ダイの大冒険 ―次世代の竜の騎士ー   作:キャットテールの鈴

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ポップとマァムはダイたちの元へ向かう途中、フレイザードの攻撃を受けた。フレイザードとの戦いの火ぶたが、今切って落とされる!


37_バルジ島編_フレイザード戦

少し前に遡る。

 

ポップとマァムがダイたちの元へ向かって移動している最中、突然フレイザードからの襲撃を受け、対峙することとなった。

 

「よくもこの俺を手こずらせてくれたなぁ!!!テメェらを始末し!勇者のやつも俺が始末してやる!!!」

 

フレイザードの半身から炎が噴き出し、殺気に満ちた目がポップとマァムを鋭く睨みつけた。

 

「…ポップ!」

「ああ、やるしかねぇ!ここで…フレイザードを倒すぞ!」

「ええ!」

 

ポップとマァムは武器を構えた。

 

「マァム!氷の腕を破壊してくれ!」

「分かったわ!」

 

ポップの指示を受けたマァムは、決然とした表情でフレイザードに向かって突撃し、氷の腕に武器を振り下ろした。

 

「たああああっ!」

「おっとお!!!」

 

フレイザードは氷の腕に大きなへこみを作りながらも、マァムの攻撃を受け止め、ニヤリと笑うと、腕を振るって反撃に出た。

 

「ヒャハハハ!まずはテメェからだ!!!」

 

マァムとフレイザードは接近戦で何度も互いに攻撃を交わした。フレイザードが腕を大きく振りかざすと、マァムは素早く後退し、左手に魔弾銃を構えた。後方に下がったマァムに対し、フレイザードは瞬時に炎の腕を突き出し、魔法を発動した。

 

「くらいなぁ!ベギラマ!!!」

「させるかぁ!ベギラマ!!!」

 

フレイザードはマァムに対して呪文を発動し、同時にポップも同じ呪文を唱えるとフレイザードの呪文を相殺した。マァムは自らに魔弾銃の銃口を向けると、トリガーを引いた。

 

(バイキルト!!!)

 

マァムの攻撃力は2倍に上がった。

 

「はあああぁっ!!!」

 

マァムはフレイザードに接近し、勢いよく武器を振り下ろすと氷の腕を破壊した。

 

「な…なに!攻撃力が上がった…だとぉ!!?」

 

氷の腕を破壊され、先程よりも攻撃力が上がっているマァムに対し、フレイザードは驚愕の表情を浮かべた。マァムがフレイザードから離れると同時に、タイミングを見計らっていたポップが呪文を唱えた。

 

「今だ!ヒャダイン!!!」

 

ポップが唱えた呪文により、氷の魔法がフレイザードの炎の半身に向かって放たれた。

 

「うまくいって…!」

「このまま、炎の体を破壊しろー!」

「う、うおおおっ!!!」

 

フレイザードは焦りながらとっさに体の向きを変え、氷の呪文が氷の半身に当たるようにした。

 

「あっ…!」

「げっ!!!」

 

破壊された氷の腕は呪文の力によって復活し、フレイザードは驚いた表情を浮かべるポップとマァムを見ると、ニヤリと笑った。

 

「腕が…復活したぁ!?」

「危ねぇ危ねぇ!危うく俺の半身が凍っちまう所だったぜぇ!上手くいかなくて残念だったなぁ?クカカカッ!!!お礼に…俺のとっておきの技を披露してやるよ!!!うおおおっ!」

「!!何か来るわ!!」

 

フレイザードは体に力を込め、不敵に笑いながら技を繰り出した。

 

「くらいなぁ!氷炎爆花散!!!」

 

フレイザードは自身を爆発させ、その衝撃を利用して体を構成する岩石を全方向に一斉発射する攻撃を仕掛けた。

 

「きゃあああ!!!」

「イタタタッ!!!」

 

無数に飛び散った岩石は嵐のようにポップとマァムに降り注ぎ、2人は全身にダメージを負い、地面に倒れ込んだ。フレイザードはマァムの近くで再び上半身を形作ると、彼女の足を掴んで振り上げた。

 

「そおらぁ!」

「ああっ!!!」

「マァム!!!」

「ヒャハハハ!!!まずは一匹!!!」

 

フレイザードはマァムの体を振り回し、地面に生えた尖った氷柱に彼女を叩きつけようとした。しかし、マァムを掴んでいたフレイザードの腕が突然、何者かの攻撃を受けて切り落とされた。

 

「なにっ!?」

 

マァムはフレイザードの手から解放されると、氷柱のない地面に倒れ込んだ。

 

「汚ねぇ手でそいつに触るんじゃねえ!」

「だ…誰だ!?」

 

突然の声に驚いたフレイザードが顔を上げると、魔法使いの装いをした老人が空中に浮かび、軽蔑の目でフレイザードを見下ろしていた。

 

「あ…あいつは誰だ!俺たちの味方なのか?…それに、なんで空に浮かんでやがる!!?」

 

怪我をしたポップはうつ伏せのまま、上半身だけを起こすと突如現れた空を飛ぶ魔法使いに驚愕した。一方、マァムは見覚えのある人物に驚きの声を上げた。

 

「もしかして…マトリフおじさん!!?」

「マァム、知り合いか?」

「ええ!マトリフおじさんはかつての先生の仲間なの!!」

「!!!アバン先生の!!!」

 

ポップとマァムが驚きながら見つめる先では、フレイザードがマトリフを睨みつけながら、手に巨大な氷柱を作り出していた。

 

「よくも俺の邪魔をしやがったなぁ!!」

 

フレイザードが怒鳴ると、マトリフは冷たく言い返した。

 

「ふん…知るか!あいつはダチの忘れ形見なんでな…お前なんかに手ぇ出させねぇよ!」

「てめぇらの都合なんか知るかよ!!!」

 

フレイザードは叫び、巨大な氷柱をマトリフに向けて投げつけた。しかし、氷柱が当たる直前に、マトリフは空中から姿を消した。

 

「なに!?消えた!」

 

姿が見えなくなったマトリフを探すため、フレイザードは周囲を見渡した。その間に、マトリフはマァムの側に姿を現すと、嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「おお!マァム!いい女になったじゃないか!」

「マトリフおじさん!助けてくれてありがとう!」

「なぁに、いいってことよ!」

「そこにいやがったか!」

 

フレイザードに居場所を気づかれたマトリフは、マァムとの会話を邪魔されたことで小さく舌打ちし、再びフレイザードと対峙した。

 

「…再会を喜びてぇのは山々だが、先にあいつを倒さねぇとな…奴は禁呪法で創られた生命体だ、体のどっかにあるコアを破壊しねぇと!」

 

マトリフは構えをとり、フレイザードを睨みつけるが、フレイザードは余裕のある表情でニヤリと笑った。

 

「クカカカッ!無駄無駄!お仲間が増えた所で、まとめて倒す手間が省けただけだ!くらえっ!氷炎―」

「フレイザードォッ!!!」

 

フレイザードが再び技を仕掛けようとした瞬間、森の中から聞き覚えのある声が周囲に響いた。フレイザードは攻撃を中断し、声が聞こえた方向に注目した。

 

「今の声!」

「ああ!間違いねぇ!ダイ!!!俺たちはここだ!」

 

マァムとポップは聞き覚えのある声に笑顔を浮かべて呼びかけた。その声に応じて、森から現れたダイは大きく跳躍し、ポップとマァムの前に立った。ダイは鋭い眼差しでフレイザードを見据え、剣を構えて対峙した。

 

「ダイ!!!」

「フレイザード!みんなには手を出すな!!!」

「クカカカッ!!!来やがったな!勇者ダイ!!!」

 

フレイザードは大物の登場にニヤリと笑った。フレイザードは冷たくダイを睨みつけ、その表情には挑戦的な余裕が漂っていた。

 

「ダイ、俺達の居場所よく分かったな」

「俺、ポップとマァムの気配を頼りにここに来たんだ!」

「気配を頼りに?それって、もしかして…」

「うん!今の俺ならフレイザードのコアを破壊して、倒す事が出来る!!!」

「ほう…」

 

ポップとマァムは喜び、マトリフは感心した様子でニヤリと笑った。

 

「何だとぉ!!?」

 

一方、フレイザードは顔を顰め、ダイを睨みつけた。

 

「俺を倒すだとぉ!?上等じゃねぇか!!!俺もテメェを倒して大金星を上げてやるよぉ!その為にも…」

 

フレイザードは胸に付けていたメダルを掴み外すと、地面に捨てた。

 

「過去の栄光は捨て!勝利を掴むため、命をかけるっ!!!」

「く…来るぞっ!」

「来い!フレイザード!この技で…お前を倒す!!!」

 

ダイは真剣な表情で剣を鞘に収め、構えをとった。

 

「やれるもんならやってみやがれ!!!俺のコアを破壊するなんざ、人間なんぞに出来るかぁ!!!弾岩爆花散っ!!!」

 

フレイザードは自身の岩を爆散させ、それを操り、全弾をダイに向けて放った。数え切れないほどの岩の破片が嵐のようにダイに襲いかかった。

 

「やべぇ!ダイッ、避けろぉ!!!」

「ダイ!!!」

「今更避けても無駄なんだよぉ!!!ボロ雑巾にでもなりやがれ!!!」

 

ダイは弾岩の雨を避ける素振りを一切せず、冷静に目を閉じて、意識を集中した。

 

(皆の生命エネルギーを感じる…ポップ…マァム…さっきのおじさんの気配……そして…巨大な悪のエネルギー!ものすごい殺気を撒き散らして、こっちに向かって来る!!!)

 

ダイは目を瞑ったまま、弾岩の雨に向かって駆け出した。

 

「こいつが…!こいつがフレイザードだああぁっ!!!」

 

ダイは悪のエネルギーを感じ取りながら、鞘から光の闘気を込めた剣を抜き、鋭い一閃を放った。

 

「空裂斬!!!」

 

弾岩の雨の中、ダイは悪のエネルギーに向けて光の技を放った。フレイザードはバラバラになっていた岩を集め、人型に戻ると、馬鹿にした様子で笑いながらダイの方を振り向いた。

 

「へっ!…どうやら失敗し…!!?ゲッ!」

 

振り向いたフレイザードの視線の先には、自身のコアが宙に浮いているのを見つけ、驚愕の声を上げた。

 

「ば…馬鹿な!俺のコアが…!」

「手ごたえあり!」

 

ダイが剣を鞘にしまうと、フレイザードのコアは縦に割れ、そして、煙を上げながら消滅した。

 

「ウ…ウッ…ウギャアアア!!!」

 

フレイザードの炎と氷の体の接合部分からは、焼ける音と氷が溶ける音がし、煙が立ち上った。

 

「や…やべぇ!左右の体が維持できなくなってきやがった!!!こっ…これ以上、繋ぎ止めておくと…消滅しちまうっ…!!!」

 

フレイザードは消滅を免れるため、慌てて体を二つに、氷の体と炎の体に分離した。

 

「小僧!おめぇは炎の体を攻撃しろ!!!ベギラマ!!!」

「おう!ヒャダイン!!!」

 

マトリフは氷の体に対して炎の呪文を唱え、ポップは炎の体に対して氷の呪文を唱えた。

 

「「ぐわああああっ!!!」」

 

フレイザードはそれぞれの弱点となる攻撃呪文を受け、断末魔の叫びを上げながら消滅した。フレイザードの姿は消え去り、その場には体を構成していた岩石と、身に着けていたメダルだけが地面に残された。

 

「や…やった!勝った!勝ったんだ!俺達はフレイザードに勝ったんだ!!!」

 

フレイザードに勝った実感が徐々に湧いてくると、ポップはうつ伏せの状態で喜びの声を上げた。

 

「へっ…そんな体勢だと締まらねぇな?」

「しょ…しょうがねぇだろぉ!全身痛くて動けねぇんだからよぉ!」

 

マトリフはニヤッと笑いながらポップをからかい、ポップは起き上がれないため、うつ伏せの状態で文句を言った。

 

「ポップ!今、回復するわ!ベホイミ!」

「おう!…ああ、やっぱりマァムの回復呪文は効くなぁ…」

 

駆け寄ったマァムがポップに対して回復呪文を唱えていると、ダイが走って2人に近寄った。

 

「ポップ!マァム!無事で良かったよ!」

「ダイ!おめぇも無事で良かったぜ!」

「ダイ!凄いじゃない!先生の技、とうとう全部覚えられたわね!」

「うん!俺、やったよ…先生の技、全部覚えられたんだ…!」

 

ポップ達の近くで立ち止まったダイは、脳裏にアバンの姿を思い浮かべながら、嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「そういえば、他のみんなの居場所は知ってる?」

「レグはどうした?」

 

マァムとポップはこの場にはいない他のメンバーを心配して、ダイに確認した。

 

「レグとレオナとバダックさん、あと何人かは無事だよ!レグはクロコダインと一緒に戦ってる!レオナは皆の治療をしてるよ!」

「おお!皆無事だったんだな!」

「それが…数人、まだ行方不明なんだ…その人達を見つけないと!」

「よし!んじゃ、まずは行方不明者を探しに行くか!敵より先に、こっちが見つけねぇとな!」

 

体力が回復したポップは立ち上がると、3人は地面に座っているマトリフに視線を向けた。

 

「マトリフおじさん!私達はパプニカの人達を助けに行くわ!一緒に行きましょ!」

「……嫌だね」

「な、なんでだよ!」

「…俺がお前らを助けたのはかつての仲間の恩あっての事だ…マァムが居なきゃ…お前らがアバンの弟子でなきゃ、助けようとも思わなかった。それにパプニカの連中には以前いじめられたからよ…ふん!助ける気は全くないね!俺はここに残る!」

 

マァムは初めて聞くマトリフとパプニカの関係に、少し動揺した。

 

(マトリフおじさんにそんな過去が…)

「…分かりました、俺達は他の人を助けに行きます!皆、行こう!」

 

ダイは気配を頼りに走り出し、ポップとマァムも続いてダイを追いかけた。マトリフからある程度距離を離すと、ポップは後ろを振り返りながら、先ほどのマトリフの会話を思い出していた。

 

「なあ…パプニカって問題抱えすぎじゃね?さっきのじいさんといい、ラーハルトの件といい…」

 

ポップはラーハルトが以前パプニカで迫害されていた話を思い出すとムスッと顔をしかめた。

 

「ええ、それも実力者ばかり…」

 

マァムも表情を暗くしながらポップに同意したが、ダイはレオナやバダックの姿を思い浮かべると否定した。

 

「でも!レオナやバダックさんは良い人だよ!」

「…そうだな!エイミさんとマリンさんも良い人だったしな!」

「そうね!私たちが出会ったパプニカの人達は皆良い人だったわ!」

「パプニカだからって全員が悪いわけじゃねえ!あのじいさんもそれが分かるといいな!」

「うん!」

 

マァムは走りながら脳裏にマトリフとラーハルト、2人の実力者を思い浮かべると、あることを考えずにはいられなかった。

 

(…もし、魔王軍襲撃時、2人のうち、どちらかが居たならパプニカの未来も変わっていたのではないかしら?)

 

マァムは昨日と今日見た、人が居ないパプニカの城下町や破壊された神殿を思い浮かべると、悲しげに目を伏せた。

 

(……ううん…もう、過ぎたことよ。今は少しでも多くの人々を助け出すことに集中しないと!)

 

マァムは首を振り、考えを切り替えて、ダイの後を追った。

 

ダイは気配を頼りに遭難者を捜し、見つけ次第マァムが回復魔法を唱えた。何人目かの遭難者を救助している最中、ヒュンケルたちがいた氷魔塔の近くから光の柱が上がり、ダイたちは何かあったのではないかと焦った。しかし、レグルスがその方向に向かっていることに気付くと、ダイたちは遭難者の救助と治療を優先することにした。

 

行方不明者を全員救助した後、ダイはクロコダインと合流した。

 

「クロコダイン!無事だったんだね!」

「おう!お前さん達も無事のようだな!フレイザードはどうした?」

「フレイザードは俺たちがやっつけたよ!」

「おお!フレイザードを倒したか!みんな凄いじゃないか!」

「へへっ!」

 

クロコダインと合流したダイたちは、次にレオナの元へ向かった。

 

「レオナ〜!!!みんな見つけたよ!!!」

 

ダイが大声をあげながらレオナに駆け寄ると、レオナはダイの後ろに行方不明となっていた部下たちがいることに気づき、目を見開いた。

 

「もしかして、私の部下たちを助けてくれたの!?ありがとう、ダイ君!!!やっぱり君は私たちの勇者ね!!!」

「みんな無事で良かったよ!!!」

 

レオナはダイの両手を取り、笑みを浮かべた。ダイはレオナに褒められ、照れつつも喜んだ。

 

レオナたちと合流したダイたちは、マトリフがいる場所へ移動した。マトリフとパプニカの者たちとの間に一悶着あったが、ダイたちの介入で落ち着きを取り戻した。

 

「あとはレグたちか…あいつら遅えな、こっちから行くか?」

 

ポップはまだ合流してこないレグルスたちを心配し、こちらから迎えに行くか提案した。

 

「ポップ、大丈夫みたいだよ…レグたちがこっちに向かってる!」

「そうか!んじゃま、休んで待ってるとするか!」

 

ポップは地面に横になって休み、しばらくすると森の中からレグルスたち一行が姿を現した。

 

「おっ!来るの遅かったな!」

 

姿を現したレグルスたちに対して、ポップは横になったまま呑気に声をかけた。

 

「…治療に時間をかけ過ぎたのではないか?」

「…かも、しれん」

 

ヒュンケルとラーハルトが小声で何か話をしていたが、ダイは気にせずレグルスに近づき、嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「レグ!みんな!無事だったんだね!」

「ああ、ダイも無事で良かった…フレイザードには勝ったようだな」

「うん!気配が分かるようになったから空裂斬で倒したよ!」

「そうか!よくやったな、ダイ!」

「へへへっ!」

 

レグルスは笑みを浮かべながら、ダイの頭を撫でた。褒められたダイも目を細めて嬉しそうに笑った。

 

「ところで…あのご老人は?」

 

地面に座っている魔法使いの格好をした老人に視線を向けたレグルスは疑問をダイに投げかけた。

 

「あの人はマトリフさん!マトリフさんね!アバン先生のかつての仲間なんだよ!」

「!!…ほう、アバン先生の…!一度、話を伺ってみたいものだな…だが、何故ここに居る?」

 

レグルスは疑問を持ちながらマトリフを見るが、当の本人は気にした様子なく手に頬を乗せてそっぽを向いていた。マァムとポップがレグルスとダイに近づくと会話に参加した。

 

「マトリフおじさんは私がフレイザードにやられそうになった時助けてくれたの!いきなり現れたからビックリしたけど」

「フレイザードが…ここで、何が起きたのだ?」

「俺とマァムはここでフレイザードの攻撃を受けてよ…」

 

ポップはここで行われたフレイザードとの戦闘をレグルスに話した。

 

「そうか…少し苦戦したがフレイザードを倒し、魔王軍の総攻撃を受けて全員無事なのは奇跡だな」

 

レグルスは感心しながら周囲の人々を見渡した。ダイ、ゴメちゃん、ポップ、マァム、ラーハルト、ヒュンケル、クロコダイン、ガルーダ、レオナ、バダック、三賢者にパプニカの兵士と魔法使い、誰も欠けることなく、怪我の治療を終え、各々休みをとっていた。

 

「ホントだよな~!ずーっと、戦っていたせいか…俺、疲れたぜ…」

 

ポップは疲れた表情でぼんやりと周囲を見渡した。

 

「さあ、みんな揃ったことだし、パプニカに行きましょ!戻ったら宴も開くわよ!」

「はっ!」

 

レオナの掛け声で周囲は沸き立ち、パプニカへ移動しようとしていた。しかし、ダイはふと疑問を抱き、尋ねた。

 

「ねぇ、パプニカにはどうやって行くの?」

 

その瞬間、周囲の喧騒は嘘のように静まり返った。

 

「気球は燃えちゃったのよね…」

「ラーハルト、ここにはどのようにして来た?」

「はっ!ここへは徒歩とガルーダに乗って来ました!大渦があるため、渡る際にはガルーダに頼んだほうがよろしいかと!」

「そうか、バルジ島と本島には大渦がある…なら、ラーハルトの言う通り、ガルーダで少しずつ運ぶしかないか…」

 

レグルスが方法を考えていると、聞き耳を立てていたマトリフが呆れた様子で魔法使いや賢者に視線を向けた。

 

「けっ!…こんだけ魔法使いや賢者が居て、誰もルーラを使えねぇのかよ!」

 

その場にいた全員がマトリフに視線を向けた。

 

「残念だけど、ここに居る者は使えないわ…ルーラを使える者は父上…パプニカ国王の側にいたから」

 

レオナは父親のことを思い浮かべ、少し寂しそうに答えた。

 

「俺も使えねぇな…レグ、お前もだろ?」

「ああ…以前唱えてみたが使えなかった」

「ふーん」

 

マトリフはポップをじっと見た後、レオナに視線を戻した。

 

「宴には食べ物と酒も出るんだろうな?」

「もちろん!確認しないといけないけど…あれば提供させてもらうわ!」

「それでしたら昨日確認しましたのじゃ!ワインや保存が効く食べ物が残っておりましたぞ!」

 

レオナとバダックの発言を聞いたマトリフはニヤリと笑い、立ち上がった。

 

「なら…協力してやるよ!俺のルーラで全員をパプニカに送ってやる!報酬はもちろん、食い物と酒だ!」

 

マトリフの発言にレオナは笑みを浮かべた。

 

「交渉成立ね!お願いするわ!」

「やったぜ!戦いの後に歩くとか、かったるいもんな!よーし、それじゃあこんな何もない島からとっとと脱出するか!」

「お前ら集まれ!離れすぎると置いて行くぞ!」

 

マトリフの掛け声に全員がマトリフの周りに集まった。

 

「行くぞ!ルーラ!!!」

 

マトリフが魔法を唱えると、ダイ達の姿はその場から消え、ルーラ特有の光の軌跡がパプニカを目指して飛んでいった。

 

こうして、魔王軍の総攻撃を退けたダイ達一行はバルジ島を後にしたのだった。




マトリフをどこで登場させるか考えた時、マァムを助けるのが自然だと感じ、登場させました!

ちなみに、時系列順では以下のように敵が倒されたり、撤退しました。
フレイザード(死亡)→ガルダンディー(撤退)→ザボエラ(撤退)→ハドラー、ミストバーン(撤退)

つまり、ヒュンケルの治療をしていた時には敵は居なくなった後でした。ミストバーンがフレイザードの元に現れなかったのは、すでにフレイザードが倒された後だったからです。

報告:誤字脱字修正しました!報告ありがとうございます。
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