ダイの大冒険 ―次世代の竜の騎士ー   作:キャットテールの鈴

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カール王国は魔王軍と魔影軍団の襲撃を受け、一時は苦戦を強いられていた。しかし、多くの味方が駆けつけ、形勢は有利に変わった。だが、魔王軍は状況を打開するための秘策を持ち合わせていた。


43_カール王国編_カールの守り

ノヴァ率いる戦士団は突如現れたカンダタマスクをつけた冒険者をあやしい見た目のため少し警戒しつつも、助けてくれた恩から一部の戦士は謎の人物に歩み寄った。

 

「先ほどは助けていただき、ありがとうございました!」

「いえいえ!困った時はお互い様ですよ!」

 

謎の冒険者の好意的な態度に騎士は警戒を軟化させると笑顔を浮かべ、共に戦ってもらえないか打診しようとした。

 

「あの…よろしければ我々とー」

「敵が来たぞ!」

 

戦士団と謎の人物は警戒し武器を構えると、包囲網側からモンスターの群れと、先ほどと同じように取り憑かれた人が襲いかかってきた。

 

「くそっ!また取り憑かれた人が…!」

「空裂斬!!!」

 

取り憑かれた人は謎の人物が光の技で助け出し、他のモンスターは戦士たちが倒していった。

 

「ふむ…どうやら捕まっているのは1人や2人ではないようですね…」

「おのれ魔王軍め!なんと卑怯な…!」

 

マスクの人物は少し考える様子をみせ、ノヴァは魔王軍のやり方に怒りで顔を歪めた。マスクの人物は何か閃いたのか、自身の掌に握り拳をポンと置くと、明るい声で戦士たちに向き直った。

 

「皆さん!私はこれから作業をするためここを離れます!モンスターたちの相手はお願いしますね!いいですか!取り憑かれた人がいても、決して!攻撃してはなりませんよ!」

「構わないが…あなたはどこへ?」

「ちょーっとこの辺…ぐる〜っと走ってきます!」

「……はぁ…?」

 

戦士たちは疑問符を浮かべていたが、カンダタマスクの人物は気にした様子なく剣を鞘に納めると鞘の先を地面に押し付けた。

 

「では!行ってきますね!ちょええええええっ!!!」

 

謎の人物は手を挙げてノヴァたちに挨拶すると、奇妙な掛け声と共に走り出し、鞘の先で地面に溝を掘りながらあっという間にその場を離れていった。

 

「…団長…今の人はなんだったのでしょうか…?」

 

戦士の1人が遠く離れていく謎の人物の後ろ姿を見ながら戸惑った様子で戦士団長に話しかけ、ノヴァも困惑しながら首を横に振った。

 

「…ボクにも分からない…実力者であることは確かだが…」

「ノヴァ団長!敵が来ます!」

 

ノヴァたちは気持ちを切り替えるとモンスターと対峙した。

 

「あの人のことは一旦忘れろ!ボクたちはモンスターを倒すぞ!!!取り憑かれた民間人は無力化し、拘束するように!!!」

「はっ!!!」

 

勇者ノヴァ率いる戦士団はモンスターに向かって駆け出した。

 

 

 

カールの東側で魔王軍と戦っていたホルキンス騎士団長率いるカール騎士団は激闘の末、3体のデッド・アーマーを倒し、巨大な鎧は地面に転がった。

 

「はぁ!はぁ!た…倒したぞ…!」

「次、包囲網を切り崩す!!!敵はすでに城塞に辿り着いている…!急ぐぞ!!!」

「はっ!!!」

 

騎士団は魔王軍が敷いた包囲網の外側にまわると片っ端から敵を倒していった。敵をある程度倒していたところ、モンスターの群の中から民間人が現れたため、騎士団は攻撃の手を止めた。

 

「待て!人がいる…!」

「モンスターに捕まったのか!?」

「?…なんか、様子おかしくないか?」

「ヒヒヒッ…!」

 

騎士たちが警戒していたところ、民間人の肩にモヤが現れ、あやしい影に形作ると不気味に笑った。騎士たちは民間人に取り憑いているあやしい影に気づくと動揺した。

 

「まさか…モンスターに取り憑かれている!?」

「そんな…どうすれば!?」

「ホルキンス団長…どういたします?」

 

民間人を攻撃するわけにはいかず、騎士の1人が指示を仰ぐためホルキンス騎士団長に確認を取った。

 

「…まずは周囲のモンスターを倒す!その後、あの人を拘束し―」

「ちょえええええっ!!!」

 

ホルキンスが対応策について応えていたところ、突如、奇妙な掛け声と共にマスクをつけた謎の人物が鞘で地面に溝を掘りながら近づいてきた。その場にいた騎士たち、モンスターたちも、謎の人物が出す声に困惑しながら視線を向けた。

 

「なんだ…?あの人…」

「ん?…とええええええっ!」

 

カンダタマスクをつけた謎の人物はモンスターに取り憑かれた民間人に気づくと、溝を掘るのを中断し、騎士たちに向かって駆け出した。

 

「こ…こっちに向かってくる!?」

 

騎士たちは突如、こちらに向かってきたマスクの人物に警戒したところ、謎の人物は剣を構え、取り憑かれた人に向けて光の技を放った。

 

「空裂斬!!!」

「ぎゃあああぁあ!!!」

 

光の技は取り憑かれた人に当たるとあやしい影は絶叫し、そして、モヤとなって消滅した。

 

「なっ…モンスターが消滅した!?」

「では、私は失礼しますね!」

 

驚く騎士たちに対し、手を挙げて挨拶した謎の人物はその場を離れ、途中まで掘った溝まで戻ると、溝を掘るのを再開した。

 

「ちょえええええっ!」

 

騎士たちは唖然と謎の人物を見送っていたが、ホルキンスだけは謎の人物が使用した技に動揺し、驚きを隠せなかった。

 

「先ほどの技…あれは勇者アバンの空裂斬!…もしかして、あの人物はアバ―」

「敵が動き出した!」

 

カンダタマスクの人物について考えていたところ、モンスターが動き出したのを見たホルキンスは騎士たちに指示を出した。

 

「民間人を救助せよ!引き続き包囲網を崩す!!!いくぞ!!!」

「はっ!」

 

騎士たちは気絶した民間人に駆け寄り、モンスターから引き離すと、敵を倒し、城塞を取り囲む包囲網を破壊していった。

 

 

 

カンダタマスクをつけた謎の人物はカール王国の城下町外側を反時計回りに走りながら剣の鞘で地面に溝を掘っていた。

 

「うひょ~~~~~!!!」

 

走りながら溝を掘り続け、カールの北側に差し掛かったころ、謎の人物は懐かしい気配を感じ、マスクの下で目を見開いた。

 

(この気配…!)

 

その気配から、カンダタマスクの人物はかつて最初に弟子にした男の子を脳裏に思い浮かべた。地底魔城で出会い、戦士として育てた男の子を。だが、卒業の日に襲われ、その際に反撃してしまい、その後、生死が分からなくなっていた子供を。

 

(まさか…!あなたなのですか…?ヒュンケル…)

 

その子供の気配が近くから感じ取ったことでカンダタマスクの人物は生きていたことへの喜びと、まだ、恨まれているのではないかとの不安を覚えつつも気配がある方向へ視線を向けた。

 

(いた!彼だ…!)

 

謎の人物は、視線の先にモンスターと戦う全身鎧の人物を見つけるとマスクの下で泣きそうになりながらも笑顔を浮かべた。

 

(この気配、間違いない!……生きていたのですね…!ヒュンケル!!!)

 

謎の人物は、ずっと後悔していた。あの日、反撃して川に落としてしまったことを、ちゃんと話し合わなかったことを。川に落とした後、何日も探し続けて見つけられなかった時は、深く絶望した。だが、その彼が、生きて、大人となってここにいることに喜びながら全身鎧の人物を見つめていると、ヒュンケルが視線に気付いて、マスクの人物に視線を向けた。

 

(ヒュンケル!大きくなりましたね!分かりますか?私です!アバー)

「………」

 

ヒュンケルはカンダタマスクをつけた怪しい人物に視線を向け、驚いた様子で目を見開くと、ゆっくり視線を逸らした。まるで、初めから何も見なかったかのように。ヒュンケルは怪しい人物からの視線に気づいたが、関わり合いたくなかったため、見なかったことにすると敵を倒すことに集中した。

 

(……視線を感じ、振り返ったら…不審者がこちらを見つめていた…どこにでもいるものだな…変わった人は…)

「………うひょ〜……」

 

カンダタマスクをつけた人物は小声で駆け抜けるとその場を走り去った。この日、謎の人物はカンダタマスクをつけていたことを初めて後悔した。

 

 

 

女王フローラが座すカール城の玉座の間では、フローラと家臣たちが現在の戦況を騎士から報告を受けていた。

 

「報告いたします!敵は包囲網を狭め、城塞に辿り着きました。城塞に近づく敵は騎士たち対処しており、上空からの敵は、救援に駆けつけて下さったマトリフ様が倒しております!包囲網については、南からはリンガイア王国戦士団が救援に駆けつけ、東はホルキンス団長たち騎士団、北も援軍が駆けつけて下さいました!敵の包囲網は徐々に崩れ、このままいけば…我らの勝利は確実かと!!!」

 

騎士からの報告に玉座の間では家臣たちが安心感からホッと息を吐く者、笑顔を浮かべる者もいた。

 

「おお…!素晴らしい戦果ではないか!!!さすが、我が国が誇るカール騎士団!!!」

「マトリフ様が味方についてくだされば、空を飛ぶ魔物など恐れるに足らず!」

「リンガイアからの援軍も、頼もしいものだ…!」

「北からの援軍は…どのような方なのですか?」

 

フローラは北の援軍が、もしかしたら勇者アバンではないかと表情には出さないが、内心期待しながら騎士に問いかけた。

 

「それが…その人物を誰も見たことないと言うのです。身につける全身鎧はこの国のものではなく、恐らくですが、国外から来た者と考えられます」

「…そう。分かったわ、報告ありがとう」

 

報告内容から北の援軍はアバンではないと悟ったフローラは残念に思いながら目を瞑り、気持ちを切り替えた。そして、目を開いたフローラは玉座から立ち上がると力強い目で周囲のものに指示を出した。

 

「これより反撃に転じます!!!ホルキンスたち騎士団と協力し、東門周囲にいる敵を倒―」

「ヒヒヒッ!…そうはいかない!!!」

 

女王フローラが発言をしていた中、静かな玉座の間に突如、不気味な声が響き渡った。家臣たちはギョッとしながら不安そうに周囲を見渡し、騎士たちは武器を構えると睨みつけるように声の主をキョロキョロと探した。

 

「な、なんだ!?今の不気味な声は…!?」

「敵…!姿を現しなさい!」

「ヒヒヒッ…俺は下にいるぞ?」

「!!?」

 

その場にいた人々が慌てて足元に視線を向けると自身の影にモンスターの目が現れ、そして、あやしい影に姿を変えると、人々に襲いかかった。

 

「モンスターだ!!!」

「うわーーー!!!」

「た、助けてくれーーー!!!」

 

あやしい影は戦う術を持たない家臣たちに次々と覆い被さると、体に取り憑いた。悲鳴をあげていた人々はモンスターに意識を乗っ取られると徐々に静かになっていった。

 

「くそっ!どうすれば…!?」

 

騎士たちは武器を構えるが、あやしい影は家臣に取り憑いていたため、攻撃することが出来ず、悔しそうに顔を歪めた。

 

「まさか、モンスターが人々の影に隠れていたなんて…!」

 

フローラが家臣たちに襲いかかるあやしい影に注目していたところ、背後のすぐ近くから不気味な声が聞こえてきた。

 

「ヒヒヒッ…これで、形勢はこちらのものだ…!」

「!!!」

 

フローラは背後からの声に慌てて振り返ると、シャドーがニヤリと笑いながらフローラに襲いかかった。フローラの意識は闇に閉ざされた。

 

 

 

城塞の中で、ホルキンスの弟は騎士団を率い、迫り来るモンスターたちを次々と打ち倒していた。戦場の喧騒の中、敵の包囲網が崩れていく様子を鋭い眼差しで見つめ、形勢がカール王国にとって有利に傾き始めていることを確信し、希望を持って頷いた。

 

「敵の包囲網は崩れつつある…!!!このまま行けば、我らの勝ちだ!」

 

ホルキンスの弟は上を見上げ、城塞上空で敵を倒しているマトリフを見つけると笑みを浮かべた。

 

「マトリフ様に宴の席で美味しいお酒を提供できそうだ…!」

 

気分は勝った後のことを考えており、勝利後のことを夢見ていた。そんな中、城のバルコニーに女王フローラが姿を現すと、一部の騎士たちは彼女に注目した。

 

「おお!フローラ様!」

「我らの勝利は目前です!フローラ様、反撃の許可をください!」

「このまま、敵を掃討しましょう!」

 

騎士たちはフローラから反撃の指示が出ることを期待し、バルコニーを見上げた。フローラは毅然とした表情で周囲を見渡し、大声で命令を下した。

 

「騎士たちに告げます!直ちに戦闘を中止し、武器を捨てなさい!繰り返します、戦闘は中止し、武器を捨てなさい!これは女王フローラの命令です!」

 

「……えっ?」

 

騎士たちは突然の戦闘中止命令に戸惑い、バルコニーを見上げて女王フローラの姿を見つめた。

 

「あれは…」

 

上空で戦っていたマトリフは下の様子に気付くと、警戒しながら高度を落とし、建物の影に隠れて様子を伺った。

 

(なんか様子がおかしい…あの女王様はあんなこと絶対に言わねぇ!なにかあるな…?)

 

マトリフは建物の影から警戒しながらフローラを観察した。フローラから武器を捨てろとの指示が出たが、騎士たちは従わず、ホルキンスの弟は動揺しながら声を上げた。

 

「な、なにをおっしゃるのですか!フローラ様!?戦況は我らが有利です!このまま敵を倒せば…我らが勝つのですよ!!!」

「それに、敵はすぐ近くまで来ています!ここで武器を捨てるなんて…!」

 

騎士たちの必死の説得にフローラは耳を貸さず、冷たい目で見下ろすと再度、強い口調で命令をした。

 

「私は武器を捨てろと言ったのです!これは女王フローラの命令です!指示に従いなさい!指示に従わなければ…反逆罪としてこの場で処刑します!!!」

「そ…そんな…」

「フローラ様…なぜ…」

 

騎士たちはフローラの言葉に動揺しながらも、一人、また一人と武器を地面に置き始め、その光景を見つめるフローラの顔には、不敵な笑みが浮かんでいた。しかし、その時、城内へと通じる扉の一つが激しく開かれ、ボロボロになった騎士が現れると、険しい表情で外にいる騎士団に向かって大声を張り上げた。

 

「はぁ!はぁ!武器を捨てるな…!!!フローラ様は敵に操られている!!!これは敵の罠だ!!!武器を捨てるな!!!」

「な、なんだと!?」

「武器を拾え!!!」

 

騎士たちは慌てて地面に置いた武器を拾うと、バルコニーにいるフローラを険しい目で睨みつけた。

 

「ヒヒヒッ…バレてしまったか!」

 

フローラが凶悪な笑みを浮かべた瞬間、彼女の背後にモヤが集まり、ゆっくりと形を成していった。それはシャドーの姿を取ると、騎士たちを嘲笑うように見下ろした。

 

「おのれ!モンスターめ!!!フローラ様を解放しろ!!!」

 

ホルキンスの弟は険しい表情でフローラの背後に立つシャドーを睨みつけた。しかし、シャドーはその視線を受けても動じることなく、余裕の笑みを浮かべていた。

 

「ヒヒヒッ…!断る…!それよりもお前たち、俺は武器を捨てろ、と言ったはずだ…!なに武器を拾っている…?命令に従え…!」

「黙れ、魔王軍め…!貴様らの言うことなど、誰が聞くか!!!フローラ様を解放しろ!!!」

「ヒヒヒッ…そんなこと言っていいのか…?」

 

騎士たちが武器を構え、シャドーを睨みつけていると、突如、城塞の扉が勢いよく開かれた。中から大勢の避難民がぞろぞろと外へ出てくると、騎士たちは驚きの表情を浮かべた。敵が外にいる状態で民間人が現れたことに混乱し、慌てて声をかけた。

 

「どうしてここに!?誰か避難民を保護しろ!敵がすぐそこにいるぞ!」

「ここは危険だ…!中に―」

「ヒヒヒッ!」

「なっ!!!」

 

避難民たちは不気味な笑い声を上げ、顔を上げると同時にニヤリと不敵な笑みを浮かべ、騎士たちを見つめた。その肩周りにモンスターの怪しい影が潜んでいることに気付いたホルキンスの弟と騎士たちは、驚愕の表情を浮かべた。

 

「まさか…避難民たちは…モンスターに操られているのか!?」

「そんな…馬鹿な…!」

「ヒヒヒッ…そのまさかだ!俺たちは最初から人間の影に隠れていた…!そして…あの手強い騎士が外に出るのを待っていたのさ!!!」

 

シャドーたちモンスターは笑いながら人間を操ると、手に持っていた武器やフォークなどのアイテムを持ち上げ、それを首に当てがった。

 

「なっ…!やめろぉ!!!」

「ヒヒヒッ!…もう一度言う!…武器を捨てろ…!さもなくば、ここにいる人間は死ぬことになるぞ…?」

「お…のれっ!!!魔王軍め…!!!」

「なんて卑怯な!!!」

 

騎士たちは冷や汗をかきながらモンスターを睨みつけたが、女王と民間人を人質にとられていたため、攻撃することもできず、なす術がない状態であった。

 

(くそっ!この状況、かなりまずい…!)

 

建物の影から様子を伺っていたマトリフは、フローラ女王をはじめとする民間人が人質に取られている状況に対応策がないことを悟った。そして、歯を噛み締めながら、かつての仲間である勇者アバンの姿を脳裏に思い描いた。

 

(…アバン、てめぇならこんな時どうしてた…?お前さんが得意とした破邪呪文ならこのクソみたいな状況もなんとかなったかもな……まったく、いい奴はみんないなくなっちまう……なんで100歳近い俺は生きて…アバンやロカみたいな、いい奴はいなくなっちまうんだろうな……)

 

マトリフはダイ達からアバンは死んだと聞いており、もうこの世にはいない友を思い、一瞬、悲痛に顔を歪めたが、すぐに気持ちを切り替えると、反撃のチャンスを伺いシャドーを睨みつけた。

 

 

 

カール王国南の港近くで敵の包囲網を撃破していたリンガイアの戦士達。その中の1人が遠くからカンダタマスクを被った人物の姿を確認すると、指を差し示した。

 

「ノヴァ団長!先程の人物が戻ってきました!」

「随分長いこといなかったが…どこまでいっていたんだ?」

 

ノヴァと戦士たちが視線を向けると、カンダタマスクの人物は剣の鞘で溝を掘りながら奇妙な掛け声と共に現れた。

 

「ちょえええええ〜!!!」

 

謎の人物は溝を掘りながら最初に掘り始めた場所に戻ると、鞘を地面から離し、立ち止まった。両手を膝につき、荒い呼吸をしながら少しばかりの休憩をとった。

 

「ぜえ!ぜえ!…あ〜疲れました…流石にカール王国を走り回るのは疲れます!…この時ばかりはレグ君の体力が羨ましく感じますねぇ〜」

 

ノヴァは荒い呼吸をしている謎の人物に近づき、周囲に掘られた溝に疑問を抱きながら質問した。

 

「あなたは…何をしていたのだ…?カール王国を走って、何か、模様?のようなものを掘ったみたいだが…何をしたかったのだ?」

「ふっふっふっ!これはですねぇ、ある魔法を唱えるための前準備、といったところですかねえ」

「ある魔法?」

「ええ!」

 

謎の人物は起き上がると、模様の外側に出て、手をプラプラさせながら、準備運動のような動作を始めた。

 

「破邪呪文をご存知ですか?」

「破邪…なんだ、それは…?初めて聞くぞ?」

「邪悪な力を退ける聖なる魔法です!この溝は発動するための魔法陣になります…これでカール王国を救いますよ!」

 

謎の人物は右手に魔力を溜め始めた。

 

「むむむむっ!…邪なる威力よ退け!…」

 

謎の人物が右手を魔法陣の上にかざすと、魔法を発動した。

 

「マホカトール!!!」

 

地面に掘られた溝から光の柱が上がると、五芒星の魔法陣が描かれた地面の内側から聖なる光が溢れ出した。その聖なる光はカール王国全体に満ち溢れ、巨大な光の結界となって、まるでドームのようにカール王国を包み込んだ。

 

「ウギャアアア!!!」

「見ろ!敵が消えていくぞ…!」

 

結界の内側にいたモンスターのほとんどが、暗黒闘気からなる邪悪な力によって動いていた。しかし、聖なる光を浴びたことで、あやしい闇やガストなどは断末魔の叫びを上げ、モヤとなって消滅し、また、さまよう鎧兵士なども力を失い、その場に音を立てて倒れ、動かなくなった。

 

「まさか…カール王国全体に、その破邪魔法を発動させたとでも言うのか!?」

 

ノヴァはモンスターが倒されるのを見届けた後、カンダタマスクを被った人物を驚きながら見つめた。

 

「フフン!イエス!その通りです!これで、人質となっていた人たちも解放されるでしょう!」

 

カンダタマスクの人物は嬉しそうな声を出し、ノヴァに対してピースサインを送った。

 

 

 

城塞内では女王をはじめ、避難民がモンスターにより取り憑かれ、人質とされていた。この状況下では、ホルキンスの弟たち騎士団は攻撃することができず、手をこまねいているしかなかった。

 

「ヒヒヒッ!…さあ…武器を捨てろ!!!」

「っ…くっ…!」

 

フローラ女王の背後にいるシャドーが不気味な声で騎士たちに命令した。騎士たちは顔を歪めてシャドーを睨みつけたが、人質の中に自身の家族の姿を見つけた者は、悲痛な表情を浮かべると武器を地面に置き出した。

 

「すまない…みんな…」

 

ホルキンスの弟は歯を食いしばりながら人質となった人々を見つめ、ある決断をするか迷っていた。

 

(くそっ!どうする?どうすればいい!?何か方法はないのか!?ここまで来て…勝利を目前にして…!…………武器を捨てたところで…俺たちが倒された後、人質が生きて返されるとは思えない!………人質の犠牲覚悟で……戦うしか…!)

 

ホルキンスは決断にかなり迷ったが、覚悟を決めると剣を握りしめ、シャドーを睨みつけた。

 

「……全員、武器を構え―」

 

ホルキンスの弟が決死の覚悟で命令を出そうとした瞬間、突如として周囲に光が溢れ出した。

 

「なんだ?この光―」

「ウギャアアア!!!」

「!!!」

 

騎士たちは周囲を照らす光に戸惑っていたところ、断末魔の叫びが聞こえたため、一斉に人々に視線を向けた。人々に取り憑いていたあやしい影たちは絶叫し、苦しみもがくとモヤとなって消滅した。人質から解放された人々は、気を失いながらもその場に倒れ、その様子に騎士たちは驚愕し、目を見開いた。

 

「ギャアアア!!!なんだこの光は!!?このままでは…消滅する!!!」

 

そして、聖なる光は女王フローラに取り憑いていたシャドーにも絶大な効果を発揮した。シャドーはフローラから慌てて離れ、苦しみながら飛行し、結界の外に向かった。人質から解放されたフローラは気絶し、バルコニー内に倒れた。

 

「逃すかっ!!!」

 

そして、その様子を建物の影から観察していたマトリフはトベルーラを発動し、飛び立つと逃げるシャドーを追いかけた。その間、マトリフは手に魔力を溜め始めた。

 

「げっ!」

 

シャドーは背後から猛スピードで接近してくるマトリフに気付き、慌てて逃げようとしたが、マトリフの飛行スピードの方が圧倒的に早く、すぐに追いつかれた。

 

「随分好き勝手してくれたじゃねぇか!今度はこっちの番だ!!!メラゾーマ!!!」

「ウギャアアア!!!」

 

マトリフが魔法を発動すると、巨大な火球がシャドーに着弾、シャドーは燃え上がった。シャドーは絶叫し、苦しみながら上司であるミストバーンの姿を脳裏に思い浮かべた。

 

「お…お許しを……ミストバーンさ―」

 

シャドーは上空で炎と共に消え去った。マトリフはシャドーを倒すと、すぐに高度を上げ、カール王国全土を見渡せる位置まで到着すると王国全体を上空から見下ろした。

 

「…間違いねぇ」

 

カール王国は巨大な五芒星の結界が張られ、その結界内には聖なる光が溢れていた。そのことからマトリフはすぐにこの魔法の正体に気づき、脳裏にかつての仲間の姿を思い描いた。

 

「この魔法は破邪呪文マホカトール!!!…こんなバカでかい結界を張れるやつなんざ、1人しかいねぇ!……アバン、お前なのか?」

 

マトリフは周囲を見渡し、溝が最初に掘られた場所と思われる南に向かって速度を上げて飛行した。

 

「マトリフ様!フローラ様と人々は無事です!!!マトリフ様ー!!!」

 

城塞付近ではホルキンスの弟がマトリフに向かって大声で呼びかけていたが、その呼びかけにマトリフは気づかなかった。マトリフはマホカトールの魔法を発動した際、結界の外側にアバンがいる可能性を考え、結界のすぐ側に人がいないか、キョロキョロと視線を動かして探した。

 

「いた!!!」

 

結界の南側にいたリンガイア戦士団の中からカンダタマスクをつけた人物を見つけると、マトリフはその人物に向かって急降下した。

 

「あんなふざけたマスクをつける奴なんざ、アバンしかいねぇ!」

 

マトリフが地面に着地すると、突如、空から現れた人物にリンガイア戦士たちは驚き、目を見開いた。マトリフは戦士たちを無視し、カンダタマスクをつけた人物に近づきながら、友人の名を呼ぼうとした。

 

「てめぇ!生きてたのか!アバ―」

「おおっと!!!」

「むぐっ!?」

 

謎の人物は素早くマトリフに近づき、口を手で塞ぐと、戦士たちに聞かれないように耳元で話しかけた。

 

「久しぶりですね、マトリフ!後できちんと事情は話します!なので、私が生きていることは黙っていてもらってもいいですか?」

(!!!何か事情があるのか?)

 

マトリフは目で合図を送ると、カンダタマスクの人物はマトリフの口から手を離し、マトリフの肩に腕をまわした。

 

「いや〜久しぶりですね!マトリフ!ちょうどいいところに来てくれました!私をカールの北側に運んでもらえますか?確認したいことがありましてね!」

「…しょうがねぇな、運んでやるよ…そんかわり、きちんと説明してもらうぞ?」

「ええ!」

 

マトリフは謎の人物に腕を回し、謎の人物もマトリフにしがみつくと、後ろを振り向き、ノヴァたちに対して手を上げて挨拶した。

 

「では!私は行きますね!共に戦えて光栄でしたよ!!!」

 

マトリフはトベルーラを発動すると謎の人物と共にカールの北へ向かって飛行した。その場に残されたリンガイア戦士たちは遠く離れていく2人の後ろ姿をポカンと見つめた。

 

「なんか…変わってはいたけど、すごい人だったよな…」

「ああ…」

 

ノヴァは周囲を見渡し、民間人が地面に倒れていることに気付くと戦士たちに指示を出した。

 

「戦士たちに告ぐ!民間人を保護し、カール城を目指すぞ!フローラ女王に上陸の許可をいただき次第、船に戻り、国王陛下をお招きする!!!」

「はっ!!!」

 

リンガイア戦士たちは、人質として捕えられていた人々を保護しながらカール城目指して進み出した。

 

 

 

人もモンスターもいない上空を魔法で飛行し、マトリフはニッと笑うと自身にしがみついているカンダタマスクの人物に視線を向けた。

 

「アバン!てめぇ、生きてやがったのか!!!」

 

マスクをつけた謎の人物、アバンは嬉しそうな声を出し、久しぶりに会った旧友との再会を喜んだ。

 

「ええ!おかげさまでなんとか生きてこられましたよ!」

「だが…なんでだ?聞いた話ではデルムリン島でハドラー相手にメガンテを放ったそうじゃねぇか…なんで生きてやがる?」

「…フローラ様が以前、私に下さった『カールのまもり』のおかげです。かつて、魔王ハドラーに挑む時、姫君だったフローラ様からいただいた王家の宝なのですが…あれは、一種の身代わりアイテムだったようで、メガンテを放つと、私の代わりにお守りが砕け散り…私は助かりました」

 

アバンは手を胸に当てると、今は砕けてしまった思い人から受け取ったアイテムを服の上から大切そうにそっと押さえた。

 

「…生きていたんなら、ダイたちに知らせてやればよかっただろ?なんで、教えてやらなかった?あいつらはお前が死んだと思ってショックを受けてたぞ?」

 

マトリフが怪訝な表情を浮かべてアバンを見ていると、アバンは慌てて弁解した。

 

「いや!本当は合流するつもりだったのですよ!?…デルムリン島で船を作ったあと、ロモスに行ったのです!そしたら!ダイ君たちは船で出航した後だったんですよ!後を追うにもパプニカは遠くて…!そしたら、カールが襲われているって聞いて、ここに来た!というわけです!」

「そういうことか…」

 

マトリフはアバンの話に苦笑すると、今度はアバンがつけている変わったマスクに視線を向けた。

 

「あと…なんで周りの連中に生存を知らせたくねぇんだ?ハドラーの襲撃と関係あるのか?」

「ええ…魔王軍が各国を襲撃して、すぐにハドラーは私の前に姿を現しました。向こうは私が死んでいると思っているので何もしてこないですが…生きているとバレたら、ハドラーは軍勢を率いて襲ってくるでしょう。そうなれば、周囲の人を戦いに巻き込んでしまいます…なので、まだ死んだことにしていた方が、都合がいいのです!味方にも私の生存は隠して下さい!敵を騙すには、まず味方からってね!」

「…まあ、それもそうだな…せっかく敵の軍勢を倒したと思っていたのに、ここにハドラーが現れれば…カールの連中が気の毒だ」

 

マトリフは下に視線を向け、眼下に広がるカール王国を見渡した。

 

「でしょ!なので、私が生きていることは内緒でお願いします!…味方が揃った状態ならバラしてもいいのですがねぇ〜!逆に敵を誘き出せますから!」

「わかったよ…けどよ、てめぇの弟子にはそのうち話せよ!」

「ええ!今は出来ませんが…近いうちに!」

 

アバンたちはカール城の上を通過し、北の地の上空で止まると地上で複数の人が集まっている場所を確認した。地上では、鎧化を解いたヒュンケルとホルキンス騎士団長率いる騎士団がなにやら会話をしており、マトリフは高度を下げるとその者たちから少し離れた場所に着地した。

 

「俺はカール王国、騎士団長ホルキンス!魔王軍と戦ってくれたこと…カール王国を代表し、お礼を申し上げる!」

「…俺の名は剣士ヒュンケル…魔王軍との戦いは俺にとって他人事ではないからな。協力させてもらった」

「俺たちはこれから城へ戻るが…良かったら共に来ないか?きちんとお礼をさせてくれ!」

「気持ちはありがたいが…俺は先を急ぐ。礼は必要ない」

「そうか、残念だ…後日、カールへ来る機会があれば俺を訪ねてくれ!お前は礼などいらないと言うが…国を救った者に何もしないのは無礼に当たるからな!是非!!!」

「…ああ、そうだな。機会があれば」

 

アバンとマトリフはヒュンケルたちの会話を聞きながら、周囲に聞かれないよう小声で会話した。

 

「アバン、本当に挨拶しないんだな?」

「ええ…今は、その時ではないかと…マトリフ、一つお願いをしても良いでしょうか?」

「なんだ?」

 

アバンはマスクの下で穏やかに笑いながらヒュンケルを見つめた。ヒュンケルも視線に気付いたのかアバンとマトリフに顔を向けた。

 

「ヒュンケルは先を急ぐようです。彼をルーラで送ってあげられますか?」

「ああ、いいぜ。おそらく目的地はテランだろうな」

「では、お願いします!」

「わかったよ!それじゃ、ちょっと行ってくるぜ!」

 

マトリフはアバンから離れるとヒュンケルに近づき、ヒュンケルはここにマトリフがいることに少し驚きながら話しかけた。

 

「まさか…ここで会うとはな…」

「ホントだぜ、まったく…これからテランに向かうんだろ?ルーラで送ってやるよ」

「…助かる」

 

マトリフはヒュンケルの肩に手を置き、ヒュンケルは魔法が発動する前に背後を振り返り、こちらを見つめてくるカンダタマスクの人物をじっと見つめ返した。

 

「…どうした?」

「いや…なんでもない」

 

マトリフに話しかけられたヒュンケルは、マスクの人物から目を逸らし、首を横に小さく振った。ルーラが発動するまでの僅かな間、ヒュンケルはマスクの人物の視線をどこか懐かしく感じ、かつて共に過ごした恩師の姿を脳裏に思い描いた。

 

(…何故か分からないが…あの人からはどこか懐かしさを感じた…子供の頃、自分を育ててくれた…先生のような、温かさを…)

 

マトリフが魔法を唱えるとヒュンケルとマトリフはその場から姿を消し、ルーラ特有の軌道がテランに向かって伸びていった。アバンは空を見上げながら、先ほど見たヒュンケルの目つきを思い出した。以前は殺気立っていたが、今見たヒュンケルの目は以前とは比べ物にならないほど穏やかになっており、それに対してアバンは喜び、小さく笑みを浮かべた。

 

(いい目をするようになりましたね…ヒュンケル)

 

アバンが空を見上げていると、騎士団長のホルキンスが近づき、話しかけてきた。アバンはホルキンスの誘いに応じ、カール城塞に向かって歩き出した。

 

 

 

カール王国での戦いは終わり、目を覚ましたフローラは休む暇なく対応に追われていた。避難民の対応、リンガイア王国から来た人々の対応、国内の対応、魔王軍が襲ってくることも想定し、今後の防衛についてなど作業は多岐に渡った。

 

(長い1日だったわ…)

 

作業が完了するころには真夜中となっていた。フローラは月明かりが差し込む廊下を進み、就寝するため自室に向かっていた。

 

(それでも、魔王軍に勝つことが出来たのは喜ばしいことだわ。一つ気になるのは…)

 

フローラは窓の外を眺めると夜の闇の中、カール王国を包み込むように張られている、聖なる結界を見ると、脳裏にアバンの姿を思い浮かべた。

 

(国全体を覆う、聖なる結界…間違いなく、この呪文はアバンが得意としたマホカトール…でも、彼の姿を見た者は誰もいない…)

 

フローラは気絶から目覚めてすぐにマホカトールの存在に気づくと、アバンが助けに来たのだと喜んだ。だが、アバンを見た者はおらず、しばらく待ってもアバンがフローラの前に姿を現すことはなかった。

 

(アバン…貴方は何処にいるの…?)

 

フローラは気落ちしながら自室の扉を開け、暗い自室に入ると窓辺の外側に見知った人物を見つけて目を見開いた。

 

「あなたは…」

「よう!女王様!俺は、見ての通りの不審者さ」

 

フローラはマトリフのセリフに小さく笑うと、窓を開けた。

 

「久しぶりね、マトリフ。以前、私は『今後は正門からいらしてね』と伝えたはずよ?…また、窓から来たの?」

「ケケケッ…まあ、アバンのダチってことで無礼を許してほしい」

「それで、こんな夜中に女王の部屋を訪ねてくるのは、どんなご用かしら?貴方がわざわざ訪ねに来るからには、他の人に知らせたくない理由があるのでしょう?」

「話が早くて助かる」

 

マトリフはニヤッと笑って、部屋の中を見やると、フローラも同じように顔をそちらに向けた。暗闇の中ではよく見えなかったが、壁際に誰かが立っているのに、フローラは気付いた。

 

「あなたは…」

「こんな夜更けにご無礼をお許し下さい。フローラ様」

(!…この声)

 

壁際に立っていた謎の人物はゆっくりとフローラに近づき、窓から差し込む月明かりで姿が浮かび上がった。頭にはカンダタマスクをかぶり、目元にはマスクの上から黒縁メガネを掛けていた。フローラはその変わったマスクに驚いたが、すぐに彼らしいと思い、内心で笑った。しかし、彼の顔が見たくて少し厳しめの口調でマスクを外すよう指示を出した。

 

「…女王の部屋でマスクをつけるのは、無礼だと思わないかしら?」

「これは大変失礼いたしました!」

 

謎の人物はまず、メガネを取り、次に被り物のカンダタマスクを外し、そして、外した黒縁メガネを再度付け直した。

 

「これでよろしいでしょうか?フローラ様!」

 

謎の人物、アバンはフローラに対してニッコリ笑いかけると、フローラも目を細め、小さく笑みを浮かべた。

 

「ええ、問題ないわ……久しぶりね。貴方ならカールの危機に必ず助けに来てくれると信じていたわ…アバン!」

 

月の光が差し込む部屋にはアバンとフローラ、2人だけの空間となっており、空いた窓から吹き込む風が2人の間を優しく流れていた。2人は優しく笑みを浮かべ、お互いを見つめ合っていた。

 

(ケケケッ…すっかり2人だけの世界になってやがる…さてと、邪魔者は退散するかねぇ。騎士団の連中が美味い飯と酒を用意して待っているだろうしよ)

 

マトリフは魔法を発動すると静かに窓際から離れようとしたが、その背後からフローラが穏やかな声で話しかけてきた。

 

「マトリフ…カールを救ってくれて、感謝しているわ。ありがとう」

 

マトリフは褒められたことで少し目を見張ったが、すぐにニッと笑い、背中を向けたまま手を振った。そして、飛行すると、マトリフは騎士団とリンガイア戦士たちが集まる酒場に向かって飛び立った。




アバン先生復活!
この小説で最初の頃にアバン先生を強化したのは『破邪の洞窟』に行く必要をなくすためです!原作でフローラ様は
「彼がもし生きているなら…故郷を踏み躙られて黙っているはずがないわ…必ず助けに来てくれるはずですもの…」
と言っていたので、助けに登場させました!バランもいないし、強くなったアバン先生なら魔影軍団を倒せるでしょう!
ちなみにアバン先生がつけているカンダタマスクは「9_家庭教師とベンガーナと泉」で登場したマスクになります!

これにてカール王国編は終了です!
次は竜の騎士編になります!
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