半端者の天狗、ヒーローとヴィランが台頭する世界で前世の罪を償うため、英雄となる 作:天叢雲剣を捧げるスサノヲ
*原作の主人公である緑谷出久ももちろんちゃんと主人公です。
*新たな半天狗の分身体の追加などもあるかもしれないですが、作者の気分にも寄りますので、必ずしも追加するとは限りません。ご了承ください。
*他に、理不尽な文句、嫌がらせなどは一切受け付けません。それならばこの作品を見なければ良い話です。ここ最近、理不尽なアンチ行為が多いと聞くので。あと、面白ければ何でもいいぞ!みたいな感じで見て頂けると、こちらとしても嬉しいばかりです。よろしくお願いします!
追記:更新、数ヶ月以上も滞っていました。本当に申し訳ありません。色々と自分の事情が立て込んでいたので。こんな不定期更新の小説なんですが、見てくれるとありがたいです。よろしくお願いします!
森を抜け、役場へ向かうために住宅街を歩いていた積怒たち四人は、ハイカラ過ぎる住宅などを見たりしていた。
積怒「ふむ・・・、このスマホとやらに入っている地図から考えると、どうやら都会の場に役場があるようだな。まずはここの住宅街を出たいが、それにしてもここの住処の集落はどれも近代、いや、現代的過ぎるものばかりだ。いきなりで慣れぬから頭が痛くなる。」
可楽「そうかのう?儂は今の時代の暮らしも結構良いと思うがなぁ。」
そして一方で、
空喜「哀ー絶!道路の脇に鏡が付いた棒(*よく歩道の脇にある標識のような鏡のことです。)やでかい広場のようなところ(*広い公園のことです。)を見つけたぞー!そしてどちらも中々面白い造りになっておるのう。」
哀絶「面白いものを見つけたのはわかったからいちいち騒ぐな、空喜よ・・・。無駄に煩いぞ。儂は積怒と同じように今このスマホという絡繰に載っている地図で最寄りの役場を探しておるんじゃ・・・。頼むから静かにしてくれ。」
空喜「そうかそうか!わかった!ならば俺も役場を探すのを手伝うぞ!哀絶!」
哀絶「ハァ・・・本当にわかっておるのかわかっておらぬのかよくわからぬがまあいい、手伝う気があるならば早く手伝ってくれ。時間の無駄になる。」
空喜「おう!了解じゃ!哀絶!」
その後、積怒たちはスマホの中にある地図を頼りに、道順を少しずつ絞って決めていき、段々と進んで行った。そしてついに積怒たちは住宅街を出て、初めて現代の都会の大通りに出た。
ガヤガヤガヤガヤ(人と人が話している時の雑音)
ブップー!ブウゥゥゥゥゥゥゥゥン!(自動車の音)
ガタンゴトン!ガタンゴトン!「電車が走る音」
スタスタスタスタ(たくさんの人が歩く音)
「本日の横浜の天気とーー気温はーー」(巨大な電光掲示板が発した音声)
その都会の大通りは、自動車や列車などが多く走り、たくさんの人が歩いたり話したりしていた。その華やかさと賑やかさは、前世の時にいた時代である江戸時代や大正時代よりもずっとずっと華やかで賑やかであった。
可楽「おお・・・!これはすごい!この世界の街並みはやはり前世の時にいた江戸の世や大正の世より、さらにずっとずっと発展しているようじゃのう。まるで桃源郷に来た気分じゃ!」
積怒「ああ、そうだな、可楽よ。それにしても現代の世はこんなにも建物や乗り物などが発展していたのか。さらに此処にいる人間たちは皆奇妙で変わった服装をしておる者がほとんどだ。時代が変わるだけでここまで技術が進化しているとは実に驚きだな。」
一方で、
空喜「カカカッ!喜ばしいのう、現代の街は江戸の街や大正の街よりずっとずっと華やかで面白そうではないか。これは散策の甲斐がありそうじゃ!」
哀絶「そうじゃな、異世界とはいえ、世の中がここまで発展していたのは流石に儂も驚きじゃ・・・、空喜よ。それと積怒、ここから役場までどう向かう?」
積怒「ん?ああ、そうだったな。うむ、スマホとやらの地図によると・・・、ん?最寄りの役場はここか?名前は、横浜市役所というのか。それで距離は、右にずっと真っ直ぐ突き進むだけか。ならばあともう少しだな。」
哀絶「そうか・・・、なら役場へ着くのは容易く済みそうじゃな。」
可楽「本当にあともう少しで着くのか?なんか意外と着くまで楽だったのう」
空喜「そうかそうか!あとは右に曲がって真っ直ぐ突き進めば役場に着くのか!それは実に楽で喜ばしかろう。ならば早く行くぞ!積怒、可楽、哀絶!」タッタッタッタッタッ
積怒「!おい待て空喜!勢いよく走ったら他の者の迷惑になる上に躓いたりでもしたら危険であろう!・・・ハァ、全く空喜の奴め。」
可楽「まあまあ積怒、良いではないか。空喜が相変わらず元気なのはとても良いことじゃろう。それより儂らも早くその役場へ向かうぞ。積怒、哀絶。」
哀絶「そうじゃな・・・。とりあえず空喜に続けで役場へ向かおう。」
積怒「・・・まあいい、ならば儂らも空喜を追うぞ。可楽、哀絶」
可楽「おう!」
哀絶「ああ」
その後、喜怒哀楽の四人である積怒、可楽、空喜、哀絶は人混みを避けながら少しずつ役場に向けて真っ直ぐ歩いて進んで行った。途中、可楽が色々な店に入ろうとしていたが、積怒による鉄拳制裁で阻止された。
また、途中で若い女性たちから
「やだ!あの四人のイケメン!超カッコよくない!?」ヒソヒソ
「確かに!無造作な長髪って感じもなんか渋くて違った意味でカッコいいよね!」ヒソヒソ
「あー!わかる!あと和服を着ている辺りが渋めかも!」ヒソヒソ
「じゃあさ、アンタあのイケメンたちにアタックしてくれば?」ヒソヒソ
「え〜、私緊張しちゃうから無理かなぁ〜」ヒソヒソ
のようなヒソヒソ話が積怒たちの耳に一瞬聞こえた。
ー 横浜市役所 ー
そして積怒たち四人は、横浜市役所と刻まれている金属製の看板を確認し、ついに一番の目的地である「横浜市役所」に到着した。その建物は、近未来的で、ハイカラな、正に現代によくあるビルのような建物であった。横浜市役所の風貌を見た積怒たち四人は、その風貌が新鮮過ぎるためか、それなりに驚いた表情をしていた。
積怒「横浜市役所というのはおそらく此処の巨大な建物で合っているか・・・、だがそれにしても現代の役場は殆どがこの様に近未来的な造りになっておるのか?しかし新鮮味が強過ぎて目が回りそうだ・・・。」
可楽「そうかい、それは大丈夫かのう、積怒。物事の考え過ぎは身体に毒じゃぞ。それよりもここの役場はハイカラさがかなり際立っていて実に面白い造りになっておるのう。空喜と哀絶もそう思うじゃろ?」
空喜「俺もそう思ったぞ!可楽!こういう近未来的な役場もありじゃな!あとは中も近未来的なものであったら喜ばしいぞ。」
哀絶「そうじゃなぁ、可楽よ・・・。役場にしては確かに近未来過ぎるのう。じゃがこれはこれでまた良い。それと着いたならばさっさと入って用を済ませるぞ・・・、積怒。」
積怒「ああ、それもそうだな。ならば早く行くぞ、可楽、空喜、哀絶。」
可楽「おう、言われなくともそのつもりじゃ!早く行くぞ、空喜」
空喜「カカカッ!了解じゃ!可楽!」
そして、積怒、可楽、空喜、哀絶の四人は横浜市役所の扉を通り、横浜市役所の中に入っていった。その際に、可楽と空喜が横浜市役所の自動ドアに感激していたことは言うまでもない。
ー 横浜市役所 内部 ー
横浜市内にある市役所、「横浜市役所」では、横浜市に住む国民の個人情報や個性届などの管理や手続き、また横浜市に住む国民の住民票の作成も行っている市役所である。そこには、横浜市に住む若者から老人まで様々な手続きをこの横浜市役所で行なっていた。そして、そこに丁度良く積怒たち四人は今、この横浜市役所の中に入り、四人それぞれの戸籍登録や個性届を提出する手続きをしようとしていた。
積怒「・・・それにしても、中は随分と広いな。別世界だが、流石は未来の技術と言ったところか。あと、此処の役場の何処でこれらの提出物を提出すれば良いものか迷うな。可楽、お前はわかるか?」
可楽「さあ?とりあえず役場の者に聞いて見るのが一番良いんじゃないかのう?」
積怒「まあ確かにそうか・・・、ならば役場の者の誰かに聞いて見るとするか。そこの女、待て。聞きたいことがある。」
横浜市役所の女係員「ッ!ああ!はい!何かお困りでしょうか?」
横浜市役所の係員らしき若い女性がそう尋ねる。そして積怒は用件をその若い女性へ問い始めた。
積怒「戸籍謄本の申請書とこの個性届の提出、あと住民票とやらの作成は此処の役場のどこで行える?」
横浜市役所の女係員「はい!戸籍謄本の申請書と個性届の提出、あと住民票の作成ですね?でしたら市民課というところに行って頂くと全て手続きすることができますよ!詳しいことはその市民課というところで聞けますので是非ご利用下さい。」ペコリ
積怒「そうか、わかった。感謝する。ならば可楽、空喜、哀絶。その市民課とやらにさっさと行くぞ。」スタスタ
可楽「おう、小娘も丁寧に説明してくれてありがたかったぞ。ありがとうよのう。今度儂と会ったらお茶でもせんか?」
横浜市役所の女係員「え!?お、お茶ですか!?それはありがたいんですけど、そのことはまた別口で・・・」
哀絶「可楽よ・・・、初対面の娘にその対応は流石に図々しいぞ。哀しくなる・・・。ほら、積怒の言う通りさっさと行くぞ。」グイッ
可楽「うっ!ちょっと待て哀絶!わかった、わかったから着物の襟を引っ張るな!苦しいぞ馬鹿者!」
そして、哀絶は可楽の抗議を一切無視して、横浜市役所の女係員に向けて謝罪の言葉を開いた。
哀絶「先程の娘よ・・・、さっきは可楽が意味分からぬことを言ってすまなかった・・・。これで許しておくれ。」
空喜「カカカッ!可楽は相変わらず巫山戯ることが多いのう〜!」
積怒「おい貴様ら!いい加減にせぬか!さっさとこっちに来い!」
空喜「おう、わかったぞ!積怒!今行く」
哀絶「積怒・・・、わかっているからいちいち急かすな。哀しくなる。」グイッ
可楽「うっ!、苦しい、苦しいぞ・・・、哀絶」
積怒たち四人は、横浜市役所の女係員にお礼を言った後、横浜市役所の市民課へと足を運んだ。その時の横浜市役所の女係員は・・・
横浜市役所の女係員「・・・」(あの若い四人組、言い回しが凄く個性的だわ。しかも顔や髪型も瓜二つ・・・、ってことはまさか四つ子なの!?へ〜、あんなにも瓜二つな四つ子は私初めてかも。)
と、思いながら横浜市役所での自分の担当の仕事を再開した。
そして、積怒たち四人はやっとこさ横浜市役所の市民課の場所を見つけ、そこに着いた。さらに気づいた横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員がすぐに来てどんな用件で来たのかを聞かれたため、そこで積怒が代表して横浜市役所の市民課を担当する係員に例の用件を言い始めた。ただ、可楽と空喜は若干暇そうにしていた。
積怒「ああ、実はまだ戸籍謄本の申請書とこの個性届とやらを提出していなくてな。今から提出しても大丈夫か?」
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「そうでしたか、提出時期を逃したのでしたら、今からその戸籍謄本の申請書と個性届を提出して頂ければ全然大丈夫ですよ。ではお先にこれら五枚の戸籍謄本と五枚の個性届とを受け取らせて頂きますね。・・・フムフム、ちなみに上弦肆 積怒様、この五枚目の個性届に記載されている個性を持つご本人様は本日いらっしゃらない感じですか?」
中年の女係員にそう聞かれた積怒は、ここで嘘をついてもしょうがないと思ったので、正直に聞かれたことを答えた。
積怒「ああ、翁殿のことか。翁殿、いや、上弦肆 翁怯殿は儂が家の留守番をするよう言い聞かせた。それにもう老人なため、自分で歩かせるのは流石に危ないと思ったからな。だから今日はいない代わりに儂が翁怯殿の分の個性届と戸籍謄本を渡しに来た。」
可楽「カカカッ!積怒も何だかんだ優しいところがあるのう!」
ゴンッ!
可楽「痛いのう!何故また殴る!過度な暴力は御法度じゃぞ!」
積怒「黙れ可楽!貴様は大人しくしていろ・・・!話が余計進まぬ!あとここの役場の市民課とやらを担当している者よ。今さっきは此奴が話をずらすようなことを言ってしまって悪かった。許せ。」
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「ハハハ・・・、大丈夫ですよ。それでなるほど、そうだったんですか。確かに老人を一人で歩かせるのは危険かもしれませんね。ちょっとした私のプライベートなんですが、私も祖父の介護をやっているのでお気持ちはわかりますよ。さてと、では個性の方は先程提出して頂いた五枚の個性届に記載されている
それぞれの個性を、上弦肆 積怒様、可楽様、空喜様、哀絶様、そして翁怯様の計五人の人物の個性として個性登録しておきますね。あと、五人それぞれの戸籍謄本の方も五枚それぞれの戸籍謄本の申請書を元に随時作成させて頂きますので数分だけお待ち下さい。それで大丈夫ですか?」
積怒「ああ、それで構わぬ。可楽、空喜、哀絶、いいな?」
可楽「おう!そんなこと、儂はもうわかっておるぞ」
空喜「俺も了解じゃ!積怒!」
哀絶「・・・ああ、儂も言われなくともわかっておる」
可楽、空喜、哀絶の三人はあっさりと了承し、個性届の提出はまず終わった。その後、積怒は住民票の作成のことについて聞くのを思い出したため、それを中年の女係員に伝えた。
積怒「今思い出したんだが、ちなみにあともう一つ用件がある。住民票とやらを作成したい。どうすれば作成できる?」
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「はい、住民票の作成ですね。わかりました、上弦肆様の家族人数は何人ですか?」
積怒「ああ、祖父である翁怯殿と孫である儂ら四人を加えて計五人じゃ」
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「なるほど、わかりました、ありがとうございます。でしたら一枚の住民票に五人分まで載せられますので、一枚の住民票にその五人分の家族人数をまとめて載せる形で大丈夫ですか?」
積怒「ああ、それでお願いする。」
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「わかりました、あと本人確認になる身分証などはお持ちでしょうか?」
積怒「身分証?ああ、もしやあれのことか。少し待っていろ。可楽と空喜と哀絶もあれを財布から出せ、個人番号カードとやらを。」ガサゴソ
可楽「個人番号カード?おお!あれのことか。わかったぞ、積怒。」ガサゴソ
空喜「可楽が出すならば俺も出すぞ!その個人番号カードとやらを」ガサゴソ
哀絶「ああ、あの個人番号カードとやらのことか・・・。わかった、ちょっと待っていろ。」ガサゴソ
積怒、可楽、空喜、哀絶の四人は、それぞれの個人番号カードを財布から取り出し、積怒に渡し、それを積怒が代表して市民課を担当する係員へと渡した。市民課を担当する係員は四人分の個人番号カードを一通り確認した後、四人分の個人番号カードを返した。
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「ご掲示どうもありがとうございます。個人番号カードはお返ししておきます。」
返された個人番号カードは、また積怒、可楽、空喜、哀絶の財布の中へと戻って行った。
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「では、この住民票の申請書に必要事項を記入して頂いて大丈夫です。書き終わりましたら私に提出して頂いて結構です。数分で上弦肆様たちの住民票を作らせて頂きます。また、五人分の戸籍謄本の方ももう少しで出来上がりますのであと少しだけお待ち下さい。ではまずこのボールペンで住民票の申請書をお書きになってください。」
積怒「ボールペン?ああ、もしや筆のことか。わかった、感謝する。」
積怒は、哀絶と相談しながら住民票の申請書に必要事項をボールペンで記入していった。また、積怒が住民票の申請書に必要事項を記入していっている時に可楽と空喜が「積怒、儂はもう此処飽きたぞ」や「哀絶!俺はもう此処から出たい!流石に息が詰まるぞ!」と大声で喚いていたため、他の人の迷惑にならないようにと哀絶が可楽と空喜を軽めにしばいたのはまた別のこと。そして、何だかんだで上弦肆家の住民票を申請する申請書が出来上がり、市民課を担当する係員へと提出した。数分後、上弦肆家の住民票が出来上がり、五人分の戸籍謄本と共に市民課を担当する係員が積怒たちの元へ持って来た。
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「上弦肆 積怒様、可楽様、空喜様、哀絶様、大変長らくお待たせしました。まず最初にこちらが上弦肆様たちの住民票になります。紛失しないようにお大事に保管なさって下さい。次に、上弦肆様たちの戸籍謄本になります。こちらは計五枚で、順に積怒様、可楽様、空喜様、哀絶様、そして最後に、この戸籍謄本上では上記の人物四人の養父となる、翁怯様となります。ちなみにお間違いなどはありませんか?」
積怒「うむ、問題は特にないな。可楽と空喜と哀絶も見たならばこれで了承するぞ?」
可楽「儂は見たから大丈夫じゃぞ、積怒」
空喜「おう、俺もしっかり見たからそのまま了承していいぞ、積怒!」
哀絶「言われなくても儂は既にわかっておる・・・、早く受け取れ、積怒。」
積怒「そうか、ではそれでいい」
横浜市役所の市民課を担当する中年の女係員「かしこまりました、ではこちらが上弦肆様たちの戸籍謄本となります。こちらも住民票と同様、お大事に保管なさって下さい。それでは今回のお手続きはこれで終了となります、お持ち帰る際は紛失しないよう細心の注意を払って下さい。ありがとうございました。」ペコリ
積怒「ああ、何から何まで恩に着る。さて、そろそろ行くぞ、可楽、空喜、哀絶。」
可楽「おう!わかったぞ!此処もそろそろ飽きてきたからのう」
空喜「了解じゃ!積怒!やっと外に出られるのは実に喜ばしいぞ!」
哀絶「ああ・・・、それもそうだな。ではそろそろ行くぞ。」
こうして、積怒たち四人はこの世界での個人情報の登録をとりあえず済ませ、他に用もないため、積怒たち四人はとりあえず横浜市役所から出た。
午後2時、その時刻は昼食を食べ終わり、だいたい学校や会社などでは午後の授業や勤務が行われている時刻である。そして、その時刻になった時に丁度良く横浜市役所を出て、その後歩道を歩いている積怒たちが此処にいた。
可楽「それにしてもこの時代の戸籍謄本はとてもこと細かく情報が記されていて実にわかりやすい。こう見ると戸籍謄本も進化したものじゃのう。なあ積怒。」
可楽は、自分の戸籍謄本を見ながら歩き、積怒に戸籍謄本も進化していると言った。
積怒「確かにそうだな、可楽よ。だが、狭間の女神という女神様は一体何故儂らを四つ子の兄弟として戸籍謄本に設定したのか。謎は深まるばかりだ。」
可楽「さあ?それは顔とかが似ているからかのう。いや、絶対そうじゃろう。」
一方で、空喜と哀絶は、
空喜「のうのう、哀絶。それにしても俺らはこの世界に転生してから飯という飯を全く食っていないぞ。昼飯はどうする?できたら俺は美味い和食がいいのう!」
哀絶「知らん、昼飯のことは儂に聞くな・・・。積怒に聞け。それより積怒、これからどうする?用を済ませたならば家に帰った方がいいのではないのか?翁殿が心配するぞ・・・。」
積怒「ああ、そのことは百も承知だ、哀絶。だが儂はもう一つ行かねばならぬところがある。」
哀絶「行かねばならぬところ・・・?」
可楽「何処のことじゃ?その行かねばならぬところとは?」
哀絶と可楽にそう聞かれた積怒は、迷わず、あることを言った。
積怒「ああ、それは生活費の引き出しのため、この銀行通帳に書かれている指定の銀行に行きたい。」
積怒が言い出したあることとは、なんと銀行に行くことだった。しかもこれからの生活のために生活費の分のお金を引き出して来るらしい。それを聞いた可楽はもしかしたら小遣いが貰えると、嬉しそうにし、哀絶はまた歩かなくてはいけないのかと思っていた。
哀絶「なるほど、そうか・・・、だが哀しいことに儂らはまた歩かなくてはいけぬのか。ハァ・・・、面倒じゃのう。」
可楽「なあなあ積怒〜、その生活費のお金から差し引いて、儂にちょっとだけでいいから後でお小遣いをくれぬかのう?できたら儂、お小遣い欲しい!」
積怒「なるほど・・・、却下だ」
可楽「ガーン!何故じゃ!何故お小遣いをくれぬ!儂は金使いが荒そうな性格じゃからか!?」
空喜「ッ!何!お小遣いじゃとォ!」
また、可楽が話したそのお小遣いの話は、言うまでもなく空喜の耳にも行き届いていた。その後空喜も可楽と同じくお小遣いが欲しいと積怒に伝えた。
空喜「可楽!今の話、聞いていたぞ!俺もお小遣いが欲しいぞ!何故俺にも言わぬ!?」
可楽「ん?なんじゃ?空喜もお小遣いが欲しいのか?儂は空喜とは違い、ちょっとだけでもいいからお小遣いをくれと積怒に言ったんじゃ。お前だったらすぐ大量のお小遣いを積怒に強請るのが目に見えているからのう。だからお前に聞こえんようにこっそりと積怒に言ったつもりだったんじゃが、少々声がでかすぎたのう。」
空喜「だ、だとしてもじゃ!俺に隠してこっそりお小遣いのことを積怒に話したのは実にずる賢いぞ可楽!抜け駆けじゃ!抜け駆け!」
可楽「全く、抜け駆け抜け駆け煩いのう。ならば空喜もちょっとだけでいいからお小遣いをくれと積怒に頼めばいいだけではないか。全部儂のせいにするな。」
哀絶「可楽、空喜。小遣いが欲しいことはわかった・・・。だが積怒を見ろ、また般若の形相で怒っておるぞ。」
可楽・空喜「何じゃと?」
可楽と空喜は積怒の方へと一斉に振り向く、振り向くとなんとそこにはまるで般若が乗り移ったかのような表情をした積怒がいた。
積怒「ええい!黙れ!いい加減にしろ・・・!可楽!空喜!貴様ら二人がなんと言おうと小遣いはまだなしだ!それでも抗議するならば、貴様ら二人には一生小遣いはやらぬぞ!それが嫌だったら気長に待っていろ!腹立たしい!」ゴゴゴゴゴ!
可楽「うっ!わ、わかった・・・」
空喜「了解じゃ、積怒・・・」
可楽と空喜は、またもや積怒の逆鱗に触れ、積怒によって説教された。そして、可楽と空喜はまた恐縮してしまった。その様を一部始終見ていた哀絶はこう思っていた。
哀絶「全く・・・、可楽も空喜も積怒も、高々こんなことで騒ぎ立てるとは・・・、哀しいほど煩い奴らじゃのう。」
こうして、積怒たちの次の目的地は、銀行に決まった。
そしてスマホの地図を見ながら歩き続けること20分、積怒たち四人はようやく積怒が持つ銀行通帳に記されている指定の銀行、『りその銀行』に着いた。積怒は、りその銀行に入る前に余計なことは絶対するなと可楽、空喜、哀絶に言い聞かせた。
積怒「可楽、空喜、哀絶。くれぐれも余計なことは絶対にするな。哀絶はわかっていると思うが、特に可楽と空喜は信用できん。だから哀絶、可楽と空喜が迷惑をかけぬよう見張っていろ。わかったな?」
哀絶「ああ、儂は既にわかっておる・・・。それに、可楽と空喜が馬鹿なことをしでかすのはいつものことじゃ・・・。儂もそれなりに可楽と空喜を見張る。それでいいじゃろう。」
積怒「そうか、では儂は先に此処の銀行に入る。可楽と空喜と哀絶は儂の後ろからついて来い。」スタスタ
可楽「それにしても、哀絶も積怒も、なんか儂と空喜に対して言い方が辛口じゃのう」
空喜「可楽の言う通りじゃ!俺らのことがそんなに信用できぬか!俺らの絆はそんなちっぽけなものじゃったのか!哀絶!」
哀絶「阿保か、何度も目立った上に、人の迷惑になることをやった可楽と空喜に対しては信用や絆のへったくれもないじゃろうが・・・。それより無駄口を叩く暇があるならさっさと積怒について行くぞ。」スタスタ
可楽「あ!待て哀絶!置いて行くな!空喜も早く行くぞ!」タッタッ!
空喜「おう!言われなくともわかっておるわ!」タッタッ!
積怒たち四人はとりあえず、りその銀行の中へと入って行き、生活費のお金を引き出すという用を済ませに行った。
10分後、りその銀行で生活費のお金を何とか引き出すことができた。ちなみに、大昔の時代で生きた元十二鬼月 上弦の肆の鬼だった積怒たちが現代の銀行でどうお金を下ろしたのかと言うと、まず銀行の係員らしき人に色々と教えてもらい、その通りの手順でATMという機械を使った結果、生活費分のお金を引き出せたらしい。銀行に預けられていた金銭のその額はなんと、現代ではかなりの大金持ちに直する、3億円であった!これには普段冷静な性格である積怒と哀絶も、「これは夢が何かか?」とお互いの頬をつねり合うほどに驚いていた。その時に、空喜と可楽が「おお!これはこれは、まるで小遣いの玉手箱じゃのう〜。なあ可楽。」や「確かにそうじゃのう。空喜、これは後で沢山小遣いが貰えそうだな。」と、自分らの生活費なのにも関わらず馬鹿げたことを言い、積怒と哀絶に怒りを通り越して呆れられたのはまた別の話である。そして、積怒たち四人はとりあえず自分らと翁殿の生活費、60万円ほど下ろし、用が終わったのでりその銀行を出た。
ガー!バタン!(りその銀行の自動ドアが閉まる音)
可楽「それにしても積怒、儂らの財産が3億円もあったとは実に驚きじゃったのう」
積怒「ああ、儂らの財産が3億円もあったのは儂も実に驚愕した。じゃが、狭間の女神様はこんな大金を儂らに注ぎ込んでいたのか。知っただけで夢のようなお伽話みたいだな。」
積怒は、先程りその銀行で引き出した札束を見ながら可楽に返事を返す。
可楽「ああ、確かにお伽話のようじゃったな、積怒。じゃがちなみに銀行から引き出したこの札束の山は一体何処にしまうんじゃ?持ってきた財布の一つに全てしまうのは流石に無理があるじゃろう。」
積怒「ああ、そのことをまだ考えていなかった。色々と忙しかったからな。さて、どうするか可楽よ?」
積怒と可楽は、銀行から下ろしたお金をどう保管するか考え始めた。だがその時、空喜と哀絶が唐突に積怒と可楽に話しかけた。
哀絶「積怒、可楽。今の話、聞いていた・・・。ならば儂らが持って来た四つの財布に分けて保管すれば良い話ではないのか?」
空喜「そうじゃ!よく考えてみればすぐわかることじゃぞ!」
積怒「ッ!なるほど・・・!そうか、そんな簡単なことだったとは、不覚にも思いつかなかった。」
可楽「カカカッ!相変わらず隠れたところで積怒よりも頭が回る奴じゃのう。空喜と哀絶h。」
ゴチン!!
積怒「よりも・・・は余計じゃ・・・!」
可楽に拳骨を打った人物は紛れもない積怒だった。ここまで来ると、可楽がふざけてそれを積怒が鉄拳制裁する場面は、正に一種のコントである。
可楽「いたた・・・、痛いぞ!また儂に拳骨を食らわしおって!どうして積怒はそんなに儂を虐めたがるんじゃ!それでは友を無くすぞ積怒!」
積怒「黙れ!余計な一言を言う貴様が悪い!自業自得じゃ!この馬鹿者が!」
ブチッ!
可楽「なっ!何じゃと!今何と言った!もう一度言ってみろ!この馬鹿短気!」
ブチッ!
積怒「どうやら可楽には少し灸を据えてやらんといけぬようじゃな・・・!来い可楽、先程の拳骨よりもっと痛い拳骨をくれてやるわ!」ゴゴゴゴゴ!
そして、積怒と可楽の激しく、馬鹿みたいで需要もない男二人同士の追いかけっこ+罵り合いが始まった。その光景を見た空喜は、「カカカッ!積怒と可楽!何方も頑張れ!」などと言って罵り合いを止めるどころかその罵り合いを観戦し始め、哀絶は、呆れ過ぎて最早どうでも良くなったらしいが、いつまでも罵り合いを続けられては他人の迷惑だと思ったので、いつまでも追いかけっこしながら罵り合っている積怒と可楽の中に割って入った。
哀絶「積怒、可楽、いい加減にしろ。こんなくだらぬことでいちいち場を騒ぎ立てるな。見ているこっちが哀しくなる・・・。そもそも両方とも悪いのは確かじゃ・・・、積怒はただの怒り過ぎ、そして可楽はただのふざけ過ぎだ。もういい、この際だ。両方とも謝っておけ・・・。」
積怒「ッ!・・・確かに哀絶の言う通りだな。儂も少々出過ぎた真似が多かった。可楽、すまなかった。これで許してくれ。」
可楽「ああ、儂もそう思っていたところじゃった。馬鹿短気とか言って悪かったのう、積怒。」
積怒と可楽は、お互い謝罪の言葉を述べて罵り合いをやめることにした。その光景を見て空喜は、
空喜「おお!やっと積怒と可楽は落ち着いたか!追いかけっこは終わってしまったが、積怒と可楽が仲直りできたのは実に喜ばしいのう〜」
などと、一人で「喜ばしい」と喜んでいた。
哀絶「それより積怒、もう今度こそ家に帰った方が良いのではないのか?翁殿が心配する。」
積怒「ああ、それもそうだな。よし、可楽、空喜、哀絶、家に帰るぞ!」
積怒が、可楽、空喜、哀絶にそう言い聞かせ、ついに半天狗こと翁怯の待つ家へと歩き始めようとしたその時・・・!ある不自然な音が積怒たちの耳に聞こえた。
腹時計、お腹空いた時によく鳴る音である。そして、その腹時計の発信源はなんと、
空喜「あちゃー、もう腹が減ってしもうたか!やはり過度な空腹は一番辛いのう」
空喜だった。それも、空喜は積怒、可楽、哀絶よりもかなり腹が減っていたらしい。それを見た積怒と可楽と哀絶はそれぞれ口を開いた。
積怒「空喜、腹が減ってるのか?確かにそうか、儂らはこの世界に来てからまだ何も口にしていない。腹時計が鳴るのは当然のことか。まあ家に帰るまで待て。」
可楽「カカカッ!空喜は腹っぺらしじゃのう。すぐ昼飯を食いたいのか〜?」
哀絶「積怒も可楽もいちいちどうでもいいことを口にするな・・・。それより空喜、昼飯は今すぐ食いたいのか?家に帰ってからでは駄目か?」
空喜「おう!今すぐ昼飯を食いたいぐらいじゃ!家に帰るまで待てぬ!」
哀絶「積怒、可楽、どうする・・・?仕方ないから何処かの店で昼飯を取るか?」
哀絶が積怒と可楽の方へ振り向きながら、そう問う。
積怒「駄目だ。今持っている金銭は生活費のもの、それを高々1日分の外食での昼飯に使ってはいられぬ。」
空喜「ぐぬぬ!積怒は少しケチ過ぎるぞ!せっかく外に出たんじゃから少しだけでもこの現代の世界で美味い食い物を食いたいぞ!」
積怒「黙れ空喜!腹立たしい!儂はこれからのことを思って言っておるんじゃ!そんな金銭ばっかり使って贅沢三昧していてはキリが無い!さっさと帰るぞ!」
可楽「そうかのう?金銭的にはまだ余裕があるんじゃから、空喜に何か美味しいものを食わせてやればいいではないか。儂は空喜と哀絶の意見に賛成じゃ。」
空喜「ほれ見ろ、哀絶だけでなく可楽も俺に味方つくように言っておるぞ!これで3対1じゃ!どうだ、参ったか!積怒!カカカッ!」
積怒「いい加減にしろ!全く、何と言おうと無しなもの無しじゃ!わかったならばさっさと支度して帰るz」
またもや腹時計の音である。だが、今度は、空喜が発信源ではなく、積怒だった。
積怒「なっ!腹時計だと!何故儂にまで「積怒〜」ッ!」
空喜「もういい加減に意地を張るのはよそうではないか。現に積怒の胃袋は食い物が欲しい食い物が欲しいと積怒の身体から自然と強請っておるぞ〜」ニタリ
空喜は、まるで誘惑するかのようにニタリと、下劣な笑みをこぼしながら積怒に意地の張り合いはよそうと説得した。
可楽「カカカッ!確かにそれはそうだのう!空喜!よく言った!」
積怒「くっ!儂は違う!過度な外食など、絶対駄目じゃ!」
空喜「過度とは言えどこの世界ではまだ一度も食い物を食っておらんじゃろう。ならば尚更じゃ。積怒、この際じゃから単刀直入に言うぞ。実は積怒も俺と同じくかなり腹が減っておるのじゃろう?」
積怒「ッ!」
積怒は空喜に図星を突かれ、いつの間にか若干動揺してしまっていた。
積怒「わ、儂は別に腹など減っておらぬ!それに家に帰るまで我慢はできる!」
空喜「カカカッ!積怒もそう意地を張るでない!腹が減ることは自然現象と同義じゃ。そう恥ずかしがること自体おかしいじゃろう。だから積怒、もういい加減諦めて観念しろ。」
積怒「抜かせ!儂は断じて腹など今は減っておらぬ!」
何が何でも今腹が減っていることを認めない積怒に面倒くささが現れたのか、哀絶がついに口を開いた。
哀絶「積怒、いい加減意地を張るのはやめておけ・・・、こればかりは空喜の言い分が理に叶っているぞ。それにどんな生き物でも腹は少なからず減る・・・。だからこんなことでいちいち揉めたりするな。哀しくなる。積怒も良い大人じゃろう、精神の齢だけは。」
可楽「そうだぞ積怒!肉体の齢はまだピチピチの若人じゃけれどもな」
積怒への説得は、哀絶だけでなく、可楽まで参加して説得していた。そして、その説得を聞いた積怒はさらに動揺したのか、深く心に突き刺さり、深く考え込んでしまった。
積怒「くっ・・・!」(確かに空喜と哀絶、さらには可楽の儂に対する説得の内容は理に叶っている・・・、だが儂はこれからのことを踏まえてそう易々と金銭は使えぬ!使えぬが確かに腹はかなり減ってきた。それも胃袋が空っぽなぐらいに。それにいつまでも駄々をこねる我欲の強い童わっぱみたいなことはしてられん・・・!ならば・・・!ならばもうこうするしか他はない。)
積怒は、空喜と哀絶と可楽の説得と誘惑によって、ただでさえ酷い空腹がさらに酷くなり、物凄い空腹感に襲われてしまった。なので積怒はこればかりはもう仕方ないと思い、潔く諦めて意地を張るのをやめた。
空喜「のうのう、等々観念したか?積怒」
積怒「・・・わかった、今日の昼飯は何処かの店で取る。ただし余りにも高い物は無しじゃ!わかったか!?」
空喜「おお!やっとわかってくれたか!流石は積怒、話のわかる奴じゃのう〜。今日の昼は美味い食い物が食えるぞー!カカカッ!」
空喜は、今日の昼飯を外食にすることを積怒がついに許してくれたため、空喜はハイテンションになって喜んでいた。
積怒「チッ、空喜は相変わらず調子の良い奴じゃ。全く持って腹立たしい。」
可楽「まあまあ積怒、ここは一旦落ち着け。とりあえず今日の昼飯の方向性は決まったんじゃからいいではないか。それに内容は、そうじゃなぁ・・・、さっき空喜が言っていた和食が食える食事処でも探すかのう。積怒と哀絶もそれでいいか?」
積怒「ああ、儂は美味い飯が食えれば何処でもいい。」
哀絶「儂も積怒と同じく美味い飯が食えれば何処で食ってもいい・・・。それと積怒、昼飯を食いに行く前に念のため翁殿に連絡の一つでも入れて置いた方が良いんじゃないか?」
積怒「!・・・確かにそうだな、哀絶。では儂が直接このスマホの電話機能で翁殿に伝えてくる。可楽、空喜、哀絶、少しそこで待っていろ。」
積怒は、可楽と空喜と哀絶に少し待つようにと言って少し遠くに離れて翁怯に電話を掛けた。
ー 積怒が翁怯に、積怒たち四人の昼飯の事情を電話で伝達中 ー
そして、翁怯との通話が終わり、積怒が戻ってきた。
哀絶「積怒、どうだった・・・?翁殿は了承していたか?」
哀絶がそう尋ねる、その質問の答えを言うため、積怒は口を開いた。
積怒「ああ、「お前たちも腹が減っておるだろうから、その事は別に構わぬぞ。」と言っていた。あと、「その代わりに陽が沈まない内に早く帰って来るんじゃぞ。ちなみに儂はこの屋敷の中の全貌をさらに確認しながら必要な物を整理する。」とも言っていた。まあ何はともあれこれで翁殿から許可を得れた。そろそろ空喜が行きたがっていた和食の食事処を探すぞ。可楽、空喜、哀絶。」スタスタ
可楽「おう、了解じゃ!積怒。さてさて、どんな飯がたらふく食えるか考えるだけで楽しみじゃなぁ、空喜。」スタスタ
空喜「そうじゃのう〜、可楽。やはり一番は肉が良いかのう?それとも魚か?どれを食うか実に迷うのう、可楽。」スタスタ
哀絶「確かにそうだな、積怒。ここで時間を潰してはいられぬ・・・。だとすれば手早く和食の食事処を探すのは先決か。ならばそろそろ此処を発つとするか。」スタスタ
こうして、何やかんやありながらも、次は昼飯を外で取るために積怒たち四人はりその銀行を発ち始めた。
りその銀行を出発してから数分後、積怒たち四人は和食が食える食事処を一生懸命探していた。だが非情なことに、この横浜市にはだいたいが今流行りの洋食屋や中華料理店ばかりなので、和食の食事処が余り存在しないのである。そのことに、積怒たちは気づかないでいた。
積怒「何故だ・・・!何故此処の近辺は洋食屋や中華料理店しかない!儂らにとって和食は一番安定していて美味いというのに、和食が食える食事処が全然見当たらぬ!」
可楽「そうかい、それにしても積怒、儂は歩き続けるのももう限界じゃ。流石に疲れたぞ・・・。積怒、儂をおんぶしてくれぬか?儂はもう探すことすら億劫じゃ」
その時、積怒は額に青筋を立てながらこう思った。可楽も可楽で空喜と共に昼飯は外食にしようとはしゃぎながら提案してきた癖にいざ外食をするために和食の食事処を一生懸命探そうとしたら、まるで最初のはしゃぐ気分が嘘かのように「疲れた」や「億劫だ」などと言った。ならば最初から外食をする提案なんかするな。そう思った。そして、へたれている可楽に対して、積怒はまるで喝を入れるように怒鳴った。
積怒「ふざけるな!腹立たしい!和食が食える食事処で昼飯を済まそうと空喜に助け船を出してさらに提案したのは誰だ!紛れもない可楽であろう!提案した癖に疲れたらもうどうでもよくなったのか!貴様はどれだけ儂を疲れさせるつもりだ!それに、可楽に比べて空喜は頑張って和食の食事処を探しているぞ!ならば可楽も頑張って和食の食事処を一生懸命探せ!貴様は儂の期待を裏切るつもりか?可楽よ」
可楽「ッ!確かにそうじゃ!せっかく此処まで探したというのに儂が疲れたとか言ったら、付き添ってくれた積怒と哀絶、そして純粋に外食をしたい空喜に申し訳ない!ならばここで諦めてはいられん!儂も空喜の方へ行って手伝うぞ積怒!」タタタタタ!
可楽は立ち直り、気分を変えて空喜の方へ駆けて行った。それを見ていた積怒は、ため息を吐きながらこう言った。
積怒「ハァ・・・、可楽め、立ち直ったは良いが、浮き沈みの激しい奴じゃ」
そして積怒も可楽、空喜、哀絶に付き添うように和食の食事処を探すのを再開した。
それからは、積怒、可楽、空喜、哀絶の四人で力を合わせ、スマホの地図を見ながら此処、横浜市一帯にある食事処を一軒一軒調べていった。少しずつ少しずつ。そしてついにその努力が報われることになった・・・
空喜「うーむ、彼処はどうかのう・・・?ん!?おお!もしかして彼処は和食の食事処ではないのか!?」
空喜が、興味津々で向こう側に建つ和食の食事処を指す。それに最初反応したのは哀絶であった。
哀絶「ん?どうした空喜・・・ッ!ハァ・・・やっと見つけたか。まあ何はともあれこれで昼飯が食える。」
空喜「よし!俺は積怒と可楽を呼んでくるぞ!ちょっと待っていろ哀絶!」
哀絶「ああ、早く呼んできてくれ空喜・・・。儂は早く中に入りたい。」
空喜は、今だ和食の食事処を探している積怒と可楽を呼び戻しに行った。空喜に呼び戻された積怒は、「やっと見つけたか・・・、全く世話の掛かる奴じゃ」と、半分疲れたような感じで言い、逆に可楽は、「おお!やっと儂らが外食できるところを見つけたか。何はともあれ良かったのう、空喜!」と、陽気な感じで言っていた。
そして積怒たち四人は、これから外食を取る和食の食事処の全貌を確認した。
積怒「さて・・・、見つかったはいいが、和食の食事処にしてはやけに随分と様変わりしているな。なんか少しだけハイカラさが増しているような気がするぞ。本当にちゃんとした和食が出て来るのか?」
可楽「ああ、確かに造りに関しては壁が白みのある煉瓦になっているのう。屋根は藍色の瓦屋根じゃが。あと見た目は平面的でそこそこ広い和食の食事処という感じか?だとしたら中はそこそこ人で溢れておるんじゃないかのう?積怒。ほら、人も結構中にいるみたいだぞ。
可楽が指を指すと、その和食の食事処はまだ昼飯時なのか、まだ結構人で溢れ返っており、老若男女、そして子供が楽しく食事をしていた。
積怒「・・・まあいい、此処は可楽の言う通りにするか。もう探すのは面倒だからな。」
可楽「お?ついにお前も儂の話がわかるようになってきたか?積怒。積怒もなんだかんだで話のわかる奴じゃのう、カカカッ!」
積怒「煩い!御託を並べる暇があるならば可楽もさっさと此処の和食の食事処入るぞ!わかったか!?」スタスタスタ
可楽「ああ、わかったわかった。お前に言われずとも儂もそろそろ中に入るから安心しろ、まあそうカッカするな積怒。」スタスタスタ
可楽が言ったことに対して、積怒はとりあえず可楽を信用し、一番先に
和食の食事処の中へと入って行った。そして可楽も積怒に対して「やれやれ」と両手を外側に曲げ、顔を左右に振ってから積怒に続くように和食の食事処の中へと入って行った。
一方で、空喜と哀絶はと言うと・・・
空喜「うむ・・・、なるほどのう。此処の和食処の名前は『和食レストラン 屯田兵』と呼ぶらしいぞ、哀絶。さてさてどんな和食の食い物が食えるか楽しみじゃな!」
哀絶「そうか、それは良かったのう、空喜よ・・・、それにしてもレストランという単語はおそらくじゃが食事処を指す意味の単語なのか?いや、それはとりあえず置いて置くか。それより空喜よ・・・、儂ら二人が話していたらいつの間にか積怒と可楽がいなくなっておるぞ?もうとっくに入ったのではないのか?」
空喜「何!積怒と可楽はもう中に入ったのか!?ならばこうしちゃおられぬ!先を越されぬ内に俺らもさっさと中に入るぞ哀絶!」タッタッタッタッ
哀絶「安心しろ空喜・・・、お前に言われずとも儂は鼻からさっさと中に入るつもりだ。」スタスタスタ
そして、相変わらずハイテンションな空喜と、相変わらずダウナーな哀絶は、積怒と可楽の後を追うように『和食レストラン 屯田兵』へと入っていった。
キィィ・・・!バタン!
空喜「おお!!これは凄い!和食の食事処にしては随分と綺麗な内装ではないか!哀絶よ!」
哀絶「確かになぁ・・・空喜よ。それにしても江戸の世や大正の世と比べて、現代の世にある食事処は皆綺麗な内装の食事処がほとんどなのか・・・?食事処も随分と様変わりしたものじゃ。」
空喜と哀絶が凄く反応していたその『和食レストラン 屯田兵』の内装はと言うと、まず、天井のほぼ全体に、かなり大きい暖色性のあるLEDライトが複数設置されており、次に長椅子とテーブルが多く設置されている(因みに喫煙席もある)。そして、壁には、レプリカではあるが、日本で生まれた浮世絵や油絵などを中心とした絵画が飾られていた。また、サービス面では、レストランでお馴染みのドリンクバーや、レストランでは珍しいソフトクリームの食べ放題ができる。総評して、和食の食事処にしては結構豪華な内装だった。
哀絶「さて、積怒と可楽は一体何処にいる・・・、さっさと探さねば「おーい、空喜!哀絶!四人分の席を取っておいたぞ!こっちじゃこっち!」ハァ・・・、なんだ可楽め、奥の方の席をもう取っていたのか。相変わらずやることが早い奴じゃ。あと哀しい程いちいち声がでかい。まあとりあえず積怒と可楽の元へ向かうぞ空喜。」
空喜「おう!それもそうじゃな!何より可楽と積怒が四人分の席を取ってくれたのは実に喜ばしいのう!ならば早く行くぞ哀絶!俺は腹が減ってしょうがない!」タッタッタッタッタッ
哀絶「空喜、廊下を走るな。他の客の迷惑になるぞ。ハァ・・・、全く。」スタスタスタ
哀絶は、走って積怒と可楽の元へ行こうとする空喜を注意しながら、自分も積怒と可楽の元へ向かい始めた。
一方、空喜と哀絶を呼んだ後、積怒と可楽は、どの食べ物にするか、お冷を飲みながらメニュー表を見て決めている最中であった。
可楽「うーむ、それにしてもどの食い物も美味そうだのう。これは地味に迷う。積怒もそう思わんか?」
積怒「ああ、確かにこのお品書きに書いてある食べ物は豊富にあってどれも美味そうだな・・・。だが可楽よ、貴様もさっさと食べたい物を決めろ。いつまでも時間は取れぬ。因みに儂はもう決めた、この秋刀魚の塩焼き御膳とほたて汁、あと飲み物はこのドリンクバーとやらにする。」
積怒は、可楽に早く注文するものを決めるようにと促した後、自分が注文するものをパパッと早く決めた。
可楽「おーおー積怒、ここに来てまで秋刀魚の塩焼き御膳を選ぶとは、お前は相変わらず健康志向じゃのう〜。たまには羽目を外して美味いものをたくさん食うことはそれだけ元気の証じゃと言うのに、やれやれ。」
積怒「煩い、儂は元々食べ物や飲み物は腹八分目に治めておくタイプじゃ。第一、満腹になるまで食べ物や飲み物を摂取したら家に帰る時に億劫になるぞ、可楽。」
可楽「ああ、わかっておる。なるべく食い過ぎないようには心掛けるからまあ安心しろ、積怒。ちなみに儂は・・・」
積怒と可楽が雑談をしながらメニューを見ていると、その途中で丁度よく空喜と哀絶が来た。
空喜「おお!此処におったか、積怒、可楽。ん?それはかお品書きか!?ならば積怒!可楽!そのお品書きを早く見せろ!どんな食い物があるか楽しみじゃのう〜。」
哀絶「だからいちいち声がでかいと言うとるじゃろうが・・・。空喜もわからん阿保じゃのう・・・」
可楽「おお来たか、空喜、哀絶。お前ら二人の席はそこの長椅子じゃ。早く座った方が良いぞ。あとお品書きならそこにあと二つ残ってるから空喜と哀絶がそれぞれ使え。」
可楽は、空喜と哀絶「ほれ」と言いながら、残り二つのメニュー表を空喜と哀絶にそれぞれに渡した。その時、空喜はメニュー表を見ながら喜ばしそうに感想を言った。
空喜「おお!これは中々美味そうな料理の目白押しじゃ!何食いたいか迷うのう!」
哀絶「だから空喜、いちいち声が・・・いや、もうどうでもいいか。儂が言ったところで空喜は直そうとせぬからな。それより可楽、儂と空喜の分までお品書きを寄越してくれて恩に着る。空喜、お前もそこで突っ立っていながらお品書きを見ているな・・・、邪魔になるだろう。せめて座ってから見ろ。」
哀絶のその言葉に、空喜は「ん?そういやまだ席に座っていなかったのう。早く可楽が示した席に座るぞ哀絶!」と言いながら反応し、席に座った。空喜が落ち着いたことに安心したのか、それに釣られるように哀絶も座った。そして、座ってから数分後、可楽と哀絶の食べたい料理が決まっていった。
可楽「よし、儂は決まったぞ積怒!このミックスフライ御膳とやらにする。中々量も多そうだからのう。あとジャンボ茶碗蒸しとドリンクバーもじゃ。」
積怒「・・・そうか、なら可楽はそれでいいな?因みに空喜と哀絶はまだか?」
哀絶「ああ、わかっているからいちいち急かすな、積怒。こっちが哀しくなる。けれどまあそうじゃな、やはり一番気になるものはこの北海道ざるそばか・・・、ならば儂はそれとドリンクバーで昼飯は済ます。空喜よ、お前はどうする?」
空喜「うむむ!どれも美味そうなものばかりじゃ!これはかなり迷うぞ哀絶!」
哀絶「そうか、ならば待ってやるから早く決めておくれ・・・、時間が勿体ない。」
空喜は哀絶の言葉に対して「おう!わかっておるわ哀絶!」と言って、再びお品書きを興味津々に見始めた。そして数分後、空喜はついに食べたい料理が一通り決まった。
空喜「よし!決まったぞ!積怒!可楽!哀絶!うな重も良かったんじゃが、あれはちょっと高めだからのう。だから俺は代わりにこの屯田兵式海鮮丼の特盛と北海道ザンギと北海道フライドポテト、そして北海道ソフトクリームの食べ放題とドリンクバーの五つにする!」
哀絶「そうか・・・、じゃが空喜よ、海鮮丼の特盛なんか頼んでしっかりと責任を持って食べ切れるのか?」
空喜「おう!まあ多分何とか食い切れるじゃろう!」
空喜のそのあやふやで中途半端な物言いに、積怒が怒鳴りつけるように空喜に言った。
積怒「なんだそのあやふやな言い方は!もっとはっきりとした言い方で言わんか!空喜!」
哀絶「ハァ・・・、積怒も此処でいちいち怒鳴るな。哀しい程煩い上に他人に迷惑千万だ・・・。それより空喜、お前が全て責任を持って食えるのなら儂は何も言わんが、余り食い過ぎると気持ち悪くなることもありえるぞ。」
積怒「そうだ空喜、家に帰る時に万が一気持ち悪くなったら一体どうするつもりだ?」
空喜「ま、まあそれは確かにそうじゃが・・・」
空喜が返す言葉を考えていると、黙っていた可楽が空喜を弁護するように口を開いた
可楽「まあまあ落ち着け、積怒に哀絶も一体どうした?せっかく空喜が見つけた和食処なのだから此処はハメを外して思う存分食うのが断然いいじゃろうが。これでは空喜が可哀想じゃろう。それともなんだ、積怒と哀絶はそこまで此処の和食処に興味がないのか?」
積怒「・・・別にそうではない、ただ儂は空喜が食い意地を張って無理をせぬよう厳重注意をしただけじゃ」
哀絶「同じく儂もだ。儂と積怒は別に空喜に好きな料理を食わせたくないためにあんなことを言ったのではない。空喜よ、気分を害したのなら積怒の分も含めて謝る。どうか許しておくれ・・・。」
積怒「哀絶ッ!一体何を・・・!」
空喜「・・・」
哀絶は、自分と積怒の言い方が少々悪かったことに気づいたのか、積怒の分を含めて自ら空喜に謝り出した。積怒は同様し、空喜は黙ったままだった。だが段々と空喜の表情が晴れていき、哀絶の背中を叩きながら笑って口を開いた。
空喜「カカカッ!なんじゃ積怒に哀絶!さっき自分の言い方が悪かったことをわざわざ俺に謝ろうとしたのか?積怒も哀絶もいちいち変なことに気を使うのう〜。まあ安心しろ!別に俺はそんなことでいちいちしょぼくれても落ち込んでもいない!だから此処はたらふく昼飯を食おうぞ。もちろん無理をしない程度にのう。」
空喜はさっきのことに対して何にも恨まずに、ただただ積怒と哀絶を許してくれた。その純粋無垢な意思が見えたのか積怒と哀絶はこれ以上は騒ぎを起こさずに、落ち着きを取り戻した。
積怒「・・・そうか、ならば儂はもう何も言わん。無理をしない程度に満喫しろ、空喜。」
哀絶「わかった・・・、空喜の気が済むまで食べてもいいが、余り食べ過ぎない方が良い。帰る時が億劫になるからのう。」
空喜「カカカッ!そんなこと言われんでも俺はわかっておるぞ!哀絶」
可楽「カカカッ!良かったのう空喜!たらふく昼飯が食えるようになって!」
積怒「では全員決まったならばそろそろ店の者を呼ぶぞ。そこの者、ちょっと注文したいのだがーー」
そして積怒たち四人は、互いの食べたい料理が決まったので、店員を呼び、決めた四人各々の食べたい料理を積怒が代表して店員へと注文した。その後は四人で、ドリンクバーを使いに行った。その際、積怒は緑茶、可楽はコーラ、空喜はオレンジジュース、哀絶はりんごジュースを注いだ。また、ドリンクバーを使い終わった後は、これから目指すヒーローについてどう調べ上げるかということについてや此処の和食処の様々な食べ物について色々雑談のように話していた。
そして数分後・・・
〈和食処 屯田兵〉の女店員「お待たせしました!秋刀魚の塩焼き御膳とほたて汁、ミックスフライ御膳とジャンボ茶碗蒸し、屯田兵式海鮮丼の特盛と北海道ザンギと北海道フライドポテト、北海道ざるそばになります。失礼します。あとご注文表は此処に置いておきますね。ごゆっくりどうぞー」
そう言って、女の店員はそそくさと戻って行ってしまった。そして、積怒たち四人(特に可楽と空喜)は、卓上に置いてある料理に興味津々であった。
空喜「おお!このって屯田兵式海鮮丼とやら、中々豪華な代物じゃのう!これは中々食いごたえがありそうだ。あと北海道ザンギと北海道フライドポテトも美味そうじゃのう。」
空喜が注文した、その屯田兵式海鮮丼はなんと、中とろ、まぐろ、サーモン、たい、びん長まぐろ、ぶりなどのメジャーなネタはもちろんのこと、いか、穴子、たこ、ほたて、つぶ貝、こはだなどのマイナーなネタも、大盛の酢飯に多数乗っており、見ただけでかなり豪華な海鮮丼だということがわかる。また、北海道ザンギと北海道フライドポテトは、熱々の揚げたてであるため、かなり食べ応えがある。
可楽「空喜、儂のも見ろ!中々美味そうだぞ、このミックスフライ御膳とやら。色とりどりの揚げ物がある。」
可楽が注文した、ミックスフライ御膳は、リブロースの分厚いとんかつ用の豚肉で作ったロースカツに、エビフライやカキフライ、さらにアジフライなどが盛り付けられており、付け合わせの野菜としてキャベツの千切りやタルタルソースまで付いている。あとは白米ときゅうりの浅漬けと言った感じだ。さらに、ジャンボ茶碗蒸しの方は大ぶりの海老や椎茸、かまぼこ、銀杏、〆には飾り付けとして三葉が添えられていた。
積怒「可楽!空喜!静かにせんか!他の客に迷惑であろう!全く」
哀絶「はぁ・・・、積怒も積怒で哀しい程煩い・・・」
因みに、積怒の注文した秋刀魚の塩焼御膳の秋刀魚には大根おろしが添えられていたり、哀絶の注文した北海道ざるそばにはきざみ海苔とねぎが添えられていた。そして積怒たち四人は、全ての品が四人に行き届いたことを確認した後、積怒を中心にいただきますの号令を掛け始めた。
積怒「まあいい、さっさと食べるぞ。では・・・」
パンッ!
積怒・可楽・空喜・哀絶「いただきます(!)」
そこから積怒たち四人は騒がしくも楽しく喋りながら久方ぶりの食事を楽しんでいた。
空喜「んー、この海鮮丼に乗ってあるたこやほたても中々美味いのう〜。美味いんじゃが、俺が一番美味いと思ったのはこのサーモンとまぐろじゃ!カカカッ!」
積怒「このほたて汁、旨みがしっかりと閉じ込めてあって実に美味いな・・・。それと空喜、美味いのはわかったからいちいちでかい声を出して言うのはやめろ!他の客に迷惑じゃ!」
可楽「積怒、積怒の昼飯の秋刀魚、ちと貰うぞ。味見じゃ味見。」ヒョイ
可楽はそう言いながら、積怒が空喜を注意しているところをいいことに積怒の昼飯である秋刀魚の身の一部をあたかも平然と箸で抜きとり、口に運んだ。それを見た積怒は、説明するまでもなく鬼のように激怒した。
積怒「おい可楽!儂の目を盗んで平然と勝手に儂の昼飯の秋刀魚を試食するな!自分の分を食え!自分のを!」
可楽「やれやれ全く、積怒は相変わらずいちいちこと細かい奴じゃのう。そんなんじゃから空喜はまだしも哀絶には鬱陶しがられるんじゃ。カカカッ!何より別にほんの少しぐらい味見しても罰は当たらんじゃろう?おすそ分けの精神じゃ。おすそ分けの精神。なあ、積怒。」ザクッ
可楽は、積怒の相変わらずな説教癖に半分呆れているのか、積怒の説教をまともに聞かずにただ聞き流すだけ聞き流しながら自分の昼飯であるフライに口を運んだ。だが、積怒も負けず劣らずに可楽に対してさらに説教をした。
積怒「ええい黙れ!全くお前はいつも勝手な行動ばかりしおって!儂の秋刀魚にお前の唾液が箸を経由してべったりとくっ付くじゃろうが!何より取り方が汚いぞ!もっと綺麗に取らんか!儂の秋刀魚の見た目がもうぐちゃぐちゃじゃ!この馬鹿者が!」
可楽「まあまあ積怒、そうすぐに怒るな。だったら儂の牡蠣フライを一つやるからこれで帳消しにするんじゃ。儂なりの良い提案じゃろう。」
積怒「くっ・・・!すぐに物で儂を吊りおって。相変わらず意地汚い奴めが。だが、その牡蠣フライとやら、確かに、食っては見たい・・・。まあなんとなくだ、なんとなく。」
積怒も不器用ながら新しい食べ物には興味があるらしい。可楽もそのように感じ取れたのか口元に笑みを溢しながら口を開いた。
可楽「ほう・・・、やっぱり積怒も儂のフライを食いたかったのか。ならば最初から遠慮なくそう言ってくれれば少しだけだったら儂もおすそ分けしてやるのというのに・・・。積怒も相変わらず意外なところで頭が抜けているのう〜。カカカッ!」
積怒「ッ!う、五月蝿い!わかったからさっさとその牡蠣フライとやらを寄越せ!」
可楽「ん〜?言い方が少々乱暴じゃなぁ〜。もう少し柔らかくは言えぬのかぁ〜?積怒〜」
積怒「チッ!わかったからその子生意気な口を控えろ。ゴホン!可楽よ、その牡蠣フライとやらを少しだけ分けてくれ。これで良いか?」
可楽「おう、点数的には八割ぐらいじゃが、まあ良い。ほれ、分けてやる。儂が選んだ料理じゃ、不味いだなんて言ったら承知せぬぞ?積怒。カカカッ!」
可楽はそう言いながら積怒に牡蠣フライを一つ分けた。
積怒「フン、お前に言われずとも残さずしっかりと食うから安心しろ。」
そして、積怒と可楽がわちゃわちゃとやっているその一方で・・・
哀絶「・・・」(ハァ・・・、全くあれだけ他の客の迷惑になるし目立つからなるべく五月蝿くするなと言ったのにも関わらず積怒と可楽め・・・、どちらも学習能力が足らぬ二人じゃ。店の者に注意されても儂はもう知らぬぞ。自業自得じゃ。おまけに・・・)
空喜「ん〜!美味い!!このザンギという鶏の唐揚げも滅茶苦茶美味いぞ!俺は物凄く気に入った!このフライドポテトとやらもじゃ!のう哀絶!お主もそう思うじゃろう!?哀絶!」ガツガツ!ムシャムシャ!
哀絶「ああ・・・、さっきお前から試しに貰って食ってはみたが、美味かった。じゃが一つ良いか?空喜よ、お主さっきから声がでか過ぎるぞ・・・。せめて普通の声量に抑えることはできぬのか?あと箸とかを使え。手掴みで食うのは流石に汚いぞ。」
なんと、空喜は箸などを使わずにザンギとフライドポテトを食していたらしい。それを見て哀絶は、流石に汚いと思い空喜に注意をしたのだろう。その光景は、まるでペットに躾をする飼い主と飼い主の躾を良く聞くペットの光景である。
空喜「ん?そうか?ならばわかったぞ!哀絶がそういうのであればなるべく気をつけるように俺は努力するぞ!哀絶!カカカッ!」ガツガツ!ムシャムシャ!
純粋無垢ですぐ喜ぶ性格の空喜は、生意気な言動が多い可楽と違ってあっさりと哀絶の躾紛いの注意をしっかりと聞いて言うことを聞いた。それに安心した哀絶はというと・・・
哀絶「・・・そうか、だったらこれからは気をつけるんじゃぞ。空喜よ。」ズルズル
静かに微笑んでいた。そしてまたざる蕎麦を食べ始めて行った。
積怒「ッ!美味い・・・!まさかこんなに美味かったとはな・・・この牡蠣フライとやらは。まあ健康的には悪そうじゃが。」
可楽「そうかそうか、それは良かったのう!満足できて。積怒の秋刀魚も美味かったぞ!」
積怒「フン、お世辞など別にいらぬ」
可楽「お世辞も何も事実じゃ。相変わらず積怒は頑固で世間知らずじゃのう。カカカッ!」
そこから四人は、もくもくと注文した料理を食べ続けていた。
〜数分後〜
空喜「ふぅ、食った食った。とりあえず昼飯は済んだ。あとは甘味・・・いや、ソフトクリームとやらの食い放題じゃ!カカカッ!」
可楽「あー!空喜!後で儂にも分けてくれ!そのソフトクリームとやらの甘味を!あ!因みに積怒と哀絶はどうするか?食うかのう?」
積怒「そんなこと、儂らの様子を見ればわかるじゃろうが・・・、儂と哀絶ももう食えん。久方振りにたくさん食った。」
哀絶「積怒の言う通りじゃ。ほとんど食べたのは空喜じゃが、あの食器の山を見ろ。これ以上食ったら余計気持ち悪くなる・・・、うっ!」
積怒は、もう充分食べたと可楽と空喜に伝え、哀絶は、気持ち悪さを抑えながらも、食べ終わった料理の食器の山に向けて指を指した。それに対して可楽と空喜はそうかそうかと言っていた。
空喜「では俺はソフトクリームとやらを取りに行ってくるから少し席を外すぞ!待っていろ!俺のソフトクリームよ!カカカッ!」タッタッタッタッタッ
そう言って空喜はソフトクリームを作りにそそくさと席を外してしまった。それに続いて・・・
可楽「あ!待て空喜!儂も同行する!儂の分も作るんじゃ!空喜ー!」タッタッタッタッタッ
可楽も空喜の付き添いとしてそそくさと姿を席を外してしまった。そして、可楽と空喜が一時的にいなくなった場にいる積怒と哀絶は食後の休みとして此処で少し休むことにした。
積怒「全く、可楽と空喜は相変わらず五月蝿いのが大好きな奴らじゃ。儂はもう疲れた。少し此処で寝る。」
哀絶「そうか・・・、ならば少し寝るといい。此処で長居するのは流石に駄目じゃがな。因みに儂は可楽と空喜が戻ってくるまで席の見張り役でもしている。」
積怒「ああ、そうしてくれ。では後は任せた。」
こうして積怒は、少しだけ深い眠りに落ち、哀絶は席の見張り役を始めた。だがその時!此処の和食処にどこからか物理的な衝撃音が辺りに響いた!
バリン!ドガァン!!
???「此処にいる奴らは全員手を挙げろ。もし変なマネしたら、この僧帽ヘッドギア様が許さないぜ??ガハハハハ!!」
喜怒哀楽の鬼(元上弦の肆)、初めて本物の悪人、
第弍話、いかがでしたでしょうか?というか久々に執筆し始めたらいつの間にか24000文字以上も進んでいました。次話からもう少し簡潔にまとめられるよう努力します・・・。こんな駄作小説しか作れない作者ですがどうぞよろしくお願いします。それと、第参話を執筆する上での活動報告を作ったので。できたらそちらも見て頂けたら助かります!