ダイの大冒険 ―次世代の竜の騎士ー   作:キャットテールの鈴

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半魔の青年との出会い
原作開始3年前。ダイ(9)、主人公レグルス(7)。


4_半魔の青年とテランの王子

森深くの小屋で長剣を拾ってから、レグルスの生活には帝王学の勉強が含まれるようになった。特に外交関連の授業が多くなり、体を動かすのが好きなレグルスにとっては、勉強の時間が苦痛で仕方なかったが、必要なことだと自分に言い聞かせて必死で取り組んだ。お昼過ぎに勉強を終えると一目散に銅の剣を持ち森に入り、狩りや魔物と戦い、手に入れた獣肉をテランの国の人々に分け与え、その代わりに作物や果物を分けてもらいながら過ごし、民とも良好な関係を築いていった。狩りや魔物を倒した後は、よく長剣を拾った小屋に行き、草木の手入れや中の掃除を定期的に行い、最低限暮らせるよう綺麗な状態に保っていた。夕方には城に戻り、フォルケン王と食事を共にしながら今日の出来事を話し、夜は部屋に戻ると長剣を鞘から出して手入れをしたり、ただ眺めたりして過ごす日々を送っていた。

 

ある夜、フォルケン王と食事をしていると、王がスプーンを置いてレグルスを見つめたため、何か話があるのだと察したレグルスは食事の手を止め、王の話を聞くため姿勢を整えた。

 

「レグルスよ、ベンガーナで魔族の目撃情報が出ているようだ。パプニカでも魔族の指名手配書が出ておるから、おそらくパプニカにいた魔族がベンガーナにたどり着いたのだろう。ベンガーナは隣国、ここテランにも来るかもしれん」

「承知した。…父上は魔族を見たことが?」

「見たことはない。本や周辺国からの情報で見聞きしたことがあるぐらいかの。魔王ハドラーとの戦いでもこの国テランは魔王軍に襲われていない。話は聞いたことがあるが、どういう種族なのか、どういう見た目をしているのか、真に理解している者はこの国にはおらんだろう」

 

魔族は魔法に長けた種族で、本来は魔界という地下世界に広がる世界で暮らし、地上には滅多にお目にかかることができない。そのため、魔族のことを知るには本を見るか噂を聞くしかなかった。レグルスの中には、魔族がどのような種族なのか見てみたい、話をしてみたい、出来るなら手合わせ願いたいという気持ちが湧き出し、少しソワソワしながら、ベンガーナに行ってその魔族に会えないだろうかと考えた。珍しく落ち着かない様子の王子に内情を察したフォルケン王は、少し笑った後、無茶をしてほしくないという思いで釘を刺した。

 

「レグルスなら問題ないと思うが、くれぐれも無理なさらないように」

 

 

 

王から魔族の話を聞いた数日後、狩りの後、いつものように森の奥の小屋に行くと、中から人の気配と微かな血の匂いがした。レグルスは警戒しながら銅の剣を構え、相手に気づかれないよう様子をうかがいながら小屋の中に入った。部屋の隅には、たまに使うベッドが置いてあるが、そのベッドの上には見たことのない男性が横たわっており、静かな呼吸音と上下する胸から寝ている様子がうかがえた。レグルスは相手を起こさないように静かにベッドわきに近づき、寝ている男性の姿を注意深く観察した。肌の色は紫色、耳は人間よりとがり、顔には黒い模様があり、全身は傷だらけで、傷口や顔色から毒を負っている様子がうかがえた。

 

(この者は魔族?いや人間の気配も感じる。人間と魔族との混血か?傷口から剣で攻撃され、武器には毒が塗られていたようだな…恐らく人間に襲われたのだろう。…それも複数の人間から)

 

傷口か毒のどちらかの治療を怠れば、この者の命は持たないことを悟ったレグルスは、相手が危険人物かどうかわからないため、とりあえず命を救うため、最低限の治療をすることにした。

 

「キアリー、ホイミ(最低限これぐらいの治療をすれば、動き回るのは厳しいが命を落とすことはないだろう。この者が安全かどうか、ナバラ殿とメルル殿に見てもらおう。彼女らは人の心の悪意というものが分かるようだからな)」

 

小屋から出たレグルスは占い師の家を訪ね、事情を説明して森深くの小屋へ案内した。中に入ると、半魔族の男性はまだ眠っており、顔を覗き込むと最初に見た時よりも顔色が良くなっていることから、魔法の効果が出ていることがうかがえた。

 

小屋の外ではナバラとメルルが初めて見る魔族の姿に驚き、部屋に入らず怯えた様子で中をうかがっていたため、心情を察知したレグルスはナバラとメルルの元に行き、男性を起こさないように小声で話しかけた。

 

「外からでよいからこの者を見てもらえないだろうか?悪意のある者を治療したとなればこの国の者に危害を加えてしまうかもしれないからな」

「はい、もちろんですじゃ。ですが、心の善悪は寝ている時には感じ難いもの」

「私もです。今のところ悪意というものは感じ取れないのですが、寝ている間は分かりにくいです」

「では、この者に今からホイミをかける。おそらく目が覚めるだろうが、暴れたとしても私が抑えよう。その間に、この者に悪意があるか見ていただきたいが、構わないだろうか?」

「「わかりました」」

 

2人が緊張した様子で頷くのを見て、レグルスは半魔族の男性に向き合い、体の上に手をかざしてホイミをかけた。癒しの光で傷口が小さくなっていく頃、男性が小さくうめきながら身じろぎしたため、レグルスはホイミを止めて男性の顔を眺め、目が開くのを静かに待った。

 

「うっ…ここは…に、人間!!っう!」

 

目が覚めた半魔族は視界にレグルスを捉えると、飛び起きるように上半身を起こしたが、その反動で傷口に触れたらしく、痛みで表情が険しくなった。しかし、すぐに痛みをこらえて歯を食いしばりながらレグルスを睨みつけた。

 

「お前に危害を加えるつもりはない。少し話を聞きたい。私の名はレグルス。外にいるのはナバラ殿とその孫娘のメルル殿。お前の名前は?」

「人間に名乗る名などない!」

「そうか、では逆に何か質問はあるか?」

「…ここはどこだ?」

「ここはテラン王国の森深くの小屋だ。お前はこの小屋で怪我をした上に毒を食らっていた。治療はしたが完治はしていない。無理はしないことだ」

「…そうか、テランについたのだな……」

「む?お前の目的地はテランだったのか?」

「答えるつもりはない」

「では、怪我は誰にやられた?傷口から人間にやられたのか?」

「そうだ、人間が俺に攻撃を仕掛けてきた!何人かは返り討ちにしてやったがな」

 

半魔族の表情は強気で少し笑っていたが、どこか傷ついた目をしているのをレグルスは気づいた。

 

「なぜ攻撃されたのだ?何か悪いことでもしたのか?」

「何も!何もしていない!人間がいきなり武器を持って襲ってきた!あいつらは俺が井戸に毒を入れただの、子供を攫っただの言って俺を攻撃してきたんだ!俺はやっていないと言ったのに、人間は誰も俺の言うことを聞きやしない!誰も俺の言うことを信じてくれない!俺はただ静かに暮らしたかっただけなのに…」

 

外にいるナバラとメルルに目線をやると2人は静かに頷いた。今の言葉に嘘はなく、人間に一方的に攻撃された話も本当なのだろうとレグルスは判断した。そして、テランに来た理由にも察しがついた。テランは先の魔王ハドラーの侵略時に魔王軍に襲われておらず、侵略された経験がない分他国よりも魔族に対する嫌悪感がなかった。ちなみに、襲われなかったのは侵略価値がないとみなされたためだろうが、襲われなかったことを喜ぶべきか、価値がないと捨て置かれたことに嘆くべきか、このことに関して、レグルスは少し複雑な気持ちだった。魔族が地上で安息の地を求めるなら、魔族に対する嫌悪感が少なく、人間の人口が少ない方が良いだろう。ちなみに人の住んでいない場所ならどこでもよいかと言われるとそうでもなく、人の住んでいない場所でも、その国が魔族を嫌悪していれば、噂が広まった際に迫害に遭う可能性がある。おそらく、この魔族も人のいないところに暮らしていたが、人間に襲われたのだろうということは予想がついた。そしてこの魔族の出身地も。

 

「パプニカの、町から離れたところに住んでいて襲われたのだろう?」

「!…なぜ、分かった!?」

「パプニカで魔族が見つかったと隣国ベンガーナで噂があった。パプニカがあるホルキア大陸にはかつて魔王ハドラーの居城であった地底魔城があり、パプニカでは魔族に対しての嫌悪感が他国と比べて人一倍強い。…そこでならお前の言う通り、理不尽な迫害があってもおかしくない。お前の言ったことは本当だろう」

「っ!」

「今日はこのままここに泊まるといい。…食事も何か取ったほうが良いだろう。あと」

「!!何をする」

「治療するだけだ。途中だったからな」

 

レグルスは半魔族に向かい、ホイミをかけ続けて傷口が完全に塞がるまで治療した。治療が終わると、男性は驚いた様子でレグルスと治った自分の腕を見比べ、戸惑いの表情でレグルスを見つめた。

 

「なぜ、俺を治療した?」

「お前がこの国を害する気持ちがないことが分かったからな。この国は人口が少ないから、移住者は歓迎するぞ?魔族の移住者はお前が初めてだがな」

「…純粋な魔族じゃない」

「魔族と人間の混血だろう?」

「…どうしてわかった?」

「お前からは魔族の魔力と人間の気配がする」

「魔族の魔力?人間の気配?お前は魔族に会ったことがあるのか?」

「いや、お前が初めてだ」

「…一つ、聞いていいか?お前は…人間か?」

「?人間だが」

「そうか、変なことを聞いた、忘れてくれ」

「いや…」

「ラーハルト」

「?何がだ」

「俺の名だ。ラーハルト。移住するなら名前を名乗らないと不便だからな」

「改めて、私の名はレグルス。ラーハルト、テランへようこそ、歓迎する」

「…歓迎してもらう必要はない。…治療してくれたことには感謝する」

 

まだ警戒しているラーハルトに気にせず、少し微笑んだレグルスはラーハルトの姿を改めて観察した。痩せてあばら骨が浮いた身体に、剣で切り裂かれ血や泥で汚れた服を着ており、よく生きてここまでたどり着いたと感心する。服は城に戻ったら兵士のカナルに用意するよう依頼しようと考えながら、まず食事を与えることにした。

 

「食事を用意しよう」

 

身体の状態や顔色からしばらくまともな食事が取れていない様子のラーハルトに、胃に負担が少ない温かい食事を与えるため、外に出て警戒した様子のナバラとメルルに怯えているのに申し訳ないと思いつつも、食事の準備を依頼した。ナバラとメルルは食材の準備をするため一度自宅に帰ったあと、ラーハルトがいる小屋で食事の準備を始めた。メルルは緊張して包丁を持つ手が震えていたため、レグルスが代わりに食材を切り、ラーハルトは警戒した様子で横になりながらもメルルとレグルスの手元を見ていた。食事が出来上がり、ラーハルトに料理とスプーンを渡すが、料理を睨みつけながら匂いを嗅ぎ、食事をとろうとしない様子を見たレグルスは、ラーハルトが持つスプーンを取ると、皿から料理を一口食べた。

 

「見ての通り、料理に毒は入れていない」

 

スプーンを受け取ったラーハルトが恐る恐る料理を一口食べると、驚いた表情を浮かべた。そのあと勢いよく料理を食べるのを見届けると、レグルスは食事の邪魔をしないようにナバラとメルルを外に連れ出した。

 

「後は私が見る。明日の昼頃、またここに来てもらっても構わないだろうか?」

「それは構いませんが、おひとりで大丈夫ですか?」

「あまり大人数でいても休まらないだろう。私も簡単に家のことや周囲の水場などを伝えたら城に戻る」

「分かりました、あの方なら大丈夫だと思いますが、危ないと感じたときはすぐに離れてくださいね」

 

ナバラとメルルが帰るのを見届け、小屋に戻るとラーハルトは食事を食べ終わっており、小屋に入ってきたレグルスをじっと見ていた。言いたそうにしている様子のラーハルトにあえて気づかないふりをしながら皿を片付け、水を入れたコップをもってラーハルトの元に戻り、毒見をしてからコップを渡した。

 

「今日は胃に優しいものにしたが、明日は肉を食べよう。体力が落ちているから栄養のあるものを摂らないとな。武器は何を使う?」

「…特にない、しいて言えば剣を少し」

「そうか。明日の昼、狩猟に行く。武器はこちらで用意するが、狩りは私が行うから傍で見ているといい」

「そこまでしてもらう必要はない、後は自分でできる」

「今のお前の体力では、一人で狩猟もできないだろう。ここテランでは基本自給自足の生活をし、足りないものは物々交換で補っている。それに、私は狩猟で獲物を捕るのは得意だが、獲った獲物を運ぶ力がない…今は無理だろうが、ラーハルトがいれば、いずれ大きな獲物も獲ることができるようになる」

「…分かった、俺も一緒についていこう」

「よろしく頼む」

 

その後、ラーハルトに家に置いてある物の位置や使い方、近くの水場を案内した後、城に戻ったレグルスは半魔族の青年を保護したことをフォルケン王と王付きの兵士カナルに伝え、面倒は自分が見ること、カナルに着替えを用意してほしいことを伝えた。

 

その日以降、レグルスの日課にラーハルトと狩猟することが増え、少しずつラーハルトとは打ち解けるようになっていった。狩猟で多めに獲れたお肉をテランの人々にお裾分けをする際は、兵士のカナルに同行してもらい、魔族の見た目のラーハルトがいても警戒されにくい状況にしたためか、テランの人々に徐々に受け入れられるようになっていた。余談だが、ラーハルトにカナルを紹介した際は国の兵士が来たことで滅茶苦茶に警戒され、説得するのに時間がかかった。ナバラとメルルはラーハルトを保護した日から度々食事を用意してもらったため、この4者での会話も増え、特にメルルは世話焼きだったのかラーハルトの元によく顔を出すようになり、レグルスとメルルには特に警戒心なく接するようになっていた。

 

「ラーハルトの体力もついてきたことだ、少しずつ訓練をしていこう。まずはいろんな種類の武器を試し、ラーハルトに合う武器を探す。今日は城の訓練場を使うぞ」

「それはいいですね!レグルス様が稽古してくださればラーハルトさんも強くなれますよ」

「それはありがたいが…その場所は勝手に使って大丈夫なのか?」

 

小屋でメルルが作った食事を食べながら、レグルスはラーハルトに訓練の話を持ち掛けた。食事が終わると、ラーハルトを城の訓練場に案内し、訓練場内の倉庫からいろんな武器を用意し始めた。ラーハルトは初めて入るテランの城に警戒しながら入り、武器を用意するレグルスに不安になりながら確認をした。

 

「レグルス、ここの使用許可はとっているのか?」

「問題ない、ここの管理責任者は私だ。それにこの練習場を使うのは私だけだ。使ったところで支障はない」

「管理責任者?まて、レグルスは城の関係者なのか?」

「私はこの国の王子だから、ある程度の権限を持っている」

「……は?」

「これだけの種類があればいいだろう、まずは剣から行くか」

 

唖然と立ち尽くすラーハルトに気づかず、レグルスはラーハルトに合う武器を見極めるために城にある様々な種類の武器を取り揃えていた。片手剣、両手剣、短剣、斧、槍、ムチ、ツメ、杖。その中でも兵士の基本となる練習用の片手剣をラーハルトに差し出した。ラーハルトは剣を受け取りながらも、テランの人々がレグルスに対して友好的に接していた理由が王族だからだと少し納得した。…少し納得したのは、テランの人々がレグルスに接するとき、普通に友好的に接するものがほとんどだが、中にはレグルスの前に躍り出て膝を勢いよく地面につき「神よ!」とレグルスに対して祈りだす者もいたため、王族以外にも何か理由があるような気がした。ちなみに崇められたレグルスは顔を引きつりながらもお礼を言ったあと足早にその場から立ち去っていた。

 

「レグルス…様は、なぜ今まで王子であることを黙っていた…いたのですか?」

「この国の人口は200人ほどの小国だ。肩書のせいで国民と隔たりがあるよりかは、身分関係なく接したほうが人々がどのように生活しているかがわかる。あとは聞かれなかったからな」

 

ラーハルトから一定の距離を取ったレグルスは練習用の片手剣を構えた。

 

「今から私が片手剣の基本的な型を見せる。それをまねて同じ動きをするのだ」

「はい」

 

レグルスは片手剣を持った際の身体の動かし方、剣の振り方を体の一部のように苦も無く操作し、まるで教科書に載るような綺麗な動きで剣捌きをしてみせた。ラーハルトはその舞のような動きに見ほれながらも見様見真似で体を動かし、剣を扱った。

 

「一通りの動きが出来るようになったな。次は今の型を使いながらの打ち合いをしよう」

「はぁ、はぁ、…はい!」

 

ラーハルトが一通りの動きができるようになったころ、休憩を挟んだ後に片手剣同士の打ち合いを始めた。ラーハルトのほうが圧倒的に力はあるが、レグルスに打ち込むと力を受け流すように捌かれ、身をかわして避けられてしまうため、少しムキになりながら何とか攻撃を当てようとスピードを生かし手数で圧倒しようとするが、攻撃はすべていなされてしまい、打ち合いの中でラーハルトがレグルスに対して攻撃を当てることは一度もなかった。打ち合いが終わると、ラーハルトはその場で膝をつき、荒い息を吐きながら必死に酸素を取り込もうと深呼吸をした。

 

「はあっ!はあっ!ゲホゲホ!」

「片手剣で一通りの動きは見れたな。次は両手剣を試すか」

「まっ、待って、ください。はぁ、はぁ、少し休憩を…」

「ホイミ。少し休憩にするか」

「…はい、そのように、お願いします」

 

疲れて荒い呼吸をしていたラーハルトにレグルスはホイミをかけると、地面に座り水分補給を取る小休憩を挟んだ。ラーハルトは休憩の最中、一切息を切らしていない自分よりずっと小さい少年を不思議に思いながら見ていた。

 

「…レグルス様は疲れないのですか?俺にホイミをかけたのに自分にはかけてないだろう…かけていないではないですか」

「ホイミをかけるほど疲れていないから問題ない」

「…いったいどんな訓練をすればそこまで技術と体力をつけることが出来るのですか?」

「武器を持てばどんな動きをすればよいか分かるのだ。うまく説明できないのだが…体が覚えているようなものだ。体力はおそらく狩猟で身に付いたのだろう」

(レグルス様は今7、8歳ぐらいだろうが、普通の人間はこの歳で剣の技術を極められるものなのだろうか?いや、見たことないが体の丈夫な魔族でもここまで出来るとは思えない!それに、体力も異常なまでに高い。このお方はいったい何者なのだろうか?)

「体力は回復したな?問題なければ休憩は終わりだ。次の両手剣だが…」

 

こうして休憩を挟みながらも、いろんな武器を使った訓練を日中に行い、3日ほどの時間をかけて一通りの武器を扱い終わると、レグルスは槍をラーハルトに差し出した。

 

「槍を使いスピードを生かした戦いがラーハルトに向いているだろう。体力が低いため接近戦よりは中距離から攻撃を行い、相手の攻撃や間合いに入られる前に相手から距離を置くようにして戦うほうが良い」

「レグルス様はすごいです。多くの武器を扱えるだけではなく、他者の強みを見極めてしまうのですから」

「人には強みや弱み、得意不得意がある。強みや得意分野を生かした武器を選び極めてしまえば時にその技術は武器の性能を大きく凌駕することもある。明日からは槍を使い訓練をしていこう」

「はい、よろしくお願いいたします!」

 

訓練が終わるころには、レグルスの技術や知識の豊富さ、さらに戦士としての心構えに、ラーハルトは自身の戦士としての目標をレグルスに定め、尊敬の眼差しを向けるようになっていた。

それからレグルスは片手剣、ラーハルトは槍を持っての訓練を行い、城の訓練場や森の中など場所を変え、地形を考慮に入れた訓練もするようになった。時折、ナバラやメルル、兵士のカナルが高度な剣と槍との攻防に目を白黒させながら見学したり、兵士カナルも訓練に共に参加したり、メルルが休憩の合間に食べられるようにと料理を作り、それらをみんなで一緒に食すなどして楽しく過ごしていった。レグルスもずっと一緒にいてくれる訓練相手ができ、その相手が日々成長していくことに喜びを感じるようになった。ラーハルトが槍の扱いがうまくなるにつれ、レグルスはフェイントや魔法を使った牽制を訓練の中に含めるようになり、ラーハルトの槍の腕と戦いの立ち回りはどんどん上達していった。

 

 

 

フォルケン王は玉座の間にて兵士カナルから国内での出来事や王子についての報告を受けていた。

 

「そうか、レグルス様はそのラーハルトと共に剣の稽古を毎日しているのだな?」

「はい、レグルス様はラーハルトをいたく気に入っている様子でほぼ毎日同伴させ、稽古や狩りを楽しんでいる様子です。ラーハルトは槍の上達が早く、教えれば教えるほど成長するため教えがいがあり、手合わせが楽しいと以前レグルス様がおっしゃっていました」

「レグルス様のレベルについてこられる稽古相手ができ、私も安心した。ラーハルトには感謝しなくてはな…。次は国外の様子だが、何か事件などはあったか?」

 

フォルケン王が兵士カナルに国外についての話を振ると、そのとたんカナルは表情を暗くして一瞬口を閉じたため、フォルケン王は国外で何かあったのかと感じながらカナルの発言を待った。

 

「…実は隣国ベンガーナにて賞金稼ぎの者たちがある指名手配犯を探して聞き込みしていることを耳にしました。こちらがその指名手配書になります」

「これは―」

「この指名手配書はパプニカで発行されたもので、いずれ賞金稼ぎの荒くれ者がこの国に訪れる可能性があります」

「…厄介なことになりそうだの。…カナルよ、後でレグルスを呼んでもらいたい」

「はっ!承知しました」

 

フォルケン王は兵士カナルから受け取った指名手配書を見ながらどう対応するべきか頭を悩ませ、レグルスに情報の共有と今後を話し合うためカナルに呼ぶように依頼した。

 

指名手配書はパプニカ王家の紋章が記されており、国が関わっていることがうかがえた。そして、その手配書に記された手配犯の名前はラーハルト、似顔絵はテランで最近暮らし始めた半魔族の青年の特徴が描かれていた。




ラーハルトはテラン国民となった!

バランの部下と言えばラーハルト!
ダイの大冒険で1番好きなキャラはバラン!2番目はラーハルトです!
2人の主従関係やもう一人の息子の関係が好きなのですが、原作ではバランとラーハルトが一緒にいるのは最初の登場シーンだけなんですよね…少なすぎる!
なので、この小説では主人公とラーハルトはこれでもかってぐらい登場させます!

パプニカをラーハルトの出身国にした経緯。
バランが原作でラーハルトを見つけたのはダイを探している時と考えられます。ダイの乗っていた船が難破した後、捜索するなら沿岸部ですが、そうするとロモス、パプニカの2択になるかなと思います、アルキードはなくなってるし…。ロモスはなんか迫害のイメージが付かなかったので、パプニカかなと思い出身国にしました。

ちなみに主人公レグルスの体力の上限は人間と変わりありません。
体力の回復速度が異常なまでに高いため、疲れることがないという設定です。

報告:誤字脱字修正しました!報告ありがとうございます。
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