だな。スレイン法国が追っている以上、死体でも良いからクレマンティーヌを見つけさせなければ、風花聖典は無駄な時間を過ごすだけだ。それにただ楽しいからって理由で、殺したやつにどうやって赦しの道を歩ませるんだよ───)
結局のところクレマンティーヌを生まれ故郷に生きたまま返したところで、悲惨な末路しか残っていない。仮に死罪にならなくとも、法国でエルフに施されている心を完全にへし折る拷問が行なわれるだけだ。かと言ってこれからも誰かを───
ならばせめて苦しまずに。そう願い、もっとも苦しくない方法で葬ったが───アンデッドに成り切れない、鈴木悟は……でも、やっぱり、もしも……そんな風に堂々巡りに悩んでしまう。
「───眠れないですか」
悩んでいる内に、いつの間にかアイリスも起きていたのかサトルに語り掛ける。彼女の手がサトルの頭に伸び、ゆっくりと髪を梳く。一本一本、丁寧に手ぐしで髪を弄られる感触に、少しのむず痒さとされるがままに任せたい甘えがサトルの内から顔を覗かせる。
「ああ。どうしても……考えてしまうんだ。殺すって……死って、なんなんだろうな」
アイリスの所作が甘えても良いサインなのだと。そう捉えたサトルは自分の不安や悩みを打ち明ける。隠したところで、察しがいいアイリスはどんな悩みを持っているのかすぐさま看破する。だから正直に心情をサトルは吐露した。
「実体化で蘇生魔法が使えるようになって、死は遠くなった。仮にアルベドやデミウルゴス……ナザリックの皆が不慮の事故にあっても、拠点システムで無かったことに出来る。俺が死んだとしても……蘇生アイテムが肩代わりをしてくれる。アイリスが……アイリスが無くなったら───」
「───私は簡単に死にませんよ」
言い淀んだサトルの言葉を継ぎ、アイリスは彼を安心させるようにより丁寧に髪をとかす。
「だから大丈夫ですよ」ともう一度呟く。
「オーナーは……クレマンティーヌの件がネガティブだったのですね」
「───……他にあったんじゃないかって。あいつは極悪人だったんだろうけど、それでも通りすがりの俺たちに訳も分からない内に殺されて……法国に死体を返したけど、蘇生が出来ないあの女は、どんな気持ちで最期を迎えたんだろうって。思わずにはいられないんだ」
心からネガティブかと言われたら、サトルには分からない。それでも、地球にいた頃は人間で。今はワールドスキルにより純人間とは言い難いが、それでも種族としては人間種のアイリスが傍にいるせいか、純粋なアンデッドに比べれば人間に対して親近感が湧いてくる。
そんな人間の生命活動をエゴで止めた事は正しかったのだろうか。
悩むサトルの手に小さな手が重ねられる。サトルの半分くらいしかなく、指も細いアイリスの手が。血が流れていないサトルの冷たい手とは違い、ほのかな温かさがある手を。
「彼女を殺したのはオーナーだけではありません。私もです。『威嚇』で抵抗する力を削いだのは、私です。ですからどうか、気を落とさないでください。オーナーが気落ちするのは……とてもネガティブですから」
この先、ナザリックは9のために1を殺す。悪には悪の言い分があるだろう。悪徳貴族には悪徳貴族の理屈があり、正義がある。それを全て踏み潰すと決めた。その一歩として、確実に死罪になるクレマンティーヌをサトルの初めてとして選んだが……サトルが引きずるくらいなら、アイリスは自分で彼女の首を刎ねるべきだったと後悔する。
彼の苦悩を癒してあげたい。だから彼女は一つ、話をすることにした。サトルと同じような悩みを抱えていた、ギルドメンバーの話を。
「今からする話が、オーナーにとって救いになるかは分かりません。これを公開するのは、とある人物にとって不本意な可能性はあります。そんなお話ですが……聞いてくれますか?」
「……ああ、聞くよ。アイリスの話を聞くのは、結構好きなんだ」
「ふふ。好きと言われるとポジティブです」
寝転がっていた体を起こし、正座になったアイリスの太腿にサトルは頭を乗せられる。アイリスはサトルに甘えるのも好きだが、それ以上にサトルに何かをして上げる方が嬉しいタイプだ。自分の膝枕に乗せた彼の頭を撫でながら、アイリスは地球時代の話を切り出す。
「……オーナーのように、かつて人を殺したことに苦悩したギルドメンバーがいました」
「殺人を? …………それはウルベルトさんの話かい?」
40人の中で人を殺したことがありそうなのは、テロリストだった彼なのだろうかと思いそう問いかけるが───
「ネガティブ。確かにウルベルトにも殺人経験はあります。彼の組織が関わったと思われる事件の死亡者は、全部で143名。その中にはウルベルトの手によって葬られた人もいるはず。ですが、彼は自分からそうなるのを覚悟した上で挑んでいました。だから後悔はしていないでしょう」
「なら他に、誰が? 」
ギルドメンバー全員の顔をサトルは思い浮かべるが、ウルベルト以外で殺しの経験者と言われても、早々思いつかない。地球で人を殺すなら何かしらの武器が必要になるが、企業連合が下々に反逆されないように銃やナイフには強い規制がかけられていた。
その中で武器を手に入れるとなると、ウルベルトのような裏の人間以外では元々銃などに触れる機会が多い人物しか───
(銃に触れる?…………あっ!)
「たっちさんか!」
サトルが思い至ったのは、警察に勤めていたエリートの友人。彼を異形種狩りから助けてくれた憧れの人物だった。
「ポジティブ。彼は警察官として、多くの事件を解決しています。その中には凶悪犯との対峙もあり、場合によっては射殺せざるを得ない状況もありました」
「そう……だったのか」
「……データベースに残されていた彼の勤務記録や日報。当時のニュース記事などによれば、たっちが手をかけたのは全部で3人です」
「それは……それは多いのかい?」
「ネガティブ。警官による死者数の平均値は9人です。半分以下に抑えているたっちは、非常に少ないと判断します。それでも、初めて彼が人を殺してしまった時は相当精神がやられたようです。まだ配属されてから4カ月の時に、ストリートチルドレンを……」
「子供を、たっちさんが?」
「───ポジティブ。正義に憧れて警察官になった彼にとって、相当に堪えたのでしょう。当時精神科に通院していた記録が残されていました」
自分が『ユグドラシル』を続けようと思えたのは、たっち・みーがいたからだ。そんな彼が精神科にお世話になっていた過去があった事に、サトルは驚くと同時に。ギルドメンバーのみんなとは友達だと思っていたが、知らない事も多くあったのだなと。少しだけ寂しさを感じていた。
「それで、たっちさんは落ち込んで、苦悩して。どうやって復帰を?」
「電子カルテを見る限りでは、半年ほどかけて治療をしたようです。ちょうどその時期ですね。たっちが結婚をしたのは」
「一度だけ写真を見せて貰ったな……幼馴染だって」
「ポジティブ。……ここからは病院の記録ではなく、その幼馴染が書き残していた電子日記から分かった内容なのですが───明るかった彼がみるみるやつれていったのを、見るに見かねた彼女はたっちが立ち直れるように頑張ったみたいです。詳しい内容も書き連ねてありましたが、それに関しては彼女のプライベートに配慮して伏せさせて頂きます。何にしろたっちは周りの助力もあり、元の明るさを取り戻せました」
「……良い話だな」
「ポジティブ。彼には助けてくれる人が周りに多くいた。それはとてもポジティブです。……人は1人では助かりません。誰かが必要です」
澄んだ紅玉の眼がサトルの眼を覗き込む。こつんと額と額を合わせて、アイリスは微笑んだ。
「この先多くを助ける過程で、多くを私たちは傷つけます」
「───分かってる。人間に敵対し迎合しようとしない、竜王国のビーストマンやアベリオン丘陵の亜人の多くを俺たちは踏み潰すことになる。そいつらだけじゃないな。人間だって昨日のクレマンティーヌのように、かなりの数を粛清する」
「ポジティブ。それぐらいの荒療治でなければ、この世界の改革は叶いません。……でも……オーナーは普通の人です。『ユグドラシル』で非公式ボスなんて呼ばれたモモンガじゃない。だからこの先も傷つくかもしれません」
「………………」
その言葉をサトルは黙って聞く。自分が平凡な凡人なんてことぐらい良く理解している。アンデッドの体でなければ、どうしようもなく弱い人間なんだと。
しかしアイリスの言葉には嘲るような様子は一切ない。彼女と出会ってからこの世界に転移するまで1年と4ヵ月。転移してから3ヵ月。その間散々情けないところを見せて来た。だが一度とて彼女はサトルを笑ったことはない。いつだって優しく受け入れてくれて───
「あなたが傷つくなら私は助けます。この先辛い事があったなら、もっと甘えてください」
だから今も柔らかに微笑んで、サトルを健気に支えようとする。
「私に言いにくいことなら、他のみんなに甘えてください。義兄さんも、お兄ちゃんも、アルベドも、シャルティアも、コキュートスも、セバスも、アウラやマーレも……みんな。みんなオーナーが辛そうにしてる姿なんてみたくないです。ポジティブにはなれないんです」
「俺は今でも十分甘えてるつもりなんだがな。これ以上甘えたら、全身が砂糖にでもなりそうだ」
その甘いとすら言える優しさに、サトルも今だけは浸ろうとする。心地の良い甘い夢心地に。
「でもそうだな。甘えてもいいなら……寄りかかってみても良いのかもしれないな」
だからサトルはそう答えて……にやりとアイリスが笑ったのを不思議に感じる。いつものアイリスの笑みではないと。
「言ったのですよ? もう取返しなんてつかないのですよ?」
「アイリス? なんでそんな邪悪な笑みを───」
フッとサトルの後頭部にあったアイリスの膝枕が消え、普通の枕と差し替えられる。アイリスは同じ世界級に到達しているサトルにすら見切れない速度で、寝室のドア前へと移動していた。
「みんなそんなところにいないで、入ってくるのですよ」
アイリスが勢いよく扉を開け放つと、そこにはメイド達やコキュートス……エ・ランテルにサトルと共に来たナザリックの仲間一同が「あ、バレた」と言った雰囲気の空気を纏って立っていた。
「お、おはようございます……っす?」
一同を代表してルプスレギナが疑問形で朝の挨拶をする。その光景に「なんで全員そこにいるの?」と、アイリスにアイコンタクトをサトルは試みる。
「みんなオーナーの事が心配だったのですよ。だからこうやって寝室前に集まって、寝ずの見守り会なのです」
「アイリス様はいつからお気づきだったのですかわん?」
「起きた直後ですよ? 気配を扉越しに感じたのです!」
意気揚々とアイリスが答える横を通って、まずメイド一同が部屋へと入って来た。彼女らは全員が目を潤ませ、サトルへと近づいていく。
「サトル様! アイリス様の仰る通りです! 我ら一同、御身が悲しまれる姿など見たくはありません!! 」
「あ、ああ。その気持ちは、うん、ありがたいよ……」
ずずいとベッドを取り囲む美女集団の熱気に、サトルは気圧される。ナザリックの一般メイドは全員が例外なく美女か美少女であり、アイリスで綺麗な女の子に慣れているはいるが、今みたいに囲まれるのにはあまり慣れていないサトルはちょっとだけ引く。内心女子に虐められる男子の図ってこんななのかなと。
「そうですね……こうやってみんな集まったわけですし、折角ですからハグ祭りでもやってみましょうです」
「アイリス? 何そのハグ祭りって? 嫌な予感しかしないんだが?」
「人は悲しい時、辛い時、抱きしめられると落ち着く性質があります。つまり……ここにいる全員でオーナーをハグしてみるのですよ」
「うぇ!?」
サトルはアイリスの提案に驚くが、彼以外はそのハグ祭りとやらに賛同なのか、一切否定の言葉が返ってこない。そして───
「どうですかサトル様? 苦しさは消えましたか?」
「……どうだろうな。別の意味では苦しいが」
初手は一般メイド6名同時のハグだった。四方八方から抱きしめられたサトルは、メイド達の立派な胸部装甲に押しつぶされる形となり、心に残っていたモヤモヤの重みとは別に物理的な質量に襲われていた。
(女の子に抱きしめられるのはアイリスで慣れたと思っていたけど……流石に6人同時となると、全く違うな。アイリスでも分身は4人同時が限界だし)
足、手、背中、お腹、頭……全身をふよんふよんとした感触に包まれるのは悪くないなと、サトルは少し思った。ぺロロンチーノがここにいたら血涙を流すだろうなとも。
「じゃあ次は私っス! ニシシっ。サトル様の傷は私が癒して見せるっすよ。これでもクレリックっすから」
褐色の肌に、燃えるような赤毛を三つ編みにしたルプスレギナもまたナザリック女性陣に漏れず、非常に綺麗な見た目をしている。彼女もまたナザリック女性陣がデフォルトで持つ立派な胸を持つ。あの地下大墳墓で胸部装甲が薄い者は子供のアウラを除くと、シャルティアやアイリスくらいだ。
「身長の高い女性を正面から抱きしめるのは初めてだが、うん。悪くないな」
「アイリス様はちびっ子っすものね」
「聞こえてるですよルプー」
そこからもハグ祭りは続き───
「どうですかなサトル様。私も中々のものでしょう」
「ペンギンってこんな抱き心地なんだな」
エクレアをぬいぐるみのように抱かされたり。
「私ハ遠慮シテオイタホウガヨイデショウカ?」
「ここまで来たらコキュートスも抱きしめてやるさ!」
自分より遥かに大きな蒼い甲冑に包み込まれるようにハグされたりと、朝からサトルはワイワイとする羽目になった。
そんな騒動を少し離れた場所で、アイリスはペストーニャと一緒に見守っていた。
「楽しそうですわん」
「ポジティブ。とても楽しそうです」
「馬鹿騒ぎで気を紛らわせる。これはアイリス様の目論見通りですかわん?」
「ポジティブ。オーナーは寂しがりやさんです。そんな彼を癒そうとすると、アイリスだけでは手が足りない。だからみんなが寝ずの番をしてくれていたのは、大助かりなのですよ」
ニコニコと笑うアイリスに視線をやったペストーニャは、「寝ずの番ですか」と呟き───
「アイリス様も寝てはおられないと、私は思っておりますが……あ、わん」
「……ふふっ」
アイリスはただ微笑むだけで何も答えない。一晩中寝ずに、こっそりと彼の背を撫でたりしていたことなどサトルに知らせるつもりはない。だからただ、微笑むだけ。
「
コキュートスのハグで圧し潰されかけているサトルを見ながら、アイリスは小さな声を出す。今の彼には地球時代とは違い、触れ合って支えてくれる者が大勢いる。
何があってもサトルを悲しませない。それがNPCたちの在り方であり。共に歩むと決めた仲間がすべきことなのだから。
たっち・みー:オバロ地球がサイバーパンクやってる世界だとしたら、警官は絶対一人はやってるよねって捏造設定
クレマンの最期:感想見る限りでは受け入れられてホッと一息
サトル(モモンガ)の精神状態
原作:人間は虫ぐらいにしか思えない。仲良くなれば小動物ぐらいにはランクアップ
本作:犬猫ぐらいには最初から思えてる分殺害でメンタルダメージ
次回はみんな大好き冒険者登録