主人公は登場しません。
原作開始1年前。ダイ(11)、主人公レグルス(9)。
ラーハルトがテラン王国に来て2年、レグルス王子が9歳の誕生日を迎えて間もなくの頃、テラン城のフォルケン王の寝室にて占い師のナバラとメルルがある占い結果を持ってフォルケン王を訪ねていた。フォルケン王はここ数年で体調を崩す日が多くなり、この日も寝室のベッドから抜け出せず、顔色を悪くしながら占い師の話を聞いていた。ただ、顔色が悪くなったのは体調不良だけのせいではなく、この国一番の占い師が血相を変えて持ち込んだ占い結果のせいでもあった。
「私たちがいつものように未来を占っていたところ、見えたのです…とても不吉で恐ろしい未来が…」
「…それは間違いないのか?」
「はい…あたしゃ占いが間違いであってほしいと何度も何度も占ったのですが…結果は変わりませんでした。しかもこの不吉な結果は昔、魔王ハドラーが地上に現れる前の年にも出ていたのですじゃ…」
「…では」
「はい、あたしゃこう見ています。―魔王が復活する!!!」
寝室は静まり返り、誰も言葉を発することが出来なかった。メルルは顔色を悪くしながら両手を胸の前に持っていき震える手を抑えようとし、ナバラは顔色を悪くしながら足元を見つめ、フォルケン王は硬い表情で目を閉じて思考を巡らせ、王の側に控えていた兵士カナルも職務に専念しながらも驚きの表情でナバラのことを見ていた。
魔王が勇者に倒されて14年が経過しているが、当時を覚えている者の話や噂などで魔王に侵略された街や村がモンスターに破壊され、多くの人々が亡くなっていることをこの場にいる者は全員知っていた。魔王ハドラーによって蹂躙されていないテラン王国だが、今回も侵略対象外とは都合よく考えていないため、魔王復活は恐怖でしかなく、占い結果を持ち込んだナバラとメルル含めて悪い冗談であってほしいと内心は思っていた。
だが、この国では以前ナバラの占い結果の実績があるため結果を否定する者はこの場にはおらず、訪れる未来にどう対処していくかを考えるしかなかった。思考を巡らせていた王が静かに目を開け、ナバラを見つめながら問いかけた。
「…その未来は近いうちに訪れるのだな?」
「はい、おそらく1年後には」
「レグルス様はまだ9歳、騎士として覚醒するには幼すぎる。神々が未来を間違えたか、もしくは成長が間に合わなかったか…」
「騎士様は成人しなければ覚醒しないのですか?」
「うむ、言い伝えでは、成人を迎えるまでは神々の力を使うことができず、それまでは人間と変わりなく育つと記述されておる」
「そんな…」
「今回も魔王ハドラーの時のように勇者様が現れてくれるとよいのじゃが」
周囲が不安な中、フォルケン王は目を閉じてある決断をすると力強い目で寝室にいる者を見た。
「残された時間は少ない、各々で出来ることをするのだ。カナルよ民に薬草や毒消し草、消え去り草、ほかにも役に立ちそうなアイテムの栽培を命じよ」
「はっ!!!」
「ナバラ殿とメルル殿にはある人物の居場所を探してほしい」
「かしこまりました。して、その人物の名前は?」
「かつて人々を守り、平和な時代の礎を築いた。かの者の名は―」
その名を聞いた者は驚きの表情をしていたが、すぐに納得した表情で頷き、探し人の居場所を突き止めるべくナバラとメルルはその場で占いを始めた。少しの間、メルルとナバラの邪魔をしないように誰も物音を立てずその場で待機し、占いの行く末を静かに見守っていた。
「―でました」
メルルが探し人の居場所を突き止め、占いのために閉じていた目を開いた。メルルはナバラに小さく頷いたあと、フォルケン王に真剣な表情を向けた。
「居場所が分かりました。場所はここから東の村、ランカークス」
ベンガーナ王国領ランカークス村はテラン王国やベンガーナ王国の東に位置するギルドメイン山脈のふもとに存在し、国から離れた辺境の地のため、村の規模や人口は大きくないが石畳の道やレンガの家が立ち並び、のどかで美しいつくりの村である。その村唯一の武器屋は辺境の地でありながら、店主であるジャンクの腕がよく良い武器がそろっていると評判で、周辺の国や冒険者が武器を求めて遠方の地からやって来るため、毎日一定数のお客さんがお店を訪れていた。
武器屋の1人息子であるポップはお客さんの波が途切れたタイミングで棚に商品を並べるため武器が入った重たい木箱を内心めんどくさいと思いながらも運んでいた。ポップ自身は店番を抜け出し、村はずれで最近始めた魔法の練習をしたかったが、抜け出したら最後、父親であるジャンクの怒声とげんこつが頭に落ちてくるため頑固おやじの怒りを買わないために嫌々仕事を手伝っていた。
(あ~あ、さっさと店を抜け出して魔法の練習してーな。こないだはメラができたから次はヒャドの練習だな。俺って魔法の才能あるんじゃねーかな、見つけた本に載っていたメラ系の魔法陣は全部契約できたし。才能がなければ契約自体出来ないっていうからな。このまま行けば俺ってすんごい魔法使いになって、世界中の人が俺を褒めたたえて、お城の王様にもお呼ばれしちゃうかもしれないなー。そしたらそこのお姫様にポップ様素敵!って言われちゃったりしてー)
立派な魔法使いになり、お姫様にちやほやされる自分を想像しながら鼻の下を伸ばすポップを見た父親のジャンクは妄想を時折口に出し、変顔する息子を怪訝な顔をしながら見ていた。
「おめーが魔法使いになれるわけないだろ!嫌なことがあるとすぐに逃げ出すような根性なしに続けられるほど甘くねぇ!それにおめーはこの武器屋を継ぐんだ!!!」
父親の言葉に現実から戻されたポップは顔をしかめて、自分が妄想を口に出し、それをあろうことか父親に聞かれた恥ずかしさと、夢を否定されたことで頭にきて、怒鳴り返していた。
「う、うるせぇ!!!俺が何になろうが親父には関係ーないだろ!俺はこの村を出て立派な魔法使いになってやらぁ!」
「この村を出るだぁ!?おめーひとりで何ができる!何かに夢中になっても躓くとすぐ投げ出してやめちまうような根性なしに魔法使いが務まるわけねぇ!それにこの村を出ればモンスターがいるんだぞ!おめーが村の外に出ればすぐにやられるのがオチだ!!!」
「はん、この村を出るころにはモンスターが大群で来てもささっと倒せるぐらいすんげぇ魔法を身につけてやらぁ!!!」
「魔法の前に剣の1本ぐらい作れるようになりやがれ!!!」
「だから俺はこの店継ぐ気はねえー!!!」
「おっほん!お取込み中すみません。こちらの武器を見せていただいてもよろしいですかな」
武器屋に第三者の声がしたことで喧嘩に夢中になっていたジャンクとポップは勢いよく店の入り口に顔を向けた。そこには黒縁のメガネをかけ、貴族のようなカールした髪、真っ赤な服に身を包んだ武器屋に訪れるお客さんの中でも一風変わった見た目の細身の優男がニコニコしながら親子を見ていた。
「お恥ずかしいところ見せちまってすまねぇな」
お客さんがいることに気づかず、息子と喧嘩していたところを見られたことに恥ずかしく思いながら、ジャンクはお客さんが見たいと言った商品を壁から取り外すとお客さんに片手剣の武器を手渡した。
「こちらが武器になります。それにしてもお客さん見る目がある!この武器は切れ味抜群!!!店でも一番いい出来の武器にならぁ」
「ケッ、おんぼろ武器屋の中でまともな武器ってだけーーっ痛ってぇ!!」
ポップがぶつくさ文句を言っているとジャンクが目を吊り上げながら大股でポップに近づき、その頭にげんこつを落とした。
「てめーは馬鹿なことを言ってないでさっさと仕事に戻れ!!!」
ジャンクのげんこつを頭に落とされたポップは涙を浮かべ、ブツブツ文句を言いながら武器が入った木箱を持ち上げると再度商品棚に戻った。お客さんはジャンクに渡された剣を眺めながらも親子喧嘩を苦笑いを浮かべながら見ていた。
「主人は鍛冶の腕がいいですねー、ほかのところでしたらこれほどよい剣は値が張るか、簡単には見つけられないでしょう!」
「まあな、鍛冶の腕には自信があらぁ」
「ところで…お宅の息子さん、魔法使いになりたいのですね」
「…聞こえていたか」
「お店の外まで響いてましたからねえ、魔法使いにはさせたくないのですか?」
「あいつは魔法使い以前にやり出したことは直ぐに投げ出しちまう。どうせ長くは続かねえ」
「良かったら少し彼の時間をくれないでしょうか?」
「…なに?」
それまで無愛想だが丁寧に対応していたジャンクだったが、武器以外の話題を出し始めたお客さんに対してしかめっ面をし、鋭い目つきで睨みつけた。
「私、家庭教師をしておりまして、この村に滞在する間、よろしければ彼の魔法の腕をー」
「武器を買いに来たんじゃねえなら帰れ!営業はお断りだ!!!」
「いえいえ!こちらには良い武器があると噂で聞いてですね」
「失礼致します、こちらにアバン様はいらっしゃいますでしょうか?」
ジャンクは息子のことで営業を始めたお客さんに対して怒り心頭で怒鳴り、店から追い出そうとしたところ、お店の外から聞こえた声にジャンク、黒縁メガネの男性は声がした店の入り口に振り向いた。興味がなさそうなフリして聞き耳を立てていたポップは武器を商品棚に置きながらも、目線だけは入口に目をやり、そこに立つ2人の人物を見た。
1人は若い兵士だか、ベンガーナでは見たことの無い格好のためどこか他国に所属しているかと思われ、もう1人は黒いとんがりボウシに地面に着くぐらいの黒く長いワンピースを着た変わった格好の老婆がおり、2人は武器屋の入り口ドア付近に立ち、店内で怒鳴っていたジャンクを戸惑った様子で見ていた。
(今日の客は変わったやつが多いいな)
普段は戦士やベンガーナ兵士、武器商人が来ることが多いため、あまり見かけない格好をしたお客さん3人をポップは不思議そうに見ていた。他国の兵士が訪れることもあるが、兵士の格好ではなく私服で来るため、ベンガーナ以外の他国の兵士が兵士の格好をしてお店に訪れることは今までなかった。
ジャンクが怒鳴っていたお客さんが兵士がいる入口の方へ体を向けると笑顔で話しを始めた。
「私があなたがたが探しているアバンです。ひとつお尋ねしたいのですが、何故私がこの村にいた事を知っていたのです?私がこの村に着いたのは今日で、ここに行くことは誰にも伝えてないのですが」
「それについてもお答えしますが、長くなりそうですので一旦場所を移させて頂きます」
「そうですね、でしたら喫茶店で紅茶でも飲みながら話したいですねえ」
「分かりました、ではこちらへお願いします」
「主人、こちらの剣をお返しします。とても良い剣でしたよ、また改めて見させてくださね」
兵士からアバンと言われた黒縁メガネの男性はジャンクに剣を返した後、兵士の後を着いていくとお店を後にしたのだった。一風変わったお客さんのやり取りを見ていたポップとジャンクは3人がお店から出ていくのを見届け、お客さんがいなくなり静かになった店内でジャンクは小さくため息をついた。
「…いったい何だったんだ?」
ジャンクは呆れたような顔をしてお客さんがいなくなった出入口を見ていたが、ポップは先ほどの兵士のやり取りを思い出しながら先ほどのアバンと呼ばれた男性のことを考えていた。
(さっきの兵士はベンガーナ兵じゃねーけど、どっかの国の兵士って事だろ?その兵士が尋ねてたアバンって人は家庭教師だと言っていたから、もしかしてあの人はすんげー人なのかもしんねーのか!あの人について行けば俺も立派な魔法使いになれるかも知んねぇ!)
アバンが凄い家庭教師だとあたりをつけたポップはこのチャンスを逃さないとばかりに父親のジャンクにバレないよう行動を起こした。
「結局何も買わずに出て行きやがった。店に来たならなんか買っていきやがれってんだ、ん?ポップ?ポップ!あの馬鹿息子!!!またサボりやがったな!!!」
アバンから受け取った剣をぶつくさ文句を言いながら壁に戻し店内を振り向いたときには先程までいたポップの姿はお店にはなかった。ジャンクはポップがまた手伝いをサボって店を出たのだと気づくと怒り、顔を赤くしながら息子の名を叫んだ。
ジャンクの声は店の外まで響いていたが、近くを通りかかった村人はまたポップがさぼったのかといつものことだと気にせず、お店の横を何事もなかったように通り過ぎていった。
ランカークス村は規模が小さいため食事やお酒を飲める場所は数件しかなく、その中でも日中に営業しているお店は小さな喫茶店が1件のみのためポップは先ほどの3人が行きそうなお店に当たりを付けその場所へ向かって走って追いかけていた。
(いた!)
喫茶店の外の席で飲み物を飲みながら真剣そうに話す兵士と老婆、ニコニコしながら談笑するアバンを見つけたポップは気づかれないように近くの建物の物陰に隠れ、3人の様子を見ながら会話を盗み聞きした。
「私はテラン王国の兵士カナルと申します。フォルケン王のご命令であなた様を探しておりました、かつて世界をすくー」
「おっと、その話はバッドですねぇ。今の私は家庭教師のアバン=デ=ジニュアールⅢ世です。昔の話はなしでお願いします」
「失礼いたしました。家庭教師のアバン様に見ていただきたいお方がおります。一度テラン王国へ来ていただきたく存じます」
「ええ、分かりました。では、この村での用事が終わり次第向かうとしましょう」
「よろしくお願いいたします」
兵士はアバンに対して頭を下げてお礼をし、アバンは兵士に対してニッコリと笑いかけた。
(あの兵士、テラン兵士だったのか!しかも王様の命令ならよ、やっぱり、あのアバンって人すんげー有名な家庭教師なんだな!)
ポップは兵士とアバンの会話から兵士がテラン王国の者であること、そして王様の命令であることから家庭教師のアバンは思った以上に凄い人なのかもしれないと考え、物陰からキラキラした目でアバンの後姿を見つめた。
「ただその前に、私がこの村にいたことをなぜ知っていたかお答えいただきたい」
アバンが居場所をどうやって知ったのか2人に質問したところ、答えたのは兵士ではなく、黒いとんがり帽子をかぶった老婆の方であった。
「占いですじゃ。わたしゃテランで占い師をやっておりますナバラと申します。王のご命令であなた様を探したところこの村を訪れると占い結果が出たのじゃ」
「占いですか、それはすごいですねぇ!ちなみに私の未来も占いで分かっちゃったりしますか?」
「ええ、アバン様だけではなく多くの人々の未来が見えるのじゃ。人々に忍び寄る悪意が…。詳しくは城で話しますが、アバン様でしたら心当たりがあるのではないかの?」
今までニコニコしながら話を聞いていたアバンの表情から笑顔が消え、黒縁メガネの奥では真剣な目つきでナバラを見ていた。物陰から3人の様子を見ていたポップはアバンのおっちゃらけた雰囲気が真剣みを帯びたことに気づいたが、会話の内容の真意を理解することは出来なかった。
「…とても、興味深い話ですね。これはすぐにテランに向かったほうがよさそうです」
「この村での用事はよろしいので?」
「ええ、話の続きが気になって、気になって、しょうがありません!そうとなれはすぐにでも行きましょう!」
「では、ご案内します」
アバンは飲みかけの紅茶を飲み干すと席を立ち、それに合わせて兵士カナルとナバラも席を立った。
「と、その前に」
アバンがその場で後ろに振り向き笑顔でポップがいる建物の物陰を見つめた。
「君は鍛冶屋の息子さんでしたね。私にどのようなご用件でしょう?」
(げっ!ばれてらぁ)
アバンに気づかれたポップはばつ悪そうな顔をしながら物陰から姿を現し、3人がいる机の近くまで来るとその場でアバンに向かって頭を下げた。
「俺の名前はポップ!お願いだ!俺をあんたの弟子にしてくれ!俺は魔法使いになりたいんだ!」
「ふむ、テランの皆さんはお弟子さんが増えてもOKですかね?」
「問題ありません。国王陛下からなるべくアバン様の希望を聞くようにと仰せつかっております」
「ということでポップ、あなたは今から私の弟子―と、言いたいところですが、まずは親御さんの許可をもらわないといけませんねぇ」
「げぇっ!!!」
親御さんの許可が必要と聞いたポップの脳裏には、鬼のような表情で怒鳴りながらげんこつを落とす父親のジャンクとそれを頭に食らう自分が簡単に想像出来てしまい、絶対に許可なんかもらえないと考えたポップは青ざめながらもアバンを説得する。
「ま、まってくれ!親父に言えば絶対に反対する!このまま黙って村の外に出ようぜ!な!」
「うーん、困りましたねぇ」
困り顔でポップを説得しようとするアバンと、家に帰りたくないと駄々こねるポップのやり取りはしばらく続いだ。2人の様子を黙って見ていたカナルとナバラだが終わらないやり取りに、これでは埒が明かないと考えるとアバンに助け船を出すため声をかける。
「勝手に連れ出してはご両親の我々への心証は悪くなるでしょう。連れてゆくのはよろしいですが、きちんと話は通すべきかと存じます」
「あたしもそう思うよ。急に姿が見えなくなったらご両親は心配するだろうよ」
「う、ううっ。あんたらは知らないだろうけど、親父は怒るとめちゃくちゃ怖いんだよ…」
大人3人に説得され青ざめた顔をして項垂れるポップの肩に手を置いたアバンは、顔を上げたポップに対し笑いかけながら励ました。
「ポップ、私からもご両親へはちゃんと説明しますから一緒に説得しましょう!大丈夫ですよ、話せばきっと分かってくれます!」
「ううっ、親父の説得は任せた…」
一同は武器屋に戻るため道を引き返した。ポップはアバンにやさしく背中を押されながら一緒に歩いていたが、家に近づくにつれて歩みは遅くなり、武器屋の入り口で仁王立ちするジャンクを視界に入れたとたんポップは悲鳴を上げてアバンの背中に隠れてしまった。ジャンクはポップの姿を見つけると目を吊り上げ、肩を怒らせながら一同に近づき、アバンの背中に隠れたポップに対して怒鳴り声をあげた。
「ポップ!てめぇまたさぼりやがったな!人様を盾にしないで出てきやがれ!」
「ひ、ひぇ~」
「ジャンクさん、息子さんについてご相談があるのですが少し時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「あん?」
一同は鍛冶屋の中に入り、カナルとナバラは武器が置いてある店舗で待機し、ポップ、アバン、ジャンクは部屋の奥へ移動し、そこにいたポップの母スティーヌも交えて机を囲むように、お互いに見える状態で席に着いた。アバンは家庭教師についての説明とポップが弟子入りすることへの説得をポップの両親に行うが、父ジャンクは出来るわけない、続かないと言って弟子入りを拒否し、母スティーヌもポップを一人にすることへの心配や不安を口にし協力的ではなかった。だが。
「かわいい子には旅をさせよと言います。1年間鍛えれば身も心も成長するでしょう!」
「将来何があるか分かりませんからね、魔法を覚えれば護身術にもなりますよ!」
といったアバンの説得にジャンクとスティーヌは納得し、修行が終わったら村に戻ってくることを条件に1年間アバンへの弟子入りが許可されることとなった。その日の夜、ポップは実家で両親と過ごし、アバン、カナル、ナバラは村で宿を取り1泊過ごした。
次の日、再び武器屋を訪れたアバンは剣を、カナルは脳裏にテランで暮らすある2人を思い浮かべながら剣と槍を購入した。武器を購入後、アバンは笑顔を浮かべながらポップの両親に挨拶をした。
「では、大事な息子さんをお預かりいたします」
「アバン先生、ポップをよろしくお願いします」
「先生、あいつが逃げ出すようならケツひっぱたいてもいいからな!」
「いえいえ、さすがにそこまではしないですが、逃げ出したときはちょこっときつく言いますね」
ポップが両親の傍から離れ、アバンらが居る方に移動すると、後ろを振り向き両親に手を振りながら声をかけた。
「行ってくるぜ、親父、お袋、元気でな!」
「体調には気を付けるのよ、ポップ!」
「ふん、ポップ!すぐ投げ出すんじゃねえぞ!男なら死ぬ気で踏ん張りやがれ!」
「たはは…」
朝日が差し込む中、ポップたち一行はジャンクとスティーヌに見送られながらランカークス村を後にし、テラン王国へ向けて旅立って行った。
ポップは家庭教師のアバンに弟子入りした!
この話は原作を読んでいた時にアバン先生がポップのご両親の許可なくポップを弟子にして、それが原因でポップのお母さんはアバン先生を恨んだと言ってたことから作られました。
正直、14歳の子供をご両親の承諾なしに連れて行くのは現代なら立派な誘拐ですよ!
アバン先生、ポップが勝手についてきたとしても一度話し合うためにランカークスに行くべきだったんじゃないの!?と思ったので、せっかくなら先生とポップの出会いと、ご両親へ息子さんを預かりますとちゃんと承諾もらう話にしました。
報告:誤字脱字修正しました!報告ありがとうございます。