レグルスは夢を見た。
周囲には霧がかかり風景は何も見えない中をレグルスは歩き続けると、霧の中から一人の女性が現れた。
その女性は長い黒髪を後ろで束ねレグルスに対して背中を向けていた。女性はレグルスに気づくと後ろを振り向き、口元に笑みを浮かべたが、目元は霧で見ることが出来なかった。
レグルスは女性に対し笑みを返した後、視線を横に動かしその先に置いてある揺りかごを見付けると近づき中を覗き込んだ。中には赤子がおり、顔は霧がかかっていたため表情は分からなかったが元気に手足を動かしていたため、起きていることは分かった。
レグルスは元気な様子の赤子に自然と笑みを浮かべると右手を伸ばし、大きな手で優しく赤子の頭を撫でた。
レグルスが目を開けると、そこは見覚えのない暗い場所であった。空気は淀みジメジメとカビ臭く、地面は硬く冷たい石で出来ており、そこで横になっていたためか体は冷えきっていた。
(………またあの夢か…ここ毎晩見るな…何故似たような夢を毎晩見る?…あの母子は…一体誰なのだ?………夢のことは後だ…まずは現状を把握しなければ…ここは何処だ?)
レグルスは周辺の状況確認のため体を起こしたところ、胸と頭に痛みが走った。
「…ぐっ!」
ズキズキと痛みが発生した箇所を抑えようとレグルスは手を動かしたが、両手は後ろで縛られていたため動かすことは出来なかった。
「メラ」
レグルスは魔法でロープを焼き切ると頭と胸の傷口を確認し、血は止まっていたが傷口は完全には塞がっていないことを確認すると傷に回復魔法をかけながら、部屋の観察と周辺の気配を探った。
(この部屋は牢屋のようだ…扉の近くには敵の気配がする…周囲一帯は敵が多く、上方向にも敵がいることからかなり巨大な地下空間であるようだ…間違いない……ここは地底魔城!…私は敵に捕まったようだな…皆は…無事なのか?)
レグルスは目をつぶり周囲に他の皆の気配がないかと探った所、離れた場所に見知った気配を感じた。
(……見つけた…マァム!他の皆は気配を感じないが…マァムは私と同じく敵に捕まったようだ…ん?マァムはどこかへ移動しているのか?…周囲には敵の気配がすることから敵に連れて行かれているようだ…マァムの行く先には…なっ!ヒュンケル!!)
マァムが連れて行かれる先にヒュンケルの気配を察知したレグルスは動揺しながらも気配を探り続け、マァムの様子を伺った。
マァムは周囲に敵であるガイコツに囲まれ暗い地下の道をキョロキョロと周りを見渡しながらヒュンケルの執事と名乗るモルグの案内で進んでいた。
「ここは地底魔城…道は迷路のように複雑なため我々から離れると危ないですぞぉ…我々と違ってあなたは生きておられる方ですからねぇ…ヒョッヒョッヒョッ…」
マァムは警告のような言葉にハッとすると周囲を見渡すのを止め、唾をゴクリと飲み込みモルグに声をかけた。
「…私をこれから何処に連れてくの?」
「ヒュンケル様の元へ…あなたにやって頂きたいことがありますのでねぇ…」
「やって頂きたいこと?……私の他に…捕まった人はいるの?」
「あなたと…子供が一人おりますねぇ…あなた方は人質として捕らえております…」
「子供…!その子供はダイ?レグ?どっちなの!?」
「子供の名前は存じないですねぇ…」
「…そう(私が気絶した時レグの傍だったわ…なら捕まったのはレグじゃないかしら…)」
「…着きました…こちらへお入りください…」
モルグが立派な扉の前に立ち止まり、ドアを開けるとマァムに中に入るように促した。マァムは震える手を固く握りしめると、ヒュンケルが居るという部屋の中に入った。
「!…ヒュンケル…」
マァムは部屋を見渡すと調度品がない部屋の中、壁に立て掛けられたボロボロの鎧の魔剣とベッドで眠る全身包帯巻きのヒュンケルを見つけると素早く容態を観察した。包帯を巻いてない箇所は傷や痣が見え、呼吸は速く全身から汗をかいていることから怪我の状態が悪いことが伺えた。
「…あなたにはヒュンケル様の治療をして頂きたいのです…」
「もし…私が断ったら?」
「ヒョッヒョッヒョッ!…その場合…明日…我々の仲間に子供が一人増えることになりますねぇ…」
「!!!やめて!あの子はまだ子供なのよ!…分かった…治療するわ!…その代わり治療したら子供は解放してくれないかしら…人質は私一人で十分じゃない…!」
「それを判断するのはヒュンケル様になりますねぇ…ヒュンケル様はお優しい方です…治療後…ヒュンケル様にお願いしてみるとよろしいかと…」
「そうするわ……ベホイミ!」
マァムはベッドへ近づきヒュンケルに対して魔法をかけると癒しの光を当てていくうちに怪我は癒え、呼吸も正常に戻っていった。しばらくするとヒュンケルの瞼が震え、ゆっくりと目を開き、そこに居ないはずのマァムが居ることに気付くと、ぎょっとしながら体を起こした。
「女!!!何故お前がここに居る!?」
「…私は貴方の治療のためにここに連れて来られたのよ」
「治療…だと?」
「ヒョッヒョッヒョッ!…ヒュンケル様元気になられたようで何よりですねぇ!…こちらのお嬢さんは私がヒュンケル様の治療のため連れてまいりました…」
ヒュンケルは少し呆れた様子で溜息を吐くと、嬉しそうにしているモルグを見つめた。
「モルグ…人質に治療させたのか…」
「…ヒュンケル様の容態が急変したためすぐさま治療をする必要がありました…」
「…ヒュンケル…お願いがあるの!子供の人質がいるでしょ?その子供を解放して欲しいの…!人質には私が残るわ!」
「…断る!」
「どうして!あの子はまだ小さな子供なのよ!?」
「…冗談ではない!あのガキは俺より力が弱いにも関わらず剣の腕だけで俺の実力を上回ったのだぞ!?そんな奴を生かして返せば間違いなく俺の…魔王軍の障害になる!あのガキを解放するなぞお断りだ!!!」
(もう1人の人質は…レグのようね…)
マァムは剣幕にたじろぎながらもヒュンケルの言葉からもう1人の人質はレグルスであると判断した。人質を解放出来ないことに関してはある程度予想していたとはいえ、助けられないことにマァムは少し落ち込んだ。
「そう…分かったわ…ならせめて貴方が何故アバン先生を憎むのか…理由を教えて欲しいの!」
「………奴を憎む理由…それは、アバンが俺の…父の…かたきだからだ!!!」
「!!?どういうこと?アバン先生が貴方のお父さんの…かたき!?」
「………かつて…ここ地底魔城は魔王ハドラーの拠点であった…」
ヒュンケルはマァムに自身の過去を語った。
旧魔王軍時代、魔王ハドラーの軍勢は各地を襲撃し、村や街は戦火に包まれた。その戦乱の中、親に捨てられた戦争孤児がヒュンケルであり、そして、当時赤子だったヒュンケルを拾い育てたのが旧魔王軍最強の騎士であり魔王ハドラーの間へと続く地獄門の門番である地獄の騎士バルトスだった。ヒュンケルはここ地底魔城で騎士道精神に溢れたバルトスに愛情深く育てられた。
「俺は何の疑問も抱かず大きく育った…だが、勇者がここ地底魔城に攻め込んできた…」
ヒュンケルはバルトスにより安全な場所に隠され、バルトスは地獄門の門番として戻っていった。
勇者と魔王軍による戦いが始まった。
ヒュンケルは部屋の室内でしばらく剣技の音、魔法による爆発音、モンスターの叫び声といった戦いの音を聞き続けた。そして…魔王ハドラーの恐ろしい断末魔の叫び声が地底魔城に響き渡った。魔王の叫び声が聞こえた後、地底魔城は静かになり、戦いが終わったと悟ったヒュンケルは居ても立ってもいられず、部屋から飛び出すとバルトスの元に、父の元に走った。だが、地獄門にたどり着いたヒュンケルの目に映ったのは全身ボロボロとなったバルトスであった。
「他の怪物達と違いアンデッドは魔王の魔力なくしては肉体を維持できない…ハドラーが死にその魔力が途絶えた時…父は…俺の父は…灰となって崩れ落ちた…!!!」
(…ヒュンケル)
ヒュンケルは子供だった当時、目の前で父親が崩れ落ちる中、ヒュンケルを見つめながら父が言った言葉を忘れられないでいた。
(ヒュンケル…思い出を…あり……が…と…う………)
父バルトスの最期の言葉、それには愛情が感じられた。
ヒュンケルはバルトスを失った当時の痛みを、怒りを、絶望を思い出すと、拳を強く握りしめ歯を食いしばった。マァムは手を胸の前で握ると動揺しながらも悲しげな表情を浮かべてヒュンケルを見つめていた。
「……皮肉なものだ…父を失い…絶望していた俺の前に現れたのがアバンだった…向こうは勿論、俺の事など知らない…だが、俺にはひと目で分かった…!!!この男が勇者だと!俺の父のかたきだと!!!その時、俺は誓った!!!力をつけ必ずあの男を討つと!!!それゆえ、アバンに師事し剣を習ったのだ!!!その剣でやつ自身を殺すために…!!!」
「もうやめて!貴方の気持ちは分かったわ!でも…先生は…!」
「正義の為に戦ったと言いたいのだろう!?たとえ正義だろうと、その結果父は死んだ!!!ならば、正義そのものが俺の敵だ!!!」
「…ヒュンケル、あなた…お父さんのこと…とても大切にしていたのね…」
「…ああ、俺の尊敬する父親だ…」
ヒュンケルは少しの間目を瞑り、父親との記憶を思い返した後、先ほどより落ち着いた様子でマァムを見つめた。
「………お前はダイ達をおびき出す囮だが…用が済めばお前だけ逃がしてやる…」
「…なぜ私だけ見逃すの?」
「たとえ敵でも女は殺すな…武人として最低の礼儀だと父から教わった」
「…ヒュンケル…貴方はお父さん想いの優しい人ね…だからこそ先生は貴方にアバンのしるしを渡したのだわ…」
「何…?」
ヒュンケルはアバンの名が出ると眉をひそめてマァムを睨みつけた。
「先生は間違った人間には絶対にアバンのしるしを渡したりはしないわ…貴方は…本当は優しい心を持って―」
「ふざけるな!!!」
ヒュンケルは怒鳴ると懐からアバンのしるしを取り出し、マァムの足元に投げ捨てた。
「あ…」
「そいつはアバンとその弟子を探り当てるために持っていただけだ!かたきは死に!弟子共の容姿を確認した今となっては必要の無いものだ!モルグ…!そいつを牢屋に戻せ!!!」
「ヒョッヒョッヒョッ…かしこまりました…」
マァムは足元に転がったアバンのしるしを拾うとヒュンケルを悲しそうに見つめた。
「…お嬢さん…こちらへ…」
モルグに促されたマァムは部屋の出入口に向かい、扉を出る直前、後ろを振り返るとヒュンケルを見つめながら声をかけた。
「……ヒュンケル…これだけは言わせて…貴方が正義を憎むことについて否定もしないし嫌ったりもしないわ…お父さんを失ったのは悲しいことだから…それでも…アバン先生が貴方に向けた優しさは否定しないで欲しいの…先生は貴方を大切に想っていたでしょうから…」
「さっさと失せろ!!!」
マァムはモルグに促され、ヒュンケルの寝室から退室した。
マァムが部屋から出て行った後もしばらくヒュンケルは閉められた扉を睨みつけ、イライラしながら今日起こった出来事を、対峙した者たちを思い出していた。
(そのしるしを受け取るほど長い期間共に過したならば…アバン殿の優しさに気付いたはずだ…!それでもお前はアバン殿を倒したいと願うのか!?)
魔族である青年が言った言葉
(人間は強く、そして優しい…!共に力を合わせ、喜びと悲しみを分かち合えることが出来るんだ…!人間であるお前に…その素晴らしさが分からないはずがない…!!!お前は人間の優しさや素晴らしさに気付きながらも見て見ぬ振りをしているのではないか…!?)
同じ軍団長の尊敬する男が言った言葉
(貴方が正義を憎むことについて否定もしないし嫌ったりもしないわ…お父さんを失ったのは悲しいことだから…それでも…アバン先生が貴方に向けた優しさは否定しないで欲しいの…先生は貴方を大切に想っていたでしょうから…)
敵であり捕虜である女が言った言葉
ヒュンケルはイライラしながら拳を振り下ろし、ベッドを強く叩いた。
「くそっ!どいつもこいつも…!」
薄暗い部屋の中、ヒュンケルの言葉が静かな室内に響いた。
「ヒョッヒョッヒョッ…では、こちらにお入りください…」
「…」
モルグの案内で牢屋が並ぶ通路にたどり着いたマァムは後ろ手をロープで縛られ、牢屋の中に入れられようとしていた。
「マァム…無事か?」
マァムが入れられようとした右隣の部屋、そこからレグルスの声が聞こえたことでマァムはハッと顔を上げると隣の鉄格子付きの扉に向かって声をかけた。
「レグ!良かった無事だったのね!怪我は大丈夫?」
「治療は済んである…マァムはヒュンケルの元へ連れて行かれたようだが…何もされなかったか?」
「私は大丈夫…ヒュンケルの治療を指示されたの…レグ!他の皆は―」
「お静かに願います…あなた方は人質なのですからねぇ…私語は謹んで下さい…」
「…分かったわ」
マァムが牢屋に入ると扉は閉じられ、モルグ達の足音は遠ざかって行った。
(…レグが近くに居たのは良かったわ…あとは、何とか一緒にここを脱出しないと!)
マァムは脱出方法について考えながら後ろ手に縛られたロープを外そうと力を込めた。
(見張り以外の敵は離れたようだな…ひとまずマァムの無事を確認出来たのは良しとしよう…)
レグルスはマァムが酷い事をされてないと知りホッとすると地面に胡座をかいて座り、目を瞑りながら今後について思考を巡らせた。
(我々を人質と言ったな…なら我ら以外は逃げ出す事が出来たのだろう…3人全員無事だと良いが…脱出方法だが、牢屋から出るのは難しくない…問題は牢屋を出てからだ…ここは地下深く、敵の動きを観察するとまるで入り組んだ迷路のようだ…途中の雑魚共はどうにでもなるがヒュンケルが出てきたら切り抜けるのは厳しい…ラーハルト達の事だ…我らを救出しようと動くはず…脱出のチャンスがあるとすればその時だ…!脱出が不可能の場合は……、敵の数を減らし…せめてダイの役に…)
レグルスは目を瞑り、周辺の敵の動きを観察し続けながら、その時を待ち続けた。
「ライデインーーー!!!」
ダイが腕を振り、地面に突き立てた杖に指を指すと光と騒音を立てながら稲妻が杖に落ちた。両手を広げて雷雲を呼んでいたポップは稲妻が正確に目標物に落ちるのを見るとニッと笑った。
「よし!だいぶ当たるようになってきたぞ!ヒュンケルの鎧は魔法が効かねぇ…だが、金属である以上、電撃は効くはずだ!」
「これなら明日にでも助けに行けそうだね!」
「ああ!こっちは問題ねぇ!あとはラーハルトか…」
「ラーハルトの怪我、あまり良くないみたい…薬草も使い切っちゃったし…」
「回復役2人連れてかれたのは痛えなぁ…後で様子見てみっか…ダイ!こっちはこっちで完成させるぞ!もう一度だ!」
「うん!ライデインーーー!」
ポップとダイの視線の先で、光と騒音を立てながら稲妻が杖に落ちた。
遠くで雷鳴を聞きながら槍を振り回していたラーハルトは脇腹の痛みを感じると顔を顰めて素振りを止めた。
「………くそっ…」
「怪我が完全に治っていないだろ…無理するな」
ラーハルトは声が聞こえた方を振り向き、ゆっくり歩いてくるクロコダインを見つけると視線を移し、腹部の怪我を確認した。
「…俺の心配より自分の心配をしろ…!お前は腹に穴が空いたのだぞ…」
「俺は体が頑丈なのが取り柄だからな…多少威力は落ちるが戦いに支障はない…!」
クロコダインは武器の斧を少し持ち上げると好戦的にラーハルトを見た。
「体の状態を確認するなら戦ってみるのが1番だ…!どうだ?俺と軽く戦ってみないか?」
ラーハルトは少し笑った後、槍を構えるとクロコダインを睨み付けた。
「…いいだろう!獣王と言われた男の強さ…確かめてやる…!」
ラーハルトとクロコダインの打ち合いが始まり、戦いはしばらく続いた。
打ち合いを続け、ラーハルトの脇腹が痛み始めた頃、クロコダインは武器の構えを解くと声をかけた。
「このぐらいにしておこう…どうだ?動けそうか?」
「…完璧とはいかないが…戦うことは可能だ…」
ラーハルトは脇腹のズキズキとした痛みを手で抑えながら、内心焦りを感じていた。
(…いつものスピードが出せていない…これでは敵の攻撃を避けるのは難しい…くそっ!怪我さえ治れば今すぐにでもレグルス様を救出しに行くのに…!)
ラーハルトは歯を食いしばりながら悔しさを押し殺し、クロコダインはそんなラーハルトの様子に気づくと近づいて肩に手を置いた。
「ラーハルトとやら…お前の気持ち、分からんでもない…俺もいつもの力が出ないからな…だが、お前は1人ではない!お前には頼れる仲間が居るではないか!今、ダイとポップは必死になって修行している…!1人で抱え込まず、ダイとポップを信じてみたらどうだ?」
「…信じる」
「そーそー!おめぇは1人で抱え込みすぎなんだよ」
ラーハルトとクロコダインは声が聞こえた方を振り返ると、そこには背中にダイを背負ったポップが歩いて近づいてくる所であった。ダイは起きていたが疲れた表情をしており、ポップの背中から眠たそうにラーハルトを見ていた。
「ポップ…!ダイ様はどうした?」
「魔力切れだ…ダイ、立てるか?」
「うん、大丈夫!ありがとうポップ」
ダイはポップの背中から降りると少しふらついたが、すかさずラーハルトがダイの背中を支えた。
「修行の成果はどうだった?」
クロコダインの質問にダイは振り返ると、ニッと笑いピースサインをした。
「バッチリ!ライデインを狙った場所に落とせるようになったよ!」
「流石はダイ様です!」
ダイに対して嬉しそうにするラーハルトの様子をじっと観察しながら、ポップが話しかける。
「こっちはいつでもマァムとレグを救出に行ける!それこそ、明日にでも…!ラーハルト…おめぇ調子はどうだ?」
「…全快とは言い難い…スピードもいつもより出ないからな…だが、戦うことは可能だ!俺も明日で構わない!」
「俺も明日で問題ない!」
ラーハルトとクロコダインの返事を聞いたポップは頷くと真剣な表情でラーハルトを見た。
「おめぇは無理してヒュンケルと戦おうとするなよ!メインはダイのライデインだからな!」
「分かっている…だが、魔法で攻撃するにも隙を作る必要があるだろ…それぐらいの役目は俺が果たす!その後は…」
ラーハルトは視線をポップから横にいるダイに移すと、目を合わせながら小さく笑いかけた。
「ダイ様、あなたに信じて託します」
「うん!俺が必ずライデインを決めるよ!」
「はい!」
ラーハルトの返事を聞いたダイは笑顔を浮かべて頷くと、その場にいる全員に声をかけた。
「よし!明日、マァムとレグを助けに行こう!」
「おう!絶対にマァムとレグを救出するぞ!」
「ああ!…ヒュンケルに勝って、2人を必ず救出する…!」
「うむ!」
4者はお互い見渡し、明日戦う決意を固めた。
「おーい!ご飯が出来たぞー!」
離れた場所からバダックが手を振りながら一行に大声で呼びかけ、ダイは手を振り返しながら返事をするとバダックの方に向かって歩き出した。
「バダックさーん!ありがとう!今日は戻って、みんな休もう!」
「そうだな!明日の決行に備えて、皆休んだ方が良かろう!」
一行はバダックに着いていき、隠れ家で食事後、明日に備えて準備を整えた。
「マァム…無事でいろよ…」
ポップは就寝のため横になると、マァムの笑顔を浮かべながら眠りについた。
ラーハルトはダイ達の近くで槍の手入れをしながら明日対峙するヒュンケルの姿と今は居ない主の姿を思い浮かべた。
(明日…ヒュンケルに必ず勝つ!…勝ってレグルス様を救出する…!)
ラーハルトは強い意志の元、槍を強く握りしめた。
マァムはヒュンケルの過去を知る。
ダイはライデインを覚えた!