穹はキッチンに向かい震える手で調理をしていた。その後ろでサンポが愛を持って(穹からみると睨め付けるように)見つめている。不意にサンポが口を開いた。「ねぇ、穹さん。もう少しで料理はできますか?僕、お腹がすいてしまいました。」「あ、ぁ、ごめん。もう少しまって…」穹は酷く怯えた様子でそういった。その背中をサンポにつつかれる。瞬間、穹は涙ぐみ、必死になって「ごめんなさい!ごめんなさい!」と謝り続けている。サンポは無表情で「僕の機嫌を損ねないでください」と言い、近くに落ちている革ベルトを手に取り、穹に向かって振り下ろした。バチンという音がする。穹は口を抑えたうえに悲鳴が漏れぬように服を咥え、脂汗を垂らしながら痛みに耐えている。穹には幾つもの蚯蚓脹れと-酷いものは皮膚が裂け化膿している傷跡があった。
当然そのような生活を続けていれば精神と身体がおかしくなってくる。この頃になれば穹は手が異常に震え、簡単なことをするにも時間がかかるようになっていた。この家に連れてこられたばかりの頃の穹は「ここから出たい」という思いでいつも逃げ出すことを考えていた。だが、今では「サンポに打たれないように従う」にすげかわっていた。
一方サンポはというと「ようやく穹が僕のことを好きになってくれた!」とたいそうご機嫌であった。そりゃもうちまちまと花がとんでるエフェクトが見えるのではと言うほど。マァ、そんなことはなく穹は打たれたくないが故に従っているだけなのだが…そんな些細なことはサンポにはどうでもよかった。この小さな城(或いは牢獄)がサンポの宝であったのだ。
当たり前の事だが暮らすためには金が必要だ。サンポは好条件の依頼に食いつき3日程家を空けることにした。
「穹さん、僕ものすごくいい依頼が入ったんです!だから、3日程お留守番していてください。」穹にとってその言葉は天から垂らされた救いの蜘蛛の糸であった。
サンポは続けて言う。「なので!足枷をつけようと思います♡もし逃げてしまったらまた捕まえられるとは限りませんし…」といいながら足枷を持ってきた。あまりに大きく重そうなそれは、もうしばらく外に出してもらえていなく、筋力が落ちてしまった穹にそれをつけてしまったらほぼ動けないのも同然であった。穹は絶望した。確かにサンポのことだから何かしらのペナルティはつけると思ってはいた。予想外であったのだ。
ポロリと穹のかわゆい目から涙が落ちる。サンポはいいように解釈し、(僕が3日間も離れてしまうから寂しがって泣いている)と思い穹の瞼に軽くキスをした。