いつも誤字脱字報告ありがとうございます。非常に助かっています
「無事にプレートの発行も終わったのですよ」
ハグ祭りで気を紛らわした後。
サトルは朝食を取ってから、コキュートスとアイリスとルプスレギナを連れて、エ・ランテルの冒険者組合までやって来た。
ここにやってきたのは言うまでもなく、冒険者として登録するためだ。
ラナーの療養が終わるまでの間、人助けをこなしたりしようと決めたナザリックの面々だが、何をして過ごすのかは各チームの判断に任せている。
商人として都市に潜入し、安く物を売って貧乏な人間を助けようとするチーム。ボランティア活動として無償で困っている人を助けようとするチーム。自分たちが、仮に人間だとしたら何をするか。そのテーマで各々散らばった。
ではエ・ランテルへと割り振られたサトルチームはと言うと……冒険者をやろうと決めた。
冒険者の主な仕事はモンスター退治や護衛。求められるのは何よりも絶対的な力であり、ナザリックが最も得意とする分野だからだ。
それに冒険者をやることもまた弱き者を助けることに繋がる。王国の冒険者は全部で3000人ほど。その中で実力者と呼ばれるようになるのは、八つあるランクの上から4番目の
はっきりと言えば非常に少なく、モンスター退治の手は全く足りていない。だから当分の間は傭兵稼業をこなして人を助けようとなったのだが───
「はぁ……試験とかやってくれれば、銅からの下積みなんてやる必要もないだろうに。何というか、頭の硬い」
首からぶら下げた銅のプレートを指で弾きながら、サトルはぼやく。今回冒険者として登録したのは、ルプスレギナとアイリスとサトルの3人に加えて、使役魔獣の枠でコキュートスを一人。世界級エネミー3名に、100レベルのレイドボス級前衛信仰職1名は冒険者の1チームの戦力としては過剰な大戦力だ。
冒険者のランクで最強と目されるのがアダマンタイト級だが、今回登録した4人は全員が単体でそれになれる実力を持つ。そんな彼らでも、必ず一番下からの銅でスタートの規則と言う敵はどうしようもなかった。
「規則は仕方ないのですよ。冒険者は原則、国には属さないと定められているのでラナーの名前も使えませんし」
最初はラナーの名前を使って組合長のプルトン・アインザックに掛け合う案も出たが、冒険者は中立を維持するために国家運営に関する活動には関わってはならない不文律がある。そのためラナーの名は使えなかった。
「でも良いんじゃないっすか? 実力を示せば、特例でプレートが上がる例もあるんすよね? 私たちならすぐにでもアダマンタイトっす」
「ポジティブ。大きな事件を解決できればすぐにでもミスリルやオリハルコンまで上がりますし、アイリス達が何位階の魔法が使えるかが広まれば、ルプーの言う通り簡単にアダマンタイトなのです!」
手を取り合ってきゃいきゃいするルプスレギナとアイリスに「そんなもんかね? 」と思いつつも、サトルは気を取り直す。彼が周りを見渡すと、そこかしこから視線が集まっているのが良く分かる。
(注目されているな。まぁ、無理もないか。俺も事情を知らない現地人側なら観察するだろうし)
サトル達は新米冒険者と呼ぶには、いささか立派過ぎる装備を身に着けている。本来の装備である世界級品質の武器や防具はあまりにも過剰戦力なため封印し、遺産級や聖遺物級にまで品質を落としているが、それですら人類国家では王室が管理する大秘宝と呼んでも差し支えない代物ばかり。それだけに留まらずルプスレギナもアイリスも見目麗しい美少女と美女であり、共にいるサトルは超が付くイケメンで引き連れている
規則で銅のプレートになってはいるが、受付嬢すら含めて周囲の人間は彼らが銅などとは微塵も思ってはいない。と言うか、あんな魔獣を従えているような人物がなぜ冒険者などにと、疑問に思うばかりだ。
「デハ御屋形様。早速何カ依頼ヲ受ケテミマスカ?」
「そうだな。こうやってここで立っていても時間の無駄だしな」
一行は掲示板の前まで移動し、銅で受けられる依頼をいくつか物色はしてみるが───
「荷物運びにペット探し……碌なのがないな」
「ポジティブ……誰でも出来るお仕事よりも、アイリス達にしか出来なさそうなクエストの方が社会全体から見ても効率が良いのです」
「受付の方で張り出しているの以外で、何か良さそうな奴がないか聞いてみるっす」
ルプスレギナが受付に戻りあれこれと聞いてみたが、特にないのか首を振りながらサトルのところまで戻ってくる。
「イッソノコト街ノ外ニ繰リ出シテ、適当ナ野盗デモ締メ上ゲマスカ? 」
コキュートスの提案に、それも良さそうだなとサトルは首を振る。まともな仕事がないなら、脚で見つける。なんなら共同墓地にでも行って、ズーラーノーンなる秘密結社を全員捕縛するのも良いかも知れないなと、組合から出ようとしたところで───
「ですから本当なんです! いきなり金髪の女性に話しかけられて、白いお姫様に抱えられて。気が付いたらなぜか市場にいたんですよ!」
「分かった分かった。ニニャもそういう年頃だもんな。襲われたところを助けられる。普通は助ける方に成りたがるもんだが、助けられる側になるってのも悪くなさそうだものな」
「もう! 一晩考えてみてもあれは妄想とか白昼夢じゃなくて、本当にあったこととしか─……」
彼らも冒険者なのだろう。首から銀のプレートをぶら下げた4人組とバッタリ出くわし───
「お早い再会なのです」
クレマンティーヌの凶刃から助けた男装少女───ニニャが所属する冒険者チーム『漆黒の剣』との邂逅であった。
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後日出会ったら説明すると約束していたアイリスは、組合の一室を借り全員でそこに移動してから事情を一部捏造して伝えた。
自分達は遠い国から旅をして来たこと。エ・ランテルに来る途中で法国に立ち寄ったこと。そこで情報収集をしている中で、昨日の金髪女性が殺人犯だと知ったこと。城塞都市エ・ランテルが立地なども含めて、当分の間滞在するのに良さそうだと判断した事。都市を観光していたら件の殺人犯を見かけたので後を追ってみたら、ニニャが襲われそうになっていたので助けたこと。殺人犯は捕まえて彼女を追っていた法国の特殊部隊へ引き渡したこと。
これらを伝えきったところ───
「ニニャを助けてくれてありがとうございます! この御恩は必ず返します!」
漆黒の剣のリーダーであるペテルがアイリスに頭を下げる。
「私からもお礼を言わせてください。昨日は疑うような目で見て、申し訳ないです」
「いえいえ。アイリスがしたいことをしただけなので、そんな風に謝ったり感謝されたりしてもネガティブなだけなのですよ。ニニャが無事だった! それで良いのです! 」
ニニャも席から立ち上がりアイリスに深々と頭を下げる。それを見たアイリスはちょっとだけ困った顔をしたが、すぐにいつもの朗らかな雰囲気に戻りお礼の言葉だけでいいと返答する。
「しかしアイリスちゃんは凄いんだな! 話に聞く限りではそのクレマンティーヌってのは、ニニャが反応出来ないくらいの凄腕なんだろ? そいつの刺突から救い出すってんだから、大したもんだぜ―全く」
そう言うのは、レンジャーのルクルットだ。皮鎧を着た金髪の男で、全体的に引き締まった体からは身軽そうな印象を受ける。
彼は目をおどけるように細めながら、アイリスの全身を観察する。
「けどあんまり無茶はしちゃいけないな。ニニャを助けてくれたのはありがたいが、それでアイリスちゃんみたいなちっさくて可愛い子が傷ついたりしたら、悲しむ人が絶対多いんだからさ」
「女性に対して小さいなど失礼であるぞルクルット。……仲間が軽薄ですまないであるな」
「別段気にしてないのです! 小さいのは事実ですし……」
ルクルットの軽口を諫めるのは、ドルイドのダインだ。大柄な体にたっぷりの髭を蓄えたたくましい男性だが、優しい眼差しをしており柔らかな印象がある。
「確かにアイリスが傷ついたりしたら、私も酷く心を痛めますね。ですがアイリスを傷つけると言うのは、些か難しいと思いますよ」
「そうなのですか? しかし…………」
ペテルがサトルの言葉に対し訝しげな反応をする。見た目は小柄で、おおよそ闘いに向くとは思えないアイリスを傷つけるのは難しいと言われてもピンとは来ないのだ。
「ペテルの反応も仕方ないですよ。助けられた私だって、どんなふうに救われたのかはほとんど把握していませんからね。気がついた時にはアイリスさんに抱えられていましたが、ひょっとしてあれは魔法でしょうか? 」
「ネガティブ。あれは超高速で動いただけなのです」
「……先ほどから気にはなっていたのですが、その……アイリスさんが口にされるポジティブやネガティブって何なのですか? 」
「あれですか? あれは彼女の口癖でしてね。ポジティブは『はい』や『そうです』。良い事があった時にはポジティブですよ。ネガティブは『いいえ』や『違います』。悪い事があった時には、ネガティブですよ、なんだとか」
自分の口癖を説明されたアイリスは、ちょっとだけ顔を赤くする。前任の3333が現在の人格を作成した際に、何かロボットぽい口調と言う事でこうなったが、改めて説明しないと伝わりにくい口調なのはちょっとだけ恥ずかしかった。
「ニニャが反応できない速度を、更に上回る速度で動いたと? それはもう、速いとかそんな領域の話ではないのでは……」
ペテルはやはり信じられないと言った反応をする。今まで生きてきた中で、知覚すらできない速度を体験したこともなく、さらにはそれを凌駕する速度と言われても、と言った感じだ。
「疑わしいって反応っすね。いっそのことアイリス様も見せてあげたらどうっすか? それが一番早いっすよ。速さだけに早いっす! 」
「ナゼソンナクダラナイ洒落ヲ? 」
「洒落は置いとくとして、確かにルプーの言う通り御見せするのが一番早いのも事実です。百聞は一見にしかずなのですよ」
椅子から立ち上がり、部屋の隅まで移動したアイリスに全員の視線が集まる。
「では行くのですよ~」
誰も目を離さなかった。武芸の腕に優れたコキュートスも視線を外してはいない。だと言うのに……何の前触れもなく全員の視覚からアイリスの姿が消え───
「いないいないばぁ。ですよ」
アイリスから一番遠い場所にいたルクルットの後ろに回り込み、彼の眼に両手を添えていた。この中でアイリスの次に技量の高いコキュートスですら、瞬間移動にしか見えない無音の高速移動に漆黒の剣全員の顔が強張る。
「み、見えたであるかルクルット……」
「分かるわけねえだろ……アイリスちゃんを見てたと思ったら、次の瞬間には視界を隠されてるんだぜ……」
ルクルットは少しだけ悔しそうにする。チームの中では目と耳を担当する彼は、自分の反応速度などに自信がある。
「な、るほど。スズキさんが傷つけられないと豪語する理由が、心底から分かりました。あんな速さで動けるなら、生半可な攻撃なんて当たりませんものね」
「凄い体術ですよアイリスさん! 一体どれだけの研鑽を積めば、それだけの技を……」
「どうやって会得したのかは企業秘密なのです。女の子には色んなミステリアスがあるのですよ?」
えっへんと胸を張るアイリス。その横で「アイリスは凄いんですよ」と自慢げなサトル。彼は自分が褒められるよりも、自分が凄いと思う人が褒められる方が好きなのだ。二人の空気に当てられたのか、緊張していた空気が緩む。だが次のニニャの質問にアイリスが答えると、再び彼女の顔が強張った。
「では私を市場に逃がしてくれたのも、その超高速移動なのですね」
「ネガティブ。流石にニニャを抱えたまま、そんな速度は出せないのですよ。あれは転移魔法を使ったのです」
「てん……い?……ちょっと待ってください! 転移魔法って……」
漆黒の剣の中で一番魔法に詳しいニニャには、アイリスが口にした魔法が何なのかを正しく理解出来てしまった。声を荒げたニニャに「どうした? 」とペテルが話しかける。
「どうしたじゃありませんよ! 転移魔法ですよ転移魔法!」
「転移なら俺たちも知っているさ。確か3位階の魔法に<次元の移動>って魔法があるってのは聞いたことが───」
「<次元の移動>は術者本人にしか効果がありません! 他人を移動させる転移は第5位階以上です!」
ニニャの叩きつけるような言葉に、漆黒の剣の3人は最初ポカンとし、言葉の意味を飲み込んだのか「マジかよ」と言葉を漏らす。第5位階以上。その単語が理解できない人間は冒険者にはいない。
リ・エスティーゼ王国は周辺国家に比べると魔法後進国だが、常にモンスターと戦い魔法詠唱者も多い冒険者なら、第五位階と言われて即座に価値を理解出来なければ、すぐにでも冒険者稼業から引退した方がいいだろう。
「確か第五位階を使える魔法詠唱者って言ったら」
「王都のアダマンタイト級冒険者、『蒼の薔薇』のイビルアイ氏に、同じく『蒼の薔薇』のラキュース氏」
「帝国の筆頭宮廷魔術師、三重魔法詠唱者のフールーダ・パラダイン……」
「おいおい。どいつもこいつも、最強って言われる化物ばかりじゃねえか! 」
漆黒の剣が口にするのは人類国家でも名が知れ渡る強者ばかりだ。そんな怪物たちと目の前の白い少女は同等だと───
「てことはだ。アイリスちゃんは高位階の魔法を使いこなして、なおかつ戦士も顔負けの速度を出せる魔法詠唱者? そんなの聞いたこともねえぞ! 」
「それが事実なら、アイリス氏にはすぐにでもアダマンタイトのプレートが発行されるのである!」
凄い凄いと褒め称えるルクルットやダインの様子を、微笑ましい者でも見る様子でサトルやルプスレギナは観察する。五位階の魔法とはユグドラシルではMP消費を抑えるための牽制や目眩しに使う魔法でしかなく、大して凄い魔法ではない。だから「新鮮な反応だな―」と眺めていたのだが───
「アイリスさん。一つだけ、尋ねても良いでしょうか」
青い顔をしたニニャが震える声でアイリスに問いかける。その様子にサトルは気がついたかと内心称賛を送る。魔法に詳しい彼女だからこそ気づけたのだろうなと。
「あのとき私に使われた魔法。それは何位階の魔法ですか?」
「
シンっと空気が冷える。ペテルやダインはその言葉を飲み込むのに忙しいのかフリーズし、ルクルットは口を開けてポカンとしている。
ニニャだけはなんとなく五よりも高い位階の魔法だと予想はしていたのか、閉口するだけで済ませている。……よく見れば青かった顔を、更に青ざめさせているのだから、余りにもあまりある情報だったのだろうか。
「八って……そんな魔法があるのか!」
「六大神の建国神話で語られる程度の伝説の魔法ではある、が……実在は一度とて確認されたこともないのである」
人類が行使できる魔法は六位階。法国であれば切り札である
そこに八位階が使えるなどと言葉を投げつけられたなら、嫌でも漆黒の剣のように頭がパンクしてもおかしくはないだろう。
その情報を処理しているうちに、ハッとニニャがさらに何かを気づいたのかサトルやルプスレギナを見る。
「まさか……スズキさんやルプスレギナさんも、第八位階の魔法を行使出来る……なんてことはないですよね?」
何故か疑問系でニニャは恐る恐る問うてくる。それに対して、サトルは別に隠すこともないのでサラリと事実だけを答えた。
「ルプスレギナは第八位階。私は第十位階の魔法詠唱者です。あと訂正しておきますが、アイリスも第十位階の魔法詠唱者ですよ」
「じゅぅっ!!!」
今度こそ『漆黒の剣』のメンバー全員の脳が凍った。第八位階は神の領域の魔法として伝えられている。それをすら上回る領域の大魔法。
第十位階。もはやそんな魔法はないとすら信じられている前人未踏の頂き。神々の中でも王座に座る主神だけが使えるとまでされている絶対の魔法。それが第十位階の魔法なのだ。
「どうされましたか皆さん。そんな顔をされまして」
「い、や。だって……十って。そんな、そんなのお伽話にすら……」
「なるほど。ペテルさん達は我々の言葉が信じられないと言ったところですか。……ああ、そう言えばこの辺りでは、あまり魔法が発展してないのでしたね」
第十位階の魔法詠唱者であることをなんでもないかのように語るサトルの口調に、軽口を叩く癖があるルクルットですら空恐ろしい者を見る目で彼を見つめてしまう。
「その……ニニャを市場まで転移させた魔法が、八だと言うのはまだ信じられるのですが……流石に言葉だけで十と言われても。……私たちには、存在することすら伝説の中にしか許されなかった偉大な魔法ですので、なんと言いますか」
「そんなに申し訳なさそうにしなくともよいのですよペテル。言葉だけで全てを信じてしまっては、世の中には詐欺師だらけになっちゃうのです」
「アイリスさん…………」
にこやかに笑うアイリスだが、サトルの言った事を否定するような言葉は彼女の口からは出てこない。アイリスの態度はとても朗らかで……だからこそ、嘘なんかではなく、サトル達は真実しか喋っていないのだと。そう感じられてしまう。
あまりの情報に黙りこくる『漆黒の剣』メンバー。彼らも何を言ったら良いのか、ここに来て困ってしまったのだろう。
「疑ワシイナラ我ラノ力ヲ直接見テミタラドウダ。先ホド御前様モ仰ラレテイタダロウ。百聞ハ一見ニシカズダト」
そこにコキュートスが助け船を出す。コシューと息を吐き出す彼からは、今までとは違い煮詰めたような剣気が昇り始めている。疑わしく思われるなら、力を見せつければいい。それが武人である彼の結論だった。
「コキュートス様の言う通りっすよ。マジかーってなってる時には、見るのが一番っすよ一番」
「なるほど確かに。……ペテルさん。我々で一緒に合同任務を行い、私どもが嘘をついていないと証明するのはどうでしょうか」
「合同で……ですか? 」
「ええ。私どもも、実のところ困っていましてね」
ピンと指で銅のプレートをつまらなさげにサトルは弾く。
「我々には実力があっても知名度がないもので。このように銅級からのスタートとなったのですが、受けられる任務はどうしても実力に見合わない物ばかり。そこで銀級であるあなた方の助けをして、知名度を上げたいところなのです」
「……私たちはスズキさんたちの力を借りて、普段よりも難度の高い依頼を受ける。見返りにスズキさんの噂を私たちが広める。そういう事ですか」
「その通りです。その過程で私たちの実力が嘘ではないと、ペテルさんたちに見せる。お互いにウィンウィンな関係と言う奴です」
「一つだけ問題がありますね。私たちが受けられる依頼ですと、流石に八人で山分けするには報酬が足りません」
「私たちは報酬無しで構いませんよ。元々共同作業を持ちかけたのはこちらですし、銀級の『漆黒の剣』の皆さんに噂を広めてもらうこと自体が、報酬のようなものですので」
「……分かりました! 今日の依頼は変則的な形になるけど、ニニャもルクルットもダインもそれでいいですか? 」
「構いませんよ。第十位階の魔法詠唱者。そんな凄い人の戦いが見れるなら、私も報酬無しでいいくらいです!」
「俺も賛成だぜ。アイリスちゃんやルプスレギナちゃんみたいな可愛い子と、一緒に仕事が出来るなら万々歳だ」
「私も賛成である。糊口を凌ぐ仕事が楽になるなら、反対する理由もないのである」
ダインも賛意を示したのを切っ掛けに、全員席を立つ。八人全員で受付へと移動するのであった。
次回環境破壊